2010年5月8日土曜日

慶大SFC20年(4)「出るくい」も伸ばす気風

(読売 4月30日)

起業家を次々と生む、慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)。
高校生向けキャリア教育プログラムを提供する
NPO「カタリバ」代表の今村久美さん(30)(9期生)は、
「在学中、起業家教育は受けていない」

昨夏、日本社会を変革する若者として、
米タイム誌アジア版の表紙を飾った社会起業家。
「ただ、SFCには仕掛けがある」
問題発見解決型の人材を育てるという徹底した教育方針、
学生に課題解決策を考えさせる授業スタイル、
様々なプロジェクトを通した先輩や学外者との
コミュニケーションの三つ。

1年時、プロジェクト型授業で、ドラマ「北の国から」の
ドキュメンタリーを作ろうとした。
主演の田中邦衛さんや脚本の倉本聰さんにも取材したのに、
完成できなかった。
「今も、申し訳ない気持ちでいっぱい。
でも、失敗体験が勉強になった。
学生に何でも挑戦させよう、という敷居の低さがある。
SFCには、居場所と出番がある

高校までは、「出るくいは打たれる世界。
普通の試験では、入試を突破できない学力だった」
面接重視で、複数回受験機会のあるAO入試に、
2度目の挑戦で合格。
SFCでは、出るくいにたくさん出会えた。
他大学に進んだ友人が、『大学はつまらない』と言うのが
信じられなかった。
SFCのような場を、ほかの人にも経験してほしい」
そんな思いが、高校生が大学生と語り合う場づくりに向かわせた。

「キャンパスでは、『いま何してる?』が合言葉。
答えられないと、『つまらないやつ』と言われる環境でした」
病児保育の事業モデルを作ったNPOフローレンス代表の
駒崎弘樹さん(30)(10期生)は、米ニューズウィーク誌の
「世界を変える社会起業家100人」に紹介。

2年時の就業体験で、経営の面白さに目覚め、
3年時、学生たちが起業したIT会社の社長に。
ベビーシッターをしている母親から、子どもが熱を出して
仕事を休んで解雇された利用者の話を聞き、病児保育に転身。

「SFCと出会わなかったたら、ITベンチャー経営もあり得なかったし、
NPOで生きていくなんて、考えもしなかった。
自分のやりたいことをやっているやつが一番強い、
という価値観を支えてもらった

「楽天を作った本城慎之介さんを見て、
ITベンチャーをやろうと思ったし、
彼が中学校の校長になったのを見て、
人生に多様なチャンスがあると勇気づけられた。
そんな挑戦の連鎖と挑戦をたたえる空気が、SFCのDNA

ともに、「生まれ変わっても、SFCに進学する」
卒業生からの評価は、大学の確かな評価だろう。

◆社会起業家

社会の課題解決を目的に事業を起こし、
社会貢献とビジネスの両立を目指す人。
業態は、株式会社やNPO法人など様々。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100430-OYT8T00218.htm

動脈硬化発症は免疫の働き原因…帝京大など調査

(2010年4月29日 読売新聞)

動脈硬化の原因となる、悪玉コレステロールの血管への蓄積は、
体を守る免疫細胞の働きによって起きていることを、
米マサチューセッツ大学と帝京大学の河野肇講師らの
グループが突き止めた。

患者の増加は、長寿命化や食生活の変化に、
免疫の仕組みが追いついていないため。
29日付の英科学誌ネイチャー。

動脈硬化は、血管の壁に悪玉コレステロールがたまり、
血管が詰まって、脳梗塞や心筋梗塞の原因になる生活習慣病。
なぜ、コレステロールが蓄積するかは不明。

河野講師らは、脂質を代謝しにくいマウスに、
高カロリーの餌を食べさせ、血管の変化を観察。
2週間後、細菌やウイルスを処理する免疫細胞の
マクロファージが、血管の内側に集まり、
血液中のコレステロールを異物とみなして食べ始めた。

マクロファージは、コレステロールをほとんど分解できず、
死んでしまい、コレステロールの結晶が残留。
マクロファージには、仲間を呼び寄せる性質があり、
血管の壁がマクロファージの「墓場」となって、
コレステロール結晶が雪だるま式に蓄積することがわかった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/30/119681/

インサイド:次代の針路 第1部 多様化するU18の現場/2

(毎日 4月21日)

ラグビーの全国高校選抜大会、初めて合同チームが出場。
部員不足でチームを組めない岡山県西部の倉敷工、鴨方、
興譲館、倉敷南の4校による「岡山合同」。
県予選で準優勝した実績が認められ、大会実行委員会に推薦。

昨年12月、チームを組んでから週1回の合同練習。
興譲館から1人で加わった佐々木達也(2年)は、
合同練習以外は自校のサッカー部で体を鍛え、
同じく1人で倉敷南からメンバー入りした川合一也(3年)は、
走り込みを積んできた。
コミュニケーションを深めるため、ミーティングも増やし、
一つのチームになった。

全国の強豪に3戦全敗、予選リーグで姿を消したが、
鴨方の西本達郎(3年)は感慨深げ。
「全国大会は、テレビの中の世界だった。
この体験を、新入部員に伝えたい」

高校ラガーマンのあこがれである冬の全国高校大会、
「花園」への道はまだ開かれていない。
花園は、全国高校総体(インターハイ)の中の一競技と位置づけ、
主催する全国高校体育連盟は、「学校対抗が原則」、
学校統廃合が決まった場合を除く、
合同チームの参加を認めていない。
合同チームで県予選に出場できるが、勝ち進んでも
花園の舞台には立てない規定。

15人で戦うラグビーは、少子化の影響を大きく受けてきた。
花園予選の参加校数は、91年度の1490校をピークに減少が続き、
99年度には部員不足など、大会に参加できない学校が
過去最多の426校(参加は869校)。
00年度から、合同チームの予選出場を認めることに。

合同チームは増え続け、00年度の13チーム(32校で構成)に対し、
09年度は7倍の91チーム(280校で構成)。
不参加校も、107校にまで減少。
日本ラグビー協会の前田嘉昭・高校委員会担当理事は、
「全国を目指す夢、可能性は平等にあるべき」

ソフトボールも、部員不足に悩む状況は同じ。
05年度から、合同チームの高校選抜大会出場を認めている。
日本ソフトボール協会の鈴木征・広報委員長は、
「規律やコミュニケーションの大切さなど、
チーム競技だから学べるものもある。
人数不足で、大会に出られないような悲しい思いはさせたくない」

高校スポーツは、教育的視点に立つ学校部活動を基礎に発展。
全国高体連が、学校単位での参加を原則にしているのも、
合同チームを認めれば、勝利至上主義的発想から
強化目的のチームが編成されかねないとの懸念。
日本高校野球連盟も、公式戦参加は統廃合のケースに限っている。

部員不足に陥る高校が増す今、大会に出場する
権利の保障がより重要課題。
文部科学省も、スポーツ振興基本計画で、
「複数校合同の運動部活動の円滑な運営を促進することや、
その全国大会への参加の道を広げていくことなど、
環境の整備が必要」

全国高体連の梅村和伸専務理事は、
「関係者の間では、『高校総体は、学校対抗だからこそ魅力がある』
という声が多い」、
合同チームだけでなく、地域クラブが増えていく状況も想定、
「複数校の生徒が加入するクラブチームの参加を認めようという
動きが出てくる可能性もある」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/21/20100421ddm035050054000c.html

イオン環境財団:「万里の長城」植樹100万本達成

(毎日 4月25日)

北京市八達嶺の「万里の長城」周辺で、
森をよみがえらせようと、イオン環境財団が市政府と共同で
進めてきた植樹が、目標の100万本に達し、
現地で記念式典が開かれた。

植樹は、98年から始め、昨年までに約98万本を植えた。
日本から約1400人、中国から約700人のボランティアが参加、
モウコナラやアブラマツなど、約2万本の苗木を植えた。

式典には、郭金竜市長や海部俊樹元首相らが出席。
同財団の岡田卓也理事長(イオン名誉会長相談役)は、
これまで、約1万5000人のボランティアが参加。
八達嶺での植樹は、本年で最後だが、
今後も国内外で植樹を続けていきたい」とあいさつ。

岡田理事長は、北京市内で中国共産主義青年団トップの
陸昊・第1書記を表敬訪問。
北京市副市長も務めた陸氏は、岡田理事長に対し、
植樹プロジェクトは、環境保全の大切さを伝えている。
中日両国の交流と環境保護への努力に、敬意を表したい」

