2009年1月28日水曜日

女性は空腹を抑えにくい? 米チームが脳解析

(共同通信 2009年1月20日)

女性は、男性に比べて空腹感を抑える能力が低いとの研究結果を、
米ブルックヘブン国立研究所などのチームが、
米科学アカデミー紀要電子版に発表。

空腹時に好きな食べ物を見てもらい、脳の活動状態を調べた。
研究チームは、「女性に食べ過ぎてしまう傾向が強いという過去の研究と
矛盾がなく、女性のダイエットが成功しにくいことの根拠になるかもしれない」

実験に参加したのは、20-40代の健康で標準的な体格の男女計23人。
実験前夜の食事から17時間以上たった空腹状態で、
サンドイッチやピザなど、それぞれの好物を見たりにおいを確かめたりした。

その直後に、陽電子放射断層撮影装置(PET)で脳の状態を調べると、
男女とも通常より脳は活性化していた。

しかし、食べ物を無視したり別のことを考えたりして
空腹感を抑えるよう求めると、男性は女性と比べて感情の働きなどに
関係する「扁桃体」などの領域の活動が大幅に低下。
実際に感じる空腹感も、男性の方が少なくなっていた。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/1/20/86616/

2009年1月27日火曜日

現場再訪(9)「大都市圏で教師」続く

(読売 1月21日)

地方の大学から大都市圏の教員をめざす傾向が続いている。

東北出身の先生たちは評判が良く、校長が欲しがります。
皆さんの先輩がいい実績を上げてくれている。
ぜひ続いて、埼玉の子供たちに力をつけてほしい」

津軽平野に初雪が降って間もない昨年11月下旬、
埼玉県教育委員会小中学校人事課管理主事の本荘真さん(44)が、
弘前大学教育学部の学生ら約40人を前に熱弁をふるっていた。
「埼玉も田舎。関東の子供も東北と違わない」と、先入観を取り払い、
「地元と併願で、第1志望でなくてもいいから」と必死。

同大には、相前後して、さいたま市、千葉県、栃木県の各教委が説明に。
今月には、神奈川県内の学校に勤務する卒業生との懇談会も開かれた。

弘前大では2005年から、教員採用試験を受ける学生に
チャーターバスを出すなど、学生の首都圏受験を積極的に後押し。
その結果、1都3県4政令市での大学院生を含む合格者は、
05年37人、06年36人、07年45人、08年55人と近年、急増。

採用者は、06年春33人、07年春25人、08年春32人で、
急増した分、辞退者も多い。
今春もこの傾向は続く見通し。
試験に合格しても、東北地方を中心にした地元の学校で臨時講師になったり、
民間企業に就職したりする学生が多い。
同学部就職対策委員会委員長の宮崎秀一教授(55)は、
「受験自体への抵抗感は薄れてきているようだが、
最後の決断への壁は依然厚い」と痛しかゆしの表情。

説明会に出席していた片方麻衣さん(21)(3年)も、
「先輩も多く就職しており、(試験日程がずれている)出身地の岩手と
併願を検討したい」と言いつつ、「関東への抵抗感はある」と認める。

青森県の08年度教員採用倍率は16・5倍で、全国で3番目に高い。
縁故採用汚職が発覚した大分県をわずかながら上回る。
地方での正規教員就職は夢のまた夢、という状況が続いている。

一方、大量退職時代を迎えている大都市圏の倍率は、
川崎市(3・5倍)、大阪市(3・7倍)、千葉県(4・5倍)、埼玉県(5・6倍)と低い。
今春、3000人規模の採用が予想される東京都教委。
来春に向けて来月、都内の小学校を見学するバスツアー
「東京の先生になろう」を初めて開く。
東北地方の教員志望者に向けた企画。
都教委では、「大量退職はあと5年くらいは続く」

しかし、売り手市場は期間限定的でもある。
大都市圏では、私大を中心に教員養成課程の定員を増やす動きが目立つ。
児童生徒数の減少もあり、一時的な教員不足は、やがて解消されると見られ、
大都市圏でも将来、パイの奪い合いになっていく可能性がある。
「都会に行けば先生になれる」――そんな夢も、いずれは、
揺らいでしまうことになるかもしれない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090121-OYT8T00293.htm

インタビュー・環境戦略を語る:サッポロビール・市川淳一取締役常務

(毎日 1月19日)

サッポロビールは、製品の生産から消費までの二酸化炭素(CO2)排出量を
「カーボンフットプリント」として缶に表示した定番商品
「サッポロ生ビール黒ラベル」を、2月から北海道で試験販売。
ビール業界では世界初となる見込み。
担当の市川淳一常務に環境問題への取り組みを聞いた。

-地球温暖化問題への対応はいつから?

94年に「環境行動指針」を定め、CO2排出量を2010年までに
90年比で12%減らす目標。
03年にはそれを達成し、更に04年には「06年までに25%削減」という
新目標を設定し、クリアした。
現在の目標は、05年に掲げた「10年までに総量で50%、
原単位(単位生産量あたりのCO2排出量)で40%削減」。
総量は既に達成したが、原単位で40%減らすのは相当高いハードル。

-どうやって減らしてきたか。

◆工場が中心。
コージェネレーション(発電で出る熱を有効利用する)システムの導入、
廃水を微生物で分解してメタンガスを発生させ、燃料として使うといった
取り組みで、エネルギー効率を高めてきた。
容器の製造段階で出るCO2排出が多いので、
従来より小さくて軽いアルミ缶への切り替えを進めている。
物流面では、昨年から北海道でキリンビールと共同配送を始めている。

業界唯一の「協働契約栽培」も環境と関係が。

◆麦やホップを生産する国内外の農家約2100戸と契約し、
16人の社員が出向いて栽培方法などを取り決め。
あくまでも安全性と品質のためだが、農薬使用の削減など、
環境に優しい農法につながる面も。
カーボンフットプリントの前提となる「ライフサイクルアセスメント」
(原料生産から製品の消費・廃棄までの一貫したCO2排出量算出)
可能なのも、100%の協働契約栽培を行っているから。

-フットプリントの本格導入は?

◆時期は未定だが、試験販売を通じてお客様の反応や
購買行動への影響を調べ、本番に備える。
カーボンフットプリントは国全体の流れですが、消費者の認知度はまだ高くない。
取り組みを通じて関心を高め、環境問題に貢献する姿勢をアピールしたい。

-ビール事業以外では?

◆タイで製糖工場から出るサトウキビの搾りカスなどから
バイオエタノールを作る共同事業に参加。
静岡市では、おからやジャガイモの廃棄物からエタノールを
生産する事業を昨年から始めた。
未来のエネルギー源として期待される水素を、パン工場の廃棄物から
作り出す技術も、広島大学と共同研究。
==============
◇いちかわ・じゅんいち

早大政経卒、70年サッポロビール入社。
経営本部長などを経て07年3月から現職。
経済産業相が認定する消費生活アドバイザーの資格も持つ。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/19/20090119ddm008020030000c.html

最大のたんぱく質の構造解明 感染症・がん新薬に期待

(朝日 2009年1月16日)

兵庫県立大、大阪大のグループは、生物の細胞内で最大のたんぱく質
「ボルト」の構造を、大型放射光施設スプリング8(兵庫県佐用町)で解明
ボルトは、細菌に対する免疫や、抗がん剤が効かなくなる仕組みに関係、
治療薬の開発に応用が期待。米科学誌サイエンスで発表。

ボルトは、1986年にネズミの肝臓から発見されたラグビーボール形の
輪郭をもつたんぱく質。脊椎動物などの細胞内にある。
分子量は、一般的なたんぱく質の100~1千倍ほどにあたる約1千万で、
知られている細胞内のたんぱく質としては最大で、詳しい形はなぞ。

兵庫県立大の月原冨武特任教授らは、
スプリング8の非常に強いX線を1分間あてることで構造を解明。
ひも状の分子が上下39本ずつ計78本寄り集まり、
つるを編み込んだ籐籠のような形に。

ボルトは、人間が緑膿菌に感染したとき、体内の免疫が菌を殺すのを助ける。
複数の抗がん剤が効かない多剤耐性のがん細胞は、
ボルトの部品であるひも状分子を大量につくることが知られている。
今回、構造が特定されたことで、ボルトの機能の研究が進み、
感染症やがんの治療効果を高める薬の開発に結びつくと期待。

http://www.asahi.com/science/update/0115/OSK200901150083.html

2009年1月26日月曜日

リンカーン大統領の功績

(サイエンスポータル 2009年1月21日)

オバマ米大統領就任をめぐるニュースの中で、
リンカーン大統領をいかに尊敬しているかを示す事例が何度も紹介。
フィラデルフィアから鉄道でワシントン入りしたのも、
リンカーン大統領にならい、宣誓の時に使った聖書も同じ、などなど。
奴隷解放をめぐり国内を二分する南北戦争で勝利し、
その後いち早く国内融和に努めたリンカーン大統領に、
新大統領が特段の敬意を払うのは、十分理解できる。

リンカーン大統領が、米国の科学者、工学者を代表する機関である
全米科学アカデミーを設立した業績についてはあまり報道されていない。
全米科学アカデミーのホームページには、
設立の経緯が次のように書かれている。

全米科学アカデミーは、南北戦争のさなかの1863年3月3日、
「Act of Incorporation」にリンカーン大統領が署名し、発足。
以来、科学(science or art)に関するいかなる政府機関からの要請に対し、
研究、調査、審議、実験をして報告する任務を果たしてきた。

全米科学アカデミーは、米政府の最大でかつ最も信頼される
シンクタンクの役割を担ってきた、と自認。
オバマ大統領が、既に打った手の中で政府機関要職への科学者の重用が
挙げられている。

全米科学アカデミー自身も、6人の科学アカデミー会員が
新政権の要職にオバマ大統領から指名されたことを誇らしげに伝えている。
6人とは次の人々(かっこ内は、指名時の職)。
スティーブン・チュー・エネルギー省長官
(ローレンス・バークレー国立研究所長、ノーベル物理学賞受賞者)
ジョン・ホールドレン大統領科学顧問・科学技術政策局長(ハーバード大学教授)
ジェーン・ラブチェンコ海洋大気局長(元・国際科学会議(ICSU)会長)
ローレンス・サマーズ国家経済会議(NEC)委員長(元・ハーバード大学長)
ハロルド・バーマス大統領科学技術諮問委員会共同議長
(元・米国立衛生研究所(NIH)長、ノーベル医学生理学賞受賞者)
エリク・ランダー大統領科学技術諮問委員会共同議長(ハーバード大学教授)

こうした全米科学アカデミーの実績、役割と比較して、
日本学術会議と政府との関係はどうだろうか。

首相、主要閣僚、日本学術会議会長を含む有識者から成る
総合科学技術会議が、科学技術政策の優先順位を決めるという
仕組みはできている。

しかし、議論のもとになる調査・審議データはだれがつくっているのか。
各省がそれぞれ一本釣りした研究者たちでつくる審議会などで
検討したものを参考に、それぞれの省が用意したものが
基礎資料になっているのが実情。
各省が、自分たちの都合で集めた人たちから成る審議会は、
真の第3者機関とは言えまい。
各省の意向に真っ向から反する審議結果は出しにくいはず、と
国民の多くが思うのは当然。

政府が政策決定に必要とする研究、調査、審議などは原則、
第3者的色合いがはっきりしている日本学術会議が引き受けるべき。
全米科学アカデミーと米政府との関係のように。

金澤一郎・日本学術会議会長の答えは、
「今さまざまな審議会が果たしている役割は、
学術会議が引き受けるのが本来の姿だとは思うが、
いま、すべて学術会議にやってほしい、そのための予算も付ける、
と言われたら対応できない。相当大変な作業になるから」

60年前に学術会議ができたときに、当時の文部省は
文教予算の配分を学術会議に任せた。
その後、文部省の下に学術審議会ができ、
学術会議と文部省も仲違いしてしまった。
いろいろな審議会ができてきたのも、予算の配分権が
学術会議から離れたころから―という過去の経緯について
説明があったうえで述べられた現状認識。
「鶏が先か卵が先かという話」(金澤会長)で、
一挙に現状を変えるのは困難。
現在の仕組みを一挙に変えるのは難しいが、
改善する必要があるものの一つに、大きな予算を必要とする研究課題。

宇宙開発や大型加速器を必要とする素粒子研究といった研究分野に、
どこまで国の予算をつぎ込むか、
具体的に提案された研究プロジェクトが
日本として本当にやる価値があるかどうか。

こうした問題について、その分野の研究者だけでなく、アカデミーとして
もっと意見を言うべきではないか。
金澤会長が認めるように、結局、大型プロジェクトをやりたい研究者は
直接政治家に直談判した方がよい結果を得る早道となっている現実がある。
この分野だけにそこまで国費を投入する必要はないのでは、
という声が他の分野の研究者からは出てこない、
出そうと思っても出す場がないということ。

一方、科学技術政策を立案、決定するうえで大きな役割を果たしてきた
官僚側には、現状の日本学術会議に対する期待は非常に小さいのが現実。
研究者主導で、科学技術政策の立案、調整、優先度付けなどできるわけがない、
と恐らく思っている。

例えば宇宙開発についてなら、宇宙開発委員会が自ら分科会を設けるなどして、
十分、審議、検討しているから問題ないと言うだろう。

しかし、分科会の構成などは、宇宙開発委員と事務局である官僚が決める。
真の第3者機関といえるか疑わしい。
アカデミーがもっと影響力を持つべきだと考える一般国民は多い。
日本学術会議の役割を大きくすることを、
学術会議自身は当然のこととして、皆がもっと考えてよいのではないか。

http://www.scienceportal.jp/news/review/0901/0901211.html

現場再訪(8)児童獲得 一定の効果

(読売 1月17日)

学校選択制で新入生ゼロを経験した学校は、どう変わったのか。

緑豊かな山々に囲まれた大分県豊後高田市立臼野小学校
昨年12月中旬、5、6年生25人が月1回のクラブ活動に取り組んでいた。
その輪の中に、地域サポーターと呼ばれる住民の姿が見える。
「創作活動」、「ダンス」、「野外活動」の3班に各1~2人ずつ、
忙しそうに動き回っている。

「創作活動」の班でビーズ作りを教えていた主婦瀬口亜紀さん(35)は、
「子供のために力になりたいと思って」と、趣味のビーズ作りで協力を申し出た。
作品を見せに来る児童に、「いまいちかな」、「上手上手」と声をかける。

野外活動担当の遠山小次郎さん(69)は、
「卒業生が道端で、『遠山のおじちゃん』と声をかけてくれるのがうれしくて」
と笑顔を見せる。

サポーターは30~70代の20人で、ほぼ全員が卒業生とあって、
「『自分の学校』という意識で支援してくれる。ありがたい」と大嶽由美子校長(59)。
図工や家庭科の授業にも参加する。

同小は、旧真玉町が2005年に豊後高田市と合併したことで、
学校選択制の波にのみ込まれた。
初年度の入学者はゼロ。
校区内にいた5人の対象者全員が、規模が大きい隣の市立真玉小を選んだ。
サポーター制は翌06年度から導入。

同年度以降は対象者6人中2人、5人中4人、7人中4人が臼野小に入学。
「迷う親に、地域サポーターが声かけをしている。
その一定の効果はあったのだろう」と大嶽校長は振り返る。

それでも、現児童数は35人。
もう少し大きい学校で学ばせたい、という保護者の希望は強い。
このため、規模の大きい学校に児童が出向く共同学習の時間を設け、
テレビ電話での他校との交流も企画する。

国立中や私立中が多い東京都文京区。
地元の区立小学校から区立中に進むのは、半数という土地柄。
区立第七中学校の生徒数33人は、島嶼部を除く都内で生徒が最少
学校選択制の導入2年目の04年度には、新入生がゼロに。

当時、保護者による学校支援組織ができて、
学校紹介のミニコミ紙を作る活動もした。
だが、今春には生徒数111人の区立第五中学校と統合されて
音羽中学校になる。
七中の鶴見保憲校長(58)は、「学校がなくなるというより、
リニューアル(刷新)だから」と前向き。

新校では、数学、理科、英語での習熟度別の少人数授業の実施や、
お茶の水女子大学と連携した授業など、特色ある教育活動が計画。
生徒会は、ひと足早く合同で発足し、音羽中をPRするニュースの発行や、
近隣小学校への訪問活動も展開。

こうした活動も功を奏し、入学希望者は、予想の2倍を超える約230人。
最終的に何人が音羽中を選ぶかはわからないが、
「地域やPTAと協力して特色を出していくしかない」。
鶴見校長はそう強調した。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090117-OYT8T00233.htm

ジストニア筋収縮症状の原因メカニズム解明

(サイエンスポータル 2009年1月20日)

体の筋肉が勝手に収縮を起こし、意思通りに体を動かすことが
できなくなってしまう神経難病「ジストニア」は、
大脳基底核から発する信号の異常によって起きることを、
自然科学機構・生理学研究所の研究者たちが突き止めた。

知見聡美・助教、南部篤・教授と米マウントサイナイ医科大の
プラニパリ・シャシドハラン博士らは、
ヒトのジストニアの原因遺伝子を組み込んで新たに開発したモデルマウスを使い、
脳の中の神経細胞の働きをマウスが覚醒した状態で調べた。

正常なマウスは、運動の司令塔である大脳皮質運動野から
適切なタイミングと強さの信号が出ることで、筋肉が正常な動きをする。
この運動野の働きを調節しているのが大脳基底核で、
運動野の活動を抑える信号の強さを変えることで、
運動野が出す運動の指令の強さやタイミングの調節を行っている。

モデルマウスによる研究の結果、大脳基底核からの信号に異常が見つかり、
不必要で意図しない筋肉の運動を抑える仕組みが弱まっていた。
研究チームは、これが本人の意図しない筋収縮を生じさせる
根本的なメカニズムとみている。
モデルマウスによる研究をさらに進めれば、
新たなジストニアの治療法開発につながる。

