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2011年7月30日土曜日

[医学研究] 最良な医療のため、臨床研究評価の仕組みを  日本学術会議

(2011年7月22日 WIC REPORT(厚生政策情報センター))

日本学術会議は、「エビデンス創出を目指す検証的治療研究の
推進・強化に向けて」と題する提言を公表。
日本学術会議の臨床医学委員会・臨床研究分科会の
意見を取りまとめたもの。

検証的治療研究とは、「最良かつ安全な医療」を科学的に評価するため、
研究者が仮設を立て、収集されたデータが仮設と一致するか否かを
調べる臨床研究である。

これらは主に大学等で行われているが、不採算部門であるため、
研究の存続が「これまでにない困難に直面している」(p8-p19)。

学術会議では、「わが国の医療研究をこれ以上衰退させてはならない」と、
(1)遂行可能性の高い治療研究グループの基盤強化によるモデル事業実施、
(2)検証的治療研究にかかわる競争的科学研究費のプロトコルに基づく選考、
(3)治療研究の科学的妥当性と被験者保護を担保するシステムの構築、
(4)人材育成、
(5)生体試料レポジトリーシステムの構築-の
大きく5点について提言(p20-p22)。

エビデンスの質は、データの量によるところが大きい。
(1)では、臨床データを蓄積するために、多施設共同研究グループに
公的研究費を優先的に配分することを提案し、
まずモデル事業を展開することを求めている。

研究を推進するには、人材が不可欠である。
(4)では、治療研究に興味・能力をもつ医師研究者の育成や、
統計学・疫学を継続的に所管する組織の構築、
透明性・柔軟性を確保した研究費の運用などを求めている。

具体的には、奨学金給付制度や、大学等での専任ポスト確保、
臨床研究への参加を業績として評価することなどを例示。

P1-P28
http://www.m3.com/tools/Document/WIC/pdf/201107_4/1585_4_1.pdf

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/22/139709/

2011年7月27日水曜日

もやもや病感受性遺伝子を特定 京都大

(2011年7月21日 毎日新聞社)

日本、韓国、中国など東アジアに多い難病「もやもや病」に
かかりやすくなる遺伝子(感受性遺伝子)を、
京都大の小泉昭夫教授(遺伝疫学)らのグループが初めて特定。
米国の科学誌プロスワン電子版に20日掲載。

もやもや病は、大脳の動脈が細くなり、脇道のように
毛細血管網が発達する病気。
血管造影すると、血管網がもやもやとした煙のように見えるところから命名。
脳の血流不足から手足の力が抜けたり、
言葉がうまく話せないなどの症状がでる。
日本で約1万3000人の患者がおり、韓国、中国にも多く、
白人やアフリカ人は少ない。

研究グループが、3世代にわたって患者がいる日韓の42家系を
調べたところ、発症者の全てで「RNF213」という遺伝子の一部が
変化していることが分かった。

この遺伝子は、頭蓋内の血管の発達に関わることも確認。
各家系に共通する染色体に着目し、変異の確率などを基に
世代の数を計算すると、約760世代前(推定1万5000年前)に
共通の祖先を持つことも分かった。

小泉教授は、「感受性遺伝子を持つ人全員が発症するわけではなく、
東アジアに共通する外的な要因(環境因子)もある。
3カ国が協力し、予防や治療につなげたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/21/139643/

2011年7月21日木曜日

東北大に女性科学者特別賞 震災後も活動と評価

(2011年7月13日 共同通信社)

優れた成果を出した若手の女性科学者に贈る
「ロレアル・ユネスコ女性科学者日本奨励賞」の今年の受賞者に、
名古屋大の植田桐加さん(25)=有機化学=ら4人が選ばれ、
東北大の「サイエンス・エンジェル」事業が特別賞に選ばれた。

サイエンス・エンジェルは、理系の大学院生の女性が
小中高校に出張セミナーなどを行い、科学の面白さを伝える活動。
参加した大学院生は延べ約230人、震災後も活動を続けていることが評価。