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/04/25/20100425ddm041040120000c.html

2010年5月7日金曜日

スポーツ立国第1部 支援(6)変革迫られる“怪物”国体

(読売 5月1日)

国の支援を受ける側も、課題を抱えている。

日本体育協会で、開かれた国体委員会。
国体の今後のあり方を考えるプロジェクトチーム責任者の
杉山茂は会議後、報道陣に囲まれ苦笑。

杉山は、元NHKプロデューサーで、
五輪などスポーツイベントにも詳しい。
「競技者に敬遠され、開催地になんだかんだと(文句を)言われ、
メディアが遠巻きにしているイベントって、そうざらにはないよ」

冬季国体はここ数年、開催地がなかなか決まらない。
開催まで1年余に迫った段階で、辛うじて来年の開催地が
スキーは秋田、スケートは青森で固まった。
昨年に続いての開催となる青森は、東北新幹線全線開通という
「大義名分」がなければ、開催を受け入れたかどうか分からない。

バンクーバー五輪期間中の今年2月、札幌市で開幕した
スキー国体は、簡素な大会。
皇族の出席はなく、名称も開会式ではなく「開始式」。
五輪出場を逃したジャンプの湯本史寿(東京美装)が、選手宣誓。
五輪と同時期に開催せざるを得ない、国体の厳しい立場を象徴。

杉山は、私案と前置きしながら、
「成年の部の隔年開催」や、一流選手が国際試合とぶつからないよう
「フィギュアスケートだけの秋開催」など、斬新な改革案を披露。

実行は、簡単ではない。
すでに夏季開催地は2017年まで固まり、各自治体は開催に向けて
予算を確保し、施設の増改築などを進めている。
施設整備費などを含めた国体の総費用は、年間500億円超。
国全体のスポーツ予算の数倍の数字。
関係団体の利害が絡む国体という“怪物”を、
抜本的に改革するのは、難しい。

JOCが分離、独立して以降、体協は主にスポーツの普及、
振興に力を入れてきた。
「その部分は、成果が表に出にくい」という
体協専務理事の岡崎助一の言葉通り、昨年の事業仕分けでは、
「体協の有り様は要検討。組織は陳腐だ」と厳しい意見、
今年度予算は、国からの補助金が昨年度より7%も削減。

体協には、全国に支部がある。
そのネットワークを活用し、目に見える普及をどう図るか――。
スポーツ立国に向けた議論がスタートした今、国体とともに、
体協も改革が求められている。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100501_01.htm

米国にもあった熱血指導、“ラソーダ流”育成法

(日経 4月30日)

ドジャース傘下のマイナーチームのコーチを務める
元横浜ベイスターズ監督、山下大輔氏(58)が、
2年目のシーズンを米・アリゾナで迎えた。

キャンプで認められ、順調にアメリカンドリームの階段を
上っていく者があれば、失意のまま去る者も。
それぞれの人生が交錯するメジャーの“支度部屋”で、
山下氏が見たものは……。

「You gotta work!」(『ユー ガラ ワーク』と聞こえる)
あちらと思えばまたこちら、砂漠の中に広がる
ドジャースキャンプ場に、しわがれた声が響く。
超意訳すれば、「おまえたちは、一日中練習してりゃいいんだ」

1996年まで20年間にも渡ってドジャースを率いた
トム・ラソーダ元監督、今年9月に83歳。

「私の体には、ドジャーブルーの血が流れている」といって
はばからない名伯楽の新しいシーズンが、また始まった。
野茂英雄が、かつてメジャーに移籍した当時の監督として、
日本にもなじみが深いだろうラソーダ。

その信条は、「修行の身である若手に、休みなど要らない」
このラソーダ精神は、チームに脈々と受け継がれて、
3月は1日も休日がなく、宿舎に帰って「バタンキュー」の日々。
去年は1日だけとはいえ、休みがあったはず……。

◆厳しいサバイバルレース

投手の球数制限に象徴されるように、
アメリカは故障を抑えるべく、極力体をいたわりながらやっていると
思われがちだが、ここにあるのはもう1つのアメリカ。

3月に始まるマイナーのキャンプは、シーズンに向けて
選手を3A、2A、1Aに振り分ける“仕分け”の期間。
マイナーリーグの中でも、一番下のランクである
1Aのチームからもお呼びがかからず、
「もう帰っていいよ」といわれる選手も。

マイナーのキャンプは、一番多いときで170人ぐらい、
とにかくアメリカは見切りが早く、出入りが激しい。
顔ぶれも、毎日のように変わる。
それほど厳しいサバイバルレースを、何十年と見てきたラソーダ。
「おまえたちに休みはない」は、親心と思って間違いない。

◆情熱とエネルギー注ぎ込む

ラソーダの熱血伝説には、枚挙にいとまがない。
野茂と同時期にいた、ラウル・モンデシーという選手。
野茂の1年前のナ・リーグ新人王、
最初はカーブが全然打てなかった。

ラソーダは、自ら打撃投手を務めて、1時間以上も投げた。
アメリカではコーチ、監督が投げるのは当たり前、
当時すでにご老体だったことを思えば、
やはり尋常ではない情熱とエネルギー。

今でも見込みがありそうな選手をつかまえては、
「ちょっと打ってみろ」と身を乗り出す。
さすがに、もう本人は投げられない。
現場にたまたまいたのが、ドジャースのコーチを務めて
34年というジョン・シューメーカー。

練習メニューやスケジュールを管理するシューメーカーが、
この日のラソーダの“犠牲者”。
打撃練習は、延々1時間10分ほど続いたろうか。
シューメーカーもさすがにぐったりで、
「まったく。投げるのはオレなんだからなあ」

当のラソーダ本人はといえば、球場が何面もある広大な敷地を
移動するためのゴルフ用カートで、うとうと居眠り。
何とうらやましい人生……。

今のラソーダで驚いてはいけないよ、と教えられたエピソードも。
彼がもっと血気盛んだったころ、
「足が痛い」と訴えた若い投手にこう言った。
「泡風呂にでも足を突っ込んどけ」
「我々の宿舎に、そんなものはありません」
「それなら、便器にでも足を入れとくんだな」
「トイレの水は冷たいです」
「そんなら、小便して温めろ!」
ウーン、である。

◆結局は肉体勝負の世界

ラソーダ式のハードワークで、つぶれた選手も少なくない、と聞いた。
人生の勝負どころで、適当に骨休めなんてことをしていたら、
置いてけぼりを食うだけだぞ、というラソーダの考え方も分かる。

結局、肉体勝負の世界だから、これしきの練習でつぶれるような
選手はしょせん無理、という経験則もあながち的外れではない。
コーチたちと、投手交代のタイミングが話題に。
「ノーヒットノーランがかかっていても、100球で交代するのか?
球数で交代するなら、監督なんか要らん。
投手の状態をみて、行けるようなら120球でも130球でも
投げさせればいいし、80球で見切りをつけなきゃいけない
ときだってある。それが、監督の仕事だろ」

◆「毎朝、鏡を見ろ」

夢と希望を胸に、大リーグの門をたたく若者たち。
彼らを集めて、ラソーダは毎年語る。
「朝起きたら毎日、鏡を見ろ。

そして、鏡のなかの自分に語りかけるんだ。
『おまえはやる。絶対できるんだ』ってな」

フィジカルを完ぺきにし、メンタルを100パーセント野球に
集中できる状態に保ち、ファンダメンタル(基本)を大事にする。
そして自分を信じること――。

大きなジェスチャーを交え、口角泡を飛ばして語りかける
ラソーダの熱弁に押されて、人生の一歩を踏み出す
若者たちは幸せかもしれない。

合理精神と功利主義に染まったかにみえるアメリカ野球だが、
その陰ではラソーダのような人たちが、
「人生は気合いだぁー」という精神主義の火をともし続けている。

アメリカンドリームのため、馬車馬のように走り続けてきた人々。
古き良き時代をしのばせる、もう1つのアメリカが
ここ、マイナーリーグに残っている。
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◆やました・だいすけ

