(読売 11月6日)
「写真やイラストで、見やすくなる工夫をしてみよう」
新潟県三条市立本成寺中学校のコンピューター室で行われた
技術・家庭科の授業で、若林孝吉教諭(30)が、
2年生22人にそう呼びかけた。
発表用スライド作成ソフト「パワーポイント」を使い、
趣味や好きな食べ物など、4項目を6枚のスライドにまとめた
自己紹介を作ろうというものだ。
真剣な表情で、パソコンに向かう子どもたちの間を、
忙しく動き回る女性がいた。
元プログラマーで、同市ICT推進支援員の内山千春さん(32)。
授業全体を見るのに忙しい若林教諭をサポートしつつ、
一人一人にパソコンの操作方法など細かい指導をする。
週5日のフルタイムで、報酬は月14万5000円。
内山さんから画像を挿入する方法を教わり、好きな食べ物に挙げた
「ケーキ」のイラストをスライドに取り込んだ須山知穂さん(14)は、
「わかりやすく教えてくれてありがたい。
先生一人だけだと順番が回ってこないから」とうれしそう。
「先生たちは、子どもたちへの指導で本当に忙しい。
少しでも負担を軽減できれば」と内山さん。
樋山利浩校長(51)は、「情報通信技術(ICT)を使う教員の
力量向上にも貢献している」
同市のICT支援員は、昨秋、電子黒板など情報機器が
大量導入されたのに合わせ、各中学校区に1人ずつ、計9人配置。
その役割は、小中学校で授業を補助するほか、
機器やネットワークのトラブル復旧、学校のホームページの更新、
教職員への操作指導など、多岐にわたる。
支援員の必要性については、2008年、文部科学省の
「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」でも提起。
同省によると、支援員を委嘱する自治体は、
県レベルで26都道府県(55%、2009年度)、
市町村では286市町村(16%、同)で、思ったほど普及していない。
背景には、財政難がある。
三条市も例外ではなく、同市教育委員会の池浦倫之・教育総務課長(55)は、
「最悪の場合、来年度の打ち切りも考えられる」と苦しい胸の内を明かす。
文科省の「教育の情報化ビジョン」では、支援員の雇用を促すよう、
教育委員会などに、国が支援することが重要だと指摘。
機器の普及が進むにつれ、機器を生かす人材の確保が課題として
浮かび上がっている。
◆教育の情報化ビジョン
文科省が8月にまとめた学校の情報化に関する基本方針。
〈1〉子どもたちの情報活用能力の育成、
〈2〉わかりやすい授業の実現、
〈3〉校務の負担軽減――という三つの側面から、
情報通信技術の必要性を指摘。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101106-OYT8T00162.htm
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