代表して表彰状を受け取った小谷元子東北大教授は、
「受賞によって、復興への大きな力をもらったように感じている」

奨励賞には、物質科学分野に、植田さんとお茶の水女子大の竹原由佳さん
(26)=ソフトマター物理=の2人。
生命科学分野に、東大の水沼未雅さん(25)=神経薬理学=と、
広島大の森田真規子さん(26)=細胞生物学=の2人が選ばれた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/13/139268/

2011年7月19日火曜日

親が受けたストレス、子に遺伝…理研グループ

(2011年7月11日 読売新聞)

外からのストレスで遺伝子の働きが変化する仕組みを、
理化学研究所の石井俊輔主任研究員らのグループが明らかに。
遺伝子の「働き」の変化は、子に遺伝することもわかった。
米科学論文誌「セル」に発表。

遺伝情報は、「塩基」とよばれる物質の並びとして、DNAに刻まれている。
トウモロコシの実の色は、基本的にはこの塩基の並び方で決まる。
気温や日照時間の異常といったストレスが加わると、
遺伝子の働きが変化し、ストレスが取り去られても、
その影響が子に伝わることが知られている。
だが、その変化の仕組みがわかっていなかった。

DNAは、ヒストンというたんぱく質の塊に巻き付いている。
石井さんらは、塩基の並びに変化がなくても、その巻き付き方の違いで、
遺伝子が働いたり働かなかったりする仕組みに着目。

白い目のショウジョウバエの卵を、お湯につけてストレスを与えると、
「ATF2」というたんぱく質が活性化し、DNAの巻き付きが緩むことを発見。

緩んだ結果、赤い色素を作る遺伝子が働くようになり、
生まれてくるハエは目が赤くなった。

巻き付きの緩さは、子に遺伝した。
目が赤くなったショウジョウバエの子も、目が少し赤くなったが、
孫の世代では白い目に戻った。
親と子に続けてストレスを与えると、
目の赤さは孫、ひ孫、やしゃごまで残った。

石井さんは、「ストレスが、生活習慣病や精神疾患を引き起こす
メカニズムをあきらかにして、病気の予防などにつなげたい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/11/139181/

2011年7月17日日曜日

生殖細胞の性決める遺伝子 ショウジョウバエで発見

(2011年7月8日 共同通信社)

生殖細胞が雄、雌どちらの性別になるかを決める遺伝子があることを、
自然科学研究機構基礎生物学研究所の小林悟教授(発生学)らの
研究チームがショウジョウバエを使った実験で発見、
米科学誌サイエンス(電子版)に8日付。

生殖細胞の性別が決まるメカニズムは明らかになっておらず、
生殖細胞そのものに性別を決める遺伝子があることを証明したのは初。

雄の生殖細胞は精子に、雌の生殖細胞は卵になる。
生殖細胞の性別はこれまで、体細胞から出るタンパク質の刺激を受けて
決まると考えられてきたが、体細胞の性別が変わっても
生殖細胞の性別が変わらない事例が多数あることから、
チームは、生殖細胞そのものに性別を決める遺伝子があると考えた。

生殖細胞が、精巣や卵巣になる「生殖巣」という袋に入ると、
体細胞の影響を受けるため、袋に入る前の「始原生殖細胞」に着目。
性別に関係しそうな遺伝子を選んで分析し、
卵(雌)を形成する細胞だけに、「Sxl」という遺伝子が
活性化していることを発見。

精子(雄)になる始原生殖細胞のSxl遺伝子を人為的に活性化させ、
雌の生殖巣に移植すると、卵となることを確認。
Sxl遺伝子が活性化していない始原生殖細胞を、
そのまま移植しても卵にならず、Sxl遺伝子が生殖細胞の性別決定に
関わっていると結論。