1952年3月5日生まれ、静岡県出身。
慶大、東京六大学の首位打者、74年大洋(現横浜)に入団。
華麗かつ堅実な名遊撃手として、
8年連続ゴールデングラブ賞受賞。
98年、横浜の優勝時はヘッドコーチ。
2003年から2年間、監督。
守備の技術の伝授を請われ、09年からドジャースで若手の指導。

http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A88889DE2E4E7E2E1E2E5E2E0EAE2E6E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0EAE2E6E0E2E3E2E2E4E2E5

HIV差別はね返し生きる ルーマニア、就職にも壁

(2010年4月28日 共同通信社)

1989年まで続いたチャウシェスク独裁政権末期、
輸血や注射針の使い回しで、7千人とも1万人ともいわれる
多数の乳幼児が、HIVに感染したルーマニア。

長く生きられないと思われた子供らは、
治療方法の発達で健康を取り戻し、多くが成人。
社会の偏見は根強く、今もほとんどが職に就けない。
「ふつうに暮らしているのに...」
若者らは、やり場のない思いを抱えている。

ルーマニア東部のコンスタンツァ郊外、「明日の家」。
日本の民間団体の援助で、HIVに感染した20~23歳の
男女12人が、寮母の世話を受けて暮らす一軒家。

「みんなが家族のようなもの」
アシカ・アイシェさん(23)が居間を見渡す。
好きな音楽を聴いたり、携帯電話でメールをしたり、
仲間は思い思いにくつろぎ、笑顔が絶えない。

アイシェさんには、大切な日課がある。
毎朝夕、仲間への治療薬配布。
自らは母親に捨てられ、幼少期に病院でHIVに感染。
「あの子はエイズ」。
そんな言葉を投げ掛けられた。
「人々は、私たちを怖がっているの」

チャウシェスク政権は、「人口こそ国力」との発想から、
女性1人につき5人の子供を産むよう政令で命じ、
後に「チャウシェスクの子供たち」と呼ばれる捨て子が続出。

多くが栄養失調だったのに、食料は慢性的に不足。
栄養補給と称して輸血が行われたが、
HIV感染者の血液も混ざり、感染が爆発的に拡大。

「当時、病院は瀕死の子供であふれ、
多くがその後の20年を生き延びた」
コンスタンツァで、エイズ治療に携わってきた
ロディカ・マトゥーシャ医師(67)。
同国では96年、複数の治療薬を服用するカクテル療法が
始まって、状況が大幅に改善、
HIVに感染した乳幼児のうち、3分の2が無事に成人。

入社時、血液検査を求める企業もあるなど、
「就職時の差別が最大の問題」(マトゥーシャ医師)。
コンスタンツァでは、感染者の若者の9割が職に就けず、
月約700レイ(約2万1千円)の社会保障が頼り。

「明日の家」では、職のない若者に野菜栽培などの仕事を
割り当てている。
ダニエル・ストヤンさん(22)もその一人。
物心ついた時から、小児病院で育った。
成人し、街で車を洗う仕事を始めたが、
ある日「もう来ないでくれ」と。

「どこかで僕の話を聞いたんだろう。
でも、過去を振り返っても悲しいだけ。
家を見つけ、家庭を築くのが夢なんだ」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/28/119622/

The病院力/2010DPC改定1 大学病院、専門病院など新機能評価係数に苦戦

(2010年4月28日 Japan Medicine(じほう))

2010年度診療報酬改定は、DPCにとって大きなエポック。

DPCの見直しでは、調整係数の段階的廃止がスタート。
4~7月の機能評価係数(II)で、DPC対象病院1334病院の
トップに立ったのは、済生会熊本病院、
次いで国立病院機構熊本医療センター、徳島赤十字病院。

改定前、機能評価係数(II)は大学病院有利な項目が多いとされたが、
実際には救急医療係数が全般的に低く、大学病院のトップの
東海大付属病院が全国で24番目。
調整係数では、全般的にまだまだ高い大学病院だが、
新たな機能評価係数の評価では苦戦。

専門病院において、専門領域によっては十分評価されていないとの声、
今後さらに新機能評価係数の精緻化が求められている。

今回の診療報酬改定での機能評価係数(II)は、
<1>データ提出指数に基づく係数
<2>効率性指数に基づく係数
<3>複雑性指数に基づく係数
<4>カバー率指数に基づく係数
<5>地域医療指数に基づく係数
<6>救急医療係数-の6項目で評価。

地域医療指数に基づく係数は、5月上旬から申請を受け付ける予定、
8月から設定。
告示の調整係数は、4~7月の調整係数、8月以降の調整係数の
2段階設定。

具体的には、新たに導入した機能評価係数(II)に割り当てる
診療報酬のDPC対象病院全体の総額が、
従来の調整係数による上積み相当部分の25%と等しくなるよう計算。

今回の機能評価係数(II)のランキングでは、
済生会熊本病院、国立病院機構熊本医療センター、
徳島赤十字病院、全国トップ10に熊本県から2病院が入っている。
沖縄県も、沖縄県立中部病院と浦添総合病院。
神奈川県から、済生会横浜市東部病院と湘南鎌倉総合病院が入った。

全国トップ20まで広げると、熊本県は熊本赤十字病院。
済生会、国病機構、日赤が入った。
熊本市自体が、医療連携に関する先進都市で、
市民・患者に徹底。
医療機関の機能が明確なため、急性期病院を後方支援する

病院群、連携先の診療所など、それぞれの医療機関が
それぞれの立場で役割を果たしている。
結果的に、急性期病院の機能が発揮できる医療環境がつくられる。
その一端が、今回の機能評価係数(II)に現れた。

東京都では、聖路加国際病院が全国で12番目、都内ではトップ。
東京都立墨東病院、武蔵野赤十字病院がトップ20。

大学病院は、トップ20にはエントリーできなかった。
大学病院でトップは、東海大付属病院、全国24番目。
済生会熊本病院の機能評価係数(II)は0.0340、
東海大付属病院は0.0281。

両病院の差の大きな要因は、救急医療指数。
済生会熊本病院が0.0124、東海大付属病院が0.0064。
両者の個別項目を比較すると、東海大付属病院は、
カバー率指数0.0064、済生会熊本病院の0.0055を上回った。
大学病院が高いと見られた複雑性指数も、済生会熊本病院が上。

救急医療指数は、救命救急センターを装備する大学病院より、
2次救急病院で多くの救急車搬送を受け入れている
病院が高い傾向。
7月、地域医療指数に基づく係数を含めた再告示が行われる。
同時に、DPC評価分科会で検証論議も開始。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/28/119632/

2010年5月6日木曜日

慶大SFC20年(3)ツイッター 授業に活用

(読売 4月29日)

慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)に今月、
携帯電話各社が臨時店舗を出した。
高機能携帯電話(スマートフォン)を、新入生に買ってもらうため。

「20年前、SFCに入った学生たちは、
いち早くインターネットを体験できた。
まだ使い道が限られるスマートフォンも、多くの学生たちが
手にして学べば、可能性が広がる」と、
環境情報学部の中沢仁講師(34)(5期生)。
学内で、スマートフォン向けソフトのプログラミング講座や
プログラミングコンテストの開催も検討。

中沢さんらは、必要な時、その場で最も必要な教材が使える
学習支援システムを作ろうとしている。
ドイツ語学習者が、ドイツでバスに乗ろうとする時。
衛星を使った位置情報やカメラを使った周辺の映像を通し、
学習者の行動を把握し、バスに乗る時の会話やビデオ、
例文集などの教材を、自動的にスマートフォンのような端末に配信。
こんな環境が出来れば、大学での学びは激変する。

ネット上に、140字以内で「つぶやき」を投稿するツイッターも、
SFCではいち早く、授業で活用。
弁理士の松倉秀実教授(54)による
「知的財産権とビジネスモデル」はその一つ。

昨年12月、カメラの手ぶれ補正技術などで著名な
パナソニックの発明王、大嶋光昭さんをゲスト。
その苦労話に、パソコンや携帯端末を開いて授業を受ける学生から、
ツイッターで、共感のつぶやきが続いた。
「ツイッターを使ったビジネスを考えてみたい」と受講者の一人。

昨秋、教員の発言のポイントや感想などの「つぶやき」を、
授業ごとに整理する「sfcnote」を発案したのは、
今春、環境情報学部を卒業した林健太さん(25)。
つぶやきをまとめると、授業のノートができる。
「全くの部外者が、議論に加わるのが面白かった。
他大学の学生からも、すぐ反応があった」。
2か月間、64回分の授業に、2800を超えるつぶやきが集まった。