ジストニアは、国内で約2万人の患者がおり、薬物や手術による治療が
行われているが、根本的な治療法はまだ見つかっていない。

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0901/0901201.html

2009年1月25日日曜日

現場再訪(7)いじめ 教委「変わった」

(読売 1月16日)

いじめ苦による自殺が起きた教育委員会は、どう変わったのか。

「きちんと受け止めて、対応していかなくてはならない」
北海道滝川市の教育委員会議で、若松重義委員長(68)が呼びかけた。
いじめを苦にした自殺で亡くなった小学6年生の女児(当時12歳)の母親が、
市と道を相手に提訴したという報告を受けた言葉。

女児は2005年9月9日、いじめを訴える遺書を残して自殺を図り、
06年1月に亡くなったが、市教委は同年10月の本紙報道まで
いじめの記述があったことを隠していた。
「当時は委員になったばかりで受け身だった。
深く追及できず、反省している」と篠島恵理子さん(58)。
当時から唯一残る委員で、地元の医院の事務長。
問題発覚後に、教育長と委員長が辞任するなど、他の委員4人は交代、
07年10月には「委員会を活性化したかった」(小田真人教育長)として、
中学生の生徒を持つ40歳代の保護者が加わった。

「委員会は変わった」と篠島さんは感じている。
年間で小中学校1校ずつだけだった委員の学校訪問は、全11校に拡大。
事務局の提案の追認になりがちな教育委員会議の後、
自由な意見交換ができる「協議会」も開く。
各校から毎月、いじめの報告も。
「いじめは、どこでも起こりうると考えないといけない。
今は、最善の努力をさせてもらっている」と若松委員長。

女児の祖母の兄、木幡幸雄さん(61)は
「形を整えただけで、本質的には変わっていない」と厳しい見方を崩さない。
訴訟では、市がいじめを防ぐ義務を怠った、真相解明が不十分などと訴えている。

06年10月11日には、福岡県筑前町立三輪中学校2年の
森啓祐君(当時13歳)が自殺した。
遺書の中でいじめを訴え、後に1年時の担任の言動が
生徒間のいじめに発展したことも判明。

「学校では、いじめ対策が漫然となされており、町教委にも努力が欠けていた」
町教委の調査委員会の最終報告書は、
学校の責任とともに町教委の責任について触れた。
中原敏隆教育長(69)は、「結果的に周りは誰も気付かなかった。
教育の充実した学校と評価していたが、対策が足らなかった」と戒める。

昨年12月、町は「子どもの権利条例」を制定した。
いじめなどの問題が起きた場合、弁護士らによる救済委員会を作り、
解決にあたる。指導主事1人が増員され、昨春には、いじめの相談窓口などを
設けた「こども未来センター」も開所。
町全体で、いじめをなくす姿勢を示している。

教育委員も、月1回程度は学校訪問するようになるなど、
「真剣に学校現場に向き合うようになってきた」と
内装業を営む柿原紀也委員長(47)。

父親の森順二さん(42)は、「真実を見ようとしないといじめはなくならない」とし、
具体的ないじめの内容が、今も分からないことに釈然としない思いを抱く。

教育委員会には、尊い命をなくしたことに
本気で向き合い続ける姿勢が求められている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090116-OYT8T00288.htm

スポーツ21世紀:新しい波/290 武道の必修化/8

(毎日 1月17日)

国体実施競技の再編で、なぎなたは13年の東京国体から
「隔年実施」に決まった。
日本体育協会が、各競技の競技者数など多くの要素を得点化し、
ランク付けをした結果、下位のなぎなた、銃剣道、軟式野球、
トライアスロンが隔年競技となった。
新競技のトライアスロンを除けば、3競技は事実上の「格下げ」。

「スポーツの祭典である国体は、競技を広く知ってもらう大切な場。
隔年実施となることを、私たちは深刻に受け止めている」
全日本なぎなた連盟で技術委員などを務める福田啓子さん(皇学館大非常勤講師)。
なぎなたは、女性の武道として発展してきたが、
近年、中高生の競技人口は漸減傾向に。

昨年7月に秋田県で開かれた全国中学生大会の参加者は、
前年より109人少ない229人で、過去16大会で最少。
全国高校体育連盟のなぎなた専門部に登録している人数も、
昨年は過去10年で最少となる1401人(175校)。

少子化が進む中、12年度から始まる中学校1、2年生の武道必修化は、
競技普及のきっかけになり、男性競技者の拡大にもつながると期待。

しかし、新学習指導要領は武道の授業は柔道、剣道、相撲の中から
選択すると定め、なぎなたなど他の武道は学校や地域の実態に応じて
選択することができる、と位置づける。
学校に選んでもらわなければ、授業では実施されない。

全日本なぎなた連盟では、武道必修化に向けたプロジェクトチームを組み、
競技団体としてどう取り組むかを話し合ってきた。
福田さんは、「なぎなたの指導者がいる中学校を連盟がチェックし、
その学校の校長に授業で採用してもらえるようアピールする必要がある。
男女別や年齢別での指導法の確立や、
連盟から学校への指導者派遣も求められる」

次代を担う若者への普及は、競技の将来を左右するだけに、
学校の正課になる意義は大きい。
学校教育の枠を超え、競技団体も本腰を入れ始めている。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

宇宙医学が骨粗しょう症患者を救う

(日経 2008-11-07)

若田光一さんは、日本人宇宙飛行士として初めて宇宙ステーションに長期滞在。
今回は3カ月以上となる見通し。
これは、“ 宇宙の骨粗しょう症”予防など宇宙医学の新たな挑戦。

宇宙飛行士たちの元気な笑顔を見ると、
厳しい訓練を経てようやく行ける世界であることを忘れがちだが、
宇宙空間は人体に様々な影響を及ぼす、やっかいな場所。

深刻なものの1つが、国内患者数1200万人ともいわれる骨粗しょう症の宇宙版
骨からカルシウムが抜けて弱くなる骨量の減少。
カルシウム排出が増えて尿路結石になる恐れも。

長期滞在で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と米航空宇宙局(NASA)は
初めて薬による予防効果を調べる。
その最初の参加者が若田さん。

骨は、一部を壊し、新しく作り直すというスクラップ・アンド・ビルドを繰り返し
壊す係は破骨細胞、作る係は骨芽細胞。
閉経後の女性に多い地上の骨粗しょう症は、女性ホルモンが減った影響で
破骨細胞が活発になるなどして、作るよりも壊す方が多くなって起きる。

宇宙の微小重力環境では、体の重みが骨にかかる力の刺激が
ほとんどなくなる影響で、作るよりも壊す方が多くなる。
骨に力をかけることは、カルシウムの沈着に必要な刺激。
地上の骨粗しょう症でも、予防には運動が大切。

宇宙では筋肉も弱くなるので、宇宙飛行士は自転車エルゴメーターや
トレッドミルなどによる運動が欠かせない。
それでも骨量の減少は激しい。

JAXA・宇宙医学生物学研究室の大島博主幹研究員によると、
地上の骨粗しょう症では骨量が年に1—1.5%ほど減るのに対し、
宇宙ではこれが毎月、12倍ものペースで進む。
宇宙に6カ月滞在した場合、地上に帰ってから骨が元の状態に
回復するまで3—4年かかる。

予防効果を調べるのは、「ビスフォスフォネート」という薬。
破骨細胞の働きを抑制する、地上の骨粗しょう症治療ではもっとも有力な薬。
今回は、週に1回服用する飲み薬の予定。
より長期間効果が続く注射薬も、将来試される可能性がある。

長期滞在ではもう1つ、心電図を24時間取り続ける携帯型の医療機器、
ホルター心電計を使う遠隔医療の実験にも取り組む。
将来は、生体リズムの研究につなげる計画。
宇宙ステーションは約90分で地球を1周しており、
地上のような太陽の強い光による昼と夜の24時間周期がない。
これが体調に影響している恐れがある。

薬にせよ、心電計にせよ、地上と同様に宇宙でもうまく働く保証はない。
薬の作用が違うかもしれないし、精密な医療機器は打ち上げ時の振動や
強い宇宙線に耐えなければならない。

宇宙医学の積み重ねの先には、一般的な医療への幅広い応用が見込み。
骨粗しょう症は、「宇宙では時間を加速してテストしているようなもの。
薬や運動による効果の知識を地上の予防医学に生かせる」
大島主幹研究員は期待。
高齢者や長時間勤労者の健康管理、ストレス対策、医師不足に対応した
遠隔地医療や災害医療などへの応用も期待。

一般の人でも気軽に安全に宇宙旅行を楽しめるようになる—
というのは気が早いが、日本の宇宙実験棟「きぼう」では
医学・生物学的な実験も予定。
この分野がどのぐらいの可能性を秘めているのか、科学的な興味は尽きない。
宇宙は、医学でもフロンティアを開くだろうか。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec081105.html

2009年1月24日土曜日

現場再訪(6)「地域枠」医学生 高い意欲

(読売 1月15日)

地元優先枠で入った医学生が、へき地医療に熱意を持ち始めた。

「将来は、医師になってこの島に戻ってきます」
島根大医学部3年の高梨俊洋さん(20)が力強く語ると、拍手が巻き起こった。
島根県隠岐の島町で、昨年10月に開かれた「地域医療教育シンポジウム」。
パネリストの一人、高梨さんは地元出身。
町で授産施設を運営する斎藤矗一さん(67)は、
「島に帰ってきてくれれば本当にうれしい。崩壊寸前の離島の医療を支えてほしい」

人口約1万6300人の町では、昨年4月から四つの診療所のうち
一つが医師不在になった。
町のテコ入れで半年後に確保したものの、
今春には別の診療所の医師がいなくなる。
中核病院・隠岐病院の産科医は一人で、危険を伴うお産はできない。

高梨さんは、そんな大変さをよく知るだけに、「一日でも早く貢献したい」と意欲。
県内唯一の医師養成機関である同大医学部が、2006年度から導入した
「地域枠」入試の1期生。
受験には、へき地の医療機関などでの研修と、出身地の首長の推薦が必要。
受験できるのは、松江市と出雲市の都市部などを除く県内出身者。
導入から3年がたち、学士入学を含めて32人が学んでいる。

地域枠の学生に将来、へき地の医療機関に勤務する義務はない。
だが「思いは伝わっている。受験段階で地域医療の実情の厳しさを見ており、
地元からの期待も感じている。地域に貢献したいという意欲はとても高い」
と木下芳一医学部長(53)。

授業内容は一般学生と変わらないが、春夏の長期休暇中に、
県内の医療機関で行う医療体験実習への参加を強く勧めている。
数日間、来院患者の案内や補助、診察の様子を観察し、
勤務医から話を聞く内容で、実際に地域枠の学生の参加率は高い。

県中央部、大田市出身の岡田祐介さん(20)(2年)は昨夏、
隠岐諸島・西ノ島の病院で実習。
「古里が好きだし、古里に貢献したいと改めて思った。
実習を通して、勉強の意欲も高まった」

ただ、地域にとどまらず、高度な医療を学んで能力を高めたいという
声があるのも事実。
「島根で働きたい気持ちは変わらないが、理想の医師像はまだ見えない。
他県の先進地域に行って、様々なことを身につけたい」と3年の山口祐貴さん(21)。

地域枠の学生を担当する地域医療教育学講座の熊倉俊一教授(48)は、
「医師が高度な医療技術を身につけることは、地域住民にも大切なことだ」
島根県では、県内のへき地に一定期間勤務した後、
大学病院や都市部の基幹病院に一時的に移り、
大学での研究に従事できる仕組み作りも始まっている。

全国的な問題になっている都市部とへき地の医療格差。
「医師不足の地域で働く医師を育てるモデルを作るには、
10年、20年先を見越す必要がある」(木下医学部長)。
息の長い取り組みが続く。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090115-OYT8T00225.htm

中小企業の技術流出を防げ

(日経 2009-01-13)

「世界的な経済危機で、大企業が中小企業との関係を断ち切る動きを
加速すれば、玉のような技術はどっと海外に流出してしまう」。

半導体や薄型パネルの技術コンサルティング、オムニ研究所の吉見武夫社長は、
日本の生命線、モノ作りを根っこから支えてきた中小の有望技術が、
今度こそ崩壊の危機を迎えるのでは、と危惧。

毎年12月、幕張メッセで開催される半導体製造装置展示会「セミコンジャパン」。
オムニ研究所は、東京エレクトロン、ニコンなど大企業のブースの真ん前に
展示コーナーを構える。

集客力が高いメーンストリートにこだわるのは、同社のブースに展示する
中小企業の独創技術を多くの人に知ってもらいたいから。
セミコンでのオムニ研究所のブースは、中小の独創技術をみようと大勢の来場。

景気悪化を反映、出展中止など会場の活気は盛り上がりを欠いたが、
オムニ研究所のブース来場者は、前年より1割多い1800人。
吉見氏は、「セミコンで、目からうろこが落ちる中小企業の一押し技術を
アピールする機会を無償提供する活動を、8年前から続けてきたことが認められた」

世界初の膜封止技術で、厚さ0.5ミリメートルの超薄型白色有機EL量産に
成功した東北デバイス(岩手県花巻市)が、注目の的で多くの人であふれた。
光の透過率を高めたガラス薄膜を開発して、太陽電池の省エネを進める
フューチャー・プロダクト(埼玉県毛呂山町)、
非接触で電気を伝えるワイヤレス空間送電システムのユー・ディ・テック(東京・大田)
など出展9社の試作品は、参加者から「驚いた」と称賛。

技術発掘の原動力は、吉見氏の幅広い人脈。
会費や規則もない異業種交流会を、吉見氏は30年前から開催、
メンバーは現在5800人(2300社)。
業種や企業の壁を超え、腹を割った議論をすることが会の趣旨で、
開発や製造の第一線で活躍する会員が、
「大手では思いもつかない中小の面白い技術を見つけた」と知らせてくれる。
昨年は、50社が支援候補になり、その中から9社が選ばれた。

吉見氏は、98年に日立製作所を退社、オムニ研究所を設立。
日立では半導体事業部副技師長を務め、工場の設備予算の配分権限。
当時の日立は、予算の2割は日立グループに最優先で割り振る決まり。
現場が中小の装置や材料購入を提案しても、入り込む余地はなかった。
吉見氏が中小企業の支援に奔走するのは、
「日立時代、モノ作りを支える中小企業に目を向けなかった反省の意味も」

米ゼネラル・エレクトリック(GE)は07年、
「ジャパン・テクノロジー・フォーラム」と称して、日本の中小企業33社を集めた
技術評価会議を開き、センサーなど3社を提携先に選定。

日本GEの藤森義明会長は、「日本の技術力を、
GEとしていかに吸収するかに焦点を当てている」

東京・大田や東大阪では、中国や韓国メーカーがトヨタ自動車や
パナソニックなどのモノ作りノウハウを入手できる好機と、
資金支援をちらつかせて技術力ある中小企業に買収や提携を
持ちかけているとの話をよく聞く。

技術流出の懸念は現実のものとなっているだけに、
吉見氏は、「日本の中小企業の有望技術の発掘と育成にもっと力を入れ、
大手に採用を呼びかける活動の輪を広げていきたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090108.html

=慶応大医学部の挑戦=

(Japan Medicine 2008年12月22日)

慶応大医学部は、教育環境の充実に向けて情報通信技術(ICT)を
積極的に活用している。
教師側から医学生への一方通行だった従来型の教育体制を見直したのが契機。
特に力を入れるのは動画教材の充実で、
2007年度からは文部科学省の補助を受け、臨床実習を行う医学部5、6年生を
中心に医学生が自由に教材を入手し、活用できる環境整備を加速。

慶応大医学部が教育体制の変革に着手したのは、4年ほど前から。
07年度、文部科学省の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)に採択。
GPは“グッドプラクティス”の略で、優れた取り組みを選んで
金銭的な支援をするだけでなく、情報提供を通じて、
他大学にも教育改革を促すことを目的。
選考では、教師側からの一方向の従来型教育を見直し、
学生との双方向性を確保しやすい問題解決型学習への転換を図る趣旨が評価。

テーマは、「ICT(Information and Communication Technology)導入による
授業効果の向上」。
効果は認められているものの、膨大な教材が必要で、
授業でカバーできる学習範囲も少なくなるという問題解決型学習の課題をICTで解消。

学内のイントラネットに教材を蓄積し、図書館やラウンジなどの固定端末(PC)から
閲覧できる環境はすでに構築。
現代GPでは、アップルの携帯プレーヤーiPodなどを導入、
医学生がイントラネット上の専用サーバーから教材をダウンロードして、
いつでもどこでも学べる環境を整えた。

04年度から医学教育統轄センター長の天野隆弘氏は、
「特に動画は、言葉で説明するより内容を容易に伝えることができます」
“画像化”を掲げて教育体制を変革する背景には、
医学部教育や卒業後の医師養成の在り方が大きく変化したことがある。

04年度に必修化された新医師臨床研修制度の目的は、
幅広い臨床能力を持つ医師の育成。
天野氏は、「医学部教育とのつながりの中で、授業が従来のままでは
なかなか臨床ですぐに診療を、というわけにはいかない」と指摘。

慶応大では5、6年時の臨床実習の充実に向けて、
毎年20~30人の模擬患者(SP)を養成して診察の仕方を学ばせたり、
シミュレーターというヒト型模型で手技を体験させたりしている。

動画教材は、教育の実効性を高めるために役立てる。
天野氏は、「実際に教育をする前に、シミュレーターを使った手技などの
実際を見せておく必要があります」
自前の視覚教材は70種類超 学内に呼び掛けて制作した自前の動画教材は
70種類を超えた。
天野氏も、専門の神経内科で意識障害レベルの診察のポイントなどを
動画にした教材をSPと協力して制作。

編集方針は、医学生に考えさせること。
集中力が途切れず、何度でも繰り返して視聴できるように、
1教材当たりの時間は10分前後。

製品化された教材も積極的に導入。
知りたい症状や病名を入力すると、該当する情報が一覧表示される
電子臨床情報「Up To Date」を皮切りに、国内外で臨床医に活用され、
診断・治療の最新動向を学べる教材をそろえてきた。

