(サイエンスポータル 2010年10月12日)
筋肉の動きを分子レベルで直接、撮影することに、
金沢大学の研究グループが初めて成功。
筋肉の動きが、アクチンとミオシンというタンパク分子によって
行われていることは、早くから知られている。
二つの“脚”を持つミオシンが、アクチンの上を人が歩くように
交互に前進するという動きの基本も分かっていた。
蛍光顕微鏡によるこれまでの観察では、ミオシンが実際に“歩いている”
状態を直接、観察することは顕微鏡の性格上できなかった。
金沢大学理工研究域数物科学系の安藤 敏夫・教授と
古寺 哲幸・助教らは、原子間力顕微鏡の可視化速度を、
約1,000倍高める改良を行い、ミオシンの“歩く”様子を
はっきりととらえること成功。
ミオシンの動きをとらえた映像は、金沢大学生物物理学研究室の
ホームページで公開、これまで考えられていたのとは異なり、
ミオシンの歩き方は、前足が軸足になり、その回転する動きで
後ろ足が前足の前方に出る、という繰り返しによって
行われていることが初めて分かった。
原子間力顕微鏡は、針を試料の1点1点に接触させて、
分子全体の形を直接見ることができる。
これまでの装置では、1点1点の接触を分子全体で行うには
相当の時間がかかるため、分子の動きは見えなかった。
生体分子の動きを直接観察できることは、ミオシンに限らず、
さまざまな生体分子の機能解明にも大きな武器となることから、
改良された原子間力顕微鏡は、ナノテクノロジーの発展にも
大きな貢献が期待できる。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1010/1010121.html
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