一番つぶやきの多い授業もわかる。
「手を挙げて発言すればいい」、
「講義での発言の一部が切り取られるのが怖い」、
「授業の改善に役立つ」、
「もっと挑戦していい」と、教員の声も様々。
日本のインターネットの基礎を作り、IT業界に人材を送り続ける
村井純・環境情報学部長(55)は、
「こういうものをすぐ作るのが、SFCらしさ」と目を細める。

新しいIT技術を使った授業には、他大学も取り組んでいる。
20年前と差は縮まったが、先進的なIT教育を続けてきたSFCには、
少なくとも一日の長がある。

◆スマートフォン

パソコンのように、好きなソフトが取り込める。
日本では、iPhoneの発売(2008年)で注目が集まった。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100429-OYT8T00245.htm

若手研究者の海外派遣事業に20億円

(サイエンスポータル 2010年4月28日)

総合科学技術会議は、首相官邸で本会議を開き、
最先端研究開発戦略的強化事業運用基本方針を決定。
30人の代表研究者を対象とした最先端研究開発支援プログラムを
補完するための100億円と、若手・女性が活躍する基盤を
構築する300億円の運用方針を定めた。

若手・女性支援のための300億円のうち280億円は、
世界水準の研究設備を大学や研究開発独立行政法人に
整備することに割り振られる。

既に最先端の研究活動を実施しているか、
実施できる力を持っている機関が対象、
グリーン・イノベーションとライフ・イノベーションに関連する
研究設備だけでなく、事業費ベースで4割はそれ以外の分野にも配分。

研究設備の購入費だけでなく、運用に必要な経費や
若手・女性研究者が対象設備を利用して研究する場合の
研究費も支出できる。

配分先は公募ではなく、文部科学省に設けた委員会で決定。
事業期間は3年間。

残り20億円は、若手研究者の海外派遣事業に使う。
昨年の補正予算で、日本学術振興会が行っている組織的な
若手研究者等海外派遣プログラムや
優秀若手研究者海外派遣事業(補正見直しで新規募集なし)を、
分野を絞って戦略的に行う。

文部科学省に、国際企画委員会(仮称)を設け、
派遣戦略を策定してから対象機関を公募する。

30人の代表研究者を対象とした最先端研究開発支援
プログラムを補完するため、追加された100億円について、
当サイトで既に伝えているように、プログラムを加速・強化するため、
95億円を追加配分、残り5億円を最先端研究開発支援プログラム
全体や個別の研究内容の紹介など、
サイエンスコミュニケーションに使うことが正式に決まった。

http://scienceportal.jp/news/daily/1004/1004282.html

ALSの原因遺伝子特定 運動神経に影響か

(2010年4月30日 共同通信社)

運動神経が侵され、全身の筋肉が徐々に動かなくなる
難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の新たな原因遺伝子を
突き止めたと、広島大原爆放射線医科学研究所の
川上秀史教授らが、28日付の英科学誌ネイチャー(電子版)に発表。

この遺伝子の変異によって、炎症などに関与する物質が
過剰に活性化し、運動神経に影響を与える。
川上教授は、「動物実験を進め、治療法開発につなげたい」

川上教授らは、両親ともに保因者の可能性が高い
家族性のALS患者の遺伝子を調べ、
「OPTN」という遺伝子に変異を見つけた。
OPTNは、「正常眼圧緑内障」の原因遺伝子として知られていたが、
ALSでは、緑内障とは異なる場所に変異があった。

家族性ではない孤発性のALS患者でも、
OPTN遺伝子に変異がある患者が見つかった。
これまで知られている別の原因遺伝子の変異がある患者でも、
OPTN遺伝子が作るタンパク質に異常があり、
これがALSの病態に広く関与。

日本では、1年間にALSに新たにかかる人は
10万人当たり約1人、患者は約8300人、家族性は10%程度。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/30/119691/

メジャー名物、あの「くちゃくちゃ」なくなる?

(2010年4月27日 読売新聞)

メジャーリーガーが、プレーの最中に
かみたばこをクチャクチャとやる。
大リーグならではの、こんな光景が消える日が来るかもしれない。

米下院エネルギー商業委員会の健康問題小委員会で今月、
かみたばこを含む「無煙たばこ」に関する公聴会が開かれ、
青少年への影響が大きいとされる
大リーグでの禁止の是非についても議論。

大リーグでは、マイナーも含め選手の公の場での
紙巻きたばこの喫煙は禁止だが、
無煙たばこはマイナーのみ禁止で、メジャーは対象外。
米国がん協会が、1998年と2003年に行った調査では、
大リーガーの約36%が無煙たばこを使っている。

米疾病対策センター(CDC)によると、全米の死者の5分の1は、
死因にたばこが関係、無煙たばこは、口やのどのがんとの
因果関係や、心臓への悪影響がある。

公聴会は、未成年者の無煙たばこ使用が増えているとの報告、
CDCのテリー・ペチャセック氏は、紙巻きより安全と考える
若者が多いことを問題視。
大リーグ関係者の一人として出席した元選手の
ジョー・ガラジオラ氏は、「私も、選手時代は使った。
多くの友人が早死にした」と訴えた。

現場ではどうか?
ハンター(エンゼルス)は、「自分は使わないから気にしない。
今はあまり見ないけどね」と、使用が減少傾向にある。
「大人が自分の判断でやっていること。禁止すべきでない」、
レイバーン(タイガース)のような反対意見も。

エンゼルスのソーシア監督は、「議論せざるを得ない問題。
体に悪いことはわかっている」と禁止に理解を示す一方、
「国民の権利とどう折り合いをつけるか。
野球ばかり、やり玉に挙げるのもどうか」と、規制に疑問。

公聴会では、大リーグのマンフレッド労働担当副会長が、
趣旨は理解しながらも、「全米50州で合法のものをどう禁止するか」
染みついた習慣に手を入れるのは、
ドーピング検査の導入よりはるかに難しい作業。

◆無煙たばこ

JT広報室によれば、細かくしたタバコの葉をガムのように固めた
「かみたばこ」と、葉タバコの粉を唇と歯茎の間に挟んで
口腔や鼻腔で香りを楽しむ「かぎたばこ」に主に分類、
海外では広く普及。
JTが、5月に発売予定の無煙たばこは、
カートリッジに葉を詰めてパイプに取り付けて吸うもので、
「ニコチンの吸収量は、紙巻きたばこの20分の1以下」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/28/119602/

2010年5月5日水曜日

スポーツ立国第1部 支援(5)toto 振興財源の期待「大」

(読売 4月28日)

スポーツを支援しているのは、国や企業だけではない。
“第3の柱”が、スポーツ振興くじ(サッカーくじ、toto)。
事業仕分けを受け、JOCなどへの今年度補助金が削減される中、
totoの存在感が増している。

最高6億円が当たる「BIG」を中心に、totoの業績は堅調で、
昨年度の売上額は約785億円。
運営する日本スポーツ振興センター理事の石野利和は、
「国費と並ぶスポーツ財源として、
totoの果たす役割は大きくなっている」

文部科学省にいた石野が、toto担当総括官に就任時、
累積赤字は約264億円に膨れあがり、存続の危機。
「これがダメなら、つぶれるかも」との思いで導入したBIG。
これが当たった。
2008年度、過去最高の約897億円を売り上げ、
ようやく軌道に乗った。

同センターは今月、今年度の助成事業に、
過去最高の約103億円分を割り当てた。
約14億円を、トップ選手や指導者への助成に回した。
この結果、昨年度の382人から586人へと、
支援を受ける人たちが大幅に増えた。

地域の拠点となる「総合型地域スポーツクラブ」の自立支援、
活動基盤強化事業には、過去最高の約22億円を配分。
専従でクラブを運営する人材を雇う経費(1人=月22万円)への
助成を拡充。

スポーツの振興が進んでいるとは言えない。
競技団体や地方自治体からの要求額が財源を下回り、
使い切れない現象が起きている。
昨年度の繰越金は10億円。
今年度の財源は160億円を見込むが、まだ64億円が残り、
追加募集が行われる。

totoの財源を求める声が少ないのは、助成率に問題。
事業計画の2割から9割まで助成金が出るが、
残りは、競技団体などが用意する必要。
事業収入が少ないマイナー競技の団体では、
“自己資金”を集められないケースも。
元Jリーガーで参院議員の友近聡朗としろうは、
地方や競技団体は、自主財源を用意する体力がない。
もっと助成率を上げるべきだ」と訴える。