導入を決めたのがクリニカル スーパーライブサーバー(CSL)。
天野氏は、「医学部の6年を中心に、初期研修医も学べるプログラムが
ありますという提案があり、役立ちそうなものを選んで導入」

CSLの動画コンテンツの企画・制作は、ケアネットが行った。
泌尿器科が専門で、週末は訪問診療もする同社・取締役の姜氏は、
「米国などで教育体制の素晴らしさを実体験した医師に、講師を依頼。
教育としてのエンターテインメント性も加味した」

システム開発は、フォルトゥーナが担当。
医学生同士で情報交換ができるソーシャルネットワークサービスの機能があり、
指導医も、学生の視聴状況を確認したり、質問や相談に応じたりもできる。

文科省予算のため、「iPod」は医学生のみに貸し出している。
天野氏は、いずれは初期研修医らにも貸し出すとともに、
CSLのコンテンツも「iPod」に移し、病棟で使えるようにしたいと考えている。
院内のPC端末も現在の15カ所から、最終的には45病棟に設置し、
動画を含めた種々の教材をダウンロードできるようにする。

「医師には、目の前の患者さんを何とかするために、あの本を読めばいい、
この検査をすればいいということを、積極的に行って
問題を解決する姿勢が求められる。
学生のうちからその積極性を身につけてもらうことが重要」(天野氏)。

問題解決型学習の課題を解消しつつ、教育環境を充実させるための
ICT導入は、ほぼ一段落した。
蓄積した教材は随時更新する方針。
医学生らから人気があり、繰り返し視聴されているかなどの指標をもとに
教材を評価して、継続的な質の底上げを図っていく。

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200812/trend1.html

夜間の良質な睡眠が風邪をおとなしくさせる

(WebMD 1月12日)

夜間の良質な睡眠が、風邪の予防のもっとも優れた方法のひとつ。

夜間の睡眠が7時間未満である者は、8時間以上の睡眠をとる者に比べて、
風邪原因ウイルスへの曝露後に風邪をひく傾向が3倍高い。

よく眠らないと風邪をひきやすいと一般的に考えられているが、
そのことを支持する科学的エビデンスはこれまでほとんどなかった。

『Archives of Internal Medicine』に掲載された今回の研究では、
健康な男女153名を調べた。
14日間の睡眠習慣を追跡し、前日の夜の睡眠の長さと質および
休息できたと本人が感じられたかどうかを記録。
14日後に被験者を検疫隔離して、風邪原因ウイルス(ライノウイルス)を含む
液を点鼻し、その後5日間にわたって風邪の徴候を監視。

その結果、実験日までの夜間の平均睡眠時間が7時間未満であった者は
夜間の睡眠時間が8時間以上だと答えた者に比べて、
風邪を発症する傾向が3倍近く高かった。

しかし、ベッドに入っていた時間数は関係がなかった。
研究者のSheldon Cohen(カーネギーメロン大学)らによれば、
実際に睡眠した時間の割合が特に重要。

例えば、ベッドに入っている時間のうち睡眠時間が92%であった者は、
ベッドに入っている時間の98%が睡眠時間であった者に比べて、
風邪になる傾向が5.5倍も大きかった。
ただし、休息したという自覚は、風邪をひくこととは関係なかった。

「今回の結果は、睡眠が風邪への感受性に対して因果的役割を果たしている
可能性を強く示唆するものである」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=86522

2009年1月23日金曜日

現場再訪(5)統合せず「少人数」生かす

(読売 1月14日)

県教委の名物職員が、教育長として山間の町の教育を変え始めた。

宮崎県五ヶ瀬町立三ヶ所小学校で行われた3年生の音楽の授業は、
40人の児童に教師が5人がかりだった。
1人の伴奏で子供全員が輪唱をした後、個別に楽器を選ぶ時点からは、
教師がグループごとに付いて指導した。

昨年から始めたG授業(GはGOKASEのG)。
熊本県境に接する町の人口は約5000人だが、
小学校が4校、中学校が2校ある。
G授業は年20回ほど、他校の子供もスクールバスで集まって一緒に行う。
教師も集まれば、指導は当然手厚くなる。

小中学生は全町で400人足らず。普段は輪唱も難しい。
G授業では逆に、児童2人に教師1人が付いて算数を指導する場面や、
小学校の教師が中学校に出向く場面も。
どんな内容の時に、どういう規模が最適か探っている。

この取り組みを始めた日渡円町教育長(52)は県教委時代、
教員の評価制度や学校事務の共同実施を進め、文部科学省幹部も一目置いた。
「条文に照らして市町村にダメ出しをするのが、県教委の仕事だった。
でもダメが多過ぎれば、ルールがおかしいということになる」。
長年の経験や思いを今の仕事にぶつけている。

2年前の就任時、校長たちが示した学校の教育目標を、
「当たり前のお題目ならいらない」と突き返した。
「算数の力が弱い」、「コミュニケーション力が……」と低学力を訴える校長たちに
「教師の力量のせいでは」と問いかけた。

秋には、43年ぶりの全国学力テストの結果が出た。
町の成績は、全国平均よりも県平均よりも高かった。
「理由は少人数教育しかない。少人数は町の教育の強みだ」。
前任者の頭には学校の統廃合があったが、
発想を180度転換して町の教育ビジョンを作った。
統合すれば、教職員数が大幅に減る。現在は6校で計82人。
その力を生かしたいと考えた。

ビジョンの実行部隊となる3委員会14部会のすべてに教職員が入った。
教職員を核に、町を変えようとしている。

図書館の代わりに、学校の玄関、農協、バス停など、
至る所に方々から入手した図書を置き始めた。
それをネットワーク化し、借りたい人がいる所に本を運ぶ仕組みを作る。

校長らには議会の傍聴を義務づけ、学校に予算要求をさせる。
高齢者が役場に足を運ばなくても、学校で公的手続きができる形を作る。
住民が助けてほしい作業や学校が手伝ってほしい仕事の掲示板を学校に設け、
その仕事や作業の対価として地域通貨を使う。
地域通貨は、学校施設の利用時にも使ってもらう。
住民が学校に集まる仕組み作りだ。

わずか2年の間で教職員が主体的に動き始めた。
例えば、学校給食を、お年寄りのデイサービスでも使えるようにできないか
といった検討が、教職員の発案で始まっている。

教頭たちが、教育長の前で教育について夢を語る。
教職員の心に火をともすことが、過疎の町再興につながる道かもしれない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090114-OYT8T00295.htm

ブリヂストンスポーツ河野久社長 「消耗品のボールで米ゴルフ市場攻略」

(日経 1月6日)

ブリヂストンスポーツが、米国市場の開拓に力を入れている。
日本では、米国発の金融危機の影響でゴルフ人口の減少が懸念されるが、
河野久社長によると、「米国のゴルフ市場は、日本ほど影響を受けていない」。
消耗品のボールを中心に生産体制を強化し、シェア拡大を目指す。
米国市場攻略の狙いなどを聞いた。

—米国向けでは、特にゴルフボールを増産している。

「2008年末、日本を含む全世界のゴルフボールの供給量を10%程度増やした。
その8割程度は米国向け。
米国市場の開拓には、4年前から開拓に取り組んできた。
試し打ちを通じ、自分に合ったボールを探してもらう『フィッティング』など
地道な営業の効果で、米国のゴルファーに日本のボールの品質の高さが
やっと認知されつつある。
米国部門の収支も、08年12月期には黒字化する見通しで攻勢を強める」

—米国のゴルフ市場には金融危機は影響していないのか。

「高額なゴルフクラブなどは、販売が伸び悩んでいるようだ。
市場全体で見ると、日本よりも影響は少ない。
米国では、ゴルフが文化として根付いており、5000円程度でプレーできる。
費用のかかる旅行をやめて、安いゴルフを楽しもうといった動きも出てくる。
クラブを買い控えているゴルファーでも、消耗品のボールなら買ってくれる」

—ゴルフの本場である米国メーカーの牙城をどう崩すのか。

「クラブの失速や経済環境の悪化で、現地メーカーは投資に
慎重になっているのではないか。
攻略するなら今しかない。
米国での弊社のゴルフボールのシェアは7-8%だが、
供給量を増やして『タイトリスト』、『キャロウェイ』といった
米国のトップブランドを追い上げたい」

—円高・ドル安の影響は。

「米国、マレーシア、中国にそれぞれボールの工場がある。
一部、日本の工場で生産し米国に輸出している製品もあるが、
ゴムなどの原材料は海外で調達している場合が多く、
円高は大きなマイナス要因にはならない」
「日本国内には、若い世代のゴルファーが非常に少なく、
市場が今後大きく伸びる可能性は少ない。
多少のリスクをとっても、米国を含めた海外に出て行くしかない

—米国以外の海外市場での展開は。

「中国や東南アジアのゴルフ人口はまだ数十万人で、日本の10分の1以下。
それでも普及期に入った時にすぐ対応できる体制を整えておくことが必要。
日本のボールの品質は、世界のメーカーと比べてもトップレベル。
きちんとアピールできれば、海外でのシェアを伸ばせるはず。
親会社のブリヂストンの技術力を生かし、
ボールの研究開発にもさらに力を入れていきたい」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090105.html

がん抑制遺伝子の働き阻害 九大、タンパク質を発見

(共同通信社 2009年1月19日)

がんの増殖を抑える「p53」という遺伝子の働きを、
主として胎児期の細胞に多く存在する「CHD8」というタンパク質が
阻害することを、九州大生体防御医学研究所の中山敬一教授らの
グループが発見し、英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版で発表。

p53は、がんなど細胞の急激な増殖に反応して「自殺」(アポトーシス)に
追い込む代表的な「がん抑制遺伝子」。
その働きが阻害されることで、がん細胞の増殖に歯止めが利かなくなる。
中山教授らは、「がん発症のメカニズム解明につなげたい」

中山教授らは、胎児期には正常な細胞もがんと同じように
急激に増殖することに着目。
マウスで調べた結果、CHD8と結び付いたp53はアポトーシスを
引き起こさなくなることが分かった。

CHD8は、胎児期の活発な細胞増殖がアポトーシスで
妨げられないようにしていると考えられる。
CHD8は、胎児期の後期には減り、アポトーシスも起きるようになるが、
何らかの原因で再びCHD8が多くなると、がんになるリスクが高まることに。

中山教授のグループは今後、CHD8が増減する仕組みを研究する方針。
中山教授は、「CHD8とp53との結合を防ぐ薬剤ができれば、
新たな抗がん剤になる」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=86519

2009年1月22日木曜日

河田阪大教授が“私塾”開講 「理工系博士を社会へ」 NPOも申請

(日経 2009-01-19)

理工系の博士取得者を政治家や起業家として送り出そう—
最先端の科学を学んだ人材が、研究以外の分野でも社会で活躍できるよう、
大阪大学の河田聡教授が“私塾”を開講。

ベンチャー企業の社長や作家になった理系出身者らを講師に招き、
博士課程在籍者に様々な進路を紹介。
国際社会で活躍できる人材の育成を目指す。

河田教授は光学が専門で、阪大工学部の改革にも。
主宰する「科学者維新塾」は、幕末の蘭学者、緒方洪庵が大阪で創設し、
明治維新期に社会で活躍した多くの人材を輩出した「適塾」にならった。

博士号をもつ理工系人材が、政府や企業経営の重要ポストに就いて、
国や企業を率いている例は、海外ではよくみられるが、日本では少数。
大学や大企業で研究職に就くだけでなく、議員や小説家、経営者などに就いた
体験談を聞き、若手科学者のキャリア形成に生かしてもらう。

「メルトダウン」などの著書がある作家の高嶋哲夫氏や
阪大発ベンチャー、ナノフォトンの謝林社長らを講師に毎月1回、
大阪市内で塾を開く。
運営のための非営利法人の設立も内閣府に申請。東京の開催も計画。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/_techno/_te090116.html

関西独立リーグ運営会社の中村明社長 「首都圏リーグも設置したい」

(日経 1月12日)

4月に開幕する「関西独立リーグ」は、第3の独立プロ野球リーグだ。
先行した四国・九州、上信越・北陸では営業面での苦戦が続くが、
プロスポーツとしての勝算を、運営会社であるステラ(大阪市)の
中村明社長に聞いた。

—人気の吉田えり選手とキャッチボールできる福袋などが話題だ。

「一選手がアイドルのように取り上げられるのは、
正直好ましいとは思わないが、リーグが注目されるのはありがたい。
彼女の実力は、じきに試合で明らかになるが、ナックルボールの威力は本物。
一過性のブームにとどまらず、チームの戦力として育つはずだ」

「ネットでの優勝チーム予想投票でも、吉田選手が所属する
神戸9クルーズがトップ。
実力派の選手の加入などで戦力が充実しているのを、ファンは熟知。
人気や話題性だけで評価してもらえるほど、関西の野球好きは甘くない

—同じ地盤の阪神タイガースのファン層には太刀打ちできない。

「私もタイガースファンだが、独立リーグは選手とファンが一体となり、
野球を楽しむ新しい試みだ。
『タイガースも好きだが、地元の独立リーグも応援する』、
そんな熱意が後押ししてくれる」

「4球団のうち明石レッドソルジャーズは当初、兵庫県の播磨地域を地盤とする
広域型の運営を想定していたが、首長が全面協力を申し出てくれたので、
明石のチームになった。
多くの明石市民に応援してもらえば、経営は成立する」

—先行する2つの独立リーグは、経営的に成功しているとはいえない。

「ファンの基礎票となる人口の多寡や、スポンサーになる有力企業の有無など、
都市部である関西地区との条件の違いが大きい。
先行地域で苦戦したら、独立リーグに将来性がないと判断するのは早計」

「関西リーグ始動前には、精密な経営シュミレーションを何度も繰り返した。
巨額の利益は出なくても、スポンサーを確保できれば十分に継続できる。
独立リーグ誕生に貢献した石毛宏典氏のアドバイスも受けて、やろうと決めた」

—4チーム以外への拡大構想も具体化している。

「三重県では、新チームが誕生。来シーズンから参加する予定。
京都府や滋賀県でも、チームの結成が具体化しているし、
人口の多い大阪府にはもう1つチームがあっても良い。
今シーズンの144試合で、どれだけ観客を引き付けられるかが、
リーグ拡大のカギを握る

首都圏リーグの設置も前向きに検討したい。
人口が集中する巨大市場だが、全国区の球団が多く、
地域密着の独立リーグがビジネスとして成立する余地は十分ある。
試算では、関西よりも可能性が高いという結果も。
関西で足元を固めながら、首都圏でのマーケティングにも力を入れたい」

—野球への思い入れはこれからも続くのか。

「私自身は、選手として野球に取り組んだキャリアは長くない。
野球に夢を抱く若者に、セ・リーグやパ・リーグにランクアップする
チャンスを提供し、健全育成に寄与する独立リーグの理念を実現
することに意味があると考えている」

「ステラの本業である情報関連事業とプロ野球球団の運営、
2つの仕事のバランスをとりながら、充実した1年を過ごすことができそう」

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/interview/int090108.html

【展望09 岩手】

(読売 2009年1月19日)

雪が時に激しく降るなか、九戸村の公民館には、
開会の30分前から次々と住民が集まってきた。
県立病院の新しい経営計画案の説明会。
村唯一の医師がいる地域診療センターでは、
19床を全廃する無床化が計画。

「11月の発表で、4月に実施するというのは唐突で拙速だ。
私たちにも考える時間がほしい」、
「医師が少ない地域にこそ県立の役割がある。切り捨てではないか」。
2時間余りにわたった会では、10人が質問に立ち、拍手がわいた。

県医療局長らと並び、九戸センター長も兼ねる佐藤元昭・二戸病院長(59)が
説明する声を一段張り上げた。
「皆さん、医師不足を実感されないのが残念だ。
ベッドがあれば医師は来ません。無床化すれば来る」。
医師招請に駆け回る佐藤院長の言葉に、会場は一瞬、静まりかえった。

常勤医が1人しかいない九戸は、二戸からの外来診療応援と、
二戸と盛岡市の中央、医大の計3病院による派遣当直で診療を支えている。

医療局創業の精神は、「県下にあまねく良質な医療の均霑(てん)を」。
聞き慣れない言葉に広辞苑をひくと、
「生物が等しく雨露の恵みに潤うように、各人が平等に利益を得ること」
無医村に医療を、と始まり重ねてきた、岩手に暮らす苦闘は今も続く。

「通院のお客様、お体の具合が悪いお客様は気軽にお声をかけてください」
朝の車内に優しい声が響いた。
盛岡駅着午前9時のIGRいわて銀河鉄道の上り電車には、
県内に入った金田一温泉駅から世話役のアテンダントが乗る。
昨年11月5日から平日に始めた「地域医療ライン」サービス。

二戸市、一戸町から盛岡市内へ通院する人を対象に、
あんしん通院切符の発売、ワンマン電車内で接客にあたるアテンダント、
最寄り駅の無料駐車場と盛岡でのタクシー手配を組み合わせて、
「自宅から病院まで」を主に公共交通で結ぶ。
全国の鉄道でも先進的な取り組みだ。

「地域の医療機関だけでは対応しきれない患者さんがいるが、
高齢や病後ではマイカー運転もままならない。
通院は、本人や家族の大きな負担だ。
一方、公共交通は地域に欠かせないとの認識が広まってほしい」と、
企画、準備をした同社の米倉崇史さん(26)。
開始2か月で339枚の切符が売れた。
1日平均10人、多い日は20人近い利用があり、徐々に広まって、
沿線のほか軽米町や青森県内からの人もいる。

アテンダントは、3人が交代の有償ボランティア。
田中敦子さん(47)は、駅ごとに通院客がいないか、
ひざ掛けを持って車内を回り、話しかけた。
水のペットボトルやカイロなどを携えて乗務し、車内からタクシー会社へ
利用人数を携帯メールで送信する。
指定3病院なら、利用客の自己負担は200円。