小林教授は、「他の動物における生殖細胞の性別を決める仕組みを
明らかにする第一歩」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/8/139113/

2011年7月16日土曜日

自分を攻撃、抑える物質 リウマチ治療に応用も

(2011年7月7日 共同通信社)

免疫機能が、自分の細胞を異物と認識して攻撃するのを抑える
働きがある物質をマウス実験で発見したと、筑波大や東北大、
大阪大などの研究チームが6日、発表。

この働きを強める薬を開発できれば、関節リウマチなどの
自己免疫疾患や、アレルギー疾患の治療に役立つ可能性。
筑波大の渋谷彰教授は、「本来の免疫機能には、
外敵をやっつけるプラスの働きもある。
創薬にあたっては、正常な免疫機能をじゃましない工夫が必要だ」

体内に入った異物を食べるマクロファージと呼ばれる免疫細胞を、
MAIR2という物質が活性化するのに着目。
リンパ球の表面で、これにDAP12という別の物質がくっついて働くことで、
自分の細胞への免疫反応を引き起こす「自己抗体」が、
必要以上につくられるのを抑えることを確かめた。

生まれつき二つの物質をつくれないマウスでは、
自己抗体が通常のマウスより多くつくられていた。
チームは、これらの物質の異常が原因で起きる病気の解明にも役立つ。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/7/139046/

2011年7月15日金曜日

糖尿病に関与のタンパク質 東大が特定、新薬に期待

(2011年7月5日 共同通信社)

肥満による糖尿病や動脈硬化の発症に、深く関わっているとみられる
タンパク質を、東京大の宮崎徹教授(疾患生命科学)らのチームが
マウスで特定、4日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

宮崎教授は、「人でも、このタンパク質の働きを抑えれば、
生活習慣病になりにくくなるだろう」、
生活習慣病を予防する新たな薬剤開発につながる可能性。

特定されたタンパク質は、免疫細胞の一種が分泌する「AIM」。
遺伝子操作で、体内でAIMを作れなくしたマウスと、
通常のマウスに約3カ月間、高カロリーの餌を与えて太らせ比較。
通常のマウスは、糖尿病などと同様の症状を起こしたが、
AIMを作れなくしたマウスはほとんど発症しなかった。

人でも肥満が進むと、免疫細胞の働きで全身の臓器や器官に
慢性的な炎症が起こり、生活習慣病発症のきっかけとなる。
チームは、AIMが免疫細胞を活性化させるとみている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/5/138971/

2011年7月12日火曜日

アルツハイマー病 理研、新原因のたんぱく質を特定

(2011年7月4日 毎日新聞社)

アルツハイマー病の原因物質と考えられているたんぱく質
「アミロイドベータ(Aβ)」のうち、これまであまり注目されていなかった
「Aβ43」が、アルツハイマー病の大きな原因となっていることを、
理化学研究所などのチームが突き止め、
ネイチャーニューロサイエンス(電子版)に4日発表。
新たな治療戦略や診断法の開発に役立つ可能性がある。

従来、Aβ42と呼ばれるタイプが、アルツハイマー病の主原因と考えられていた。
亡くなった患者の脳を調べたところ、Aβ43の量がAβ42の半分近くあり、
アルツハイマー病の特徴であるアミロイド斑(老人斑)の部位に集中的に存在。

マウスの神経細胞に、各種のAβを加えて経過を見たところ、
Aβ43を加えた細胞の生存率は大幅に低く、毒性が強いことも分かった。

Aβ43は、他のタイプよりアミノ酸の数が多い。
これまでの臨床実験は、Aβ42に注目したもので、目立った成功例はなかった。
チームの西道隆臣・同研究所チームリーダーは、
42だけでなく、43の産生を抑えるなど新たな治療戦略が必要。
43は、加齢によって顕著に増えることも確認、早期診断に役立ちそうだ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/4/138923/

