2009年12月19日土曜日

選手との一体性必要 岩手国体強化策探る

(岩手日報 12月13日)

「いわてスポーツコンベンション2009」(国体県準備委など主催)は、
スポーツ関係者ら約180人が参加して開かれた。
日本一を経験した指導者によるパネルディスカッションなど、
2016年の2巡目岩手国体に向けた選手強化などに認識を深めた。

「岩手からの日本一を目指して」と題したパネルディスカッションでは、
アルベールビル五輪ノルディック複合団体金メダルの
三ケ田礼一・県体協スポーツ特別指導員を司会に、
富士大ホッケー部の西田範次総監督、盛岡商高サッカー部の
斎藤重信監督、北上翔南高陸上部の本正園子監督が意見交換。

選手を奮い立たせるため、本正監督は、
目標設定し、どうやるかを具体的に示す。
日本一になるにはどういう練習をし、生活すればいいか、
考え行動させる」と、指導者と選手が一体となった
取り組みの大切さを指摘。

斎藤監督は、「大学生やJリーグサテライトチームなどとの
練習試合などを繰り返した。
自分のプレーに達成感が得られれば、それが自信になる」と、
選手に積極性を植え付ける必要性。

日本一になったときには、「生活などでチームに落ち着きが感じられた」
(斎藤監督)、「選手が指導者の先を読んで行動していた」(本正監督)、
「リーダーを育てた。そこからチャンスが広がる」(西田総監督)。

11年の北東北インターハイや2巡目岩手国体に向け、
西田総監督は、「目的意識を持った選手が中央に流れることなく、
岩手で育てていきたい。
冬季でも、練習できるハード面の整備が必要だ」

「競技力の向上について」と題して講演した日本オリンピック委員会の
福田富昭副会長は、「選手強化には時間がかかる。
今から取り組まないと、国体に間に合わない」と指摘。

http://www.iwate-np.co.jp/sports/2009sports/m12/spo0912134.html

コンセントは? EVに思わぬ難敵

(日経 2009-12-07)

地球温暖化対策の切り札として、電気自動車が注目。
日本エネルギー経済研究所によると、発電の過程で出る
CO2を含めても、1km走行あたりの排出量は57gにとどまり、
ガソリン車の176gやハイブリッド車の94gに比べ、かなり低い水準。

普及に向けた課題も多い。
クルマそのものの課題としては、走行距離の短さと値段の高さがあり、
社会インフラ、すなわち充電設備の普及について考えてみたい。

電気自動車用の高速充電装置を1基装備するのに、
どのくらい費用がかかるか?
充電装置自体の価格は約350万円。
かなり高めだが、いずれ量産化が進めば、急速に安くなる。

装置の値段は、全体のコストの氷山の一角。
高速充電するためには、新たな受電設備が必要になるケースが多く、
大型のトランス(変圧器)などを導入する必要。
設置する場所によって、構内の配電網にも手を加えなければならない。

ネクスコ東日本(東日本高速道路会社)は、
今年度末までに首都圏のパーキングエリア4カ所に
高速充電設備を設置する計画、1カ所あたりの平均費用は
2500万円から3000万円に達する。

大きな企業なら、「CSR(企業の社会的責任)の一環」とみなして
出せない金額ではない。
街のガソリンスタンドが投資するには、相当思い切らなければ。
少なくとも電気自動車が普及する前に、
先行投資と割り切ってポンと出せる額ではなさそう。

普通の家庭はどうか?
夜間に長時間かけて、電気自動車(プラグイン車も同じ)に充電すると
想定すれば、高速充電は必要なく、普通のコンセントがあればいい。
敷地内に駐車場のある一戸建ての場合、
戸外にコンセントを新設すればOK。
手間も工事費も、たいしてかからない。

問題は、マンションのような集合住宅で、
地下に共同の駐車場があるケース、家から少し離れたところに
駐車スペースを借りているようなケース。

これらの場合、充電用のコンセントは設置されていないので、
新たにそこまで電線を引っ張る必要。
マンションなら共用スペースの工事なので、住民の賛成が必要だが、
これが承認される見込みはきわめて低い。
電気自動車やプラグイン車に乗りたい人は、
マンション住人の間でも当初はごく少数派。
その人たちのために、他の多くの住民が配電網敷設の
費用負担を受け入れるとは思えない。

賃貸駐車場でも事情は同じ。
駐車場のオーナーは、できるだけ新たな投資はしたくない。
借り手の1人や2人がコンセントをつけろと言っても、
「それならヨソで借りてくれ」と言われるのがオチ。
日産自動車の担当者が、本社周辺のコインパーキングのオーナーに
「充電のための設備を入れてほしい」と働きかけても、
誰も耳を貸さなかった。

電気自動車やプラグイン車が普及するには、
あちこちにコンセントが存在する電源の「ユビキタス(遍在)性」が前提。
その費用をだれが負担するのか?
電気自動車やプラグイン車の普及をめざす自動車会社と、
電力の需要拡大に取り組む電力会社、
政府や自治体が協力して取り組むべき大きなテーマ。
この問題にしっかりした解答を示すことが、
電気自動車が本格的に普及するための出発点。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan091201.html

生体リズム乱れ、高血圧に マウスで解明、治療に期待

(2009年12月14日 共同通信社)

24時間周期で働く体内時計遺伝子に異常が起きると、
特定の酵素が副腎で過剰に働いて、高血圧症を引き起こすのを、
京都大の岡村均教授のチームがマウス実験で解明、
13日付の米医学誌ネイチャーメディシン電子版に発表。

この酵素が産生にかかわるホルモンの作用を薬剤で抑えると、
マウスの血圧が下がるのを確認。
人の副腎でも似た酵素が働いており、徹夜など不規則な生活で
生体リズムが乱れて起きるさまざまな体調異常に関係している可能性。

岡村教授は、「高血圧の詳しいメカニズムが分かったのは初めて。
この酵素に、特異的に働く薬が開発できれば治療に役立ちそう」。

体内時計にかかわる遺伝子が働かないようにしたマウスに、
食塩水を飲ませて実験。
その結果、副腎皮質で「Hsd3b6」という酵素が過剰に働く
ようになることで、ホルモンが活性化し、
腎臓から塩分や水分が排出するのを妨げ、血圧が上昇する。

マウスは、薬剤で高血圧が改善したが、
人では同じ薬剤が副作用を起こす可能性があり、別の手法が必要。
岡村教授は、「臨床チームと組んで、酵素の働きを詳しく調べたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/14/113035/

ゲレンデは紫外線にご用心 夏のビーチの2・5倍 雪の反射で目に悪影響

(2009年12月8日 共同通信社)

