(読売 7月3日)
海外での国際協力活動に力を入れる大学がある。
夕日が差し込む、広島大学大学院国際協力研究科の会議室。
机の上に並べられたアフリカ・ザンビア共和国の写真を前に、
院生たちが意見を交換。
集まったのは、国際協力研究科が国際協力機構(JICA)と連携して
2002年から始めた「ザンビア特別教育プログラム」の参加者。
「滞在中に、AIDS(後天性免疫不全症候群)で同僚の先生が亡くなった。
生徒の半数は親がいないなど、貧困にあえぐザンビアの状況を肌で感じた。
隊員活動と研究の両立はしんどかったが、
生徒と粘り強く向き合った体験が将来役立つはず」。
05年秋から参加した池谷拓人さん(27)は、現地での活動をそう振り返った。
青年海外協力隊員として2年間、現地で理数科教員をしながら
研究も行う同プログラム。
赴任前の研修、帰国後の論文執筆を含め、標準で3年半修士課程に在籍。
同大は、JICAが1994年からフィリピンなどで実施した
理数科教員研修プロジェクトに参加。
ザンビアでは、義務教育を7年から2年間延ばした結果、
8、9年次の教育を担う教員が不足。
国際協力研究科長の池田秀雄教授(57)は、
「夏期休暇には、現地に教員を派遣して集中講義を行い、単位を取得させる。
JICAの支援を面的に広げ、国際協力の現場で活躍する学生を育てたい」。
天理大学では、被災地でのボランティア活動を単位として認定する
「国際参加プロジェクト」に取り組んでいる。
01年、大震災に見舞われたインド西部で支援活動をして以来、
これまでに4か国に計111人の学生が出向いた。
現地での活動は2~3週間。事前研修と帰国後の報告書作成にも力を注ぐ。
橋本武人学長(73)は、「海外で、現地の人と復興に汗する体験が重要。
広い世界に目を向け、自分自身を見つめ直すきっかけにしてほしい」
昨年、フィリピンでのプロジェクトに参加した
国際文化学部ヨーロッパ・アメリカ学科4年の久保真百子さん(21)は、
情操教育の一環として子供たちにリコーダーを教えた。
「学びたい、という子供たちの思いをひしひしと感じた。
世界が広がり、何事にも積極的になったのが大きな財産。
この経験を、教育に携わる仕事で生かしたい」
金や物の支援だけでなく、国際貢献の最前線で活躍する人材が着々と育っている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080703-OYT8T00231.htm
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