2011年7月11日月曜日

唾液でも前立腺がん把握 再発・転移でPSA高値

(2011年7月4日 共同通信社)

前立腺がんの腫瘍マーカーで、血液検査に使われるPSA
(前立腺特異抗原)は、患者の唾液にも含まれ、がん手術後の再発や
転移を調べるのにも有効だとの研究結果を、
神奈川歯科大の槻木恵一教授(唾液腺健康医学)らのグループが
2日までにまとめた。

PSAは、がん以外の前立腺の病気でも数値が上がる。
唾液は、血液に比べ採取が簡単なのが利点で、槻木教授は、
「大規模な研究を進め、がん手術後の検査だけでなく、
がんを含めた前立腺疾患の検診にも使えるようにしたい」

PSAは、普通に前立腺から分泌される物質だが、
がんなどの患者では、血中の濃度が高くなる。
グループは、唾液が血液から作られ、血液成分を反映していることに着目。
唾液を分泌する唾液腺では、PSAが作られないことも確認し、
前立腺がんの手術をした患者31人の血液と唾液中のPSAとの関係を調べた。

その結果、術後に再発や転移が見つかった11人は、
PSAの血中濃度が1ml中2・5ng以上と高かった上、
血中濃度が上がるにつれ、唾液中の濃度も上がっていた。
経過が良かった20人は、血中濃度が低く、PSAは唾液にも
ほとんど含まれていなかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/4/138892/

2011年7月10日日曜日

おいしさを数式で表す

(日経ヘルス 6月6日)

口に入れた瞬間に感じる「おいしい」という直感的な判断が、
15の簡単な質問表に基づき、計算して導いた数値とよく一致した、
と京都大学大学院農学研究科の伏木亨教授。

第65回日本栄養・食糧学会大会の教育講演での発表。
人は、食べたものがおいしいかどうかを、口に入れてすぐに判断。
「おいしさの判断を左右する要因はせいぜい、3~4個」

伏木教授は、できるだけ簡素化を図り、
以下の4つの項目でおいしさを決定できる。

「(1)=生理的なおいしさ」

体が要求するため、おいしく感じる。
のどが渇いたとき、飲むビールがおいしかったり、
疲れたときに甘いものがおいしかったり、という例。
30分の激しい運動をしたところ、いつもよりも甘いものを欲する。

「(2)=文化によるおいしさ」

子供の頃からの食習慣に合う料理はおいしく、合わない料理はおいしくない。
関東の人は甘い卵焼きが好きだが、関西の人はだしの利いた
塩味の卵焼きが好きで、甘い卵焼きを好まない、というのが一例。
「特に匂いが決め手になることが多く、発酵によるうまさは
文化に関わらず共通で感じられるが、匂いで好き嫌いが分かれる」

「(3)=情報によるおいしさ」

「この味をおいしいと考える」と学習すること。
「赤ワインのおいしさは渋みのバランス」、
「この味は、美食家のあの人がおいしいといっていた」などの情報をもとに、
人はおいしい味の判断基準を身につけていく。

「(4)=報酬によるおいしさ」

食べることで快楽を感じ、やみつきになる成分が含まれているもの。
「脂肪、砂糖、うまみのあるだしには、繰り返し食べたいという
執着を生み出す力がある」

(1)~(4)のうち、(1)は食べる側の条件であり、食べ物そのもののおいしさを
決定するものではないため除き、(2)、(3)、(4)の3つの要素を組み合わせて、
おいしさを表す数式を導いた。

被験者に食品を試食させ、直感的においしいかどうかを、
VAS法※で評価してもらい、上記のおいしさを決める要素について問う
15の質問表(やみつきになりそうな味か、食べなれた味か)への答えを
それぞれ点数化。
この両方を合わせて、下記のような重回帰式を得た。