ゲレンデなど、雪山で目が浴びる有害な紫外線量は、
雪面の反射により夏のビーチの約2・5倍に上ることが、
金沢医大の佐々木洋・教授(眼科学)と医薬品メーカーの
ジョンソン・エンド・ジョンソンの共同調査で分かった。

佐々木教授によると、目の角膜は皮膚よりも
紫外線の影響を受けやすい。
雪山などで、強い紫外線を短時間浴びただけで、
角膜や結膜が炎症を起こす「雪眼炎(雪目)」などの
急性障害が生じ、雪眼炎を繰り返すと、水晶体が白く濁る
「白内障」を発症しやすくなる。

佐々木教授は、「サングラスは、顔とのすき間が大きいと
紫外線を防ぐ十分な効果が得られない恐れがあり、
目を完全に覆うゴーグルが有効」

雪山は、石川県白山市のクロスカントリー競技場の新雪で、
ビーチは沖縄県南城市の人工砂浜で調査。
眼部に紫外線センサーを埋め込んだマネキン頭部2体を、
常に太陽に正面を向けた状態と背を向けた状態で配置、
視線は歩行時の標準的な15度下向きに固定、
日の出から日の入りまで紫外線量を計測。

太陽を正面にした場合、1日に浴びる総量は、
ビーチが1平方メートル当たり換算で260キロジュール、
雪山は658キロジュールに上った。

雪山では、太陽に背を向けた状態でも、
多い時で正面を向いた場合の85%以上の紫外線を浴びる。

気象庁によると、紫外線の反射率は砂浜で10~25%、
新雪は80%に達する。
高度が300メートル上がると、紫外線量は4%増加、
標高が高いスキー場では十分な対策が必要。

▽紫外線

太陽光の中にあり、波長が可視光線より短く、
エックス線よりも長い電磁波。
浴びすぎると、皮膚がんになりやすい。
紫外線による目の障害として、「雪眼炎」や「白内障」、
結膜の白目組織が黒目に広がる「翼状片」など。

成層圏に存在する「オゾン層」が、有害な紫外線の多くを吸収、
地上の生物を保護しているが、近年、フロンなどの排出が原因で
オゾン層が破壊されてできる南極上空の「オゾンホール」など、
有害紫外線の増加が問題。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/8/112713/

2009年12月18日金曜日

子どもに就学支援の輪を 盛岡でシンポ

(岩手日報 12月13日)

「子どもの貧困」を考えるシンポジウムは、
岩手教育会館で開かれた。
経済的な理由による子どもたちの教育格差が深刻化する中、
教員や市民ら約350人が就学援助制度に理解を深め、
貧困根絶の道筋を考えた。

早稲田大非常勤講師の鳫咲子さんは、
「子どもの貧困と就学援助制度」と題し講演。

鳫さんは、自治体によって就学援助制度の運用に差があること、
情報提供の不十分さなどを指摘し、
「対象者に適切な情報を提供し、すべての子どもに高校卒業を
できる環境づくりを整えたい」と訴えた。

シンポジウムでは、あしなが育英会の学生募金事務局岩手代表の
高橋万里子さん(盛岡大2年)、甲子小の高橋美智子養護教諭、
児童福祉司の佐藤伸一さん、鳫さんの4人が発表。

中学生のころ父親を亡くし、奨学金で進学した高橋万里子さんは、
「夢や進学を、あきらめなければならない人の声を聞いてきた。
これからを生きる子どもたちを救うことを考えた政治をしてほしい」

参加した一関市の小学校教諭は、
「集金滞納などを周りから聞くようになった。
学校としても、保護者負担を軽減しなければならない」
会場からも、「貧しいことは個人の責任じゃない。
社会全体で問題に取り組まなければ」と声が上がった。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091213_13

筋ジスの遺伝子機能修復 人工染色体で、鳥取大など iPSも作製、治療法に道

(2009年12月9日 共同通信社)

デュシェンヌ型筋ジストロフィーの患者の細胞で、
働かなくなった遺伝子の機能を修復した上で、
それを基に新型万能細胞(iPS細胞)を作製することに成功、
鳥取大と京都大の研究チームが
8日付の米学会誌電子版(MOLECULAR THERAPY )。

この病気の原因は、X染色体にあるジストロフィン遺伝子の
機能不全だが、この遺伝子はサイズが大きく、
既存のウイルスを"運び屋"に使う方法では遺伝子治療は難しい。

押村光雄・鳥取大教授らは、人工的に作った染色体を
遺伝子の運び屋に使った。

筋ジストロフィーの治療法開発につながる。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、男児の約3500人に1人の
割合で発症する進行性の筋萎縮症。

押村教授らは、人工染色体にジストロフィン遺伝子を搭載し、
筋ジストロフィー患者の線維芽細胞に入れ、
導入したジストロフィン遺伝子が機能。

この細胞からiPS細胞を作ることにも成功。
マウスの精巣に移植する実験で、筋肉細胞に分化することを確認。
こうして作ったiPS細胞を、培養皿などで筋肉細胞に分化させ、
治療に利用できるようにしたい。

人工染色体は、巨大な遺伝子を搭載することができる上、
導入した細胞の染色体には組み込まれず、
染色体を傷付けないなどのメリット。

押村教授は、「いずれも日本発の人工染色体とiPS細胞の技術を
組み合わせて、これまでできなかった筋ジストロフィーの
原因遺伝子の完全修復ができた。
将来の新しい遺伝子治療の第一歩になる」
山中伸弥・京都大教授との共同研究。

▽人工染色体

染色体は、細胞の核の中にあり、生命の遺伝情報が
収められているDNAで構成。
人工的に作製した極小の染色体が、人工染色体。
染色体構造に必要な部品を集めたボトムアップ型と、
元からある染色体を改変したトップダウン型があり、
押村光雄・鳥取大教授らが使ったのはトップダウン型。
どのような遺伝子でも搭載でき、導入した細胞の染色体には
組み込まれず、独立した状態で維持。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/9/112765/

道内植物を使った自然療法を体感できる滞在型モニターツアー

(日経ヘルス 12月10日)

北海道新得町観光協会は2010年1月、同町に自生し、
不眠やストレス緩和などに効果があるとされる
セントジョーンズワート(和名:セイヨウオトギリソウ)という
ハーブを使った自然療法、食事療法などを体感できる
2泊3日の滞在型モニターツアーを実施。

このツアーは、セントジョーンズワートを地域資源とする
ヘルスツーリズムを通して、新たな地域おこしに取り組むため、
同観光協会がJTB北海道と連携して企画。

ツアー名は、「スパ&ネイチャー 北海道 2010 冬 in サホロ」
開催日程は2010年1月15日~17日、
料金は3万9800円(札幌発)、6万9800円(羽田発)。

道内のほぼ中央に位置するサホロリゾートを拠点に、
専門家が指導するアロマトリートメントや気功などの
自然療法プログラムを開催、ツアー参加者に旅行中に
体の中から健康になることを実感。

