(毎日 9月21日)
夏休みが終わり、小中学校では秋の運動会シーズン。
小学校卒業までの少年期は、スポーツの基本的動きや技術を
身につけるのに、最も適した「ゴールデンエージ」と呼ばれている。
日本では、その年代の運動能力低下が叫ばれ続けている。
そこに何の原因があり、どんな取り組みが進められているのか?
子どもの体力向上に焦点を当てた。
◇競技団体も向上に本腰
味の素ナショナルトレーニングセンターに、男女約10人が集まった。
女子サッカーやバスケットボール、男子ハンドボールの
元日本代表選手も含まれる。
大人たちがボールを投げたり、けったりして遊んでいた。
◆指導者養成へ講習会
国内のボール競技の団体でつくる
日本トップリーグ連携機構(JTL)が主催した、
「ボールであそぼうマイスター」の講習会。
「ボールであそぼう」は、JTLが昨年、子ども向けに作製した
DVDのタイトル。
NHKの番組「からだであそぼ」を手がけた
山梨大教育人間科学部の中村和彦准教授が中心、
ボールを投げるなどの基礎、パスなど連係プレー、
普段はできない体の動きを、遊びの中で習得してもらおうというもの。
講習会は、指導者(マイスター)を養成するもので、
2年間で46人が認定。
マイスターたちは、全国のイベントなどで、
子どもたちにボール遊びを教える。
JTLの平野祐司事務局長は、
「我々の直接的な仕事ではないかもしれないが、
体力向上とともに、ボールに向いてくれる子どもを増やすことが大事」
文部科学省が行った、09年度の体力・運動能力調査では、
小学5年生(10~11歳)の男子の50m走の全国平均は9秒37。
85年度と比べ、0秒32遅い。
ソフトボール投げでは、男子が25・41mと約4・5m短い。
85年前後は、コンビニエンスストアやテレビゲームの出現で、
生活環境が大きく変化した時期。
それまでの、子どもたちの遊びは、野球や缶けり、ゴム跳びなどの
体を使ったものが中心、現在の主流はテレビゲーム、カードゲーム。
体を動かさなくなったことが、体力の低下に。
中村准教授は、「体力そのものより、動きを習得していない子が多い」
◆運動しない小学生
中村准教授は、07年、小学生以下の「走る」、「跳ぶ」、「投げる」、
「捕球する」など、7つの動きをビデオで撮影、
動きの発達度を5段階で分けて数値化する調査。
投げる動作では、発達段階に応じて、
(1)足を使わない手投げ、
(2)体のひねりが加わる、
(3)投げる時に手と同じ側の足を出す、
(4)手と反対側の足を出す、
(5)振りかぶって投げる--と分類。
85年、中村准教授が撮影した同年代の子どもと比較すると、
85年は、(3)が最も多かったのに対し、
07年では(1)と(2)が全体の7割と、未熟さの傾向が出た。
7つの動作の平均ポイントでは、07年の幼稚園年長(5~6歳)は
85年の年少(3~4歳)並みと、2歳程度運動レベルが下がる。
走る動作を分析すると、07年の小学5年生が
85年の幼稚園年長とほぼ同レベルという驚くべき結果。
体力の低下だけでなく、正確な動きができないから、
体力テストの数字も上がらない。
それを裏付ける構図だった。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の調査によれば、
11歳の子どもが下校後に週に2回、30分以上の運動をする割合は、
男子でオーストラリア、ドイツ、フランスが8割超、
日本はわずか37%、調査した20カ国の中で最低。
中村准教授は、「日本は、世界で最も運動していない小学生がいる
国ということを認識することが、体力向上の第一歩になる」と警告。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/general/archive/news/2010/09/21/20100921ddm035050107000c.html
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