立国戦略の中間報告が、今夏にもまとまる。
第3の柱となるtotoが有効に活用されなければ、
日本スポーツ界の青写真は描けない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100430_01.htm

慶大SFC20年(2)AOの元祖 胸張る評価

(読売 4月23日)

「サーフィン好きで、書道の師範免許もあります」
日焼けした若い女性は、まず特技をアピール、
「東京の新宿に新しくできた高層ビルに感動して、
建築家になりたいと思いました」と受験の動機を話し始めた。

「民族間紛争で、大きな犠牲を出したアフリカのルワンダに、
友好のシンボルとして摩天楼を造りたい」という
夢の実現までの道筋を語ったのは7分間。

予備校「早稲田塾」が開いた、AO・推薦入試特別講座保護者会。
講座の中心は、SFC(慶応大学湘南藤沢キャンパス)対策。
環境情報学部に進んだ鈴木葉月さんが、
入試でのプレゼンテーション(口頭発表)を再現。

SFCは1990年、面接を重視するAO入試を日本で初めて導入、
毎年、総合政策、環境情報両学部で定員(各425)の
2割前後を入学。

約2000字で、入学後の学習計画まで記す
志望理由書が一番の難題。
提出書類を元にした30分の面接では、任意のプレゼン後、
複数の教員が「そんなことができるのか」、
「どんな意味があるのか」、
「なぜあなたがそれをしなければいけないのか」と、
たたみかけるように質問を浴びせる。

慶大OBでスタッフを固めた講座は、自分の言葉で
志望理由書が書けるよう、ゼミ形式で徹底して話し合う。
まず、自分を知る。
どんな研究をして、どう社会とかかわるか。
独創性が問われる。
将来展望が具体的でないと、面接時に何も言えなくなる」
保護者会でも、こんなゲキが飛んだ。

私立鴎友学園女子中学高校では、SFCが誕生した頃から、
その志望理由書を原型にした小論文指導。
「たまたまSFCに連絡を取ったら、受験生一人ひとりを
よく覚えていてくれた。
AOで、細かく見ていることがよくわかった」と吉野明教頭(59)。

10年前、全校的に取り組み、高校2年の終わりから
春休みにかけ、志望校に関係なく全員に書かせる。
「何も書けずに泣き出す子もいるが、
最後は『やってよかった』と言ってくれる」。
今春、86%が「学問で進路を選んだ」と回答、
「親に言われて」はほぼ皆無。

SFC内部では、教員から「可能なら全員をAOで取りたい」という声。
「他大学との違いは、大学の教育内容との連動だ」と職員が胸を張る。
入学後の学業成績や塾長賞などの顕彰実績も、
高評価を後押し。

AO入試を実施する大学が急増し、その評判は芳しくないが、
元祖の評価はすこぶる高い。

◆AO入試

2008年度、全大学の7割近い498校が導入。
形式的審査で合格させ、学力不足が問題視される大学も少なくない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100424-OYT8T00223.htm

貧困国のエイズ新規感染、大半は麻薬使用者 専門家が調査報告

(2010年4月27日 共同通信社)

エイズ予防などに取り組む非営利団体
「国際健康被害軽減学会(IHRA)」のゲリー・スティムソン理事
らの専門家は、麻薬使用者が注射器の使い回しをやめることなどで、
エイズウイルス感染をかなり防止できるにもかかわらず、
多くの貧困国でこうした対策が取られておらず、
エイズウイルスの新規感染者の大半が
麻薬使用者で占められているとの調査報告を発表。

報告書によると、エイズウイルスの新規感染者に占める
麻薬使用者の割合は、最も高いバングラデシュでは90%、
ロシアでは66%、インドネシアでは50%。

国連などは、エイズウイルスのまん延を減少させるため、
麻薬使用者が注射器を交換したり、合成鎮痛薬メタドンを
代替薬物に使用するなど、「麻薬使用者への危害軽減」の
方策を講じるよう提唱。

こうした対策には、32億ドルの資金が必要とみられ、
実際に使われた資金は20分の1、約100の貧困国では
こうした措置が講じられてないため、
麻薬使用者を中心にエイズの感染が拡大。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/27/119550/

岩手発の技術、宇宙へ 盛岡の製造会社のフィルター

(岩手日報 4月24日)

電子回路設計製造のアールエフテストラボ
(盛岡市、森沢茂紀代表取締役)が開発した
「バンドパスフィルター」が、5月18日に
種子島宇宙センターから打ち上げられるH2Aロケットの
小型人工衛星2基に搭載。

衛星が地球に向けて、実験データを送信する無線機内で使われる。
宇宙航空産業は、ものづくりで最高峰の技能が求められる分野。
同社の製品が高い評価を受けて、無線機メーカーに採用、
岩手発の技術が宇宙空間へと旅立つ。

バンドパスフィルターは、必要な範囲の周波数の電波だけを通す装置。
ラジオや携帯電話をはじめ、無線機には必ず使われている。

同社は、人工衛星のマイクロ波無線機を受注した
埼玉県と福岡県の2社から依頼を受け、フィルター製作に着手。
宇宙空間から地球まで、省電力による通信を実現するため、
信号のロスが極めて少ない製品の開発に成功。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100424_3

2010年5月4日火曜日

有人宇宙活動でアピールしてほしいことは?

(サイエンスポータル 2010年4月27日)

山崎直子宇宙飛行士らが搭乗した米スペースシャトル
「ディスカバリー」による13日間の活動について、
航空宇宙研究開発機構(JAXA)が、宇宙開発委員会に報告。

今回の主な任務は、「多目的補給モジュールを
国際宇宙ステーション(ISS)結合部に取り付ける」、「搭載物資の移送」、
船外活動による「アンモニアタンク、レートジャイロ・アセンブリの交換」、
「『きぼう』からの微小粒子捕獲実験装置・材料曝露実験装置の回収」

山崎宇宙飛行士が担当した主な任務は、シャトルロボットアームに
取り付けたセンサ付きブームの操作による「ディスカバリー」機体の
損傷点検、多目的補給モジュールのISSへの移設と物資移送。

ISSの日本実験棟「きぼう」では、どんな実験が行われたのか?
「宇宙放射線と微小重力に長期間さらされた神経細胞が受ける
影響について、遺伝子のレベルで詳細な情報を得る」、

「筋肉タンパク質(Cbl-b)に注目、新規筋萎縮メカニズムを
明らかにすることで、宇宙飛行士だけでなく、
老化や寝たきりによる筋萎縮へ応用する」、

「宇宙飛行士に付着している微生物、特に真菌(カビ)の変化を
調べることで、今後の宇宙飛行士の健康管理に役立てる」、

「『きぼう』船内の宇宙放射線量を計測する」といった説明。

真菌の変化を調べた試料と宇宙放射線量を計測した機器は、
ディスカバリーによって持ち帰られた。
今後、地上でさらに詳しい解析が進められる。

これだけ読んで、大事なことをやっている、とピンとくる
普通の国民は少ないのでは。

日経新聞26日朝刊「レビュー&プレビュー」面に、
「宇宙実験日本の果実は 医学データ蓄積/新材料生まれず」
という記事。

この18年間、スペースシャトルに搭乗した日本人宇宙飛行士たちの
活動を振り返り、「医学関連の研究は、宇宙酔いを防ぐ薬の種類や
量などの知識を蓄えるのに役立った。
弱った骨や筋肉を、地球帰還後に鍛え直す方法の研究も進んだ」と、
具体的成果を挙げている。

「ただ、それ以外の科学実験は、掛け声倒れが目立つ。
成果が米サイエンス、英ネイチャーなど有名科学雑誌に
掲載された例は少ない。
宇宙での結晶成長実験などから、エレクトロニクスや自動車などの
分野で、広く使われる優れた材料が生まれた話は聞かない」

日本の有人宇宙活動も、よくぞここまで来た。
シャトルの機体と搭乗宇宙飛行士乗員全員の命を失った
2度の大事故を乗り越えて…。
そう考える人たちは、日本で有人宇宙活動を推進してきた人たちに多い。
シャトル計画とISS計画に、日本が参加しなかったなら、
有人活動の経験は全く得られなかった、という思いもまた強い。