参加者は、都内などで自然療法スクールを主宰する
マザーズオフィスグループ代表の宮川明子氏による
トリートメントセミナー、東邦大学医学部関山タマミ氏による
セロトニン活性講座、響きの杜クリニック西谷雅史医師による
気功・呼吸法セミナー、アイヌ民族に伝わる自然療法セミナー
などのプログラムについて学び、トリートメントや気功などを体験。

食事は、「デトックス」をテーマに、
北海道産食材を活用したディナーが用意。
このツアーの効果を測るため、旅のスタート時と最終日で、
参加者のストレス度合いがどのように変化するかを
測定するプログラムも予定。
この滞在型モニターツアーは、09年夏に続き2回目。

企画を担当しているJTB北海道の横岡実マネジャーは、
「09年は一般の女性など35人が参加、セントジョーンズワートの
効果について実感するコメントが多く寄せられた。
今回は、ツアー参加者だけでなく、同町在住の地元の人たちにも
参加を呼びかけている。
地元の観光資源や自然療法についての理解を深める
きっかけにしてもらいたい」

JTB(http://www.jtb.co.jp/ripple/

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091210/105206/

2009年12月17日木曜日

箱根山舞台に「観光塾」 振興目指し学習会

(東海新報 12月13日)

いわて沿岸広域観光推進会議が主催する「観光塾」は、
陸前高田市の気仙大工左官伝承館などで開かれた。
気仙三市町をはじめ、釜石、大槌五地域の観光関係者らが
同館や周辺施設を見学し、観光振興に向けた意見交換を行った。

同会議は、沿岸圏域における広域的な観光振興の取り組みを
推進しようと設立。
同塾は、地域の観光振興においてリーダー的役割を担う
「地域コーディネーター」の育成を図ろうと、昨年度から開設。

会場は、5地域の持ち回りとなっており、今年度3回目となった
この日、陸前高田で開催。
各地の地域コーディネーターや観光関係者ら約20人が参加。

一行は、同館に集合後、市観光ガイド・新沼岳志さんの案内で、
箱根山展望台や杉の家「はこね」を見学。
管理者の黄川田巳之助さんによる講話や意見交換会など。

黄川田さんは、昔の家の造りや習わし、しきたりなど解説。
「最近は上下関係がなくなってきているが、
昔は常に上下を大切にして生活していた」、
「子どもたちには、あいさつ、返事、履き物をそろえることが
教えることの三原則だった」

石臼と木製のきねを使って、昔ながらのもちつきを体験。
つきたてのもちはあんこやクルミで味付けし、
地元産の食材で作った料理とともに味わった。

意見交換会を開催。
参加者らは、見学した施設の印象などを踏まえ、
箱根山観光について誘客促進のアイデアを出し合い、
有意義な時間としていた。

http://www.tohkaishimpo.com/

肥満率、日本が最小 OECD保健医療調査

(2009年12月9日 共同通信社)

経済協力開発機構(OECD)が公表した
「図表で見る保健医療2009」によると、加盟30カ国中で、
成人の肥満人口の割合が最も低いのは日本。

日本は、平均寿命でも加盟国中、最も長い82・6歳(2007年)
と好成績を示した。

「図表」は、ことし7月にOECDがまとめたヘルスデータなどを基に、
先進国を中心とする加盟国の保健医療状況を分析。
体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が
30を超える「肥満人口」の割合は、日本が3・4%と最も少なく、
韓国(3・5%)が続いた。

米国は、日本の10倍に当たる34・3%。
英国(24・0%)などが高かった。平均は15・4%。

日本は、医療機器の普及でも、人口100万人当たり
磁気共鳴画像装置(MRI)が40・1台、
コンピューター断層撮影装置(CT)が92・6台と最も高い。

人口10万人当たりの自殺者数は、韓国、ハンガリーに次いで
3番目(19・1人)に多く、人口千人当たりの臨床医数も
2・1人とOECD平均(3・1人)を下回った。

女性医師の割合は、平均は40%、日本は17%で最低。
喫煙者の割合は、26・0%と平均(23・6%)を上回ったが、
1人当たりの年間アルコール消費量は7・7リットルと
平均(9・7リットル)を下回った。
医療費に占める公的支出の割合は81・3%と、
北欧や英国などと並んで高い比率。平均は73・0%。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/12/9/112766/

べにふうき緑茶にショウガ汁を加えると 、スギ花粉症の症状緩和に相乗効果

(日経ヘルス 12月10日)

鹿児島県を中心に栽培されている「べにふうき」という
品種の緑茶に、抗アレルギー作用があり、
さまざまな研究が進められてきた。

べにふうき緑茶にショウガのしぼり汁を加えると、
抗アレルギー作用が増強されることが明らかに。

JA鹿児島県経済連主催の緑茶研究公開セミナーで、
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所、
野菜・茶機能性研究チーム長の山本万理さんが、
この臨床試験のデータを含む研究結果を発表。

べにふうきは、もともと紅茶のアッサム種に近い品種、
成熟した葉の部分に抗アレルギー作用のある
メチル化カテキン(EGCG3”MeやEGCG4”Me)を多く含む。

緑茶として価値の高い新芽や茎の部分には、少量しか含まれない。
日本で最も多く流通している緑茶品種の「やぶきた」には、
全く含まれていない。
紅茶系の茶葉を、あえて緑茶に加工するのは、
発酵させて紅茶にすると、メチル化カテキンが消えてしまう。

メチル化カテキンは、
(1)アレルゲンに対して反応するIgE受容体の発現を抑制
(2)マスト細胞に直接入り、情報伝達たんぱく質の活性を阻害
(3)アレルギー症状の引き金となるヒスタミンの放出を抑える
――この3つの作用点で、アレルギー症状を抑える。

スギ花粉症のボランティアを集めて行われた臨床試験では、
被験者を2群に分け、一方にはべにふうきなどの
メチル化カテキンを含む緑茶を、もう一方にはメチル化カテキンを
含まない緑茶を飲んでもらい、症状をスコア化。

その結果、メチル化カテキンを含む緑茶群では、
鼻をかむ回数、目のかゆみ、のどの痛みの3点で、
顕著な症状の改善。
べにふうき緑茶の効果を増強する食品
(ショウガ、カイワレ大根、ブロッコリースプラウトなど)との
組み合わせを調べる試験管レベルの実験も。

マスト細胞で産生され、炎症の原因となるサイトカインTNF-αへの
影響を調べ、べにふうき緑茶が単独でTNF-α産生を40%抑制、
ショウガは単独で70%抑制、べにふうき緑茶とショウガを
組み合わせると、95%抑制する。

