(読売 3月24日)
東日本巨大地震では、震度5前後の揺れにとどまった地域の
学校でも、照明カバーや内壁が崩落し、
児童生徒がけがをする事故が起きた。
耐震化が進む建物本体に比べ、対策が遅れている天井や壁、
設備器具の落下などによる危険が改めて浮き彫りに。
栃木県下野市立国分寺中学校では、1、2年生約300人が
前日行われた卒業式の反省会のため、体育館に集まっていた。
震度5強で揺れた数十秒後、体育館の天井を覆う石こうボードが
はがれ落ちてくるのに、田熊利光教諭(44)が気づいた。
「危ない!」と叫んで、生徒らを壁際に避難させたが、続いて
何枚ものボードと鉄製照明カバー(1個重さ約1kg)計7個が落下。
うちカバー1個が、逃げ遅れた1年女子生徒にあたり、
額を8針縫うけが、生徒19人が打撲などで病院に行った。
「まさに逃げる間もなく、落ちてきた」と田熊教諭。
新村純一校長(57)は、「安全であるべき学校で
けがをさせてしまい、申し訳ない」
三鷹市立第三小学校では、地震の数分後、体育館にいた
5年生児童87人が運動場に避難する際、出口の上部内壁を覆う
モルタル材(厚さ1~2cm)の一部がはがれ落ち、児童8人にあたった。
白井千晴校長(54)によると、うち2人が肩や手に打撲や
軽い切り傷を負い、保健室で手当てを受けた。
同校児童の保護者は、「地震でよく聞く屋内の事故は、
天井や壁の落下によるけが。
メンテナンスがどうなっていたのか気になる」
文部科学省によると、確認できただけで、
23都道府県の国公私立学校5819校で物的損害が。
学校の建物本体は、阪神大震災の教訓から、
「震度6強でも倒壊しない」とされる新耐震基準をもとに
補強工事が進み、全国の公立小中学校で73・3%が耐震済み。
今回は、最大で震度7と想定を超える揺れ、さらに津波が襲ったため、
校舎倒壊や全焼、津波による流失と被害はいまだ計り知れない。
外壁や天井の落下、壁のひび割れ、ガラス窓の破損といった
被害も目立った。
「非構造部材」の耐震化について、文科省が2005年に
耐震対策事例集を出しているが、安全チェックが難しいほか、
建物本体耐震化を優先させるため、
現場もようやく対策にとりかかり始めた段階。
学校建築に詳しい東洋大学の長沢悟教授(62)は、
「非構造部材の落下などは軽微に見えても、危険なことに変わりない。
速やかな耐震対策が必要」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110324-OYT8T00178.htm
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