小鳥谷駅から乗った地蔵堂民之助さん(76)は、
「妻も利用する。安心して通える」と話し、到着ホームで待っていた
タクシー運転手に導かれ、医大へ向かう車に乗った。

広い県内で、医療の厳しくて多様な現実、
雇用をはじめとする経済の動向、自治の動き--。
総選挙の年に、暮らしに身近な地域の課題、朗らかな話題と元気を支局、
通信部の記者とともに伝え、皆さんと考えたい。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=86462

オムロンがスマイルチェック装置、接客研修用などで売り込み

(日経 1月18日)

オムロンは、人の笑顔の度合いを数値にして表示する装置
「スマイルスキャン」を開発。

独自のセンサー技術によって、目や口の形状を分析し、
笑顔の度合いを0―100%で表示。
接客の研修用などとしてサービス業や医療機関へ売り込む。
第1弾は病院に納入する。

小型カメラに映った画像から人の顔を選び出し、
目や口の開き具合、目尻や口角の形状などをもとに「笑顔度」を測定。
笑顔になるほど数値が高まり、画面上に人の顔とともに笑顔度を表示。
同時に2人まで測定できる。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090118AT1D1700217012009.html

2009年1月21日水曜日

2009年、ハイテク分野を占う

(日経 2009-01-09)

ハイテク分野の2009年を占ってみると、生命科学・バイオ分野では、
ゲノム(全遺伝情報)にとどまらない、複雑で多様な生命現象全体を研究する
「オミックス」の時代を本格的に迎えそう。
宇宙分野は今後の基本計画がまとまるが、厳しい経済情勢が逆風に。

巨大科学だったゲノム解読は、今や珍しくなくなってきた。
米国、英国、中国によるプロジェクト「1000人ゲノム計画」の解読データが
公開されようとしている。
1000人分のゲノムを解読、個人差を詳しく調べて病気の研究に役立てる。
解読期間は実質わずか2年ほど。

ヒトのゲノムは、DNAを構成する塩基分子の配列が1セット30億個(塩基対)。
1990年に始まった国際ヒトゲノム計画は、これを13年かけて解読。
解読装置(シーケンサー)の技術革新は著しく、昨年1月に始まった
1000人ゲノムの当初計画では、1日に平均82億塩基対、
1000人分の6兆塩基対(1人2セット)を2年という速さ。
粗い生データの公開が近く始まるうえ、人数も1200人に増える見通し。

ゲノム解読は、データの大量生産時代に入った。
米パシフィック・バイオサイエンシズ社は、30億塩基対をたった2分で解読する
シーケンサーを、2010年に製品化すると発表、大量生産は加速する。

生命現象はゲノムにとどまらず、たんぱく質や代謝物質など
様々な分子レベルの要素の複雑な絡み合いまで理解することが重要。
ゲノムだけでも、データは膨大でまだまだ奥が深いが、
他の要素のデータ蓄積も急速に進んでいる。

こうした研究全体を、オミックスと呼ぶ。
ゲノムの研究をゲノミクス(Genomics)、生体のたんぱく質全体の研究を
プロテオミクス(Proteomics)、共通する末尾の「omics」を取った名称。

日本でも、ヒトのゲノムやたんぱく質などのデータベースを統合する
「ヒトゲノムネットワークプラットフォーム」を、国立遺伝学研究所で構築。
同研究所副所長の五條堀孝教授は、オミックス時代に向けて
「分子レベルの情報を網羅的に取っていくだけでなく、
データベース同士をつなぐ技術、解析する技術が重要で、
バイオインフォマティクス(生命情報工学)の人材育成も必要

欧米に加え、中国が急速に力を入れており、
データ記憶設備の計画だけ見ても中国は日本の20倍以上。
研究を医療につなげる国際競争で日本が打ち勝つには、一層の強化が必要。

宇宙分野では、昨年の宇宙基本法施行を受けて
今年5月に宇宙基本計画がまとまる。
すでに方向性は出ており、観測などの衛星、ロケット、有人宇宙活動、
科学探査機、防衛利用や宇宙産業振興など手広いラインアップになりそう。

日本は、宇宙航空研究開発機構の予算が米航空宇宙局(NASA)の10分の1、
欧州宇宙機関(ESA)の半分など規模が小さい。
実用衛星を国際入札とする1990年の日米合意で、
国内衛星メーカーは大打撃を受け、
ロケット打ち上げ期間が限られるなど国際競争でも不利。

抜本的な選択と集中をすればいいというわけではないが、
幅広く手掛けるなら、どれも中途半端で非効率にならないか懸念。

09年度の宇宙関係予算(政府案)は3488億円で、10.4%増、
額で約328億円の増加。
この半分に相当する額が防衛関連で伸び、そのほとんどは防衛省の
弾道ミサイル防衛(BMD)関連の大幅増による。
基本計画の推進には、10年度以降の予算増が焦点になるが、
厳しい経済情勢の中、宇宙以外に優先すべき課題があるという声も。
予算を増やすうえでは、一時しのぎではなく将来の発展につながる内容が期待。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090108.html

オバマ新政権と「水男爵」

(日経 2009-01-19)

世界中で、「グリーン・ニューディール」ばやりだ。
新エネルギーの導入拡大で、地球温暖化対策と景気浮揚の両方を目指す政策。
提唱者は、米国の第44代大統領に就任するバラク・オバマ氏。
選挙戦でその構想が脚光を浴び、
当選と同時に欧州や日本、新興国に一気に広がった。

だが、具体的な中身はまだ判然としない。
「太陽光や風力など再生可能エネルギーに、
今後10年間で1500億ドルを投資する」と言及。
発電設備や装置はどこでどう開発・生産するのか、
どの企業を主体に投資するかについては沈黙したまま。

新エネルギー産業に雇用吸収力があるのかは、米国でも議論がある。
太陽光や風力は、数千人、数万人単位の雇用を生むことはできる。
だが、それだけでは「ビッグスリー(米自動車3社)のリストラなどで増える
失業者を吸収しきれない」

就任後のオバマ氏に注目するとしたら、次の2つの分野の扱い。
1つは、原子力をグリーン・ニューディールに含めるかどうか。
厳重な安全管理が求められる原発産業は設計から建設、メンテナンスまで
他の新エネルギーとはけた違いの雇用を生み出す可能性がある。

原発の将来について、オバマ氏は考えをほとんど示したことがない。
大統領選では、「(再開には)安全面で注視する必要がある」と慎重。
就任後、オバマ氏はこれを修正するのか。
日本のある重電メーカーは「楽観視している」と話すが、
反対派のロビー活動も活発で、先行きは見えにくい。

2つ目は、安全面で「当確」が間違いない。水道事業である。
電力ではないが、オバマ氏は米メリーランド州で最近起きた水道事故を憂慮し、
「水資源のインフラ整備が急務」と。
老朽化した上下水道設備は全米各地に存在し、
これを最新鋭の設備に更新・増設したら、
少なくとも数十万人単位の雇用機会が生まれる。

この商機を海外勢、特に欧州の企業が狙っている。
欧州は、水道分野の民営化で先行し、上下水道の管理運営公社だった
フランスのヴェオリアやスエズ、英独系のテムズ・ウォーターなどが急成長。
オイルマネーで、水道インフラ整備を積極的に進める中東などでは
「水メジャー」、「ウォーター・バロン」(水男爵)などと呼ばれ、
存在感が急速に強まっている。

だが、水道事業には政治が介入する可能性がある。
オバマ新政権は、ニューディールを通じ、ウォーター・バロンを
米国でも育成したいと考えている。
公共投資の恩恵を最も受けるのは、米エンジニアリング大手のベクテル

資源エネルギーで積極的なトップセールスを展開するフランスの
サルコジ大統領などは、ベクテルの受注独占に異を唱え、
フランス企業への門戸開放を求めている。

イラクではこんなことがあった。
ブッシュ政権は、復興のための10大事業の1つに上下水道の修復、
メンテナンスを位置づけ、内外の企業に参加を呼びかけた。
最終的に主契約企業に選んだのは、ベクテル。
イラク戦争に反対したフランスのヴェオリアとスエズは、
入札から締め出された格好。

フランスやドイツとの関係改善を目指すオバマ氏が、そこまでする可能性は低い。
グリーン・ニューディールの大きな目的は、国内企業の育成。
外国企業への門戸開放とどう両立させるのか、
オバマ政権はここでも難題を抱えることに。

日本企業は、米国の一大商機に食い込めるのか。
環境は、日本のお家芸といわれ、
海水から塩分や有害物質を取り除く事業などで世界の評価は高い。
圧倒的に規模が大きい上下水道の管理・運営事業では、
「バロン」が育っておらず、蚊帳の外に置かれる可能性。

原発では、東芝が米ウエスチングハウスを買収し、世界的に存在感を高めた。
水の領域でも、日本は巻き返すべきではないか。
民営化の遅れが根幹にあるなら、それも真剣に検討すべき。
20世紀は石油の世紀だったが、21世紀は水の世紀になる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090115.html

慶応大・医学教育統轄センター長 天野隆弘氏に聞く

(Japan Medicine 2008年12月22日)

問題解決型学習を重視して慶応大医学部の教育体制を変革してきた
医学教育統轄センター長の天野隆弘氏に、
ICT(Information and Communication Technology)を活用した
教育環境の次なるステップと、将来展望について聞いた。

天野氏は、教える立場にある全国の医師が、最良の授業を行えるように、
最新の知識を共有して自由に活用できる全国規模の教材データベースを
構築するのが「将来の願い」

―ICTを活用した教育環境整備は一段落ついたが、次のステップは?

天野氏 足りないものは必ずあり、教材を充実させたい。
アップルの携帯プレーヤーiPodも、初期研修医に貸し出したい。
現代GPは文部科学省予算で、あくまで学生向けだが、
医学部で購入して研修医全員に配ることも。

整形外科では10台使用、週間予定と教材をリンクさせ、
事前に学習しておくといった活用も。
内科などほかの診療科にも当てはまる。
診療科ごとに教材をクラスターのような形で利用できるようにし、
研修医が回ってきたら貸し出す、そういう体制に持っていければ。

―将来的な発展形として、考えられていることは?

天野氏 教材のデータベースを構築したい。
当学のイントラネットには教員専用のページがあり、
「講演用に作成した資料をストックしませんか」と呼びかけ。
資料は医学部の資産。
お互いがシェアして、必要な資料はすぐに入手できるようにしたい。

大学の教員が異動すると、これまではほとんどの場合、資料もなくなっていた。
引き継ぐ医師が授業の準備をするため、いちから資料を集めることになり、
合理的とはいえない。
講演資料は、マイクロソフト「PowerPoint」などで作成、それを蓄積し、
教材データベースとして運用する仕組みにすれば、
任意な部分をピックアップして教材を自由に作成することができる。

教材データベースを構築した後、法人を設立し、
全国の大学病院などを統合した総合教材データベースにつなげるのが願い。
会員制にするなどして、入会者は自由にデータベースを使えるようにする。

実現するためには、1カ所だけでは限界。
出版社なども加わればいい。
全国の指導する立場にある医師が、自由に教材を使い、
一番良い授業をできる環境が整えばいい。
悪いところは改善し、学生を教えるための画像や図などを皆で作成していくと、
教材の完成度も高まる。
皆がシェアできる教材データベースが、全国に広がればと考えている。

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200812/trend2.html

地方債大幅増、財務を圧迫 県07年度バランスシート

(岩手日報 1月15日)

県は、2007年度のバランスシートをまとめた。
普通会計は、07年度に解散した県林業公社の債務継承によって
地方債総額が264億円増加。

資産から負債を差し引いた正味資産は1兆2242億円で、
06年度と比べ884億円減少、財務状況が悪化。
資産は、2兆8291億円。

財政難で投資的経費を抑制したことや、借金返済のため県債管理基金を
約60億円取り崩した影響で、06年度比649億円減少。

負債は、1兆6050億円。
職員の削減で、退職給与引当金は1291億円と06年度より約27億円減少、
林業公社の債務継承によって地方債総額が大幅に増加したため、
総額では06年度比235億円増加。

普通会計に病院や電気事業などの公営企業会計、
県立大や県工業技術センターの地方独立行政法人、
県出資の34法人を加えた連結バランスシートは、
資産が3兆1257億円(06年度比968億円減)、
負債が1兆7900億円(同215億円減)で、
正味資産は1兆3356億円(同754億円減)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090115_9

2009年1月20日火曜日

記憶CD8 T細胞区画のサイズは免疫学的経験とともに増大する

(nature 2009年1月8日)

Nature Vol.457 No7226 / P.200-204

記憶CD8 T細胞区画のサイズは免疫学的経験とともに増大する

記憶CD8 T細胞は、病原体への自然暴露あるいはワクチン接種により生じ、
特定のウイルス感染に対して宿主を防御する。
宿主の記憶CD8 T細胞の数は決まっており、個々の細胞は
限られたスペースを常に奪い合っている、と長い間考えられてきた。

したがって、目的の抗原に特異的な記憶CD8 T細胞を
過剰に誘導するワクチンは、過去のすべての感染に特異的な
記憶CD8 T細胞を排除して置き換わるため、
宿主にとって壊滅的な結果を引き起こしかねない、と考えられていた。

この考え方を検討するために、我々は、単一のワクチン抗原に
特異性を示す新たな長期生存記憶CD8 T細胞を、
接種前の宿主の記憶CD8 T細胞数と同程度の数だけ導入する
ワクチン接種法をマウスで開発した。

本論文では、予想に反して記憶CD8 T細胞区画のサイズが倍増し、
これらの新しい細胞を受け入れるためのスペースができたことを示す。
この変化は、エフェクター記憶CD8 T細胞が
加わったことだけによるものであった。

この増加は、CD4 T細胞やB細胞、ナイーブCD8 T細胞の数には影響せず、
以前遭遇した感染に特異的な既存の記憶CD8 T細胞は
大部分が保存された。

したがって、哺乳類宿主におけるエフェクター記憶CD8 T細胞の数は
免疫学的経験に従って変化する。
新しい記憶CD8 T細胞を大量に誘導するワクチンの開発は、
ほかの感染に対する既存の免疫を
必ずしも減弱させるものではないと考えられる。

[原文]
Memory CD8 T-cell compartment grows in size with immunological experience

Vaiva Vezys 1,2,4 , Andrew Yates 3,4 , Kerry A. Casey 1 , Gibson Lanier 2 , Rafi Ahmed 2 , Rustom Antia 3 & David Masopust 1,2 1.Department of Microbiology and Center for Immunology, University of Minnesota, Minneapolis, Minnesota 55455, USA 2.Emory Vaccine Center, Emory University School of Medicine, and,3.Department of Biology, Emory University, Atlanta, Georgia 30322, USA4.

http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200901/nature/7226/02.html?Mg=4b8368a37fc15ffa26a1e4b3ebcfe5cc&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag

座禅でリセット 「月曜が憂うつ」と言う前に

(日経 12月2日)

激務などで心の病にかかる人が増えている。
あまりの忙しさに、「週末に休んだ気がしない」、「月曜日が憂うつだ」
手軽なリフレッシュ方法として、「座禅」に注目。

東京都文京区にある禅寺、是照院では、
毎週土曜日の夕方に座禅会が開かれる。
約20人の参加者の年代は20—50代と幅広い。
自営業の40代の女性は、「座禅で1週間の疲れをリセットできる」
官庁に勤務する30代男性は、「仕事とは無関係の静かな環境に身を置いて、
心身を落ち着かせる時間が必要と考えた」

是照院が座禅会を始めたのは3年前。
住職(45)は、「寺院でも、住職の世代交代が進んでいる。
お寺を一般の人にも開放して社会に貢献しようとする意識が高まり、
座禅会を開く寺が増えている」

住職によると、景況感が急速に悪化していることもあり、
「心の軸足を、どこに置いたらよいのかわからない」との不安を持つ
ビジネスパーソンの姿が目立つ。
座禅は、何らかの目的を持って行うものではないが、
「心を安定させる効用はある」と住職は強調する。

毎週金曜日夕方に座禅会を開いている成願寺(東京・中野区)の僧侶、
伊原玄遊さん(37)は、「座禅は苦行ではない。
体を楽にして、心を落ち着かせることが1番大切」
近くに禅寺はなくても、自宅で座禅を組むことはできる。

仏教の宗派で座禅が修行に組み込まれているのは、臨済宗や黄檗宗など。
宗派によって座る向きは違うが、座り方に大きな差異はない。
お寺では座禅専用の「座蒲(ふ)」を使うが、座布団でも構わない。
座布団を一枚敷き、その上に別の座布団を半分に折り畳んで置く。
一定の高さに、腰を浮かせるためのクッションの役割。
背骨の先が座布団の中央に位置するように座り、背筋を伸ばす。

顔は左右に傾けず、正面を向くように。
耳から下に降りていく線が肩と垂直に交わるように意識し、
地面から上に垂直に伸びていく線の上に、鼻とへそを乗せる感覚を保つのが
姿勢を正しくするコツ。
上半身を左右に揺らし、徐々に揺れを小さくして最後に真っすぐに落ち着かせる。

足の組み方は2通り。
1つは右足を左足の付け根の上に乗せ、左足を右足の付け根の上に乗せる方法。
もう1つは右足を左足の付け根の下に入れて、
左足だけを右足の付け根の上に乗せるやり方。
初心者には、2番目の片足だけを乗せる組み方がお薦め。

両手はへその前に据えて、右の手のひらを上向きに。
その上に、左の手のひらを上向きにして置く。
両手の親指の先を軽く合わせる。
目は自然に開き、視点を約1メートル前方に置く。
目を閉じると瞑想になるので、目は開ける。

最後に呼吸法だ。
へそに力を入れて「吸う、吸う、吐く」のサイクルを、腹式呼吸で繰り返す。
テンポは「長めにゆっくり」を心掛ける。
1回の座禅の時間は約35分。線香が1本燃え尽きる時間。
通常の座禅会ではこれを3度繰り返す。

成願寺の僧侶、伊原さんによると、「朝の出勤前に座禅を組む人も増えている」。
昼休みにいすに座り、腹式呼吸で心を落ち着かせるだけでも
リフレッシュ効果がある。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz081202.html

プレゼンの成功、台本づくりがカギ

(日経 1月14日)

企画の提案や製品説明など、ビジネスの様々な場面で求められる
プレゼンテーションのスキル
達人の2人にコツを尋ねると、
「目的と話の組み立て方の準備に、時間を費やすべきだ」
どのようなやり方で準備に取り組んでいるのだろうか?