この実験結果をもとに、べにふうき緑茶にショウガ汁を
加えたものの飲用試験を行い、べにふうき緑茶だけのグループや
メチル化カテキンを含まない緑茶のグループに比べ、
べにふうき緑茶+ショウガ汁のグループは鼻をかむ回数や
レスキュー用に用意された抗アレルギー薬をのむ回数が減る。

メチル化カテキンの摂取量を変えて効果を調べた試験結果から、
山本さんは「1日にメチル化カテキン34mg以上を目安に摂取したい」。
これは、濃いめのべにふうき緑茶約700mlに相当。
メチル化カテキンを効率良く抽出するには、
沸騰した湯に茶葉を入れて5分以上煮出すのがベスト。
緑茶に加えるショウガのしぼり汁は、耳かき1杯ぐらい。
花粉飛散開始後からのみ始めても、効果は期待できるが、

飛散開始1カ月半前からのみ始めると、より効果が高い。
2010年の飛散開始予想日は、東京で2月10日前後。
効果のほどを試してみたい人は、年末からのみ始めるのがよい。

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20091210/105205/

2009年12月16日水曜日

ネット検索で脳イキイキ、米大学研究 認知症予防にも?

(朝日 2009年12月3日)

インターネットになじみのない中高年が、ネット検索を続けると、
意思決定や判断をつかさどる脳の中枢が活性化される。
認知症予防の手段になる可能性がある。
米カリフォルニア大ロサンゼルス校の研究チームが発表。

チームは、インターネットを毎日使う人と、
ほとんど使ったことがない人の計24人(55~78歳)を対象、
脳の活動を機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で調べた。

その結果、ネットをほとんど使ったことがない人が、
2週間のうち7日、自宅で1時間ほどネット検索をしただけで、
毎日使う人と同じ程度、「中前頭回」など意思決定に
重要な中枢が活性化。

チームは、「ネット検索のとき、大切な情報を一時的に覚えたり、
絵や文から何が重要かをつかんだりすることが効果につながる」

とはいえ、ネット利用は良いことばかりではなさそう。
米オハイオ州立大の研究チームは、日記を書いたり、
コメントをつけたりできる交流サイト「フェースブック」を
利用している大学生は、勉強する時間が減り、
成績も悪くなる傾向があるとの調査結果を発表。

http://www.asahi.com/science/update/1202/TKY200912020153.html

リチウムイオンよ、お前もか

(日経 2009-12-10)

電気自動車やプラグインハイブリッド車への期待が
盛り上がる中、中核部品である電池にも脚光。
将来を見渡せば、リチウム空気電池など様々な次世代技術が
あるが、ここ数年あるいは10年程度はリチウムイオン電池が
「自動車の電動化」の主役。

このリチウムイオンで、日本企業はしっかり稼げるだろうか?
今の市場動向をみると、不安を感じざるを得ない。
リチウムイオン電池メーカーが追求すべき命題は2つ。

第1に、自動車1台あたり軽く100万円を突破する
電池のコストを急速に低減すること。

通常のガソリンエンジンのコストは、1基20万円程度。
エンジンの代替物である電池も、
それと競争できる水準まで下げるのが待ったなしの課題。

もう1つは、第1の課題とも密接に絡むが、
生産能力の急速な引き上げ。

リチウムイオン電池は、携帯電話やパソコンなどの
電子機器向けなどに普及。
車載用に本格普及が進めば、携帯やパソコンとは
けた違いの量の電池が必要。

ジーエス・ユアサコーポレーションの依田誠社長によると、
「世界のリチウムイオン電池の生産能力を全部かき集めても、
電気自動車50万台分にすぎない」
50万台といえば、世界の自動車販売の1%以下。
電池の生産能力の大幅増強が実現しなければ、
電気自動車の時代はいくら待ってもやってこない。

リチウムイオン電池をめぐるこうした状況は、
半導体のメモリーによく似ている。

メモリー事業の本質は、ごく単純。
需要拡大を先取りして大胆に設備を増強し、同時に
量産効果をフルに発揮して製造原価を大幅に引き下げること。

この種の競争で重要なのは、技術的な優劣よりも、
時機を見定めて、思い切った投資に踏み込む経営者の判断
(あるいは勘)と、それを支える資金力。

日本企業がDRAMをめぐる競争で、韓国のサムスン電子に
負けたのも資金力、財務力の差が大きかった。
過剰プレーヤーの問題を引きずった日本の半導体メーカーは、
技術レベルは高くても、個々の企業の財務基盤は弱体で、
投資競争でサムスンに力負け。

リチウムイオン電池でも、同じ展開にならないか?
日本企業でリチウムイオンを手掛けるのは、
三洋電機やソニー、パナソニックなどの電機メーカー、
GSユアサのような従来型の自動車バッテリーの会社、
最近では米ベンチャーと提携したIHIなどの重工メーカーも参入、
10社前後のプレーヤーがひしめいている。

いくら成長分野だからといって、この数は多すぎないか?
市場の成長性と、当該事業の収益性は似て非なるもの。
いくら市場が伸びても、競争が苛烈なら
参入プレーヤーはもうからない。

「全員負け組」になって、韓国メーカーや中国のBYDといった
新興勢力に漁夫の利をさらわれるパターンが
繰り返される心配はないのか。

三洋電機で2次電池事業を統括する本間充副社長は、
「2次電池市場は、かつて日本企業の独断場で、
10年前には世界シェアの90%を握っていた。
今は、40%まで下がった」と危機感を打ち明ける。

技術が粗削りで、いろいろな試行錯誤が必要な初期の段階で、
数多くのプレーヤーが参入するのは悪い話ではない。
「数打てば当たる」ではないが、いろいろ試す中で
ブレークスルーが生まれるかも。
米シリコンバレーが、持続的にイノベーションを生み出せるのも、
数多くのベンチャー企業が日々試行錯誤を繰り返している。

技術がある程度確立し、競争の焦点が量産投資に移った段階では、
「過剰プレーヤー」は業界全体の足を引っ張りかねない。
日本の電機産業は、この教訓を痛いほど学んだはずなのに、
同じ罠にまた陥ろうとしている。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt091208.html

インテルの江田マーケティング本部長「IT教育の環境整備を」

(日経 12月10日)

教育現場でのIT活用に注目が集まっている。
児童にパソコンを貸与する授業はどこまで有効なのか、
実効性を問う声も。
2008年度から内田洋行と共同で、首都圏の小学校で
パソコンを使った授業の実証実験を実施している
インテル日本法人の江田麻季子マーケティング本部長。

——実証実験に乗り出した背景は?

