2009年3月11日水曜日

減量のための身体活動ガイドライン改訂

(2009年3月3日 Medscape)

米国スポーツ医学会(ACSM)は、成人の減量および体重再増加予防の
ための適切な身体活動(PA)に関するガイドラインを改訂。
2001年ACSM勧告の改訂版で、
『Medicine & Science in Sports & Exercise』2月号に掲載。

2001年の勧告では、減量を必要とする成人の同定、推奨体重減少量、
食事制限、レジスタンス・エクササイズの実施、薬物療法の使用、
行動療法などが取り上げられた。

ASCMのJoseph E. Donnellyらは、
「改訂の目的は、新しい情報より、2001年のガイドラインの推奨量よりも
多くのPA量が必要な可能性がある。
今回は、National Weight Control Registry(NWCR)、米国医学研究所(IOM)
による体重管理に必要なPA量に関する情報を受けて改訂」

過体重や肥満は、さまざまな慢性疾患に関連する。
成人の66%以上が過体重、肥満で、体重管理のガイドラインが必要。
米国立心臓肺血液研究所(NHLBI)のガイドラインは、
肥満者に対し、10%の減量を推奨、3%-5%の減量で健康上のリスクが減少。

体重増加の予防、減量、体重再増加の予防のため、
軽度の身体活動は1.1-2.9METS、中等度の身体活動は3.0-5.9 METS、
強度の身体活動は6 METS以上と定義。

2001年のACSMガイドラインは、過体重および肥満の成人に対し、
健康改善のために中等度のPAを週150分以上、
長期減量のために週200-300分行うよう勧めていたが、
改訂ガイドラインは、週150-250分の中等度PAは体重増加の予防に有効、
減量にはあまり効果的ではない。

PA量が多い場合(週250分以上)に、体重減少。
適度な食事制限で、週150-250分の中等度PAは減量に有効。
週250分以上のPAは、減量後の体重維持に有効、
PAが減量後の体重再増加の予防に有効かの確認試験は行われていない。

レジスタンストレーニングは体重減少を促進しないが、
健康上のリスクを減少、除脂肪量を増加、脂肪量減少を促進。
持久PAやレジスタンストレーニングは、体重減少がなくても、健康上のリスク減少。
PAが、体重増加の慢性疾患リスクを予防するかは、エビデンスが不十分。

65歳以上を対象とした研究はほとんどないが、
高齢者の体重減少は、除脂肪量減少、骨量減少を引き起こす。
体重増加の予防、減量、体重維持のためのPAの効果は個人差がある。

AIDS、1型糖尿病など、体重に影響を及ぼす併存症を有する患者を対象、
薬物療法を用いた試験は除外、
高血圧、心血管疾患、2型糖尿病など薬剤を使用している患者を
対象とした試験は検討の対象。

具体的な臨床勧告、支持するエビデンスのレベルは次の通り。
1)体重増加の予防に、週150-250分(1200-2000kcal/週)のPAが
3%以上の体重増加を予防(エビデンスレベルA)。


2)PA量が多いほど減量効果が高く、体重減少量は、
週150分未満のPAでわずか、週150分以上では約2-3kg、
週225-420分以上では5-7.5kg(エビデンスレベルB)。

3)減量後の体重を維持に、週約200-300分のPAが体重再増加を
最小限に抑えるのに有用、「多ければ多いほど良い」。
体重再増加の予防に必要なPA量のエビデンスはない(エビデンスレベルB)。

4)ライフスタイルPAは、あいまいな用語で、
肥満につながるエネルギーのアンバランスの改善(エビデンスレベルB)。

5)厳しい食事制限ではなく、適度な食事制限を行った場合、
PAは減量を促進する(エビデンスレベルA)。

6)レジスタンストレーニングは、食事制限の併用の有無にかかわらず、
減量に無効。エネルギー制限時、除脂肪量の増加・維持、体脂肪の減少を促進。
高比重リポ蛋白コレステロール低値、低比重リポ蛋白コレステロール高値、
インスリン感受性、血圧など慢性疾患のリスク因子を改善(エビデンスレベルB)。

「ACSMは、体重増加の予防、関連慢性疾患リスク因子の改善に、
中等度のPAを150分/週以上行うよう勧めている」
「肥満者に対し、PA量が多いほど効果が高く、中等度のPAを
約250-300分/週(約2000kcal/週)で、大きな減量効果、
体重再増加予防効果が得られる」

米保健福祉省(Department of Health and Human Services:HHS)
米国人のための身体活動ガイドライン
(Physical Activity Guidelines for Americans)の 勧告と一致。

出典Med Sci Sports Exerc. 2009;41:459-471.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/3/3/92944/

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