◆要点は3つまで

「聞き手を説得するのではなく、聞き手の役に立つ気持ちで」。
プレゼンテーション専門コンサルタントで、愛媛大学客員准教授の田中省三さんは、
プレゼンの心構えをこう話す。
プレゼンの最大のポイントは内容と構成、つまり台本づくり。
これは、準備段階でほぼ決まる。

台本づくりのコツは、まず目的を明確にすること。
だれに何を伝えるのかをはっきりさせて、必ず話の最初に持ってくる。
「本日、私がお伝えしたいのは○○です」と冒頭に言う。

田中さんは、いくつか自己流のコツを考案。
まずは「ミラクル構造」と呼ぶもの。
冒頭に目的を言った後、そのテーマについて「今までの流れ」、「現状の分析」、
「現状への提案」、「今後の展望」の4つに分けて話を進めていく。
現状への提案と今後の展望の2つに、全体の時間の7— 8割を充てる。

「現状への提案」で採用するのが、「SDS法」と呼ばれるやり方。
サマリー(概要)、ディテール(詳細)、サマリー(まとめ)の頭文字を取った。
提案内容のポイントを最初に話し、次にポイントの詳細を説明、
最後にポイントを繰り返す。
ポイントは、最大3つまでが理想。

ディテールの説明で使えるのが、「PREP(プレップ)法」と呼ぶやり方。
ポイント、リーズン(理由)、イグザンプル(具体例)、ポイントという流れ。
ポイントと理由の2つで構成する簡略版もある。

これらの手法に沿って事前に話を組み立てて、資料をつくっておけば、
一定水準以上のプレゼンができるようになる。

マイクロソフト日本法人の飯島圭一さんも、
目的と話の組み立て方を準備することがコツと指摘。
飯島さんは、プレゼン資料作成ソフト「パワーポイント」などのオフィス製品の
マーケティング担当で、プレゼンのコツについて講演をすることも。

プレゼンを、「製品説明でなく、相手に行動を起こすために説得すること」と定義。
飯島さんも、だれに何をしてほしいかという目的を冒頭に明確に話す。
営業のプレゼンであれば、「この製品をよろしくお願いします」ではなく、
「1週間以内に購入契約をしていただきたい」などと、
こちらが相手に期待していることをできるだけ具体的に話す。

飯島さんは、目的や説明する話を準備する際に、「KISS」を心がけている。
KISSとは、「Keep It Simple and Specific(単純かつ明確に)」
実際には、(1)なぜこの提案が必要なのか、(2)対価はどの程度なのか、
(3)相手の利益は何なのか、(4)相手に何をしてほしいのか——を
不可欠な要素として取り込む。

話は、できるだけ論理的に組み立てる。
そのためには複数の要素から結論を導く「帰納法」か、
ある結論から複数の要素を見いだす「演えき法」の2つがある。

飯島さんは帰納法を採用。
思いつくままに材料を紙に書き出し、それらをテーマごとに分類する。
一度印刷し、順番にうまくつなげるために話の順番を入れ替える。
どこにどのような図やデータが必要かも考える。

飯島さんは、論理的に話を組み立てるうえでの参考として、
落語の「風が吹けばおけ屋がもうかる」を挙げる。
「風が吹く」、「砂ぼこりが上がる」、「目の不自由な人が増える」といったように
順々に話が展開する「論理っぽさ」もプレゼンには欠かせない。

飯島さんは、「見た目をきれいにするために、資料づくりに時間をかけ過ぎるのが
日本人のプレゼンの現状」と指摘。
目的と話の組み立て方に、準備の時間の8割を割くようにしている。

◆話の構成以外のポイントは?「緊張は当然」の心で

目的と話の組み立て方を重視する2人の達人。
実際のプレゼンの現場は、それ以外の様々な要素もかかわってくる。
緊張感とどう向き合うか?

田中さんは、「緊張するのは当たり前。緊張することも失敗することも
素直に受け入れよう」と助言。
「聞き手に役立つプレゼント(贈り物)をすることだけを考えるようにすれば、
不安を感じる暇がなくなる」。

聞き手を笑わせたりするユーモアは必要なのだろうか?
「相手に伝えることが大事。それ以外の技術を身につけるのは余裕がある上級者」

プレゼンの場所は、取引先など大抵が「アウェーでの戦い」。
飯島さんは相手の人数や役職、プレゼンに使える時間、使える道具など
情報収集にも念を入れる。
プロジェクターを使うなど、自分の得意な表現スタイルに持ち込むのも肝心。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/bizskill/biz090114.html

参謀が明かすオバマのネット戦略

(日経 2008-12-25)

オバマ次期大統領の勝因に、「インターネットの有効活用」が挙げられる。
当初、政治経験の長いヒラリー・クリントン上院議員やマケイン上院議員より
知名度や献金収集力で劣っていたが、ネット戦略が奏功し挽回。
ネットを多用したことが、「政治に無関心」とみられてきた若者層を掘り起こす
という副産物も生んだ。

オバマ陣営で、ネット戦略の中心的役割を担った
ネット広告会社ブルー・ステート・デジタル社のトーマス・ゲンセマー氏に聞いた。

—オバマ氏の選挙戦で特徴的だったことは。

インターネットを活用したことで、効率的に人と人を結びつけ、
支持者を加速度的に増やすことに成功。
候補者の主張を伝えるウェブサイト、支持を喚起する電子メール、
支持者と支持者を『友達』としてつなげて、次に近所で行われる集会への参加を
呼び掛けるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などのツールを併用」

ネット活用で、選挙の経済学が変わった。
オバマ陣営がネットを通じて集めた献金額は、5億ドル(約450億円)。
650万件のネット献金のうち、600万件が100ドル以下の小口献金。
小口献金は、ダイレクトメールや集会を通じて集めていたが効率が悪く、
高額献金者だけを集めた大型パーティーに集金力でかなわなかった。
ネットの登場で、多くの人数から小口の献金を短時間で集めることが可能になり、
少ない人数から多額の献金を集める献金モデルに対抗できる」

—具体的にどのようなことをしたのか。

「一度集会に参加した人の電子メールアドレスは、必ず記録。
会場の入り口でフォームに記入、スタジアムの掲示板にアドレスを表示して
携帯からショートメールを送ることを呼び掛け、
イベントへの参加券と引き換えに電子メールの登録を求めた。
オバマ陣営には、130万件以上の電子メールアドレスが登録」

アドレスを入手すれば、オバマ陣営とその参加者の『交流』は継続。
候補者の主張や次の集会情報など、電子メールで届く。
『明日、忘れずに投票所に行ってね』というような古典的なメッセージを、
効率的に大量の支持者に伝える」

—オバマ陣営は、若者層の取り込みに成功した。

「彼らは、フェースブックやマイスペースなどのSNSを
日常的に使っている世代、選挙活動にもSNSの要素を取り入れた。
候補者の主張を載せたサイト『バラクオバマ・ドット・コム』とは別に、
支持者を『友人』としてつなげるSNS専用のサイト
『マイバラックオバマ・ドット・コム(通称・マイボー)』を設けた。
支持者が自己紹介のページを作ったり、友人と支持集会の情報交換できる。
クレジットカードで簡単に献金できるようにしたことが、小口献金者の増加に」

「SNSを使う若者層は、気に入った情報はネットですぐに共有したい世代。
それは、政治でも同じ。
候補者や演説を気に入れば、共有したがる。
SNSのような共有を促すツールを提供すれば、情報はどんどん広がっていく。
大衆の『共有したい』という意志があって、初めて可能に。
我々は、インターネットを通じて共有しやすくする技術的な屋台骨を提供。
若者が参加意識を高めたのは、オバマ氏が魅力的な候補者だったから」

—オバマ陣営のネット戦略チームについて教えてほしい。

SNSの最大手フェースブックの共同創業者クリス・ヒューズ氏
ブレーンの1人として参加。
ネット戦略を支える技術は、我々(ブルー・ステート・デジタル)が提供。
『ニューメディア(新媒体)』を担当するチームが設置、80人ほど働いていた」

—大統領就任後もオバマ氏は、国民との対話にネットを多用するか。

「もちろん。ネットを使ったコミュニケーションをフル活用する初の米大統領に。
選挙活動を通じて、オバマ氏や側近たちは、
ネットが国民にどのようにメッセージを運ぶのかをじっくり学んだ。
(従来の政治家のように)ネットを必要以上に恐れることはない。
SNSや動画共有サイト『ユーチューブ』などを使って、
国民との対話に力を入れる可能性は高い」

「ウィキノミクス」、「デジタルチルドレン」などの著作、米ネット事情に詳しい
ダン・タプスコット氏は、来年誕生するオバマ政権を
「ネット大統領時代の到来」と呼ぶ。
ラジオ演説「炉辺談話」で、国民へ直接訴えることを重視した
フランクリン・ルーズベルトが「ラジオ大統領」、
テレビ・ディベートで好印象を残したことが勝因になったといわれる
ジョン・ケネディが「テレビ大統領」とすると、
ネット時代を制して大統領の座を射止めたオバマは「ネット大統領」。

タプスコット氏も、オバマ氏は国民との対話にネットを積極利用。
ネットを通じて、草の根の支持を徹底的に開拓してきたオバマ氏が、
「『今まで支援ありがとう。今後は、ただ動向を見守っていて』
という姿勢を見せた途端、支持を失う」。
テレビやラジオのような一方的なメッセージ発信ではなく、
今まで通り支持者との対話はネットを通じた双方向なもの。
「政策を決める前に3日間、ネット上で国民からの意見を自由に受け付ける
『オンライン・タウンミーティング』などを行うのではないか」

ネット時代は、「隠しだて」や「前言撤回」のできない時代。
テレビは一度見逃したら、再度確認する機会はほとんどなかったが、
今では動画共有サイトを使って何回でも視聴できる。
政治家が失言をして、「そんなことは言っていない」と後から否定しても、
現代の選挙民には確認する方法がある。
「事実は、事実と認めることが大切。ばれることを隠すのは逆効果。
間違えを犯した場合は、素直になぜそういうことになったのかを伝える努力が、
逆に好感を呼ぶこともある」(タプスコット氏)。

オバマ大統領誕生まであと1カ月を切った。
「変革」を旗印に、景気対策に取り組む同氏のネットとの付き合い方にも注目。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/ittrend/itt081224.html

2009年1月19日月曜日

「フィンランド・カルタ」の思考法

(日経 10月3日)

「フィンランド・カルタ」と呼ばれる手法を、企業の新入社員研修などで紹介する、
ティーズスキル教育技術研究所の諸葛正弥代表(34)。

コミュニケーション力の前提となるのは、自分の考えを整理すると
同時に、できるだけ視野を広げて相手の立場を理解すること。

諸葛氏は、フィンランドの小学校の授業などで用いられている「カルタ」作りを提案。

頭の中で思ったことは、それだけではあやふやなまま終わってしまう。
カルタはキーワードから、関連する言葉を実際に書いていくことで視覚化し、
問題点を明らかにして視野や発想を広げていく狙い。

例えば、「春」という言葉から思いつく言葉を、
数を制限せずに書き出し枝状につなげていく。
「桜」、「散歩」、「季節」を連想して書いたら、
そこから連想する言葉を順々につなげる。
季節から、「気温」、「温暖化」、「フルーツ」、
桜からは「花見」といった風に発展。

ここで重要なのは、単なる連想ゲームではなく、
「なぜその言葉がつながるのか、説得力のある理由を3つ考える習慣を持つこと」
例えば、「好きな果物」で「ミカン」を連想するのであれば、
なぜという答えを「甘くてさわやか」、「値段が比較的安い」、
「ビタミンCが豊富」など3つ考える。
何となくとか、昔から好きだったからとかではなく、
他人が納得できる理由を挙げることで、
自分の思考を相手の視点に立って説明できる。

諸葛氏は、こうしたトレーニングは「ビジネスの現場でも大変役にたつ」
例えば、ノートパソコンの新商品をある保険会社に売り込みたい場合。
新商品Aの特徴として、「ノートパソコン」、「軽量化」、「低価格」などを書き出し、
そこから発想する言葉の枝をつなげていく。
「移動なし」と「持ち運び」のように、相反する言葉が出てきた場合は
「⇔」を用いて、関係を明確にする。
商品の魅力は何か、欠点は何か、どう売りたいか、その理由などを整理する。
自分なりの売り込みの仕方を思い浮かべることができる。
顧客Aとして、保険会社側の特徴をカルタ化し、
どういう性質を持つ顧客かを確認する。
発想を広げていった結果、2つのカルタで同じような言葉が出てきたら、
そこが両者の接点であり、売り込みの上でポイントになる。
接点が見つからなければ、商品と顧客にどのような所で距離があるのか、
それを埋めるにはどうすればいいかが明確になる。

商品の魅力を訴えるだけでは、顧客の心には必ずしも通じない。
顧客の立場も理解することで、購入に結び付くような販促を考える。

カルタを作る時は大勢で相談せず、担当者がそれぞれ行うのが原則。
各人が作った後で持ち寄って会議をすると、
「人によって発想が違うことがわかり、自分が考えもしなかった
思わぬ発見があることも多い」

諸葛氏は、就職活動を行う学生がこうしたカルタを作ることも勧める。
自分自身を中心におき、自分の武器、苦手なこと、やりたいことなどを
線でつなげていく。
同時に「なぜそれが武器なのか」などを、3つずつ書き出す。

就職希望先の企業について特徴をカルタ化する。
なぜ自分がその企業に就職したいのか、
就職した場合自分はどんなことができるのか、などが整理され、
面接の時には大いに役立つ。

企業からみると今の学生は、話が通じない、何を聞いても「別に」とか
「何となく」といった言葉しか返ってこない、というイメージ。
フィンランド・カルタは、企業と学生のコミュニケーションを図る上でも有効。

慣れてくれば、頭の中で枝を伸ばして考えれば同様の効果がある。
カルタ以外にも、たとえば「納豆」をキーワードに1分間即興でスピーチしたり、
「石油」「割りばし」「お使い」といった関連性の少ない3つの言葉を使って
最も短い文を作ったりすることも、1つのキーワードから視点を広げる練習に。

フィンランドの教育方法が注目を集めているのは、
子どもの読解力に関する国際調査で高い結果が出ているため。
経済協力開発機構(OECD)が、15歳を対象に行っている
学習到達度調査(PISA)では、読解力分野で
フィンランドは2000年、03年が1位、06年も2位。
日本は8位、14位、15位と低下傾向。

自分の意見と異なるものについて理解しているかを問う問題で、
両国で大きな差がつく。
日本語は、聞き手が相手の言いたいことを察して理解する言語体系。
相手に伝える論理的思考力に乏しくなってしまう傾向」(諸葛氏)
フィンランドの公立小学校では、「カルタ」を作成して情報の関連性や知識を
視覚的に整理する授業が取り入れられている。
必ずしも手法が体系的に確立されているわけではなく、
現場教師の権限に任される部分も多い。
「フィンランドメソッド」を紹介する本は最近増えているが、
「具体的にどう分析し解釈するかは、研究者によってかなり違いがある」

◆もろくず・まさや

1974年、東京都生まれ。進学塾講師、建築設計事務所勤務などの経験を経て、
2003年にフィンランドの教育手法に興味を持ち、
05年に教育技術のコンサルティング会社を設立。
06年にティーズスキル教育技術研究所に社名を変更。
著書に、一般向けの「フィンランドメソッド実践ドリル」など。
ビジネスパーソン向けの解説書の出版も計画。

ミゾタ、「がん免疫物質」をキノコから効率抽出

(日経 1月14日)

水門・ポンプメーカーのミゾタ(佐賀市、井田建社長)は、
バイオ分野に進出した。
キノコの一種である鹿角霊芝から、がん細胞に対する免疫力を高める
働きがあるとされる多糖類を、効率良く抽出する技術を開発。

食品メーカー向けに多糖類の販売を開始。
数年後に年間3000万円の売り上げを目指す。

ミゾタは、多糖類であるβグルカンが多く含まれる鹿角霊芝に着目し、
高温高圧の水で処理する独自技術を使って、
重量の30%を水溶性βグルカンとして抽出することに成功。

従来の圧力釜を使った方法で取り出せるのは1%程度で、
抽出効率は30倍高まったことに。

http://www.nikkei.co.jp/news/tento/20090114AT1S0500D13012009.html

「子どもたちに夢を」 北島が夏季五輪招致で街頭演説

(日経 1月18日)

北京五輪の競泳男子平泳ぎで連続2冠を達成した北島康介選手(26)が、
2016年夏季五輪招致を目指す東京都がPR目的で“設立”した
「招致応援党」の党首として、街頭で応援演説した。

「まだ先と思ってるかもしれませんが、
開催地はことしの10月に決まってしまいます。ここからが勝負。
子どもたちに夢を」と熱心に語りかけた。

北島選手のほか、体操の森末慎二さん(51)、競泳の柴田亜衣さん(26)、
森田智己さん(24)ら五輪メダリストが党員として参加。
渋谷駅ハチ公前広場には約1200人、新宿駅西口には約2500人が集まった。

