(岩手日報 11月6日)
盛岡市の県立博物館で、「いわての漆」関連シンポジウム
「縄文漆を科学する」は、約80人の参加で開かれた。
宮腰哲雄さん(明治大教授)らが、日本伝統の漆文化を
次代に継承するため、科学分析の必要性や研究成果を発表。
宮腰さんは、「漆の文化と科学―漆文化の学際研究の世界」と題し講演。
漆利用の歴史は、9千年前の縄文時代にさかのぼるが、
「出土品を見ると、縄文人は漆を理解し、創意工夫し、
高度な技術を持っていた」と指摘。
漆器を作るとは、「単に器物に漆液を塗る作業ではない。
漆の性質を理解し、漆を使いこなす技術、
きれいなもの作りをする技が必要。
そのためには、漆のことをもっと知る必要がある」とし、
漆のさまざまな科学分析法を解説。
かつて「万能の塗料」と言われた時代もあった漆だが、
現代の塗料のほとんどは石油からの合成。
「石油は限りある資源。
持続可能な社会をつくるためにも、植物由来の漆利用が重要」とし、
さらなる学際的研究の必要性を訴えた。
本多貴之さん(明治大)が漆の有機化学分析、
神谷嘉美さん(東京都立産業技術研究センター)が
岩手町豊岡遺跡出土品の分析結果、
吉田邦夫さん(東京大総合研究博物館准教授)が漆の産地と年代、
河西学さん(山梨文化財研究所室長)が豊岡遺跡の漆塗土器の技術、
阿部芳郎さん(明治大教授)が縄文の漆工芸をテーマに発表。
同展は、県博開館30周年記念特別企画で、
約400点の展示を通じ本県漆文化の全容を紹介。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20101106_7
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