Y(おいしさ)=1.74×((4)報酬によるおいしさ)+1.48×
((3)情報によるおいしさ)+0.38×((2)文化によるおいしさ)+8.77

重回帰式の係数は、個人もしくは母集団によって異なるが、
市販の12種類の食品(カレー、親子丼、たこ焼き、グラタンなど)を
用いて算出した重回帰式は、他の食品の評価にも有効で、
質問表の点数を数式にあてはめて算出した評価値と、
VAS法による直感的な総合評価値は、高い相関。

「質問表はまだ見直す余地はあり、質問項目はもっと減らせる」

※VAS(Visual Analogue Scale)法

痛みなどの主観的な評価を客観的な数値に置き換える方法。
痛みの場合、左端は「痛みなし」、右端は「考えられる最大の痛み」とした
100mmの直線を引き、自分が現在感じている痛みが直線上のどこに
位置するかを書き込む。
今回は、左端が「おいしくない」、右端が「おいしい」として使用。

http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20110606/111116/

2011年7月4日月曜日

軽くて曲げられるCIGS系太陽電池開発

(サイエンスポータル 2011年6月21日)

ステンレスを基板に用いた低コストのCIGS系太陽電池を
開発することに、産業技術総合研究所の研究グループが成功。

軽くて曲げることもできる特徴を持つことから、
車の屋根につける太陽電池など、幅広い用途が期待。

仁木 栄・太陽光発電工学研究センター副研究センター長、
石塚 尚吾・先端産業プロセス高効率化チーム主任研究員らが、
富士フイルムと共同で開発した新しいCIGS系太陽電池は、
市販されている1枚のガラス基板上に複数の太陽電池を並べたものと違い、
基板にステンレスを使っているのが特徴。

CIGS太陽電池は、光を吸収する層に銅、インジウム、ガリウム、セレン
からなる多元系化合物半導体を用いている。
ステンレスのような金属を基板に使うと、金属成分が化合物半導体層に
入り込む問題があったが、研究グループは化合物半導体の表面を
酸化マグネシウムで覆う工夫により、これを解決した。
光電変換効率も15%と、従来のCIGS系太陽電池と比べ、
大きな遜色がないことが確認。

CIGS系太陽電池は、シリコン系太陽電池に次いで光電変換効率が高く、
経年劣化もないという長所を持つ。
ステンレスを基板に使うことで、軽くて曲げられる低コストの太陽電池が
実現し、新しい用途の開拓が期待できる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106211.html

14倍以上の発症リスク 2型糖尿病の遺伝異常発見

(2011年6月23日 共同通信社)

東北大大学院医学系研究科の片桐秀樹教授(代謝学)の
研究グループが23日、2型糖尿病の患者で高頻度に認められる
ゲノム(全遺伝情報)構造の異常を発見。
この異常により、糖尿病の発症リスクは14倍以上になる。

グループは、35歳未満で2型糖尿病を発症した日本人100人と、
60歳以上で糖尿病の診断歴がなく、家族にも患者がいない100人を比較。
この結果、第4染色体の一部領域で、遺伝子コピー数が減少する
異常が患者13人から発見。
糖尿病ではない人では、1人しか見つからなかった。

従来の研究で、2型糖尿病に関連する遺伝子として20個以上が
見つかっているが、糖尿病の発症リスクは高いもので1・4倍前後。
グループは今後、簡易な検査で異常を見つける方法を開発し、
発症していない人の予防などにつなげる。

片桐教授は、「遺伝的な要因が強く存在すると言われながら、
決め手がなかった2型糖尿病の解明に、大きく貢献する発見」

※掲載誌は Experimental Diabetes Research

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/23/138333/

2011年7月3日日曜日

花粉症の"源"構造解明 副作用少ない治療薬も 京大、細胞膜タンパク質

(2011年6月23日 共同通信社)

花粉などの刺激により、体内で放出された炎症物質と結合し、
花粉症などのアレルギー症状を引き起こすタンパク質
「ヒスタミンH1受容体」(H1R)の立体構造を、
京都大や九州大、米スクリプス研究所のチームが世界で初めて解明、
22日付英科学誌ネイチャー電子版。