渋谷での呼び掛けを聴いた男性会社員(48)は、
「選手が応援するのはよいこと。(五輪を)実際に見てみたい」

演説を終えた北島選手は、「(演説は)初めてで緊張したが、思いを伝えられた」、
15日に招致委員会が70%と発表したばかりの支持率アップに期待を寄せた。

http://sports.nikkei.co.jp/index.aspx?n=SSXKA0260%2018012009

2009年1月18日日曜日

生ごみ処理機の利用PR 減量化に向けた取り組み

(東海新報 1月15日)

陸前高田市は、家庭から排出される生ごみを電動で処理する機械を
無償で貸し出しているほか、購入しようとしている市民に費用の一部を補助。

寒いこの時期、処理機を使うことによって、
生ごみを屋外のコンポストへ捨てに行かずにすむほか、
処理後は堆肥として有効活用できるなどのメリット。
「一度試用し、使い勝手が良かったらぜひ購入を」と呼び掛け。

生ごみ処理機の貸し出し期間は3カ月間。
試用する人は、「電動生ゴミ処理機モニター」として、
簡単な報告書を提出することが条件。

市では現在、処理機を10台保有。
希望者に3カ月間貸し出し、返却されたのち次の希望者に貸し出すシステム。
市役所一階ロビーに展示しながら貸し出しの利用を呼び掛け。

購入費の補助制度は、市内の小売店で購入(一般的な機械は5~7万円)
した市民に、購入費の2分の1(限度額3万円)を補助。
19年度実績で、処理機は24人に貸し出し、56台分の購入に補助。

これらの事業は、ごみの収集と運搬、処理の費用は国や県からの補助金がなく、
すべて市民の税金によってまかなわれていることが背景。
減量化に向けた取り組みの一環。

同市の19年度ごみ処理費用額は、清掃センター維持管理費540万円、
可燃物処理事業費1億5560万円、不燃物処理事業費3410万円、
廃棄物再生利用維持管理費事業費3350万円、
最終処分場維持管理費1590万円で、合計2億4480万円

同市では、平成19年から「指定ごみ袋」を導入し、
リデュース(ごみ発生の制御)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)の
「3Rの推進」を図っている。

燃えるごみの量は減少傾向にあるものの、水分が多く含まれていることが課題。
市は、各家庭で生ごみ処理機を活用してもらいながら
一層の減量化を図っていきたい考え。

燃えるごみについては、平成23年度から
広域(同市、大船渡市、釜石市、大槌町、住田町)で処理することに。
施設の建設費(約96億円)は、20~23年度までのごみ処理量の割合に応じ、
この5市町で負担、市民のごみの量が減れば市の負担金も減ることから、
財政面からも分別と減量化の取り組みが必要。

同市民生部市民環境課の村上勝課長補佐は、
「処理後に出る堆肥は畑で有効利用でき、
その堆肥で育てた農産物は利用者の間で『おいしい』と評判に。
生ごみ処理機というとあまりいいイメージはないかもしれないが、
『堆肥を作る機械』と思って広く利用し、ごみの減量化に協力してほしい

http://www.tohkaishimpo.com/

長寿革命・老いの形…100歳超でも腕立て20回

(読売新聞 2009年1月13日)

写真家の小野庄一(45)が、百寿者の撮影を始めたのは、1991年。
鹿児島県屋久島で樹齢数千年の縄文杉を目にし、
最も長く太陽の光を浴びた「人間」を撮ろうと思いたった。
全国で150人以上。その出会いを経て今、小野は思う。
「21世紀の百寿者は、18年前とは別の生き物だ」

101歳の女性は乳がんを手術した。
100歳の男性はパソコンで孫とメールで会話する。
撮影のため薄化粧すると、途端に目を輝かせ、
鏡に映った自分に見入る女性……。
時間を超越した「長老」のたたずまいはない。
日常を生きる元気な高齢者が、ファインダーの先にいる。

小野が生まれた63年、全国で153人だった百寿者は、
現在、3万6000人超。
100年前に生まれた女性の51人、男性の267人に1人が
百寿者になった計算で、増加率は世界トップレベル。
2050年の推計百寿者は、なんと70万人に。

寿命の延びは、国立社会保障・人口問題研究所の予測を超え続けた。
「限界が見えない。寿命があるという前提自体に無理があったのでは」と
金子隆一人口動向研究部長。

軽部征夫・東京工科大学長(生体工学)も、
「子孫を残す、という遺伝子の使命を超えて長寿を手に入れた人間は、
極めて特異な生物」と指摘。

岩手県釜石市の下川原孝(102)は、99歳からマスターズ陸上大会に参加し、
昨年、100歳以上の砲丸投げで5メートル11の世界新記録を出した。

元体育教諭だが、練習といえば、毎日4回の腹筋と20回の腕立て伏せ、
30分余の散歩。「自分を熟知して、こまめにケアをすることが大切」

高齢者の若返りは、データでも示されている。
東京都老人総合研究所の鈴木隆雄・副所長らが、秋田県大仙市で
92年と02年の65歳以上を比較。
握力、通常歩行速度など基本的な運動能力は、10年間に3~11歳若返り、
「その傾向はさらに進む」

姫路少年刑務所(兵庫県)の面接室。
窃盗を重ね、出所する20歳代の青年の前に現れたのは、
105歳のボランティアの面接委員、黒田久子。
教職を経て、52年前から3200人以上の受刑者の声に耳を傾けてきた。

「親が悪いんだ」と訴える青年には、「育てる苦労も知らんで」と一喝。
「一人ひとり違う。相手におうたように話す」という黒田の対話は
時に数時間に及ぶ。
「待ってくれる若者がおることが生きる支え。人間は100歳で一人前」とも。

老化と共に低下する記憶力や認知機能。
しかし現代の脳科学は、「脳を使うことで、神経細胞のネットワークが活性化される」
(甘利俊一・前理化学研究所脳科学センター長)

長寿の最長記録は、フランス・アルルの老人ホームで97年に亡くなった、
ジャンヌ・カルマン夫人。122歳5か月。

カルマン夫人の研究者で、国立保健医療研究所の
ジャン・マリー・ロビン研究部長が、最も注目する国がある。
フランスの4・8倍の速度で高齢社会に突入した、最長寿国??ニッポン。

「家族関係や社会構造が影響しているのでは?」。
今年4月、ロビン部長は日本で共同研究を開始する。

「老いの形」が急速に変わっている。
長い老後をどう生きるか?どんな知恵や仕組みが必要か?
直面する課題をシリーズで探る。

◆百寿者◆

100歳を超える高齢者のこと。
米寿(88歳)や白寿(99歳)などと並び、長寿の祝いの意味を込めて呼ぶ。
最近、厚生労働省の長寿研究などで用いられ、名称として一般化。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=86101

長寿、8割が不安 長寿者の役割、まとめ役頼る傾向も 生きがい調査

(毎日新聞社 2009年1月14日)

市民グループ「静岡福祉文化を考える会」(静岡市、平田厚代表)が、
県民を対象に「長寿者の生きがい」について調査を実施、
長寿者を頼りにする傾向が目立つ一方、8割弱が自分が長寿者になった
場合の将来に不安を持つ実態が浮き彫りに。

調査は昨年8-10月、県内25市町の社会福祉協議会などの協力を得て、
10代から高齢者まで1274人から回答を得た。

家族生活での「長寿者の役割」(複数回答可)では、
「家族や親族のまとめ役」が26・9%、
「家族・親族の相談相手」が20・7%と頼りにする傾向が強かった。
その半面、「分からない」も48・4%を占め、
長寿者の役割が見いだしにくいことも分かった。

将来、自分が長寿者になった場合の生活については、
「とても不安」、「不安を感じる」が計76・2%。
この回答者に、更に選択肢(複数回答可)を設けて尋ねたところ、
「自分が病気になったり介護が必要になる」(50・4%)、
「配偶者が同様の状況になる」(34・3%)、
「生活のための収入」(33・0%)などが多かった。

同会は2月21日、「長寿者と福祉文化」をテーマにしたセミナーを
静岡市葵区駿府町、県総合社会福祉会館で開き、詳しい調査結果を報告。
平田代表は、「実践と理論を融合して、それぞれの立場で
より豊かな生き方や望ましい地域を作っていきたい」

問い合わせは、平田さん(054・624・1924)へ。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=86188

2009年1月17日土曜日

理系白書’09:挑戦のとき/1 次代を築く、若手研究者たち

(毎日 1月11日)

科学技術創造立国を目指し、昨年はノーベル賞受賞ラッシュにわいた日本。
その足もとの研究現場を支えているのは、若手研究者たち。
先人の背を追い、追い越し、そして次代を築く才能が花開いている。
新たな分野、技術に挑戦する若手研究者たちの素顔に迫る。

◇生命のドラマを見つめ--
理化学研究所発生ゲノミクス研究チームリーダー・杉本亜砂子さん(43)

単細胞の受精卵から自分はどうやってできたのだろう。
細胞の運命は、どのように決まるのだろうか--。

杉本さんが、生命の解明のパートナーに選んだのは「線虫」。
線虫は、959個の細胞から成る体長約1ミリの生物。
受精から3日で成虫に。卵は透明で、細胞分裂のすべてを観察できる。
日々、顕微鏡越しに生命発生のドラマを見つめる。

小さいころから科学の本に親しんだ。
「暗記が苦手で、理詰めで一つの答えを導く理数科目が性に合った」。
生物の魅力に出合ったのは、15~16歳のとき。
授業でメンデルの遺伝法則とDNAの二重らせん構造を学び、
「生物も法則に従って、理詰めで考えられる。
遺伝子を使って、生命を論理的に説明できるってすごい」と感動。

生命が始まる受精卵には、DNAが1セットあるだけ。
それが分裂を繰り返し、さまざまな器官に変化する。
その一連の仕組みは、どの種でも解明されていない。
杉本さんは世界に先駆け、線虫が受精卵から成虫になるのに、
約2万の遺伝子のうち4分の1が不可欠であることを明らか。

生きた細胞中のたんぱく質の動きを観察し、細胞分裂や細胞の運命を
決める遺伝子グループを突き止めた。
「自分が知りたいこと、世の中の人が知らないことを知ることができる
研究者には、やめられない魅力がある」と笑う。

理化学研究所でも、女性のチームリーダーは1割に満たない。
研究を始めたころは、「自分の研究室を持つ自信がなかった」が、
今は約10人のチームを率いる。
「これから社会を目指す女子学生は、やりたいことをやってほしい。
『今、女性が少ないからチャンスはない』と考え、
自分の可能性を自ら狭める必要はありません」

◇子どもも簡単に立体図--東京大准教授・五十嵐健夫さん(35)

クマやヘビなど、パソコン画面上に手書きするだけで、
三次元の立体図に早変わり。
ペンの操作で回転させたり、駆け出させたりもできる。
「子どもも簡単に操作できることが大事です」。笑顔で語った。

パソコン画面に描いた二次元の絵を、立体化するソフト「Teddy」を、
博士課程2年の時に作った。
ノーベル賞候補などが名を連ねる科学技術振興機構の
大型プロジェクトリーダーにも、34歳で抜てき。

子どものころから、絵が好きだった。
父親が購入したコンピューターにのめり込み、簡単なお絵かきプログラムを
自ら作って、好きなクマの絵を描いて遊んだ。
人が円滑に操作できるコンピューターに興味を持った。

「人よりモノを相手にするのがよかった」と大学で理系に進学したが、
研究者になるつもりはなかった。
就職活動をして、「どの企業も考えていることが同じ。面白くなかった」。
博士課程の時、米ブラウン大を訪れ、三次元の形を手書き風に表示する
コンピューター技術を知り、逆転の発想からTeddyが生まれた。

若者の理科離れが問題になっているが、五十嵐さんは
「『理系か文系か』ではなく、社会を生き抜くには、
クリエーティブ・マインド(創造する心)を身に着けることこそが重要」

Teddyは、「お絵かきソフト」として市販され、高校の地理の授業で
使われるなど、社会に広がっている。
「人に役立つ仕事がしたい。コンピューターと人とをつなぐ懸け橋になりたいから」

◇水星の磁場の謎に迫る--宇宙航空研究開発機構准教授・松岡彩子さん(43)

太陽系の最も内側を回る水星は、灼熱の環境などの理由から
探査が進まず、謎に包まれている。
その一つが、磁場(磁石のような性質)の存在。
磁場は、液体の核がない天体では保てないため、
小さな水星には存在しないと考えられてきた。

だが1970年代、米国探査機が磁場の存在を確認、
「なぜ磁場があるのか」が、新たな謎として浮上。
その水星に向け、2013年に日本と欧州が共同で水星探査機
「ベピ・コロンボ」を打ち上げる。
水星磁場の謎を解明する主要観測機器の一つ、
磁力計の開発を率いるのが松岡さん。

学生時代から地球の磁気圏などの研究を続けてきたが、
観測装置を作るのは初めて。
「ハンダごての持ち方を習うことから始めた」。
これまでの衛星では、外国製の磁力計を使うことが多かったが、

松岡さんは「開発段階のノウハウが大事」と、自力開発にこだわった。
水星は太陽に近いため、熱や放射線への耐久性や重量の制限が厳しいが、
「外国製と見劣りのないものを作る」と意気込む。

子どものころにプラネタリウムを見て、宇宙の不思議に魅せられた。
「一つのことをずっと考え続けるタイプで、試験はできなかったけど、
高校時代の教師からは『研究者向き』と言われた」

磁力計は、小型ロケットによる試験などで、ほぼ性能を発揮できる手応えを得た。
「ちゃんと原理に従い、考えた通りにモノが動いた瞬間が一番うれしかった」。
縁の薄かったものづくりの世界で、最初のゴールが見え始め、
「時には向こう見ずさも必要」

◇量子コンピューターへ光--京都大特定准教授・青木隆朗さん(34)

ごく狭い空間に光を入れ、反射や屈折の応用で、
入った光が出ないように閉じ込める。
その空間で、光子(光の粒子)1個と原子1個が互いにどう影響しあうかを研究。
青木さんの専門分野で、「キャビティQED(共振器量子電気力学)」と呼ばれる
最先端物理学。俗世とは無縁に思えるが、実は光を閉じ込めた状態を使うと、
大量の計算を並列的にこなす「量子コンピューター」が作れると期待。

青木さんは、小さなドーナツ形のガラス(直径100分の4ミリ)に
光を閉じ込めて実験した。
光がわずかに外ににじみ出たところに、セシウム原子1個を置き、
光との相互作用を観測。
06年に英科学誌ネイチャーに発表。
量子コンピューターの実現に一歩近づいた実験だと注目。

量子コンピューターは、大量の計算を同時に行う。
従来なら解読に数千万年かかる暗号を数十秒で解く、新薬開発につながる
たんぱく質の反応解析を高速で行うなどが期待。

小学生のころから理科好き。
不思議に思える現象が、法則で説明できるのにひかれた。
「風呂に水を張ると、底が浅く見えるのは光の屈折のためと知ってうれしかった」。
東京大では工学部物理工学科に進み、純粋物理の研究と同時に、
先端技術の開発も味わえると期待。
「世界のだれもやっていない研究をやっているのに充実感を感じる」

今後は、半導体内の電子と光子の相互作用も研究し、
新分野を開拓したいと意気込む。
趣味は、21歳で始めたピアノ。
「ピアノが置ける部屋を借りました」

◇野心的な研究、国が161億円補助 大胆な発想に期待

博士号を取得しても、なかなか研究ポストにつけないなど、
日本の若手研究者を巡る環境は必ずしも明るくはない。
昨年、塩谷立・文部科学相が歴代ノーベル賞受賞者らを招いて開催した

基礎科学力強化懇談会でも、「上から押さえつけず、自由に研究できる
資金的裏づけが必要」など、若手研究者の育成に多くの注文がついた。

こうした指摘を受け、文科省は09年度予算案で、
若手向けの科学研究費補助金を前年度比11億円上積みし、305億円確保。
一定期間の任期付きポストで自立して研究し、その後の審査で認められれば
終身職が得られる「テニュア・トラック」制度の拡充など、
若手研究者の養成システム改革に98億円を盛り込んだ。

研究資金の配分では、政府の総合科学技術会議が失敗のリスクは
高くても野心的な研究を促す「大挑戦研究枠」の創設を提言し、
文科省が計161億円を計上。

同会議議員の相沢益男・元東京工業大学長は、
「初年度は若手を中心に選びたい。無難なことをやるのではなく、
トップに立つんだという意気込みを持って、
大胆な発想で大いにチャレンジしてほしい」とエールを送る。
==============
◇すぎもと・あさこ

東京都町田市出身。
92年、東京大大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程修了。
米ウィスコンシン大マディソン校博士研究員、東京大助手を経て、01年から現職。
==============
◇いがらし・たけお

神奈川県茅ケ崎市出身。95年、東京大工学部卒。
米ブラウン大の博士研究員や、東京大大学院工学系研究科の講師を経て、
05年から現職。日本IBM科学賞(04年)など受賞。
==============
◇まつおか・あやこ

静岡市出身。94年、東京大大学院理学系研究科博士課程を単位取得退学、
文部省宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構=JAXA)助手。
05年から現職。
==============
◇あおき・たかお

北九州市出身。01年、東京大大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。
同大学院助手、米カリフォルニア工科大研究員などを経て、08年12月から現職。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/11/20090111ddm016040040000c.html

お年寄りの脳、過去はバラ色? 米大が記憶消す働き分析

(朝日 2009年1月13日)

お年寄りは若い人に比べ、嫌な記憶を消すのが上手らしいことが、
米デューク大の研究でわかった。

お年寄りは、つらい記憶を処理するとき、若い人とは別の脳の部分を
使っていて、過去がバラ色に見えやすいらしい。
米専門誌サイコロジカル・サイエンス電子版に発表。

平均年齢70歳と24歳の15人ずつの協力者グループに、
30枚の写真を見てもらった。
写真には、普通の図柄に加え、ヘビがかみつこうとしているところや
暴力シーンなど、見るのが嫌な図柄も含まれていた。

その後、写真の図柄を覚えているかどうかを尋ねるテストを実施。
普通の図柄では、お年寄りと若い人で成績に差はなかったが、
嫌な図柄の写真では、若い人は52%が覚えていたのに対し、
お年寄りが覚えていたのは44%。

協力者が写真を見ている間、機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で
脳を観察したところ、お年寄りは若い人に比べ、記憶に関連し、
感情をつかさどる部分より高度な思考をつかさどる部分が活発に働いていた。

人間は、年齢によって脳の使い方の戦略を変えているらしい。
チームのロベルト・キャベザ教授は、
「若い人は、いい記憶もつらい記憶も正確に記憶する必要がある。
年配の人はつらいことの多い世界に生きているので、
つらい記憶の衝撃を減らし、記憶するようになったのだろう」

http://www.asahi.com/science/update/0113/TKY200901130082.html

5分で結果、500円健診 若者向けに初の出店

(共同通信社 2009年1月13日)

「時間がない」などの理由で敬遠しがちな健康診断。
サブカルチャー関連の店が集まる東京都中野区の商業施設
「中野ブロードウェイ」に、血糖値などが5分程度で分かる
日本初のワンコイン健診ショップ「ケアプロ」がオープン。

約13平方メートルの細長いスペース。
検査メニューはほかに総コレステロール、中性脂肪、骨密度や血圧などの
セットで全4種類。

医療行為にならないため健康保険証は要らず、各500円。
全部受ければ1500円。

自分で採血する必要があるが、使い捨ての簡易採血器具を指先に当てるだけ。
結果がその場で出る上、携帯電話の会員サイトでも閲覧できる。

社長の川添高志さん(26)が、看護師として東大病院で糖尿病患者を
担当していた際、健診の大切さを実感したのが設立のきっかけ。
「若者が立ち寄れるように、1号店の立地条件を考えた。
今後3年間で、ドラッグストアと提携するなどして
首都圏で200店を目指します」

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=86152

2009年1月16日金曜日

インタビュー・環境戦略を語る:富士重工業・森郁夫社長

(毎日 1月12日)

スバルブランドの自動車メーカーとしてファンの多い富士重工業が、
環境対応を加速。
09年、三菱自動車と並んで電気自動車(EV)を市場投入。
主力車「スバルレガシィ」などの燃費向上にも取り組む。
航空機メーカーでもある同社は、「航空技術を生かした風力発電システムを
量産し、自然エネルギーでEVを動かす」究極のエコを目指す。

--自動車の環境対応は?

