2008年7月16日水曜日

当世留学生事情(13)海外の実情 現地で実習

(読売 7月3日)

海外での国際協力活動に力を入れる大学がある。

夕日が差し込む、広島大学大学院国際協力研究科の会議室。
机の上に並べられたアフリカ・ザンビア共和国の写真を前に、
院生たちが意見を交換。
集まったのは、国際協力研究科が国際協力機構(JICA)と連携して
2002年から始めた「ザンビア特別教育プログラム」の参加者。

「滞在中に、AIDS(後天性免疫不全症候群)で同僚の先生が亡くなった。
生徒の半数は親がいないなど、貧困にあえぐザンビアの状況を肌で感じた。
隊員活動と研究の両立はしんどかったが、
生徒と粘り強く向き合った体験が将来役立つはず」。
05年秋から参加した池谷拓人さん(27)は、現地での活動をそう振り返った。

青年海外協力隊員として2年間、現地で理数科教員をしながら
研究も行う同プログラム。
赴任前の研修、帰国後の論文執筆を含め、標準で3年半修士課程に在籍。

同大は、JICAが1994年からフィリピンなどで実施した
理数科教員研修プロジェクトに参加。
ザンビアでは、義務教育を7年から2年間延ばした結果、
8、9年次の教育を担う教員が不足。

国際協力研究科長の池田秀雄教授(57)は、
「夏期休暇には、現地に教員を派遣して集中講義を行い、単位を取得させる。
JICAの支援を面的に広げ、国際協力の現場で活躍する学生を育てたい」。

天理大学では、被災地でのボランティア活動を単位として認定する
「国際参加プロジェクト」に取り組んでいる。

01年、大震災に見舞われたインド西部で支援活動をして以来、
これまでに4か国に計111人の学生が出向いた。
現地での活動は2~3週間。事前研修と帰国後の報告書作成にも力を注ぐ。

橋本武人学長(73)は、「海外で、現地の人と復興に汗する体験が重要。
広い世界に目を向け、自分自身を見つめ直すきっかけにしてほしい

昨年、フィリピンでのプロジェクトに参加した
国際文化学部ヨーロッパ・アメリカ学科4年の久保真百子さん(21)は、
情操教育の一環として子供たちにリコーダーを教えた。
「学びたい、という子供たちの思いをひしひしと感じた。
世界が広がり、何事にも積極的になったのが大きな財産。
この経験を、教育に携わる仕事で生かしたい」

金や物の支援だけでなく、国際貢献の最前線で活躍する人材が着々と育っている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080703-OYT8T00231.htm

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