(日経 5月20日)
成田国際空港が、開港30周年を迎えた。
アジア各国では大規模空港が次々に整備され、
日本は「空の大競争」に大きく出遅れている。
空港は、日本経済を活性化するための戦略インフラであり、
成田と羽田の首都圏両空港の着実な整備が今後も欠かせない。
成田は、年間20万回の発着枠を持つが、需要に応え切れていない。
日本に直行便を飛ばしたいと希望しながら、成田の能力不足から
航空協定を締結するに至っていない国は40以上。
中国など乗客数が伸びている地域への増便も容易ではなく、
空港の枠不足による機会損失は大きい。
政府は、2010年に成田と羽田を拡張、発着枠を現行の1.3倍弱に増やす。
それでも、「枠不足は解消しない」。
成田国際空港会社は、発着枠の再拡張構想を打ち出した。
誘導路の整備などで滑走路を効率的に使い、
発着枠を今の1.5倍の年30万回に引き上げる構想。
地元の理解などハードルは多いが、枠不足解消は日本全体の大きな課題。
羽田についても、夜間枠の活用などで拡張の余地がある。
米軍横田基地などへの民間航空機乗り入れも今後の検討課題。
航空市場の自由化でも、欧米やアジアに立ち遅れている。
米国と欧州連合(EU)のオープンスカイ協定が発効し、
米欧間の国際路線が自由化。
日本が外国と自由化交渉する際、最大のネックは首都圏空港の容量不足。
首都圏の空を閉じたまま、相手国への乗り入れ自由化を要求しても、
受け入れられない。
空の自由化に取り残されないためにも、発着枠の拡大は急務。
成田と羽田の役割分担の見直しも必要。
都心に近い羽田からの対アジア便を増やせば、
ビジネスや観光面でより大きな経済効果が見込める。
「国際便は成田、国内便は羽田」という硬直的な区分を改め、
柔軟に路線配分すべき。
利用者の満足度向上のために、空港会社の意識改革も。
韓国の仁川空港では、空港職員は英語のほか、
日本語か中国語の2つの外国語の習得が必須。
成田空港会社は株式上場を計画しているが、
民営化の実を挙げ、乗客利便の一層の向上を期すべき。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080519AS1K1900419052008.html
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