問題は、どれだけ多くの国民が同じように思っているかでは。
前原誠司・宇宙開発担当相は、ディスカバリー帰還に際し、
「山崎宇宙飛行士が、野口聡一宇宙飛行士を含む
各国の宇宙飛行士と協力し、予定されたミッションを成功裏に
遂行されたことは、わが国としての責務を果たし、
多くの方々に感銘を与えた。
地上との交信で、日本古来の文化である俳句や琴を披露、
国民の皆様に宇宙を身近に感じていただく上で意義深い。
今後、国際宇宙ステーションにおけるさまざまな活動が、
国際協力を一層進め、大きな成果をもたらすことを期待」

「きぼう」内での実験など科学的、技術的な具体的活動には
触れていない。
「日本人宇宙飛行士たちのおかげで、
宇宙は十分身近に感じられるようになった。
有人宇宙活動は、何のためにやるかをアピールしてほしい
そんな声が、宇宙開発を応援する人たちから出てきそうな気もする。

http://scienceportal.jp/news/review/1004/1004271.html

慶大SFC20年(1)未来の交流拠点「創造塾」

(読売 4月23日)

普段着の若者が一人、また一人、
東京・代々木の会議室のドアをノックする。

20~30分おきに十数人。
慶応大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生たち。
大学から、バスと電車で約1時間半。
学生たちは、会議室を訪ねるようにとしか指示を受けていない。
部屋では、外国人の集団が英語で話し続け、
どう割って入ろうか、立ち尽くす学生も珍しくなかった。

SFCが試みる、グローバルリーダーシッププログラムの一環。
学生たちは、2~3月にかけ、地元企業の研修施設に泊まり込み、
人材育成にかかわる本城慎之介さん(37)(2期生、元楽天副社長)ら
から指導を受け、中国・上海から来日した高校生の世話係も務めた。

SFCは、開設20周年を記念してキャンパスを拡張、
24時間滞在型の教育研究施設「未来創造塾」を作る。
500人以上が宿泊でき、学生が先輩や教員、卒業生、
海外も含めた研究者などと交流できる場。
プログラムに参加した学生は、この際の世話役になる想定。

2年前、来日した米国初の女性連邦最高裁判事
サンドラ・オコーナーさんと、学生が交流。
総合政策学部の古谷知之・准教授(37)(3期生)らが、
米英の有力大を視察。
代々木での「異文化体験プログラム」の試みは、
英オックスフォード大などを参考。
新年度から、新入生向けに本格プログラムを始め、
時期を見て、指導役も切り替えていく。

SFCには4年前まで、学業・生活両面で、先輩や教員が
新入生の面倒を見るアドバイザリーグループの仕組みがあった。
学内では、「教員と学生の関係が、以前ほど密でなくなった」という声。
先輩が後輩を先導するのは、慶応義塾の創設者、福沢諭吉が
唱えた「半学半教」の精神に通じるという自負も。
「後輩がどう育つかが、自分たちにかかっていると思うと、誇りに思える」
とプログラムに参加した学生の一人。

創造塾は、用地を確保したものの、
建物の建設費のめどは立っていない。
世界的な金融危機で、学校法人慶応義塾が巨額の赤字。
「それなら、予定地にテントを張って始めてもいい」、
国領二郎・総合政策学部長(50)。
その言葉から、新たな“塾”への熱意が伝わってくる。

慶大SFCは、1990年の開設以来、文理融合の学際的教育や
最先端の情報教育を進め、面接を重視したAO入試を
最初に導入するなど、大学改革の先頭を走ってきた。
卒業生は、学部だけで1万6000人超。
SFCを通して、これからの大学のカタチを考えたい。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100423-OYT8T00232.htm

看護職員、過酷な労働環境 薬の常用6割、切迫流産3割 医労連調査

(2010年4月27日 毎日新聞社)

病院や診療所などで働く看護職員の約7割が慢性疲労を訴え、
鎮痛剤や睡眠剤など何らかの薬を常用している割合は
約6割に上り、妊娠者のうち3人に1人は流産の前兆である
切迫流産を経験していたことが、
日本医療労働組合連合会(医労連)の調査で分かった。

医労連は、「慢性的な人手不足による過重労働が原因。
不当なサービス残業も横行、法令順守を関係機関に徹底させたい」

09年11月~10年1月に看護師、准看護師、保健師、助産師の
4職種を対象にアンケートを実施、約2万7000人から回答。
「疲れが翌日に残る」など、慢性疲労の症状を訴える人は73・5%、
20年前の調査から7ポイント増加。

疲れやストレスなどから薬を常用する割合は、
多い順に鎮痛剤(29%)、ビタミン剤(19%)、胃腸薬(17・6%)。
睡眠剤(6・9%)、安定剤(4・3%)の常用者も。
「常用してない」は40・5%。

06年4月以降、妊娠した約3500人のうち、34・3%が
切迫流産を経験、20年前より10ポイント増。
07年、全国労働組合総連合が一般事務職員を対象に行った
調査時の17・1%を大きく上回った。
逆に、「順調」との回答は8ポイント減って、22・4%。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/27/119537/

支えます農への志 宮古・新規就農補助事業スタート

(岩手日報 4月24日)

宮古市が、2010年度からスタートした
新規就農対策事業の第1号として、
同市板屋の吉浜孝明さん(28)が、上山則夫さん(49)方で研修。
担い手の確保を目指す同事業は、研修者と受け入れ農家に、
それぞれ市単独で研修費などを補助。
市は、「農業振興へ制度を、どんどん活用してほしい」と呼び掛け。

吉浜さんは同市出身で、酪農学園大卒業後、
養豚会社勤務やスイスでの野菜栽培研修を経て、
昨年6月から上山さん方で研修中。
今年4月、市の事業を活用し、
今後2年間、農業技術や経営を学ぶ予定。

吉浜さんの実家は、農家ではないが、「野外で働き、野菜が日々
成長するのを見て、収穫できるのが楽しい」と、地元で就農を希望。
「地域に合った技術を研修したい」と、
野菜の栽培方法を学んでいる。

研修を受け入れた上山さんは、農協を退職後、専業農家となり、
トマトやピーマンのハウス栽培や露地での野菜栽培などを展開。
自身も、青年海外協力隊員としてパラグアイで農業指導、
岩手大など主催のいわてアグリフロンティアスクールを修了、
アグリ管理士となっている。

上山さんは、「農家も、体が動くうちに新規就農者を育てれば、
地域の農業が盛り上がる」
吉浜さんに、「マニュアル的にやっては、失敗することがある。
観察をしっかりしよう」、
「農業は、産業として伸びる可能性がある。
遊休農地も多く、若い人にはどんどん挑戦してほしい」

同市は、10年度から新規就農を希望する研修者に月額5万円、
家賃の半額を上限2万円で、2年以内補助する支援事業をスタート。
受け入れ農家や農業法人にも、月額3万円を補助。
就農時にも、施設整備などに補助。

市農業課の佐藤広昭課長は、
「地産地消、食の安全への関心の高まりなど、
農業は重要性を増している。
農業の振興へ、新規就農者らを支援していきたい」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100424_9

2010年5月3日月曜日

スポーツ立国 第1部 支援(4)脱・縦割りへ 「庁」新設構想

(読売 4月28日)

トップ選手の練習拠点である、
味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の使用を断られた
金メダリストがいる。

パラリンピック競泳日本代表として5大会に出場し、
金5個を含む21個のメダルを取った河合純一。

2008年北京五輪の前。
五輪選手が使わない期間、河合はNTCでの合宿を関係者に要望。
しかし、回答は「ノー」。

河合が、NTCの使用を断られた理由は、
「五輪を担当する文部科学省が作った施設だから、
厚生労働省が担当するパラリンピックの選手は使えない」

最終的には、特例で使用を認められたが、
今後について、両省の話し合いは進んでいない。
河合は訴える。
「特別扱いでなく、ずっと使えるようにしてほしい。
役所の都合で、選手が不利益を被るのはおかしい

河合の例は、各省でバラバラに行われてきた
国のスポーツ支援を象徴。
スポーツというと、学校体育を担う文科省が思い浮かぶ。
実際には、他の役所も深くかかわっている。