小学校など、早い段階でITになじんでおくことは、
次世代のITリテラシー(活用能力)の高さにつながる。

インテルは、さまざまなプログラムを通じてIT教育普及に
携わってきており、今回の実証実験もその一環。
子どもたちに、ITスキルを身につけてもらうことが目的。

実証実験で利用している『インテル クラスメイトPC』は、
これまでのインテルの取り組みから、
『こんなパソコンがあったら』という要望を吸い上げ、
製品にフィードバックしている」

——実験では教育用パソコンを使い、国語・算数・英語の授業で
児童1人に1台のパソコンを貸与、有効性を検証。
浮かび上がっている問題点は?

「08年度、千葉県で行った実験では、画面が小さい、
バッテリーの駆動時間が短いといったハード面での課題が明らかに。
無線LAN(構内情報通信網)の配備といった環境整備も必要」

日本では、IT教育に対する理解の度合いが
教育委員会ごとに異なり、運営上のサポートなども
学校によってまちまちである点も、今後の大きな課題。
海外には、教育に適したパソコンの仕様に始まり、
インフラ整備や運営に至るまでを、
国家レベルで一括して管理している国もある」

——日本でも、補正予算などを活用しインフラを整備しようという動き。

インターネットなどから情報を吸い上げて、
それをさばいてゆく力は、今後ますます必要。
海外では、新興国でもすでに子どものIT教育への動きは
当たり前になり、日本も後れを取ってはならない。

IT教育の環境整備はもちろんのこと、パソコンを活用するに
当たってのノウハウや、既存の教科書との兼ね合いなど、
教える側のスキル向上へ向けた取り組みも、
同時に進める必要がある」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091209.html

2009年12月15日火曜日

切っても頭側が頭に プラナリア再生の仕組み、京大解明

(朝日 2009年12月8日)

体を10個に切れば、10匹に再生する強い生命力を持つ
プラナリアという動物は、もとの体の頭の向きに頭ができ、
尾の向きに尾ができる――。

長年の謎だった頭と尾の方向を決める仕組みを、
京都大の阿形清和教授らが解明。
頭から尾側に運ばれるたんぱく質と、
その受容体が重要な役割を果たしていた。

プラナリアは、水中にすむ体長1~2センチの動物で、
切っても切っても断片が完全な形に再生することから、
再生学のモデル動物。

阿形教授(再生生物学)らは、動物の体の形づくりで
重要な役割を果たす、ヘッジホッグと呼ばれるたんぱく質に注目。
ヘッジホッグは、頭側から尾側に運ばれ、
受容体に結びつくと、信号が伝えられ、そこで尾を作る命令を
出す遺伝子が働き始めることがわかった。

断片にした時も、もとの体の尾の方向にヘッジホッグがたまり、
再生後も尾になっていた。
断片が短いと、ヘッジホッグの量が足りず、
尾の方向に頭ができる。
米科学アカデミー紀要電子版に発表。

人でも、胎児の臓器が形づくられる時には前後、左右などの
位置関係がある。
阿形教授は、「基本的な仕組みは、プラナリアと共通する可能性」

http://www.asahi.com/science/update/1208/OSK200912080012.html

印テクノバ社のヨグラジ会長 「印製薬買収で競争優位に」

(日経 12月8日)

国内外の大手製薬会社が、新興国市場の開拓を急いでいる。
医療費抑制を狙う米国や欧州の市場が、急速に伸び悩んでいる。
インドも急成長が見込まれ、進出を模索する企業が増えてきた。
インド進出を支援する同国最大級のコンサルティング会社
テクノバ・インディアのアブヘイ・ヨグラジ会長兼最高経営責任者
市場成長の見通しや進出の利点を聞いた。

——市場の見通しは?

インドの医薬品市場は人口の15%、ヘルスケア分野の支出の
75%を占めるいびつな構造。
ここに来て、構造変化が急速に進んでいる。
貧困層が、安い費用で保険に加入できる仕組みが整い始め、
国民の保険カバー率は今後高まる。
最新鋭の私立病院も相次ぎ設立、患者が先端医療を受けられる
体制も整備。
政府も、ヘルスケア関連の支出を年間予算の5%
(4年前は2.5%)に増やしている」

「医療制度の充実を追い風に、2008年で140億ドルだった
製薬市場は、18年には450億ドルに膨らむと予測。
製薬会社は、大きな恩恵を受けられるだろう」

——同国市場は、急成長が見込まれ魅力が高いとはいえ、
価格の安い後発薬が台頭しており、競争激化は避けられない。
進出の利点は?

欧米の製薬大手は、主力薬の特許が切れる『2010年問題』を抱え、
後発薬との競争激化は避けられない。
それは、インドに限った話ではなく、グローバルの競争でも同じ。
後発薬の台頭を逆手にとって、現地の後発薬メーカーと
買収などで手を組む戦略があってもいい。
インドの後発薬メーカーは、後発薬の原料を大量生産し、
連携すれば安い原料を調達できる。
世界各地で、後発薬事業の展開を優位に進められる」

インドの伝統医術『アーユルベーダ』に興味を持つ海外の製薬会社も。
(西洋薬だけでは治療に使える新薬が見つけられず、)
西洋医学とアーユルベーダを融合することで、
新たな治療法を生み出せるかもしれない」

——米食品医薬品局(FDA)が生産管理が十分でないとして、
第一三共傘下の印製薬最大手ランバクシー・ラボラトリーズが、
インドの工場で生産した製品の輸入を差し止めた問題も。

「インドの後発薬メーカー全体の問題ではなく、
ランバクシー固有の問題と理解」

——日本の製薬会社でもインドに熱い視線を向け始めた。

第一三共が、2008年にランバクシーを買収するまでは、
後発薬や新興国進出など、新薬以外に事業を多角化するという
視点はほとんどなかった。
インドへの直接投資350億ドルのうち、日本分は10億ドル。
投資する企業は自動車などで、製薬会社からの投資はほとんどない。
製薬会社の投資を誘致する余地は、まだまだある」

——創業者一族が経営する企業が多く、買収しても
コーポレート・ガバナンス(企業統治)による経営権掌握が難しい例も。

「インド企業と外資が合弁を設立したうち、9割は失敗。
1つの企業で“王様”が2人いれば、経営がぶれる。
創業者一族が経営権を握るような経営は避け、完全に経営権を
掌握することが、成功がうまくいく秘訣。
日本の大手自動車メーカー、スズキは、国営自動車会社ではあるが
マルチ社と合弁会社を設立。
最終的には出資比率を引き上げ、経営の主導権を握れる。
インド企業との合弁では、株式の過半数を確保し、
経営権をがっちり握ることが重要」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int091207.html

大学職員の在り方探る 岩手大で交流会

(岩手日報 12月13日)

岩手大(藤井克己学長)は、学内外の大学職員の交流を図り、
自らの働く意義を考える「第1回大学アドミニストレーターコロキウム
(アドコロ)inいわて」を同大図書館で開いた。

