2010年11月20日土曜日

情報機器を使う(6)デジタル授業 道半ば

(読売 11月13日)

葛飾区立本田小学校で行われた、4年2組の総合学習の授業。
児童23人全員の机の上に、指やペンで操作できる
「タブレットPC」と呼ばれる小型のパソコンが、1台ずつ置かれている。

鎌田尚子教諭(36)が、電子黒板に「かき」、「すいか」と書き、
「ローマ字で打ってみよう」と指示すると、
児童は真剣な表情でPCに向かった。

20秒ほどでできる児童もいれば、間違えた字を打ってしまい、
「『戻る』ができない」と先生を呼ぶ子も。
PC操作の慣れ具合には、個人差があるものの、
児童の意欲は総じて高いようだ。

学校で初めてパソコンを触ったという林暢基君(9)は、
「速く(キーを)打てるようになりたい」と積極的。
浅田紫乃さん(9)は、「パソコンの授業は楽しい。
ローマ字をちゃんと覚えたい」とにっこりした。

鎌田教諭は、「いずれは、パソコンで自分の考えを表現できるよう
指導したい」と抱負。

タブレットPCを児童1人に1台配備し、校内に無線LAN(情報通信網)も
整備し、電子黒板も利用する。
情報通信技術(ICT)が充実した環境で、
子ども同士がお互いに教え合う――。
総務省は、そんな未来を思わせる学校の実現を目指した
「フューチャースクール推進事業」を始めた。

全国の公立の小学校10校をモデル校に指定し、
端末や電子黒板、通信環境などを徹底的に整備。
その上で、ICT環境構築や授業で活用する際の課題について、
技術、コスト、教育効果など様々な観点から3年間かけ、
実証実験を行う。
本田小学校はその一つ。

実証実験では、デジタル教科書の是非についての検証が注目。

政府は、2020年を目標に、児童生徒用の「デジタル教科書」を
1人1台、全国で導入することを検討。
文部科学省は、「一人一人の能力に応じた学びが可能になる」
などと説明するが、同省の有識者懇談会では、
情報機器の常時使用による児童生徒の健康への悪影響や、
コミュニケーション能力の低下を懸念する声が出ている。

コミュニケーション能力や人に共感する力は、
人と人との生身の触れ合いで育まれる。
情報端末に日々触れることに、落とし穴はないのか?
1人1台については、その効果とともに、
負の側面の慎重な検証が求められる。

◆デジタル教科書

文部科学省の検定を経た教科書に準拠したデジタル教材。
「指導者用」と「学習者用」の2種類ある。
「指導者用」は、電子黒板に映し出し、教師が指導用に使う。
「学習者用」は、タブレットPCなどに表示して使い、
児童生徒が1人1台持つ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101113-OYT8T00232.htm

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