競技場などの整備と運営は国土交通省が担当、
用具などのメーカーは経済産業省が監督。
障害者スポーツは厚労省、
宝くじによるスポーツへの助成は総務省――

まさに縦割り行政の典型的な例。
現状では、一貫した政策が行われず、
予算の無駄遣いと言われても仕方がない。

3月に行われた「スポーツ立国戦略」の第1回ヒアリングで、
プロ野球・ヤクルト前監督の古田敦也が力説。
「スポーツ庁を作ったらいい。
行政の力が伝わりやすくなる」

さらに刺激的な発言が続く。
「文科省の隅で扱われているうちは、大きくならない。
スポーツの価値を高めるには、外に出て庁になるのが一番早い」

古田だけでない。
選手や競技団体もスポーツ基本法をもとに、
バラバラの政策をまとめる新しい役所の必要性を訴える。

過去にも、同じような例はある。
1968年、文部省(当時)から“独立”した文化庁。
各省庁の部局が統廃合されていた時期にもかかわらず、
芸術活動の振興や文化財の保護などの重要性が認められた。

当時、スポーツより少なかった文化芸術の今年度予算は
約1020億円、スポーツの約4・5倍に膨らんでいる。
国の支援を望むトップ選手が、スポーツ庁構想に
目を輝かせるのも無理はない。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100428_01.htm

「野球ひじ」予防、早期発見を 医師らがケア組織

(2010年4月27日 毎日新聞社)

成長期の子どもが、投げ過ぎなどでひじを痛める「野球ひじ」の
予防や早期発見につなげようと、県内の整形外科医や
理学療法士ら約90人が、「野球障害ケア新潟ネットワーク」を発足。

県内の野球団体で構成する県野球協議会にも加盟。
小学生から還暦野球チームまで、
試合や会合に出向いてはメディカルチェックを行う。

野球ひじは、主に投げ過ぎで起こるひじの関節障害。
成長期の小中学生に多く、重症化するとひじを曲げ伸ばしできなくなり、
手術が必要に。
後遺症が残り、投手はおろか野球を続けられなくなることも。
「診察室で泣き崩れる子どもを、何人も見てきた。
異常を早く発見し、投げ過ぎ予防のルールを作らないと」

新潟リハビリテーション病院長で、整形外科医の山本智章医師(50)は、
同ネットを発足させた狙い。

整形外科医と理学療法士らのチームが、
少年野球チームの試合や会合に出張。
仮設テントを設けるなどして、肩やひじを超音波や触診・問診で検査。

県内の主要野球団体が入っている県野球協議会に加盟し、
県内各地でメディカルチェックを普及させたい考え。

野球ひじになり、手術する小学生は、県内だけで年間10~20人。
「小学生で、ひじにメスを入れなければならないのはなぜなのか」、
山本医師が03年、野球経験のある医師ら10人と
野球の障害予防チームを結成したのが発端。

新潟市内の少年野球チームを中心に、メディカルチェックを重ね、
球児の1割前後が野球ひじになっていることが分かった。

球児たちのフォームの高解析カメラによる動作分析も始め、
下半身や体幹を使わず、上半身に頼ったフォームが
障害を生じやすいことも確認。
ひじや肩に負担をかけない投球フォームのアドバイスもしてきたが、
野球の指導内容にかかわるため、
浸透には指導者の理解が欠かせない。

日本臨床スポーツ医学会は、投げ過ぎを防ぐため、
1日の全力投球数は小学生で50球以内、中学生で70球以内が
望ましいなどと提言。

実際は、認知が進んでいないのが現状、
山本医師は、「いかに野球関係者と連携していくかが大事」
野球障害は、全国共通の問題。
幅広いデータ蓄積と分析を進めようと、他県の医師らと協力し、
メディカルチェックを全国共通の内容で行う取り組みにも乗り出している。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/27/119568/

オルニチン 健康な肌、サポートも 筋肉増強効果にも期待

(2010年4月24日 毎日新聞社)

シジミに多く含まれるアミノ酸の一種、オルニチン。
前回(4月10日)では、主に肝臓の働きを改善し、
疲労回復効果があることを紹介。
今回は、美容やスポーツの分野でも注目されつつある。

■美容で注目

オルニチンのサプリメント(健康補助食品)が、
日本の市場で目立ち始めたのは、6~7年前。
継続して使用する消費者の間から、「何となく肌や体の調子がいい」
といった声。
微生物による発酵で、オルニチンを商品化している
協和発酵バイオは、肌への影響について調べた。

ボランティアの成人14人を2群に分け、
一方にオルニチン(1日あたり800mg)、もう一方に偽サプリメント
(プラセボ)を3週間摂取、肌の体感効果を比較。

その結果、オルニチンの摂取グループはプラセボ群に比べ、
「顔のしわや肌荒れが改善した」、
「顔にはりが出てきた」などの効果を感じる度合いが
高いことが分かった。

どんなメカニズムなのか?
海外の研究報告によると、マウスにオルニチンを与えて
肌のコラーゲンを測定、コラーゲンの合成を促している。
オルニチンは、体内でコラーゲンの原料の一つである
アミノ酸(プロリン)に変わる。
コラーゲン遺伝子の発現が、オルニチンで増大することも発表。

研究報告から、協和発酵バイオ・ヘルスケア商品開発センターの
酒井康・学術研究企画室マネジャーは、
「オルニチンの摂取が、コラーゲンの原料を供給し、
細胞レベルで合成能を高めることで、コラーゲン合成を促すのでは」

コラーゲンは、肌の弾力性を保つたんぱく質の一種。
コラーゲンの合成に、オルニチンがどこまで関与しているのか、
今後の研究が楽しみ。

■スポーツでも活躍

米国では、オルニチンのサプリメントは筋肉を増強したり、
脂肪の燃焼を促す目的でも使われている。

こんな試験がある。
平均年齢41歳の男女17人を2群に分け、一方にオルニチン、
もう一方にプラセボを8日間摂取、自転車をこぐ運動負荷試験を実施後、
血液中のアンモニア濃度を比較。

その結果、オルニチンを摂取した群の方が、
運動後のアンモニア上昇を低く抑えられた。
自転車を一定時間全力でこぐ運動能力の比較でも、
摂取群の方が運動能力の低下が抑えられ、
オルニチンが持久力を高めていることを示唆。

アンモニアは、筋肉やエネルギーを使うと発生し、
疲労物質のひとつ。
激しい運動後、血液中のアンモニア濃度が高くなるが、
オルニチンの摂取でアンモニアが尿素に解毒、
疲労物質の生成が少なくなるのでは。

運動をしながらオルニチンを摂取すると、体脂肪率が減り、
筋肉が増える、という研究報告(米国のニュートリション・リサーチなど)。

日本国内では、オルニチンを加えた即席みそ汁や飲料、
コラーゲンとオルニチンを含む美容ドリンクなど、
さまざまな商品が登場。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/26/119435/

本県が全国最多 グリーンツーリズムのモデル地域

(岩手日報 4月25日)

国が、児童生徒向けグリーンツーリズムのモデル地域を
採択する「子ども農山漁村交流プロジェクト」で、
本県のモデル地域数が8市町村と、全国最多。

本年度は奥州市、雫石町、洋野町が新たに選ばれた。
農家らが主体となって、いち早く農村体験や民泊受け入れに取り組み、
豊かな自然や人の温かさが、都市部の学校にとって大きな魅力。
継続的な交流も生まれ、地域活性化に一役買っている。

奥州市には23、24日、宮城県富谷町・富谷二中の2年生91人が
課外学習で訪問。
同市胆沢区の農家20戸が、民泊を受け入れた。

農業玉山幸芳さん(55)方では、生徒5人がまき割りなどを体験。
北林大樹君は、「何もかも初めて経験することばかりで、感動した」

玉山さんの妻恵子さんも、「生徒が民泊で、変わる姿がうれしい。
その後、旅行に来てくれる生徒もいて、
わたしたちも元気をもらえる」

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100425_3

2010年5月2日日曜日

スポーツ立国 第1部 支援(3)強化と普及「地域」主役に

(読売 4月25日)

これから日本スポーツ界を支えるのは、だれなのか?
そのキーワードは「地域」――。

2008年北京五輪陸上男子400mリレーで、銅メダルを手にした
朝原宣治は、引退後も走っている。
今年4月、兵庫県西宮市で陸上クラブを発足。
集まったのは、小学生から大学生までの約120人。
トップレベルの指導者による一貫指導は、選手にとって魅力的。