H1Rは、花粉症の治療薬が作用する標的タンパク質。
チームの島村達郎京大特定講師は、「この構造を基に、効率的に副作用を
少なくする抗ヒスタミン薬の開発が可能になる」

くしゃみや鼻水などのアレルギー症状は、体内のヒスタミンなどの炎症物質が、
細胞膜にあるH1Rに結合して引き起こされる。

花粉症を治療する抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンがH1Rに結合するのを阻止し、
症状を抑えている。
抗ヒスタミン薬は、H1R以外の受容体にも結合しやすく、
眠気や口の渇き、不整脈などの副作用も起こす。

チームは、H1Rを酵母を使って大量に精製。
細胞膜に似た環境をつくって結晶化し、
エックス線を用いた構造解析で解明。
H1Rの立体構造を明らかにし、結合部分の分子レベルの"形"を
突き止めたことで、H1Rにだけ結合する治療薬の設計が可能に。

膜タンパク質のH1Rは、水になじむ部分と油になじむ部分があり、
水に溶けやすい細胞内のタンパク質と違い、
タンパク質の精製や結晶化が難しく、立体構造が解明されていなかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/23/138307/

2011年7月1日金曜日

"曖昧さ"で環境適応 遺伝子の働きに個体差

(2011年6月20日 共同通信社)

生物は、同じ遺伝情報を持っていても、
働く遺伝子の量に個体差があるため、環境変化に柔軟に
適応できることを、大阪大や弘前大のチームが大腸菌で明らかに。

働く遺伝子の量で各個体の特性が変わり、
予期せぬ状況でも、種として残れたと考えられる。

四方哲也大阪大教授は、「気候変動があっても、生物が持つ曖昧さにより
生き残ってきた仕組みの一端だ」

生物に必要なヒスチジンという、アミノ酸の合成に関わる酵素hisCに着目。
大腸菌で働いている量を調べると、
平均を1として0・5~2倍のばらつきがあった。
ヒスチジンがない環境で培養すると、hisC遺伝子が多く働いて、
ヒスチジンの合成能力が高い菌が優先的に増殖。
14時間後には、働いている遺伝子の平均量が2倍以上。

遺伝子の突然変異は起きておらず、四方教授は、
「曖昧さを利用した適応には、進化に伴うエネルギーと時間が不要で、
迅速に環境変化に対応できる」

成果は、モレキュラー・システムズ・バイオロジー電子版に発表。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/20/138186/

アルツハイマー病やALS、進行抑える物質生成

(2011年6月22日 読売新聞)

名古屋大学環境医学研究所の錫村明生教授らの研究グループが、
アルツハイマー病や、悪化すると全身がまひする
「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」などの進行を抑える
たんぱく質の生成に成功したと、
21日付の米科学誌プロスワン電子版。

錫村教授らのグループは、漢方薬の原料である「甘草」の主成分が、
脳内で多くなるとアルツハイマー病などを引き起こす
「グルタミン酸」の大量放出を抑える効果があることを発見。

この成分を、末端の血管から脳内に行き渡りやすくするため、
化学合成して新たなたんぱく質「INI0602」を生成。
マウスの実験でも、効果が裏付けられた。

錫村教授は、「これまでの治療法と違い、症状を根本的に抑えられた。
新薬の開発につながる成功で、今後は、薬になじみやすいよう改良したい」

グルタミン酸はアミノ酸の一種で、脳内に侵入したウイルスを
免疫細胞が“退治”する際、副産物として放出。
量が多くなると、神経細胞を傷つけ、アルツハイマー病などの
原因になることが知られている。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/22/138290/

2011年6月30日木曜日

子どもの寝不足、脳に影響 自閉症緩和への応用も

(2011年6月22日 共同通信社)

愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所(春日井市)は、
乳幼児期の不規則な睡眠が原因で、
脳内の脳由来神経栄養因子(BDNF)というタンパク質の
分泌リズムが崩れ、脳の発達に支障が出ることを、
ラットの実験で証明。

仙波りつ子共同研究員は、「ヒトでも、乳幼児期に早寝早起きの
規則正しい生活をしないと、脳に障害を起こす危険性がある」

実験では、ヒトの乳幼児期にあたる生後6日のラットを9日間、
眠っている時に、かごを揺らすなどして睡眠不足にした場合、
大脳皮質内のBDNFの分泌リズムが乱れることが判明。

BDNFは、脳の神経細胞同士をつなげ、脳の発達を促進する
タンパク質シナプトフィジンを形成。
睡眠環境の悪いラットでは、シナプトフィジンの量が減少、
BDNFの量が一定しないと形成が阻害されることが分かった。

自閉症の人にみられる遺伝子の異常を、人工的に再現した
マウスでも、同様の現象を確認。
自閉症は、脳の発達障害の一種のため、自閉症の子どもの
睡眠バランスを薬物で改善することなどで、
症状を緩和できる可能性もある。

※5月28日付の米専門誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/22/138263/

2011年6月29日水曜日

肝再生の仕組み一部解明 転写因子の分解が鍵握る

(2011年6月21日 共同通信社)

肝臓の高度な再生メカニズムの一部を、
九州大生体防御医学研究所の鈴木淳史准教授らのグループが解明し、
20日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表。

遺伝子の情報を読み取る「転写」の調節をしている
特定のタンパク質(転写因子)を分解し減少させることで、
肝細胞の増殖が活性化する。

鈴木准教授は、「この転写因子を制御する方法を解明することで、
肝硬変や肝がんの原因究明や、治療法の開発への貢献が期待」

肝臓は、マウスを使った実験で70%を切り取っても、
1週間から10日で元に戻るという高い再生能力を持つ。

鈴木准教授らは、肝細胞に存在する転写因子の一つで、
細胞の増殖などに重要な役割を果たす「スネイル」に注目。

マウスの肝臓の一部を切除すると、12時間後に
肝細胞内のスネイルの劇的な減少が始まった後、
肝臓の細胞が増殖し始めた。

肝臓を切除しない場合でも、スネイルの働きを妨げる物質を
肝臓に注入しただけで、細胞の増殖が起きた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/21/138221/

2011年6月24日金曜日

有機薄膜太陽電池の効率よい作製法開発

(サイエンスポータル 2011年6月16日)

低価格の太陽光発電方式として期待されている
有機薄膜太陽電池の効率よい作製法を、
分子科学研究所と米ロチェスター大学の研究グループが開発。

有機薄膜太陽電池は現在、さまざまな有機半導体のドナー性材料と
アクセプター性材料とでできた混合膜を、
透明電極基板の上に真空蒸着して作る方法が主流。
この方法は、100nm以下の薄い膜しかつくれないことが弱点。

分子科学研究所の嘉治寿彦・助教らと米ロチェスター大学のタン教授らは、
2種類の有機材料に加え、透明電極基板に付着しないような
液体分子を蒸発させる新しい方法で、4倍厚い薄膜を作ることに成功。

この手法で、さまざまな組み合わせの有機薄膜を作り、
電流を計測したところ、これまでより3倍から40倍、
ものによっては3,000倍以上という劇的な向上が見られた。

有機薄膜太陽電池は、最も普及しているシリコン型太陽電池に比べ、
太陽光を電気に変換する効率は低いものの、
低価格で作製できる長所がある。

ドナー性材料とアクセプター性材料を重ねた二層構造の
有機薄膜太陽電池が、1986年にタン教授によって世界で初めて報告、
このドナー性材料とアクセプター性材料との混合層(共蒸着層)を加えた
三層構造の有機薄膜太陽電池が、
1991年に平本昌宏・分子科学研究所教授によって開発、
各国で研究が進んでいる。

