(読売 9月30日)
小型パソコンを1人1台配布した新たな実証実験が、小学校で始まった。
「休み時間もやってみたい人は?」
授業の終了時、情報教育担当の村田直江教諭(60)が問いかけると、
25人の児童のほぼ全員が手を挙げた。
挙げなかったのは、まだパソコンの操作に夢中になっていた数人だけ。
千葉県柏市立旭東小学校の5年1組で、
半導体メーカーのインテルと情報機器商社の内田洋行による実証実験。
同小の5年生2クラスと同市立手賀東小学校の4、5年生各1クラスで、
小学館の漢字の書き取りや算数の計算問題のソフトを使い、
学習効果や、学校での使い勝手について探る。
1組の児童には、タッチペンで画面に書き込むタブレット型パソコンが
初めて配布された。
その大きさを見て、「DS?」とニンテンドーの人気ゲーム機を
思い浮かべる児童も。
使い方を覚えるまでは、担任や両社の担当者、様子を見に来た
熊谷美利校長までが加わって面倒を見たが、
子供たちはやがて、ソフトを自在に使い始めた。
いずれは、テレビ会議の端末としても活用してみたい。
「私たちだと慣れるのに時間がかかるが、デジタル世代は
タッチペンの書き味も気にならないようです」と村田教諭。
情報教育指定校の同小で情報教育を担当して7年目で、
市の教育の情報化推進委員も務める立場。
情報機器によって、いかに効率よく学べるかはよくわかっている。
「漢字の書き取り一つにしても、先生に教わるのではなく、
自分で気づくのがいい。子供たちの進度は一人一人違うが、
その子なりの評価が出来、授業中に遅れている子を重点的に見て回れる。
みんなそろうまで待ちなさい、と言わなくていい」
1人1台にパソコンが渡ると、「<やっちゃだめ>の教育が出来なくなる」。
村田教諭は、情報機器が従来の教育観を変える存在と見る。
パソコンを家庭に持ち帰らせることまではしないが、
保存されたデータで、個々の進度やつまずき部分が分かるため、
宿題の中身も個人個人で変わることになる。
柏市内の学校では、小中61校全校で、校内のどこでも
インターネットが使えるLAN(情報通信網)回線が整備済み。
同小は、情報教育指定校になって約20年がたち、
普通教室でも無線LANが使える上、コンピューター教室自体も
普段から開放されている。
子供たちが自在に使えるパソコンを持てば、
ネットでの調べ学習での利用なども進む。
学校のLAN環境整備を待たず、ニンテンドーDSを
学習に使う動きも広がっている。
2006年ごろから、英語や算数、国語の学習ソフトが相次いで登場。
陰山英男・立命館小学校副校長や
藤原和博・前東京都杉並区立和田中学校校長らも取り入れた。
ここに来て、学校のネット環境の整備が進んでいる。
こうした整備によって、学校で使える小型パソコンの開発・活用も
はずみがつきそうだ。
◆DSの学習活用
文部科学省によるNPO法人パソコンキッズへの委託事業が
昨年度からスタート、今年度は全国の小中高校17校が
ニンテンドーDSを学習に使っている。
京都府八幡市のように、市立中4校すべてで英単語の学習に使う例も。
藤原和博氏が、府の特別顧問になった大阪でも活用の動きがある。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080930-OYT8T00234.htm
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