目指すのは、かつて留学したドイツの地域クラブ。
練習拠点だった「シュツットガルト」は、サッカーで有名だが、
陸上やハンドボール部もある。
「学校の外で、こんなにスポーツが盛んなんだ」と驚いた。

スタジアムや体育館が開放され、トップ選手のほか、
子供からお年寄りまで、誰もがスポーツを楽しんでいた。
クラブの対抗戦ともなれば、家族で声援を送る。
「スポーツが身近にあるから、ドイツは五輪でも強い」
強化と普及が、表裏一体となっているスポーツ大国の底力を感じた。
「違う」と、朝原は思う。

日本の場合、子供がスポーツに触れる場は学校。
問題は少なくない。
少子化が進む中、学校単位でチームを組むため、
団体競技ができないケースが増えている。

小学校、中学校、高校、大学と学ぶ場が移ると、
指導者も変わり、選手は一貫した指導が受けられない。
卒業後、企業の支援を受けられないと、引退に追い込まれてしまう。
朝原は、「選手が環境に振り回されている」
「政府がイニシアチブを取って、選手がずっとスポーツに親しめる
ネットワークを作ってほしい」と願っているが、
待っていても何も変わらない。

まずはできることから、と発足させたクラブ。
「ここから、世界に羽ばたく選手を育てたい」
これからも、朝原は走り続ける。

今の環境を改善するため、
スポーツ基本法の成立が求められている。
日本スポーツ界の“憲法”となる存在。
文部科学省が検討している法案に、「スポーツ権」が書き込まれる。
「すべての人がスポーツを楽しむ権利」――

これを守るため、地域のクラブを中心に、
国がスポーツの強化と普及に力を入れることになる。
「法律の裏付けがあれば、しっかり予算を付けられる」と文科省幹部。
5回目のヒアリングが終わり、来年の通常国会に法案を提出する
準備が進んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/sports/feature/rikkoku/ri20100425_01.htm

「医療ビザ」の新設検討 アジアの富裕層を治療 政府、成長戦略に反映

(2010年4月27日 共同通信社)

政府は、日本で長期治療を希望する外国人のため、
「医療滞在ビザ」を新設する方向。
日本に長期間滞在し、高水準の医療を受ける
中国やアジア地域などの富裕層を増やし、
医療ビジネスの拡大につなげる。
6月、閣議決定する成長戦略に反映させる。

国家戦略室が、成長戦略をめぐる意見聴取で、
外務省と厚生労働省が医療ビザの創設に
前向きな考えを示した。
内閣府の津村啓介政務官(国家戦略室担当)は、
「医療は、成長戦略の大きなテーマ。
医療ビザ創設を、成長戦略に盛り込みたい」

現行制度では、日本で治療を受ける外国人は、
最長90日間滞在できる観光用などの短期ビザで入国。
長期入院する場合、滞在期間の延長手続きが必要。
延長が認められないケースもあり、外国人が日本で
治療を受けるのをためらう要因に。

津村政務官は、治療を受ける外国人が滞在を延長する
手続きを簡素化したり、現行制度よりも滞在期間を長くする形で
医療ビザを設ける考えを示した。
具体策は外務、法務、厚労省などで検討を急ぐ。

政府は、成長戦略の重点分野の一つに医療を挙げている。
厚労省は、海外の医療保険を、日本の医療機関で
利用できるようにすることも提案。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/27/119527/

iPSの今〈1〉「初期化」遺伝子増やす?減らす?

(2010年4月26日 読売新聞)

神経や心筋など、様々な細胞に変化できる
人のiPS細胞(新型万能細胞)。
世界中が注目した、山中伸弥・京都大教授の作製発表から2年半。
今月、京大に国内初の専門研究機関「iPS細胞研究所」が発足。
「どうやって万能性を獲得したのか」、
「どんな遺伝子が働いているのか」など、未解明な部分も多いが、
激しい国際競争を経て、その姿が少しずつ見えてきた。

人の体は、約250種類の体細胞からできているが、
どれも元々は1個の受精卵から変化。
iPS細胞は、すでに皮膚などに変化している体細胞を、
時計の針を戻すように、様々な細胞に変化する前の受精卵に
近い状態に戻す「初期化」を、強制的に行って作った。
受精卵のように、いろんな細胞に変化できる。

では、どんな体細胞も初期化をして、iPS細胞を作れるのか?
山中教授が最初に用いたのは、皮膚。
変化前の比較的未熟な細胞がまじっていた可能性もあるため、
初期化しやすく、研究者の間では、
「他に、どんな細胞が使えるのか」に興味。

マウス実験などで肝臓や胃、骨髄、神経などで
iPS細胞ができるという報告が相次いだ。
研究競争の決定打となったのは、それ以上変化できない
終末分化と呼ばれる状態の成熟したBリンパ球の成功。
京大の長船健二准教授は、
「これで、どんな細胞からもiPS細胞が作れることが分かり、
生物学的な結論が出た」

材料として最適なものは、まだわかっていない。
iPS細胞は、がんになる恐れがあるうえ、
1個作るのに大量の細胞が必要で、効率の悪さも課題。
マウス実験では、胃の細胞を使えば、皮膚や肝臓より
がん化を大幅に抑えられる。
同じ皮膚でも、紫外線にさらされる頭皮と腹部の皮膚とでは、
遺伝子の傷や変異の程度が異なり、
作製効率や安全性に差が出るとも考えられている。

長船准教授は、「さい帯血は、遺伝子の変異や傷が
ほとんどないので適している」
「人での作製にも成功しているさい帯血や親知らずの歯の細胞など、
入手しやすい医療廃棄物を利用して、バンクを作るのが実用的」

簡単に採取できる髪の毛や血液から、iPS細胞ができたとの報告。
作製自体が困難なうえ、効率も極めて悪い。
1本の髪からできれば理想的だが、
今のところ現実的な選択肢ではなさそう。

山中教授は、「山中4因子」と呼ばれる4種類の遺伝子を、
レトロウイルスを運び役にし、体細胞に入れて初期化に成功。
がん遺伝子c-Mycを含むなど、安全面の問題も。

そこで、遺伝子の種類をいかに減らすか、研究が急速に進んだ。
昨年2月、独マックスプランク分子医薬研究所のグループが
Oct3/4という遺伝子だけで初期化に成功、
マウスのiPS細胞を作製。
米ハーバード大などのグループは、4因子のうち
1-2遺伝子の代わりにバルプロ酸などの化合物を用いて作製、
効率を高めることにも成功。

山中4因子は、もともと細胞内にあるので、
細胞によっては、四つのうちの幾つかが活発に働いているため、
その遺伝子を入れなくても初期化できるとみられていた。
理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの
丹羽仁史チームリーダーも、「多くの研究は、四つのうち、
いずれかの遺伝子がよく働いている細胞を用いている」

丹羽さんは、様々な組織の細胞になる胚性幹細胞(ES細胞)で、
変化する前の未分化な状態を保つ遺伝子や、
変化にかかわる遺伝子のネットワークの解明を進めてきた。

これまでの研究成果から、丹羽さんは、初期化には
10種類ほどの遺伝子が連動していると考えている。
山中4因子は、初期化を引き起こすぎりぎりの数で、
現在のiPS細胞の質や作製効率は不安定。
「むしろ入れる遺伝子の種類を多くすることで、
より確実に、高品質なものを作れるのではないか」と丹羽さんは分析。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/4/26/119486/

南部鉄瓶いざ上海万博へ 県、5月1日から共同出展

(岩手日報 4月26日)

県、中国上海市の茶販売業者・上海大可堂、プーアル市の
3者が共同出展する上海万博は5月1日、上海市で開幕。

プーアル茶と茶湯に適した伝統工芸品の南部鉄瓶を、
セットで世界に発信。
これに先立ち、達増知事は27日から訪中、
プーアル市と友好協定を締結。
急成長する中国市場で、県産品の販路拡大、観光客誘致に。

万博は、10月31日までの184日間。
3者共同ブースは、6月30日までの61日間展開。
328ヘクタールの万博会場のうち、
総芸ホール・エントランスロビー(面積70平方メートル)に出展。

出展するのは、県南部鉄器協同組合連合会の会員企業が
製造した鉄瓶、ティーポット合わせて75点。
出品企業の一つ、岩鋳(盛岡市)の福村勲専務は、
「茶に適した良質な湯を沸かすことができる南部鉄瓶は、
富裕層の間で知名度が上がっている」と意気込む。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20100426_3