2008年11月20日木曜日

構造化された運動プログラムによりQOLは早期から持続的に改善する

(Medscape 11月12日)

運動トレーニングプログラムに参加した心不全患者は、QOLが改善され、
その改善は早期に始まり、3年間にわたり持続するという新知見。

Ileana Pioa博士(ケースウエスタンリバース大学)は、
「臨床医が、心不全患者を治療する際の目標は、
気分を改善し、延命しつつ、生活の質(QOL)も改善すること。
トレーニングプログラムへの参加は、通常治療に比べて、
心不全患者の健康状態に僅かながら有意な改善をもたらす。
改善は、運動トレーニングに関連し、トレーニングの早期から認められ、持続した。
この結果は、サブグループでも一貫して認められた」

米国心臓協会(American Heart Association:AHA)で報告された
HF-ACTION試験のQOLに関する同結果、
高度に構造化された運動プログラムを施行した患者では、
「通常治療」を受けた患者と比べて、死亡と入院に有意な減少が認められた。

HF-ACTION試験の研究者らは、心不全患者2331例
(ニューヨーク心臓協会心機能分類[NYHA]2-4度、心駆出率<35%)を、
強度と時間を漸増していくトレーニングに焦点を合わせた運動プログラム、
または通常治療(運動は米国心臓病学会(ACC)/AHAの奨励)の
いずれかにランダムに割り付けた。

構造化運動群は、週3回30分間の運動を行うトレーニングセッション36回から開始。
6週間は監視下でプログラム実施後、家庭でトレッドミルまたはエアロバイクで、
週5回、40分間、適度(moderate intensity)の運動を行った。
通常治療群には、毎日30分間、適度の運動をするように指示したが、
途中で監視したり励ましたりすることはなかった。

健康状態の評価は、身体的制限、症状、QOL、社会的制限に関する質問が
盛り込まれた検査であるカンザス市心筋症質問票
(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire:KCCQ)を用いた。

KCCQの総スコアでは、構造化運動プログラム群の健康状態において、
3カ月以内に早期改善が認められた。
この効果は3年後まで持続し、総スコアは3カ月~36カ月まで変化しない。
身体的制限および症状を含めて、すべての健康状態スケールは改善。

「日常生活動作のスコアは、構造プログラム群の患者の方が高く、
同群の患者の気分には改善が認められる。
これらの患者では、外出したり人と付き合ったりする能力も改善。
症状さえも改善され、彼らは気分が良くなっている」

Anne Taylor博士(コロンビア大学)は、心不全患者の治療目標は
疾患進行の予防、死亡と罹病の減少であり、
慢性疾患集団に重要なこととして患者のQOLの改善がある。

2つの治療群の差は僅かなものの有意であり、臨床試験効果の結果である。
通常治療群の患者でさえ、参加しなかった場合に比べると運動量が増えている。

今後は、高齢患者や他の併発疾患患者のQOLに対する効果を確認するため、
筋力トレーニングを併用すると有酸素トレーニングに効果が追加されるか検討する。

いかなる運動を中心とした治療プログラムについても
指示の遵守(adherence)の問題が残っているが、
このサブ研究のデータは有用な情報を提供している。

「QOLについては、本当に臨床医はもっと注意深く考える必要がある。
これは、単なるソフトサイエンスではない」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=83075

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