(読売 4月23日)
避難所の体育館から出てきた子どもが、
石巻専修大学4年佐原英晃さん(21)の腰をつつき、くすくす笑った。
4月14日、宮城県石巻市の市立住吉中学校。
「顔見知りで、仲良しですよ」と佐原さん。
校舎掃除などを行う学生ボランティアとして、同大4年三塚光さん(21)と
一緒に毎日、同中に通い、もう20日以上に。
佐原さんは、震災時にいた同大構内に4日間とどまり、
15日、日和山公園そばの自宅アパートまで帰った。
がれきを避け、線路の上や水のない場所を探して歩いたら、
通常は車で15分の距離に4時間かかった。
街はぼろぼろだった。
「(河口近くの)門脇町には何もなかった。遺体も見た。
ガソリンと潮のにおいがまざったヘドロで、道がぐちゃぐちゃでした」
大学の前期授業再開は5月20日。
福島県にある実家の親は、帰ってこなくていいと。
街を何とかしたいと、3月24日に同大に開設された
市災害ボランティアセンターに登録、三塚さんと同中に派遣。
時間は昼休みを挟み、朝9時から午後4時まで。
車の交通整理、避難所の食事の手配、床上浸水した校舎の掃除、
支援物資整理などやることは山積みで、子どもとも遊ぶ。
斎藤達彦・同中教頭(54)は、「震災後まもなく来てくれ、
あらゆることをしてくれて、本当にありがたい」と感謝。
4月21日、避難者約200人と同居しつつ、同中は再開。
佐原さんは当面続けるが、三塚さんには最後の日。
5月9日から、実家のある栗原市の中学校で、3週間の教育実習。
「けじめをつけ、次をがんばりたい。
子どもたちと親しくなれてよかった」と三塚さん。
今回の震災では、東日本の多くの大学が5月の連休明け以降を
新年度開始日とした。
文部科学省が、ボランティア活動に単位を与える配慮などの通知を
各大学などに出したこともあり、日々、多くの学生ボランティアが被災地入りし、
家屋の泥のかき出しや家財道具、畳の運び出しなどを手伝っている。
食事、宿泊、移動手段などは自分で準備が基本だが、
日本財団(東京)が、東京と石巻市を往復する交通手段と宿泊施設を用意し、
学生ボランティアを募集したところ、遠くは琉球大学からも
参加者が駆けつけた。
「とにかく役に立ちたい、という熱意のある学生が多いようだ」。
学びの場として、本来の姿を取り戻そうとする被災地の学校。
現場を支える大人の中に、ひたむきに頑張る学生たちの姿がある。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110423-OYT8T00219.htm
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