2008年5月25日日曜日

地球と暮らす:/48 若手専門家による温暖化対策審 政府に頼らず市民提言

(毎日 5月19日)

組織の利害が衝突し、堂々巡りの議論が繰り返される。
温暖化対策を話し合う政府の審議会の実情を不安視した若手関係者が
「数十年後の対策の行方に責任が持てる若い世代こそ、
自らの知識を総動員して考えるべきだ」と昨年秋、立ち上がった。
「若手専門家による地球温暖化対策審議会」(略称・若手審)。

メンバーは、温暖化の研究者やコンサルタント、公認会計士など10人。
国立環境研究所の江守正多・温暖化リスク評価研究室長(38)を
最年長に、平均年齢31~32歳。
事務局に環境省係長が加わり、会合名から会議資料の体裁まで、
本物の審議会そっくりに仕立てた。

昨年12月から月1回、東京都内で「審議会」を開き、今月初め、
低炭素社会の展望と日本が採るべき施策を提言する中間報告書を公表。
パブリックコメント(意見募集)も行った。

報告書は、世界の温室効果ガス排出量を2050年に半減するため、
推定人口92億人として、「すべての国が1人当たりの排出量を
年間2・7トンに抑える」との目標。

日本は、今の約75%減。
毎年3%ずつ減らしても及ばない厳しい目標だが、
1人当たり排出量を基準とすることは、
生活水準も各国でほぼ等しいことを意味。
40年後の世界は、「それぐらい公正であってほしい」との希望。

製品や電力を作り出す過程で排出されたガスは、
消費する人が排出したとみなし、製品を輸入したら、削減義務も
輸入国が引き受けるというユニークな考え方を導入。
これで「多消費社会」を脱却し、在宅勤務や地元産品の活用などで
削減目標の35%分をまかなうことを提言。

政府には、北海道洞爺湖サミットまでに、炭素税と
国内排出量取引制度を組み合わせた政策の導入を明言するよう要請。
企業にも、家庭での太陽熱活用など自然エネルギー利用が
普及するような技術開発を促す。

市民には、「足るを知る」というライフスタイルの変化を呼びかけた。
会合は、最新情報を報告し合いながら真剣な議論が続く。
「座長」の環境コンサルタント、川島悟一さん(32)は
「政府の審議会は、組織代表としての意見ばかり。
一人の市民として、誰もがしっかりと提言することで温暖化対策は進む。
若手審はそのきっかけにしたい」。
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最終報告書を20日に公表し、7月の北海道洞爺湖サミットに向けて
政財界などに訴える予定。

ホームページ http://wakateshin.exblog.jp/7612170

http://mainichi.jp/select/science/news/20080519ddm016040003000c.html

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