今回開発した手法は、従来の真空蒸着法よりも結晶性の良い
混合膜を、簡単に作製することができるため、
より変換効率のよい低分子型有機薄膜太陽電池を実現することができる。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106161.html

2011年6月23日木曜日

世界最短波長のX線レーザー発振に成功

(サイエンスポータル 2011年6月13日)

理化学研究所と高輝度光科学研究センターは、
X線自由電子レーザー施設「SACLA(サクラ)」で、
世界一短い波長のX線レーザーを発振することに成功。

「SACLA」は、第3期科学技術基本計画の国家基幹技術の
一つとして、5年がかりで開発、2月末にビーム運転を開始。

今回、発振に成功したX線レーザーは、
波長が1.2オングストローム(1オングストロームは1億分の1センチ)。

X線自由電子レーザー施設の完成は、米国のXFEL施設に先を越されたが、
2009年4月、同施設が発生させた1.5オングストロームの
最短波長記録を追い抜いた。

X線自由電子レーザーは、1,000万分の1センチより
小さな世界をフェムト(千兆分の1)秒で観察可能なことから、
膜タンパク質の構造解析や、触媒が化学反応で
どのような働きをしているかなど、
従来のX線解析では困難ないし不可能だった原子や分子の世界の
「機能」を、直接観察する新しい強力な道具になると期待。

今後、調整運転を行い、今年度内に国内外に開かれた施設として
供用運転を開始する。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106131.html

2011年6月22日水曜日

一夜漬けはやはり身につかず

(サイエンスポータル 2011年6月15日)

間隔を置いて繰り返さない学習は効果がなく、
一夜漬けは身につかないことを、
理化学研究所の研究チームがマウスを使った実験で突き止めた。

理化学研究所脳科学総合研究センターの永雄総一・運動学習制御研究
チームリーダー、岡本武人テクニカルスタッフと、
遠藤昌吾・東京都健康長寿医療センター部長、
白尾智明・群馬大学医学部教授らは、
マウスの眼球の運動学習に着目し、
学習による記憶が、脳のどの部分に刻み込まれるかを調べた。

4.5秒で一往復するチェッカーボードをマウスに見させ、
ボードの動きに追従する眼球の動きの大きさで、学習効果を測った。

1時間集中的にチェッカーボードを見せたマウスと、
30分、1時間、24時間の休憩を取って15分ずつ4回繰り返し見せたマウス、
24時間の休憩を挟んで8回に分けて7.5分ずつ見せたマウスを比べ、
学習終了時の記憶(学習効果)に差はなかった。

学習終了後、24時間たってから調べると、
集中学習を受けたマウスは運動量が半分くらいに減少する、
つまり半分くらい忘れてしまっていることが分かった。

途中、間隔を置いて学習を受けたマウスは、
いずれの場合もほぼ完全に覚えていた。

研究グループは既に、短期の運動学習による記憶は小脳皮質に、
長期の運動学習による記憶は小脳核にあることを解明。

学習の終了直後、小脳皮質に局所麻酔剤を投与し、
小脳皮質の活動を止める実験を行ったところ、
集中学習させたマウスの記憶は消えてしまったのに対し、
間隔を置いて学習させたマウスの記憶は全く影響を受けない。

これらの結果は、集中学習でつくられた記憶は、
小脳皮質にとどまったままだが、
学習中に休憩を取ると、記憶が小脳核へ移動することを示している。

研究グループは、さらにタンパク質合成阻害剤を、
運動学習の直前に小脳皮質へ投与する実験を行い、
記憶を移動させるものが、休憩中に小脳皮質のプルキンエ細胞で作られる
何らかのタンパク質であることを突き止めた。

「学習には休憩が大事だ」ということを、
科学的に初めて証明することができた。

理化学研究所
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2011/110615/

http://www.scienceportal.jp/news/daily/1106/1106151.html