(2010年10月1日 共同通信社)
筑波大での博士課程の修了間近、心臓外科医として
一歩を踏み出そうとしていた1994年、
ふとしたきっかけで見た1枚の写真が、人生を変えた。
その写真が、今もオフィスの壁に掛かる。
「ハゲワシと少女」。
飢餓が深刻化するスーダンで、飢えのために歩けなくなり、
うずくまる少女を見詰めるハゲワシ。
後にピュリツァー賞を受賞し、世界的な注目を集める
この写真に、大きな衝撃を受けた。
「神の手を持つといわれる心臓外科医でも、1年間に救える人の数は
せいぜい300人。
発展途上国の貧困問題に取り組めば、何万の子供の命が救える」
以来、ボリビア、コロンビアなど、多くの国で病院の技術指導に従事、
紛争中のレバノンや米軍進攻直後のアフガニスタンでの
勤務経験も持つ。
4月、国連児童基金(ユニセフ)東京事務所代表に就任。
「ボリビアの病院に運ばれてくる子供は、栄養失調や病気で
手遅れの子ばかり。何をしていいかすら分からなかった」
途上国の乳幼児の死亡率は依然として高く、先進国との格差は大きい。
「この巨大な不公平を見過ごすことは、正義をないがしろにすること」
日本の政府開発援助(ODA)は、減少が続き、途上国の貧困問題への
社会の関心も高くはない。
「財産を失うことは恐ろしい。
今の日本にとって一番恐ろしいのは、長く大切にしてきた正義を失うこと」、
あくまでも「正義」にこだわる。
長野県出身、52歳。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/10/1/126354/
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