東北で初めて開催、県内外の約50人が参加した。
国立大法人化を機に、大学職員には企画提案など
積極的な大学経営への参画が求められ、
自ら考え行動できるために必要なことは何か、
先進的な取り組みの事例発表や意見交換を通して考えた。

岩手大研究交流部国際課国際企画グループの石沢友紀主任は、
「仕事をするなら楽しくやりたい。
仲間を増やし、いい大学にするきっかけになれば」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20091213_12

2009年12月14日月曜日

「25%削減」が開くパンドラの箱

(日経 2009-12-08)

「ともに苦労してきた仲間のことを考えると……」、
「できればどこか他のチームに……」
11月4日に発表された、トヨタ自動車のF1撤退

記者会見で言葉に詰まり、大粒の涙をこぼした
山科忠専務の姿は同社のみならず、
自動車業界全体の苦悩を強烈に印象づけた。

米サブプライムローン問題を引き金にした世界的な
金融危機が、昨年9月のリーマン・ショックで一気にエスカレート。
2009年3月期、トヨタの連結純損益は4369億円の巨額赤字に転落、
10年3月期も2000億円の赤字を予想。

自動車の年間生産台数で、トヨタが米ゼネラル・モーターズ(GM)を
抜いて「世界一」の座を奪ったのは、わずか2年前。
豊田章男社長が、矢継ぎ早に打ち出す体質改善策の背後に
強い危機感が垣間見える。

「“リーマン・ショック”よりも、“鳩山イニシアチブ”」。
自動車産業の動向を注視するアナリストから最近、
こんな声が漏れてくる。
不況の深刻化による需要不振は、景気サイクルに伴って克服できるが、
価値観の変化は容易にフォローできない。
鳩山由紀夫首相が、表明した温暖化ガス25%削減(1990年比)目標が
「長期的に、既存の自動車メーカーの地盤沈下につながる可能性がある」
との観測が、アナリストたちの間に広がっている。

クリーンかつ低燃費の「環境にやさしい車」といえば、
日本の自動車メーカーの「専売特許」。
麻生太郎前首相時代に導入されたエコカー減税の効果で、
最も恩恵を受けたのは、トヨタ「プリウス」、ホンダ「インサイト」
といったハイブリッド車(HV)で、昨今の好調な売れ行き
(09年4~9月累計販売ランキング、「プリウス」11万6298台で首位、
「インサイト」5万5845台で3位)をみると、
「地盤沈下」というイメージは抱きにくい。

「HVが売れても、浮かれてはいられない」というのが
自動車各社の共通認識。
鳩山首相の「25%削減」表明が、近未来の自動車市場の主役を、
HVから電気自動車(EV)へと、さらに1歩進めてしまった感。

市場に漂う雰囲気の、微妙な移り変わりを如実に示している例。
三菱自動車が、「世界初のEV量産車」として、
個人向け予約を開始した「i−MiEV(アイ・ミーブ)」。
2度のリコール(無償回収・修理)事件とダイムラークライスラーによる
支援打ち切りの後遺症で、いまだにバランスシート(貸借対照表)にも
P/L(損益計算書)にも問題をはらんでいる同社だが、
「世界初」を看板に掲げたアイ・ミーブへの注目が国内外で高まり、
仏プジョーシトロエングループ(PSA)との資本提携への動きなど、
EVがもたらす業界再編の台風の目。

HVで遅れを取った日産自動車も、EVでの巻き返しを
虎視眈々と狙っている。
5人乗り小型車「リーフ」をはじめ、EVを10年には国内で5万台、
12年に米国で15万台を量産する構想を、
カルロス・ゴーン会長兼社長が打ち出している。
アイ・ミーブで先駆けた三菱自動車を一気に抜き去り、
EVのトップメーカーに躍り出る計画。

HVで先行したトヨタやホンダが、近未来市場では振るわず、
主役の座はEVを切り札にした日産や三菱が取って代わるのか——。
「世界の自動車メーカーが警戒しているのは、同業の既存の
ライバルメーカーではなく、異業種やベンチャー企業」。

自動車の基幹部品といえば、ガソリン車はエンジンであり、
EVならばモーター、HVは両方を備えるのだが、
モーターに関して、既存の自動車メーカーは内製化よりも
外部の電機メーカーなどに依存しているケースが多い。
三菱自動車のアイ・ミーブの駆動用モーターを製造しているのは
明電舎で、マツダが今年発売した水素HVのミニバン「プレマシー」の
駆動装置は安川電機が開発。

生産者の立場からみて、ガソリン車(HVを含む)から
EVへの移行で、最も劇的に変わるのは部品の数。
現行のエンジン搭載車の部品数が3万〜10万点に達し、
EVはおおむねその5分の1以下。
EVの普及が進めば、10年後にはエンジン周りを中心にした
既存の自動車部品メーカーの売り上げが激減するとの予測。

部品数の減少は、製造工程の単純化につながる。
明電舎や安川電機のような重電メーカーが、
EVの完成車メーカーに早変わりすることも十分可能で、
証券市場ではそうした銘柄の「自動車産業への新規参入」をにらんだ
思惑買いを囃し立てている向きも。

製造工程の単純化は、ベンチャー企業参入のハードルを下げる。
米国でEV市場の主役として、テスラ・モーターズ(カリフォルニア州)、
フィスカー・オートモーティブ(同)などが頭角。
テスラ社には、米グーグルの2人の共同創業者や独ダイムラーなどが
出資し、2011年に量産車を売り出す予定。
フィスカーは、10月にGMの旧ウィルミントン工場(デラウェア州)を
買収し、2012年に量産を始める。

日本でも、高性能EV「エリーカ」の開発者として知られる
慶大の清水浩教授が、今年8月に新会社「シムドライブ」設立。
ベネッセコーポレーションや丸紅などが出資、
出井伸之・元ソニー社長や福武総一郎ベネッセ会長らが経営に参画。

シムドライブは、駆動モーターの基幹技術を公開。
提携先企業に提供しながら、2013年までをメドに
EV(5人乗りの量産車)の開発を目指す。
「オープンソース」のビジネス形態で、実現すれば、
自動車産業の地図は大きく塗り替えられる。

日本では、半ば「夢物語」に聞こえたEVベンチャーの構想が、
鳩山政権の「25%削減」目標で現実味を帯びる。
パンドラの箱は、徐々に開かれつつある。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon091203.html

目覚め、ストレスと関連…20代は上司左右

(読売 12月5日)

朝の目覚めの良さは、仕事のストレスなどを反映し、
20代は上司との関係、30代は仕事の満足度、
40代はリラックスできる時間の有無が
最も影響していることが、北里大などの調査でわかった。
日本ストレス学会で発表。

北里大は、企業のメンタルヘルスを助言する
日本ヴィクシーと共同で、東京都内の情報通信企業に勤務する
20~40代の社員1500人を対象に、
生活習慣やストレス度、意欲などをアンケート。

