(毎日 5月12日)
江戸時代に人や物を運んだ川や運河。
車社会が発達し、現代人から水辺は忘れ去られたが、
東京の川には歴史や環境を学ぶ教材がたくさんある。
NPO「あそんで学ぶ環境と科学倶楽部」は、
都市の川をボートでめぐるエコツアーを実施。
隅田川に注ぐ都市河川の日本橋川と神田川をめぐる半日ツアーに同行。
親子連れやカップルら10人を乗せ、JR水道橋駅近くの日本橋川を出発。
普段は上からのぞき込んでいた川を、ボートでゆっくり進む。
水面からの目線で眺めると、コンクリートの護岸が切り立っている。
高速道路の橋脚が視界をさえぎる。
高度成長期に「用地買収に時間がかからない」という理由で、
川の上に高速道路が次々と建設。
倶楽部の代表で、船長兼ガイドの中林裕貴さんは、
「川は、私たちの便利な生活の『裏方』として追いやられてしまった」。
神田川に入ると、両方の護岸はギリギリまで高い塀がそびえる。
川に面した側には窓のない家もある。
「神田川は今はずいぶんきれいになった。
が、生活排水で川が汚れていたころは悪臭がひどく、
家は川に背を向けていた」。
最近は、川辺にテラス席を置くレストランも見かけるようになった。
日本橋川では、千代田区一ツ橋付近で、護岸の下に石垣が見えた。
江戸城の外堀として利用されていた日本橋川の石垣の名残で、
伊豆の採石場から石船に乗せ江戸に持ち込んだ。
約2時間のツアーを終えた乗客たちは、
「川から江戸や東京の歴史を見ることができた」、
「ふだんは遠い存在だった川を身近に体験できてよかった」と満足。
倶楽部は、都心の川の魅力に気付いたボートのオーナーら40人が
02年6月に結成。
05年にNPO法人化し、一般を対象にエコツアーを始めた。
昨年4月からは、排ガスを出さない電気で動くエコボートを導入。
中林さんは、「遠くの大自然を体験するのもいいが、
身近なエコツアーは、翌日から日常生活を見直すことにもつながる」。
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神田川・日本橋川エコツアーは、1日コース(4時間)大人5000円。
半日コース(2時間)4000円。
「小名木川」や「芝浦・天王洲」をめぐるコースもある。
電話03・5547・8778、ウェブhttp://enjoy-eco.or.jp/
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/05/12/20080512ddm016040007000c.html
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