◆スバルはどちらかというと「走り」は良いが、燃費はあまり良くないという
イメージがあったが、燃費はかなり向上。
走りの良さを維持しながら、どう環境対応していくかが一番のポイント。

--具体的には?

◆いくつかの段階があるが、次期モデルに新しい「水平対向エンジン」を開発、
10年には投入。
高効率のCVT(無段変速機)も、09年に投入し、
現行車より少し大きな車体でも、燃費を10~20%良くする。

--09年はEV元年になりそう。

◆100台を超える軽のEVを、自治体や民間企業などに提供。
我々は将来的に、近距離を走る軽はEVになると見ており、力を入れている。
三菱自動車と切磋琢磨するのはよいこと。

--ガソリン車の軽から撤退しても、EVは進めるのか?

現行の軽の生産は、09年から徐々に撤退するが、
当面は自社の車体を使ってEVを完成。
その先は未定だが、自社か提携先の車体を使うにしても、
スバルのEVの技術は生き残ることに。
提携先のトヨタ自動車やダイハツ工業に、
EVのシステムを提供することも考えられる。

--ディーゼルなどとのすみ分けは?

◆欧州で先行発売したディーゼルのレガシィは、満タンにすると1000キロ走る。
もしも1000キロ走るEVを作るなら、ものすごい量の電池を積まないといけない。
長距離はディーゼル、近距離はEV、中間がハイブリッドというすみ分けになる。

--風力発電とEVを両方進める狙いは?

◆抵抗が少なく、台風などにも強い風車を航空技術を生かして開発。
社会貢献として、電気を使うだけでなく、作る方にも取り組む。
風力で発電してEVを動かし、走行エネルギーを減速時に回収するのが理想。
水平対向エンジンのハイブリッド車の開発も、トヨタと進めている。
世界ラリー選手権(WRC)から撤退するが、
ディーゼルやEVなどで戦うモータースポーツが始まれば、参戦する可能性も。
==============
◇もり・いくお

早稲田大理工卒、70年富士重工業入社。
米国駐在、海外生産推進部長、海外営業本部長、常務執行役などを経て
06年6月から現職。高知県出身。61歳。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/12/20090112ddm008020009000c.html

牛ふん活用の燃料電池を開発、将来は“トイレ発電機”も

(読売 1月10日)

牛のふん尿から抜き出したアンモニアを電気分解して、
燃料電池に活用する技術を、帯広畜産大の高橋潤一教授(循環型畜産科学)
と、住友商事の研究グループが世界で初めて開発。

人間のし尿にも応用できる。
小型化しやすい燃料電池の特性を生かせば、
一般家庭用の“トイレ発電機”の開発につながる可能性も。

「牛ふんアンモニア燃料電池」は、ふん尿を無酸素状態で発酵させて取り出した
アンモニアを水素と窒素に電気分解し、水素を大気中の酸素と
反応させて電気を取り出す仕組み。

高橋教授らは、約200万円かけて実験装置(縦2メートル、横1メートル)を製作、
発酵させた約20キロのふん尿から0・2ワットの電力を取り出すことに成功。

試算では、発電効率を高めることにより、北海道の平均的な牧場で
1日に排出されるふん尿6~8トンで、一般家庭3日分の電力を賄える。

燃料電池は、水素と酸素を化学反応させて発電する装置。
国内メーカーが家庭用機器の実用化を急いでいるが、
現在は都市ガスやプロパンガス、灯油、メタノールから水素を取り出し、
いずれも二酸化炭素(CO2)を排出。

今回の新技術は、CO2は発生せず、原料コストもゼロ。
燃料電池に詳しい工学院大の雑賀高教授は、
「新エネルギーとして実用化に期待したい」

http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20090110-OYT1T00035.htm

JOC、五輪招致を支える組織設立へ 加盟競技団体と連携

(日経 1月14日)

日本オリンピック委員会(JOC)は、加盟競技団体と連携して
2016年夏季五輪の東京招致を支援する独自組織をつくる方針。

責任者は遅塚研一専務理事が就き、国内の機運を盛り上げたり、
国際オリンピック委員会(IOC)委員との人脈を活用する態勢を築く。
活動費用は今後、東京都と交渉する予定。
JOCの古橋広之進顧問や名誉委員の協力も得て、招致活動を支える。

JOCは、これまでも加盟競技団体の招致担当者や東京招致委員会と
協力して、IOC委員との関係構築を図ったが十分に機能せず、
組織化が必要という意見が上がっていた。

遅塚専務理事は、「各競技団体の人脈を利用し、最も効果的な形で
最後の追い込みに入りたい」

http://sports.nikkei.co.jp/index.aspx?n=SSXKC0595%2013012009

2009年1月15日木曜日

霜降りもクッキリ…牛の肉質、MRIで生きたまま予測可能

(読売 1月12日)

磁気共鳴画像(MRI)の検査が高級和牛の必須条件――。
そんな時代がくるかもしれない。

放射線医学総合研究所の池平博夫チームリーダーらが、
MRIの断層画像で、生きている牛の肉のおいしさを予測できることを確認。

池平さんらは、雄牛のロース肉を人間用のMRIで撮影。
肉質を左右する「霜降り」の度合いや脂肪の粒の大きさが、
肉質検査に使う写真と同程度の鮮明さで映り、
霜降りの面積を自動的に算出できた。

撮影データの解析で、多く含まれるほど肉をおいしくする
「不飽和脂肪酸」の量も確認できた。
こちらは、実際の肉質検査では鑑別できない。

肉質の良い牛を作るのは、運試し。
見込みを付けた雄牛の精子を複数の雌牛に人工授精し、
生まれた子牛の肉質から、親の品質を推定。数年がかりの作業になる。

MRIを使えば、優秀な雄牛を数分で確実に見つけられそうだ。
実用化には、生きた牛を丸ごと撮影できる大型装置が必要だが、
同チームはすでに装置の設計案を完成。
「後はスポンサーを待つだけ」(池平さん)。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090111-OYT1T00745.htm

現場再訪(4)教員版FA制じわり

(読売 1月10日)

教師が働きたい学校に異動できる制度は定着したのだろうか。

「私の場合は非常にうまくいったケースでしょう」
昨春から、横浜市立八景小学校の副校長を務める重田英明さん(46)が
「教員版FA(Free Agent)制」の経験を振り返る。
教師が異動希望を宣言し、受け入れ先の校長と交渉の末に異動できる制度。
重田さんは、横浜市が制度を取り入れた最初の年に当たる2005年度、
市立下野谷小学校に移った。

外国籍の児童らを指導する国際教室を受け持ち、若手の研修も担当したが、
最も力を注いだと言えるのが、校長の指示で取り組んだ校内組織の見直し。

個々の教師の校務を大胆に整理。
全教職員を、学習に関連する「自分部会」、学級運営や人権教育にかかわる
「友だち部会」、地域行事や環境教育を担当する「まち部会」の
いずれかの所属にした。
担任も、低・中・高学年ごとに1人か2人が各部会に所属、
他のメンバーには持ち帰って情報を伝える形にした。
組織の簡素化で会議の数が減り、子供と触れ合う時間が増えた。

この経験で、学校運営の大切さを体感し、視野が広がったというが、
現在は、FAの経験が話題になることはない。
「『FA』は、あくまで異動の手段。ずっと背負う看板ではない。
要は、どれだけ制度を生かして仕事が出来たかです」と重田さんはクギを刺す。

初年度にFA宣言した56人中、異動が成立したのは41人。
08年度も90人中85人。
市教委は、FA制が定着しつつあるとみる。
現在では、佐賀県と大阪市も導入。

FA制を最初に導入したのは、04年度からの京都市。
最初は、FA宣言した178人中110人が異動。
08年度は86人が宣言、56人が成立と半減。
逆に、FA制と同じ年に始めた「公募制」は、
13校から08年度には100校まで広がった。
校長が求める教員像を示し、異動希望者を募る制度。

全国的には、約30教委にまで広がっている。
「FA制は、手を挙げても採用されない可能性がある。
公募制は、必要とされる人材像が明確で、手を挙げやすいのではないか」と
京都市教委は指摘する。

両制度とも、校長が欲しい人材像を明確にするなど
リーダーシップを発揮する必要性がある。
校長の能力も問われ、人材の偏りを招く可能性もある。
人事上の混乱を防ぐため、欠員が出た場合に限定して公募を続けている
三重県のような教委もある。

一方、4年前にFA制で京都市立伏見中に異動し、
生徒指導部長として活躍する岡本直教諭(52)は、
「自分が必要とされる場所で、出来る仕事を思い切りさせてもらっている。
制度を利用して良かった」

そもそも、教師の希望をかなえるという点で、両制度は相関関係にある。
二つの制度を車の両輪と考えれば、適材適所を促す制度として
浸透しつつあると言えそうだ。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090110-OYT8T00248.htm

エネルギーの地産地消を 環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也さん

(毎日 1月5日)

――日本は、京都議定書で約束したCO2排出削減を達成できるか?

京都議定書で、日本は2008~12年の年平均で、
1990年に比べて6%減らすと約束したが、07年度の速報値は8・7%の増。
このままでは、目標達成は無理でしょう。
最大の原因は、CO2排出量が多い石炭などを使う
火力発電の発電量が増えていること。
中越沖地震などの影響で、CO2を基本的に排出しない
原子力発電の稼働率も下がっている。

――削減するにはどうすればいいのか?

原発は、地元の同意を得るのに時間がかかり、
建設ラッシュだった70年代と同じペースで作り続けるのは難しい。
CO2を排出しない太陽光や風力、地熱など自然エネルギーを
思い切って増やすしかない。
ドイツやスペインでは、電力会社が高い価格で太陽光発電の電力を
買い上げる政策を導入し、発電量を爆発的に増やした。
自然エネルギーの業界が発達し、技術革新が進めば、次第にコストも下がる。
自然エネルギーを増やせば、海外に依存しているエネルギーの「自給」に
つながり、新しい雇用や産業を生み出す効果も。

――我々市民にできることは何か?

自然エネルギーの発電にかかる割高な費用の一部を、
企業や自治体のほか、市民が負担するグリーン電力証書という仕組みがある。
洞爺湖サミットで温暖化問題への関心が高まり、
昨年は証書の販売量が大幅に増えた。
住民出資で風力発電を設置する「市民風車」も各地にできている。
「エネルギーの地産地消」こそ、資源のない技術立国・日本が
目指すべき道ではないか。
自然エネルギーの導入促進に予算を重点投入するなど、
国は大胆に政策の舵を切るべき。

飯田哲也さん

環境省中央環境審議会臨時委員。
電力中央研究所やスウェーデン・ルンド大学の研究員を歴任し、
環境エネルギー政策の提言を続ける。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/kikitai/20090105-OYT8T00473.htm

2009年1月14日水曜日

農業ロボットスーツ:大根抜き、労力半減 東京農工大、実演

(毎日 1月10日)

大根抜きなど負担の大きな農作業を手助けする「農業ロボットスーツ」を、
東京農工大が開発し、東京都府中市のキャンパスで実演。

スーツの重さは約25キロだが、今後半分に軽量化し、
2年後には50万~100万円で市販する計画。
公開された作業は、イチゴ摘み、ポンカンの剪定、大根抜き--の3種類。

長時間、腕を上げている剪定作業や腰を曲げるイチゴ摘みは
体への負担が大きい。
大根抜きでは腰に約30キロの力がかかる。

ロボットは肩やひじ、腰、ひざの関節に計8個のモーターを付け、
作業者を補助する。
大根抜きではスーツの装着で半分以下の力で済み、
他の2種類でもほとんど負担を感じずに作業できた。

現在、農業従事者の約4割が65歳以上で、
補助ロボット開発を期待する声が高まっている。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090110ddm041040040000c.html

現場再訪(3)「夢」の教職 さらに一歩

(読売 1月9日)

教員養成を意識したコースを設けた高校の1期生が巣立つ。

「保護者と良い関係を築くために必要なことは?」、
「いじめへの対応で、特定の児童をえこひいきしているように
見られるかもしれない。どうすればよいか」

奈良県立平城高校「教育コース」の3年生が、
教師のような質問を投げかけた。
昨年11月末に開かれた、事実上、締めくくりとなる授業は、
教員養成課程を持つ京都市の佛教大、京都女子大と、奈良教育大から
教員を招いて意見交換会になった。
質問に答える大学教員は、生徒の成長ぶりに驚きを隠さない。

1期生の3年生41人は、大学教員の指導を受けながら、
「学級崩壊を止めるには」、「『学力低下』の実態」といったテーマを
自分で決めてリポートにまとめた。
生徒を小学生に見立てた授業も経験。
近隣の小学校で行事を手伝ったり、教師に張り付いて授業の補助役も。
そんな体験も報告書にまとめて発表。

教育コース主任の岩崎俊哉教諭(50)は、
「現実を見てきたから、必要なことをもっと学びたいと思うようになったようだ」

同時期に教育コースを設けた県立高田高校(大和高田市)
1期生39人も同じ。

「教職は『夢』だった。でも、教師の仕事を実際に見て大変さを知った。
自分の意見を子供たちにしっかり伝えて、信頼関係を作ることが大切だとわかった」
と大阪教育大に推薦入学が決まった藤本志帆さん(18)。
担任の吉田祥子教諭(50)は、「最初は、『あこがれ』だった意識を、
どう変えて持続させるかが課題だった」というが、
生徒の意識は着実に高くなっている。

両校1期生の進路が決まろうとしている。
すでに80人中25人が、教育系大学に推薦で合格。
高田高は、全員が教員志望。
平城高は、10人が他の進路を選ぶことになりそうだ。

両校の1期生は、3月実施の一般コースとは別に、2月入試で入学。
平城高の谷垣康校長(53)は、「教職にこだわらずに平城高を目指す生徒が、
教育コースを受験したことも影響したのではないか」

だが、「教職とのミスマッチ(不釣り合い)を防ぐ意味もある。
教員コースで身につける人との接し方やコミュニケーション能力は、
どの世界でも必要な能力で、生徒にはプラスだ」

「確かに、『教員は自分に向いていないのでは』と訴える生徒も。
高校段階で、教師の仕事を真剣に考える経験を積むこと自体、意味がある」と
3年間、出張講義も担当してきた京都女子大発達教育学部の田井康雄教授(58)。

平城高の教育コースから推薦で4人を受け入れる佛教大教育学部の
原清治教授(48)も、「教員養成課程の大学が、高校と協力して
良い教師を育てていく、そのモデルの基礎はできたと思う」と評価。
バトンを受け取る大学に注目が集まろうとしている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090109-OYT8T00227.htm

がん対策:一貫した患者支援で注目、島根方式 悩みや不安を分かち合う場

(毎日 1月9日)

人口10万人当たりのがん死亡者数が346・1人と、
秋田県(352・5人)に次ぐ全国ワースト2位の島根県。
島根で行われている一貫した患者支援の取り組みが注目。

国立病院機構京都医療センター(京都市)に08年3月、
府内初の院内がん患者サロン「うずらプラナスの会」が開設。
待合ロビーの一角のついたてで仕切られた空間に、毎週金曜日、
患者や家族が集まる。
悩み相談や情報交換が目的で、他病院の患者も訪れる。
夫婦で顔を見せた肺がんの男性(78)は、「こういう場所を探していた。
患者同士がつらさも分かちあい、先輩患者の体験も参考になる」

患者の思いをセンターが受けて実現。患者や家族が運営する。
世話人で大腸がん患者でもある大東和子さん(70)は、
「みな話せない不安や悩みを抱えている。
『サロンでしか泣けない』と涙を見せる人もいる。
『がん=死』ではないと伝えたい」と訴える。