〈1〉朝の目覚め、〈2〉仕事中の眠気、〈3〉休日の寝だめ、
の3項目から睡眠の充足度を「高い」、「普通」、「低い」の
3段階に分け、ストレスとの関係を調べた。

その結果、充足度の低い群は、高い群に比べて
ストレスを訴える割合が高く、「会社に行くのがつらい」、
「ぼーっとする」、「集中力が低下する」と答えた人が、
それぞれ11・7、11・4、6・6倍も多かった。

朝の目覚めの良さには、何が一番影響しているか
詳しく分析したところ、20代では「上司との関係」など、
年代によってストレスの原因が違っていた。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091205-OYT1T00591.htm

抗体産み出す遺伝子の作用の仕組み解明…京大

(読売 12月7日)

免疫を担うリンパ球が、異物に対抗する多様な抗体を
作り出すのにかかわる重要な遺伝子が、
細菌感染の影響で、リンパ球以外の細胞のDNAを傷つけてしまう
仕組みを、京都大医学研究科の本庶佑・客員教授や
長岡仁・准教授らのチームが解明。

この遺伝子を制御できれば、ピロリ菌による胃がんなどの
予防につながる可能性がある。
7日の米科学誌ネイチャー・イミュノロジー電子版に発表。

この遺伝子は「AID」。
本来、異物を認識したBリンパ球で働き、DNAの部品を
切り張りして抗体作りに貢献。
細菌に感染すると、免疫細胞以外でもDNAを切ってしまうが、
その理由は謎。

本庶教授らは、マウスのDNAを使い、AID遺伝子を制御する
遺伝子が、AIDの周辺にあるか調べた。
その結果、「細菌など外部の刺激でスイッチを入れる部分」と
「リンパ球内だけでスイッチを入れる部分」、
「スイッチをオフする部分」があることがわかった。
リンパ球以外では、通常、スイッチは入らないが、
大量の細菌感染でAIDのスイッチが入ってしまう。

長岡准教授は、「いろいながん発症に、AID遺伝子が
関与しているのかどうか調べたい」

Nat Immunol. 2009 Dec 6. [Epub ahead of print]
B cell-specific and stimulation-responsive enhancers derepress Aicda by overcoming the effects of silencers.
Tran TH, Nakata M, Suzuki K, Begum NA, Shinkura R, Fagarasan S, Honjo T, Nagaoka H.

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20091207-OYT1T00134.htm

2009年12月13日日曜日

僧侶に学ぶ業務のヒント

(日経 12月4日)

日々の業務の忙しさが影響し、気持ちにゆとりを失う
ビジネスパースンは多い。
平常心を保って規則正しく生活することが求められる
僧侶の日常から、何か学べるものはないか?
ビジネス経験もある若手僧侶と、法話の経験が豊富な
ベテラン僧侶を取材。

東京・浅草の緑泉寺で副住職を務める青江覚峰さん(32)は、
米国留学で経営学修士(MBA)を取得、現地で起業をした経験。
寺の住職である父を補佐しながら、日常業務をこなしていくうち、
「1日の仕事のほとんどを午後3時までに仕上げる」
習慣を身につけた。
その秘訣は早朝にある。

平日の午前7時。
多くのビジネスパーソンが身支度をしているころ、
青江さんは机に向かい、檀家へのお礼状を書いたり、
寺で開くイベントの企画を考えたりしている。
「誰にも邪魔されずに仕事ができる時間帯を探したら、こうなった」

寺院は訪問客が多い。
檀家だけでなく、観光客や散歩がてらにふらりと立ち寄る
近所の人などが入れ代わり立ち代わりやって来る。
僧侶になったばかりの20代前半のころ、
訪問客への応対に手間取り、仕事のペースをつかめなかった。

どうすればよいのかと対策を考えるうちに、
訪問客が午前10時~午後3時に集中していることに気がついた。
その前に重要な仕事を済ませておけば、
午後は手紙のあて名書きや庭の掃除など、
中断されても再開しやすい仕事だけになり、
訪問客にゆとりを持って接することができる。

気持ちに余裕があるので会話も弾み、
お寺の運営方針を伝えられる。
檀家や参詣客が、お寺のことをどのように考えているのか
意見を聞くこともある。

早朝に実力を発揮するには、工夫が要る。
「起床した直後は、大抵の人は頭がさえていない」
起床から2時間ほど経過する間に、集中力を高めることがコツ。

青江さんをはじめとする僧侶は、午前5時前後に起床し、
「朝のお勤め」として読経、その後に掃除するのが一般的。
15~30分にわたる読経は身体を目覚めさせる効果があり、
短時間で終わらせる掃除には集中力を高める効果がある。
7時に仕事を始めるころ、「エンジン全開」の状態に。

青江さんは、僧侶以外の人にもできる朝の習慣として、
「15分程度、書物を音読してみるとよい」と提案。
掃除など単純作業を短時間はさんで集中力を醸成し、
午前中に2時間ほど頭を使う仕事に臨めばよい。

青江さんは、僧侶らが宗派の枠を超えて、仏教をPRするための
ウェブサイト「彼岸寺」の運営にも携わっている。
本業以外の仕事もこなすうえで、お寺の暮らしで培った
時間配分のノウハウが役立っている。

室町時代の東山文化の象徴である銀閣寺。
その近くの古寺の法然院は、
「法話を毎週聞けるお寺」として知られている。
貫主の梶田真章さん(53)は、コンサートや落語会などの
会場として寺院を提供、イベントの合間に法話することも。
梶田さんは、「わかりやすく」だけでなく、「じっくり」も心がけている。

梶田さんは、「法話は、ある意味でビジネス会話の対極にある
法話では、語りかける相手に、
「今日教えたことは、今すぐ分からなくてもよい」という態度を貫く。
ビジネスの会話では、「(商談を成立させるため)今すぐにでも
理解してもらいたいという気持ちが先行する」

製品・サービスのプレゼンテーションには、わかりやすさとともに、
スピードも重視。
忙しい顧客に対し、無駄を省いて説明しなければならない。

梶田さんは、「営業ではそれでよいのかもしれないが、
社内で部下などに教え諭す場合は、法話のような態度が必要」
教育の場面では、部下が自分の力で理解できるまで
じっくり待つ「ゆとり」も上司には必要。

梶田さんは、法話の要件として、
(1)すぐに理解することを求めない、
(2)理路整然と具体的に語る、
(3)何度も繰り返す——の3点。

因果(物事の結果と理由)という概念を重視する仏教は、
本来論理的な思想。
理屈ばかりでは、聞いている人に伝わりにくいので、
僧侶は身の回りで起きたできごとなどを話題に取り入れ、
具体的に語ることを心がけてきた。

