(毎日 9月27日)
脳卒中の後遺症で、長期間まひした手の機能を改善させる手法を、
慶応大の里宇明元・教授と牛場潤一講師らのチームが開発。
スポーツのイメージトレーニングのように、手を動かすことを想像し、
脳に刺激を与える訓練を繰り返すことで、筋肉の働きを誘発。
チームは、新しいリハビリ法になるとみて、
実用化を目指した臨床試験に着手。
国内の脳卒中患者は約150万人と推定、まひが残る人が多い。
現在のリハビリでは、比較的軽度のまひを電気刺激などで
回復させる方法がある。
数年間も動かなくなった完全まひの患者では、
まひしていない方の手足を鍛えるしかなく、事実上治療を断念。
チームは、手を動かす際に出る脳波が現れると、
手首に装着した電動装具が動くシステムを構築。
まひした患者の場合、最初は動かすことのできる人と異なる波形に。
コンピューター画面を通して違いを確認しながら、
手を動かすイメージを繰り返し、正しい脳波が現れると、
電動装具が手を強制的に動かす。
システムを使い、5年間も左手がまひしていた女性が、
1日1時間の訓練を週5回続けたところ、2週間後、
積み木のような器具をつかんで持ち上げられるようになった。
当初、筋肉を動かすための電気信号がほとんど出ていなかったが、
システムなしでも検出されるようになり、
脳の命令を手に伝える回路が新しく形成された。
同様の効果は、他の患者でも確認。
脳と機械をつなぎ、情報を出し入れする技術は、
「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」と呼ばれ、
各国で研究が進むが、体の機能回復を実証したのは世界で初めて。
里宇教授は、「どの症状の患者に効果的なのか、症例を重ね、
数年のうちに、手のまひの治療法の一つとして確立したい」
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/09/27/20100927dde041040038000c.html
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