(読売 9月9日)
「論理パズル系の問題を解くときはまず、考えを表などにする」
「栄光ゼミナール」日暮里校で行われた、「公立中高一貫校対策コース」
の都立小石川中等教育学校対策ゼミ。
ストップウオッチを押す講師の合図で、塾生たちは問題に取りかかった。
小学生から高校生までが通う栄光ゼミナールが、
小学5、6年生対象の公立中高一貫校コースを、
大手進学塾で先駆けて設けたのは2004年。
都立初の公立中高一貫校の白鴎高校付属中学校が開校する
前年のことで、補習コースの塾生の保護者からの要望がきっかけ。
現在は、首都圏1都3県の全教室数の6割にあたる
約180教室で開設。
横田保美・広報室長(59)は、「新たなニーズに迅速に対応するのが
塾の役目。予想以上に希望者が多かった」
公立一貫校の開校は、これまでとは異なる中学受験層を生み出した。
中学受験情報誌「進学レーダー」の井上修編集長(43)は、
「安い学費でいい教育を受けられるのならと、
受験を考えていなかった層が公立一貫校を目指すようになった。
特に首都圏では、近年の中学受験の『カジュアル化』に
拍車をかけている」と分析。
私立受験と異なり、「公立一貫校を受けるために、
塾通いをする子どもは少ない」。
栄光ゼミナールで、公立一貫コースを担当する宮田篤史講師(33)は、
「小学校で学んだ内容では、太刀打ちできない。
特別な勉強が不可欠」
公立一貫校の入学者選抜で実施される適性検査(入学試験)は、
特定の科目の知識を問う問題ではなく、読解力や数的処理力、
記述力など論理的思考力を問う傾向が強い。
各校独自の教育方針があり、出題にも特徴がある。
入試は、おおむね高倍率で、合格する確率は低い。
「身に着けた力は、中学校での学びや高校受験にも役立つと、
保護者には説明している」と、栄光ゼミナールの横田室長。
森上教育研究所の森上展安代表(57)は、
「東京で初の公立一貫校の生徒が、来年大学受験を迎える。
その実績いかんで、公立一貫校全体の人気が収まる可能性もあり、
どの塾も先行きを見極めかねているようだ」
公教育の変化が、受験動向に影響をもたらし、
進学塾での指導を変えている。
◆メモ
公立中高一貫校は、1999年学校教育法改正により、
設置が認められた。
今年度、中等教育学校と併設型の公立中高一貫校を合わせて
全国に96校。
首都圏1都3県では、東京都11校、神奈川、埼玉、千葉各県に2校ずつ。
都立10校の平均受験倍率は、6.83倍。
受験競争の低年齢化を招かないよう、学力テストは行わず、
適性検査などが実施。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100909-OYT8T00297.htm
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