何度も繰り返すというのは、一言一句同じことを
唱えるということではない。
言葉や話題を変えながら、同じメッセージを毎回伝えるという意味。
すぐに理解してくれないことに腹を立てず、
辛抱強く反復することが、長い目でみると効果を生む。

梶田さんは、法話を終えると、必ず人の質問に答える。
法話の分かりにくかった部分を指摘してもらい、
次回の法話で改善するため。

法話と同様、朝礼やグループミーティングで話す際、
上司は時間の許す限り質問に答えるべきだと、梶田さんは説く。
梶田さんは、法話の中身を考える時、
出てきそうな質問も想定しながら組み立てる。

法話には、修行の世界にこもっている僧侶が
俗世間の人々の考え方や感じ方を布教に取り入れるために
問答したという意味合いも。
1000年近い伝統がある法話の技術に、
ビジネスパースンが学べる要素は多い。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz091203_3.html

特別支援教育(5)高専 5年で深く広く

(読売 12月8日)

5年間学ぶ高等専門学校では、息の長い特別支援教育が必要。

「その後、就職活動の方はどう?」
「どこも厳しいですね。資格を取ろうと勉強しています」
佐世保工業高等専門学校を、卒業生の
中林健司さん(仮名)(22)が訪れた。
特別支援教育コーディネーターの松尾秀樹教授(51)に、
就職などの相談をするため。

同校は、発達障害やその疑いがある学生に対し、
「修学」、「就労」、「生活」の観点で支援。
学業不振の学生に対し、個別指導したり、作業療法士ら専門家に
面談してもらうなど、学生一人ひとりに応じた支援を行っている。

「高専は一般の高校より、発達障害のある学生が多い」。
文部科学省によると、発達障害など「困難のある生徒」は
全日制高校に1・8%、同校では4%近く(約30人)。
発達障害がある学生は、理科・数学が得意な場合が多いこと、
高専は寮生活ができ、保護者がコミュニケーション能力の向上を
期待して入学させること――などが理由。

同校を定期的に訪れる長崎大学の岩永竜一郎准教授(41)
(作業療法学)は、「発達障害がある高専の学生は、
非常に優秀な人と、進級が難しい人と、二極化している
高専の授業についていくのは大変。
各科目で、60点以上取らないと留年に。
実験リポートの提出などをこなせず、中退する学生もいるため、
対策が求められていた。

同校が、特別支援教育に本格的に取り組んだのは、
中林さんへの支援がきっかけ。
アスペルガー症候群の中林さんは、数学は得意で、
知能指数(IQ)も123と高い。
文章をまとめるのが苦手で、リポートを期限までに出せないことも。
会話がかみ合わず、早とちりも多かったため、
同級生にからかわれた。
教室で大声を出し、机を倒すなどの癇癪を起こす二次的障害も。

当時、学生相談室長で、自分も軽い知的障害の子どもを持つ
松尾教授は、「外部機関も含めた支援体制が必要」
校長らに訴えた。
卒業後も社会に適応できるように、
同県発達障害者支援センターや長崎障害者職業センターとの
連携が実現。
同級生には、中林さんの特性を説明し、
母親とも相談を重ねるなど、周囲にも理解を求めてきた。

中林さんは、途中1年留年したが、昨春に無事卒業。
コミュニケーションもうまくなり、今は「学校で勉強した
電気関係の仕事に就きたい」と求職中。
第3種電気主任技術者の国家試験に合格し、
自動車教習所にも通うなど、自立に向けて努力。

高専は5年間と長く、継続した支援を行うには適している。
今後、全国的にも実践が広まるだろう。

◆アスペルガー症候群

知的障害がない発達障害の一つ、脳の機能障害。
社会性、コミュニケーション、想像力・創造性に障害がある。
一見、障害があるように見えない場合が多く、
周囲から理解されにくい面。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20091208-OYT8T00363.htm

新しい波/326 Fリーグのいま/下

(毎日 12月5日)

国際サッカー連盟(FIFA)傘下で運営されるフットサルにも、
ワールドカップ(W杯)がある。
優勝4回のブラジル、2回のスペインが双へきで、
スペインではプロリーグも盛ん。
そこを経験した日本、外国出身選手がFリーグに複数いる。

名古屋の木暮賢一郎は3年余り、府中の小野大輔が2年、
2部が大半だったがスペインリーグを経験し、08年に帰国。
木暮は、帰国直後に8試合で6得点、
小野も攻撃の中心になった。

Fリーグ関係者は、「受け皿があったからこそ、
『日本でやりたい』と言ってくれた」とリーグ創設の効果を強調。
スペインリーグを見たFリーグの平塚進総務主事は、
「最後まであきらめない、ひたむきさに引かれた。
本場でもまれた選手には、見本になってほしい」

国際経験豊かな選手を交えて、リーグ化により試合数を
増やしたことで、日本代表に実力アップの兆しが見られた。

9月、強豪イタリアとの親善試合で0-0、3-4と善戦。
「攻守の切り替えが速いこの競技で、
重要な高い連係ができていた。
リーグ戦で顔を合わせることが多くなり、
相互理解が深まっていた」と平塚総務主事。

予算面で、制約は大きい。
今年の海外遠征は、国際大会の参加がほとんど。
以前からプロリーグが盛んで、伝統ある欧州に行って
親善試合を組んだり、研修で学んだりする余裕はない。
W杯を目指して、世界各地に出かけるサッカー日本代表と、
待遇は比較にならない。

アジア内で強化を図る。
アジア・サッカー連盟は来年3月、
第1回アジアフットサルクラブ選手権を計画。
アジア・チャンピオンズリーグのフットサル版。
開催地は、代表がアジア選手権で9回優勝し、
プロリーグも盛んなイラン。

日本から、昨季のFリーグ王者・名古屋が参戦。
桜井嘉人ゼネラルマネジャーは、
「アジアを取ることが今季の目標」と意気込み、
Fリーグ側も「結果を出せば、周囲の評価も変わる」。
勝利を、実力と知名度アップにつなげたいともくろむ。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20091205ddm035050037000c.html

脳:決断の検証、前頭極で サルの実験で解明

(毎日 12月7日)

自分の決断が正しかったかどうか考える時に、
脳の最前部にある前頭極皮質が活発に活動していることを、
神戸大大学院の辻本悟史准教授(認知神経科学)らが解明、
6日付の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス(電子版)。

辻本准教授らは、コンピューター画面に映した図形を使い、
アカゲザルが左右いずれかを向くよう指示するテストを考案。
正解してジュースがもらえるまでの間、
前頭部にある神経細胞(ニューロン)がどのように活動するかを測定。

その結果、ニューロンの活動は、単に見る方向を指示した時は
比較的弱かったのに対し、「前と同じ方向を見ろ」などと
考えさせる指示を出した場合、激しくなった。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/12/07/20091207ddm012040079000c.html