参考にしたのは、島根県の患者サロンの取り組み。
05年12月、都会と地方との情報格差を感じたのがきっかけで、
患者の心のケアや患者が主体的に治療にかかわる体制作りを目指している。
現在までに、病院や公民館など計21カ所にサロンがあり、患者の要望で実現。
誰もがどのサロンにも参加できる。
全サロンが連携し、情報を県がホームページで公開するなど
行政や医療機関も支援を行う。

島根のサロンには全国から視察が相次ぎ、取り組みは約20府県に。
京都で院内サロンの開設を進めるNPO法人「京都がん医療を考える会」
佐藤好威理事長(65)は、「京都は、高度な医療機関はあるが、
患者への支援は遅れている。サロンに興味を示さない病院も多い。
がん医療の向上のためにも、もっとサロンが必要だ

06年6月、国や自治体などの責務を示し、がん対策に取り組む
「がん対策基本法」が成立
この動きに呼応するように、島根県では患者らの声を受け、
同年9月に全国初の「県がん対策推進条例」が成立。
条例の存在が、行政の患者サロン支援や、
関係機関の連携と取り組みを強力に促進。
条例策定の動きはその後、高知県、神奈川県、新潟県、長崎県にも。

島根県では07年7月、がん治療・検診などで使う高度医療機器の
早期整備を目的に、財団法人島根難病研究所が運営する
「がん対策募金」が始まった。
3年間で7億円を集める目標。
企業の協力で、売り上げの一部を寄付する商品も登場し、
バナナや緑茶など11商品に拡大。
消費者も、対象商品を買うことでがん対策に参加することになり、
これまでに約3億1000万円の募金が集まった。

「病院や行政は、患者の支援にどう関与すべきか」。
島根県には、行政や病院関係者の視察や講演依頼が相次ぐ。
県医療対策課は、「島根には、患者や市民の盛り上がりがあった。
行政主導では長続きしない。
まずは、患者さんの取り組みに耳を傾けたことが成功につながった」

08年11月30日、全国のがん患者や家族らが参加する
「第4回がん患者大集会」が全国9会場で開かれた。
各会場は同時中継で結ばれ、パネリストでがん対策に詳しい
埴岡健一・東京大特任准教授が、
患者、医療、行政の三位一体でなく、島根はメディア、企業、議会などの
政治を合わせた『六位一体』で取り組み、それがうまく機能している」と、
島根方式の特徴を評価。

一方、がん対策基本法に基づき各都道府県は、
がん対策推進計画を策定。
5大がんの検診率を、10年度以内に70%に(宮城県)、
在宅ターミナルチームを300カ所構築して患者在宅みとり率を5年以内に
12%以上に拡大(兵庫県)、
公共施設の全面禁煙化(静岡県)など、独自の施策を打ち出している。

http://mainichi.jp/life/health/news/20090109ddm013100145000c.html

環境の旗手たち:/5 東京ガス・松井徹さん

(毎日 1月9日)

◇焼却困難な海藻からメタンガス--松井徹さん(41)

<異常繁茂した海藻は、浜辺に漂着して腐臭を放つ。
海藻は、9割が水分で焼却しにくく、埋め立てなどの処分に
年間数千万円をかけている自治体も。
東京ガスは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との
共同研究で、この厄介者の資源化を目指し、
メタンガスを回収する世界初のプラントを07年に開発

10年前、「バイオマスを研究してみよう」と集まったのは約10人。
正式な研究テーマとして会社に認められたのは、その後のこと。有志の集まり。
「海藻に困っている自治体がある。使えないか」と、
メンバーから寄せられた情報が、海藻に関心を持つきっかけに。

<微生物を使って海藻を発酵させて糖を生成し、
さらに発酵させてメタンガスを取り出す。
海藻に適した微生物探しがポイント

土や食品にすむ微生物を数十種類、試した。
海藻の糖は、陸上生物の糖とは分子構造が異なっているようで、
効率よく分解できる微生物探しに1年ほどかかった。
しかも、1種類見つければいいわけではない。
海藻を分解して糖にする、その糖をさらに分解するなど、
いろいろな役割の複数の微生物を共生させる必要。
海藻には、ごみも混じるので、雑多な環境に強くなければ。

<02年度から5年間、実証実験を繰り返し、
1日1トンの海藻から約20立方メートルのメタンガスを回収することに成功。
出力を安定させるために天然ガス(都市ガス)と混合し、
1時間当たり10キロワット時(一般家庭20世帯分)の発電量を得られる。
一部はカスとして残るが、肥料にできる。
水産関係者から説明を求められる機会も増えている>

バイオマスの利用は、地球環境をよくすることにつながる。
プラントの建設や稼働、海藻の回収などで雇用を創出し、
地域を活性化する効果も期待。
人に自慢できる仕事っていいもの。
==============
◇バイオマス

食品廃棄物や動物のふん尿、下水汚泥、間伐材など生物由来の資源。
堆肥化したり、発酵や燃焼により、メタンガスやエタノールなどの
燃料に替えることができる。
海に囲まれた日本は、海藻利用も期待。
国は06年、石油などの化石燃料からの脱却や二酸化炭素(CO2)
排出量削減のため、バイオマス・ニッポン総合戦略を決定し、
開発や利用を促進。
==============
◇まつい・とおる

東京工業大工学部化学工学科卒。91年、東京ガス入社。
基盤技術部技術研究所で、学生時代からの触媒研究を生かし、
排ガス浄化技術の開発に携わる。
06年4月から環境システムチーム主幹。東京都生まれ。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/09/20090109ddm008020059000c.html

2009年1月13日火曜日

糖尿病は脳機能を低下させる

(WebMD 1月5日)

厳格にコントロールされている場合でも、軽度糖尿病により
精神機能が低下することを、カナダの研究が示している。

この認知障害は、大きなものではないものの、
2型糖尿病の早期に出現するようである。
幸いにも、軽度~中等度の糖尿病患者であれば、
この障害が経時的に悪化することはない。

この知見は、「比較的軽度の」2型糖尿病患者41例を含む53~90歳の
成人570例を対象とした研究、被験者は3年毎に精神機能検査を受けた。

いくつかの研究で、糖尿病と精神機能の低下との関連性が示されているが、
アルバータ大学(カナダ、エドモントン)のRoger A. Dixonらは、
すべての精神機能が等しく障害されるわけではないことを明らかに。

糖尿病患者の反応時間と認知速度は、共に正常であったが、
新しい言語情報を迅速かつ正確に処理する必要のある課題については
遅れがみられた。
この障害は速度には影響するが、言語の流ちょう性には影響しなかった。

Dixon博士は、「早期で適切に管理されている糖尿病患者には、
こうした機能低下を代償する何らかの経路があると考えられる」

糖尿病患者とそれ以外の人の精神機能における差が、
加齢により拡大しなかったことは朗報。
Dixon博士らが検出したこの障害は、「臨床的に重大」ではないものの、
一部の患者ではこうした軽微な障害が精神機能のさらなる低下の前兆と
なっている可能性のあることが示唆。

『Neuropsychology』1月号に掲載。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=86000

現場再訪(2)全寮制自主性の芽生え

(読売 1月8日)

開校4年目を迎える全寮制中高一貫校の生徒たちが変わり始めた。

午後8時。校舎から見える三河湾は、すっかり闇に包まれた。
食事と洗濯を済ませた生徒たちは、校舎隣の寮で、
誰に指示されることもなく自習を始めた。
自室にこもったり、ラウンジで教え合ったり。
寮内は張りつめた空気でいっぱいだ。

全寮制の中高一貫校、海陽中等教育学校(愛知県蒲郡市)では、
3年生までの男子338人全員が、消灯30分前まで2時間の
「夜間学習」に取り組む。
しかも、生徒の疑問に答えられるよう、教員が交代で待機する。

この日が当番の鈴木裕子教諭は、「生徒が自ら学んで成長している。
夜の表情は昼と違うので、何に困っているかもよくわかり、適切な指導ができる」。
当番以外の教員も、気になる生徒がいれば適宜、寮を訪れる。

同校は2006年、英国で指導者を輩出してきたパブリックスクールの
イートン校をモデルに、トヨタ自動車、JR東海、中部電力など
80を超える企業・団体の寄付で開校。
自由と規律を学び、独立心と協調性を育てるという建学精神の下、
生徒の生活には細かいスケジュールがある。

起床は6時30分、授業は8時10分に始まる。
放課後も、自習や補習の時間が決まっている。
校内にはコンビニエンスストアがあり、生活用品は電子マネーで買う。
小遣い帳と日誌は毎日、企業が派遣した若手社員が担う
フロアマスターに提出。ゲーム機の持ち込みや個室での飲食は禁止。

「洗濯の順番や時間決めなどで、自主的に寮を運営し始めた。
最初はこうはいかなかった」。
寮全体を束ねるハウスマスターとして寝食を共にしてきた
篠崎高雅さん(49)は、生徒の変化を口にする。

渡辺誠副校長(59)も、「生徒同士の衝突も先輩が調整するなど、
リーダー意識が芽生えてきた」。
生徒からも、「自分のことは自分でできるようになった。後輩も育てたい」

授業は、「高校までの内容を4年で終える」としてきただけに密度が濃い。
1期生の3年生は、昨春から高1のカリキュラムに入った。
生徒の習熟度に多少の差があり、きっちり4年で終えるかどうかは未定だが、
5~6年は、4年間の復習と受験準備のため演習中心の授業にし、
大学レベルの教材も用意する。

今年度から教員の進路指導研修が始まり、外部の講師から、
大学受験の動向、受験生への授業の進め方などの話を聞いた。
だが、「大学受験対策で成績に一喜一憂せず、社会のリーダーになることを
イメージできる指導を心がけたい」と渡辺副校長。
黒川清・前日本学術会議会長、浅島誠・東京大副学長など、
日本のトップリーダーを講師に招いた特別講義も続けてきた。

「これまでは学校が与えたレールに乗っていればよく、恵まれすぎていた。
何を学びたくて、何をやりたいのかを考えさせ、
自ら学校に働きかける生徒を育てていきたい
リーダーの卵をどう育てるか、本格的な挑戦が始まる。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090108-OYT8T00228.htm

スポーツ21世紀:新しい波/289 武道の必修化/7

(毎日 1月10日)

剣道を、正課の授業に取り入れている私立小学校がある。

大阪城の天守閣を間近に望む追手門学院は、昨年創立120周年を迎えた。
前身の大阪偕行社付属小学校は、明治21(1888)年、
薩摩藩出身で後に陸軍大臣や明治天皇の侍従などを務めた
高島鞆之助によって創設

高島は、大阪鎮台司令官に着任した際、礼儀作法を心得ない子どもたちに驚き、
礼節としつけを重視した教育の必要性を感じた。
だが、規律一辺倒ではなく、国際化を見据え、
創立当時から英語を取り入れてもいる。

剣道の授業は、大正4(1915)年から始まった。
第二次大戦後、武道を禁止したGHQ(連合国軍総司令部)の方針で中断、
昭和30年代に復活。
現在は5、6年生の男子を対象に週1回実施、成果を試す場として、
1月の寒げいこ、9月の暑中げいこと剣道大会、10月の体育大会がある。

昨年末、5年生の授業を見学。
約80人がはかまに防具をつけ、大きな声を出しながら、
竹刀を振りかぶってメン打ちを繰り返す。

最初のうちは、防具のひもを自分で結べず、打たれて泣き出す子も。
指導する林英男教諭は、「しんどい思いをして、自分の限界を知ることで
心が強くなり、たくましくなる」

子どもたち数人に感想を聞いた。
「スポーツと違って剣道は礼儀がある。
相手を敬い、一本をとってもガッツポーズをしたりしない」。
優等生的な答えだと思いつつ、感心もした。
岩渕正文教諭は、「強い剣士を作ることが目的ではないので、
技術だけにならないようにしている」

21世紀の今、小学生に剣道を教える意義は何なのか。
「時代遅れかもしれないが、今までやってきたことを、
次の時代につないでいるだけ。
一つのことをやり抜くことが、生きる自信になる。
そんな力を剣道を通して子どもたちにつけてあげたい」。
それが森義和教頭の答えだった。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

環境の旗手たち:/4 東レ・峯岸進一さん

(毎日 1月8日)

◇耐用年数2倍の浄水膜を開発、峯岸進一さん(40)

<中東やアフリカ、中国など世界では6人に1人が、
安全な水を飲めないでいる。
ストロー状の浄水用ろ過膜「中空糸膜」の新製品「トレフィル」が、
従来の製品より耐久性や汚れに強い点が評価され、
07年度の化学工学会技術賞を受賞。
峯岸進一さんが中核となって開発し、02年に実用化>

トレフィルは、全体に0・05マイクロメートルの無数の穴が開き、
汚れや微生物を除去して水をきれいに。
これを束ねた円柱形の部材を長さ約2メートル、直径約20センチと
世界最大にし、耐用年数を従来品の2倍以上の7年に延ばした。
汚れによる機能低下が小さくなり、処理能力が高まった。
東京都世田谷区の国内最大の膜ろ過浄水施設やインドネシアで使われ、
今年は韓国で採用。世界の多くの人に使ってもらえてうれしい。

<02年4月、大津市の研究所。実験室では生産に成功したのに、
愛媛工場ではうまくいかない。国内向けの1号機の納期が8月に迫っていた>

工場に2カ月間泊まり込み、考え続けた。
できないとは言いたくなかった。
温度や湿度など細かな生産条件を一つ一つクリアし、
最後のひとつになったのは6月。
実験室と異なる大型設備では、条件が異なることを知った。
実用化は大変だと実感。

<研究者が開発から製品化までかかわれる機会は少なく、
「幸せ者」と上司は言う>

子供のころの夢は、ロボットを作ること。
世の中の人が欲しいと思うものを作りたかった。
人に役立つ膜への思いは強くなり、ライフワークに。

<大津市内で、妻と子ども4人の6人暮らし。
子どもたちは「パパの仕事は水をきれいにすること」と言ってくれる>

入社当時は、水処理膜を知っている人はほとんどいない。
蛇口をひねれば、水が出る日本では難しいかもしれないが、
排水の再利用など水源の多様化が進み、それに対応した膜が必要。
研究に終わりはない。
==============
◇水処理膜

溶かしたプラスチック化合物でできており、大腸菌など除去物質によって
穴の大きさが異なる複数の膜がある。
淡水化に用いる膜の穴は、0・001マイクロメートル。
東レは日東電工、東洋紡、米ダウと並ぶ水処理膜の世界メーカーで、
市場規模は推定約1000億円弱(07年)。
水不足の深刻化による海水淡水化や浄水需要の増加で、
25年には7倍になるとの予想。
==============
◇みねぎし・しんいち

東工大大学院修士課程修了。93年、東レ入社、一貫して膜研究に従事。
浄水処理で北大との共同研究にも携わり、北大大学院博士後期課程修了(工学)。
05年4月から地球環境研究所主任研究員。埼玉県出身。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/08/20090108ddm008020042000c.html

2009年1月12日月曜日

元祖飛騨牛のクローン誕生 16年前の冷凍細胞から 岐阜県畜産研究所など

(共同通信社 2009年1月7日)

岐阜県特産の飛騨牛の元祖とされ、16年前に死んだ後に
冷凍保存されていた雄牛の細胞を使って、クローン牛が誕生。

県は、長期冷凍した牛の細胞からクローン牛を誕生させたのは
世界的にも珍しいとしている。
より肉質の良い牛の復活につながる可能性もあるが、
安全面から直ちに食用にすることへの問題点も指摘。
県畜産研究所と近畿大学の共同研究で、クローン技術の開発に成功。

1993年に死んだ雄牛「安福(やすふく)号」から取り出し冷凍保存していた
精巣から細胞核を抽出して、その核を遺伝子レベルで操作。
受精していない雌牛の卵細胞の核と入れ替える手法を使った。

2007年11月に初めてこのクローン牛が誕生。
これまで生まれた4頭のうち3頭が生存している。
安福号は「飛騨牛の父」と呼ばれ、さらに全国の黒毛和牛の3割以上の
ルーツとされている。
直接血を引く牛は全国で約150頭誕生。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85882

新大船渡魚市場整備 総事業費50億円超

(東海新報 1月9日)

20年度内に着工となる新大船渡魚市場整備で、
大船渡市は建物の建築、電気設備、給排水・空調の各工事において
市内業者を中心に発注することを決めた。

整備費は、総額で50億円超、大部分が今回発注の工事費となる。
数十億円規模の大型事業を地元業者に限定した形で発注するケースは
市内では珍しく、整備における経済効果も注目。

入札は27日に行われ、議会などでの承認を経て、年度内に着工。
新施設の営業開始は22年内を目指し、その後の展示施設工事などを経て、
最終的な整備完了時期は23年となっている。

整備には、人工地盤などの工事で一部県事業も含まれているが、
市が一括して発注、施工を行う。
工事発注は、
魚市場施設などの建築、電気設備、給排水・空調――の3種類。

建築工事は、市営建設工事参加者名簿に登録している業者のうち、
建築工事A級(標準発注額3600万円以上)の8業者を対象とし、
2業者でのJV(特定共同企業体)を組んでの参加。
最大4企業体による入札となる。

電気設備工事は、同じく電気工事A級(同1000万円以上)に登録している
6業者(共同企業体を含む)が対象。
一業者ごと単独で入札に参加できる。

給排水・空調については、東北管内の大手1社と地元業者2社でのJVとなる。
地元業者は水道工事名簿に登録し、配水設備工事指定などを受けている
11業者が対象で、最大で5企業体による競争。

入札にあたって、市では市営建設工事入札資格者審査委員会などを開き、
選考方法を協議。地元企業の育成や技術力向上といった考えのほか、
市内業者も整備実績があり、施工できると判断。
JVとなっても競争性が確保できるため、市内業者を中心とした入札方針。

整備における総事業費の概算は、50億円超。
市では詳細を明らかにしていないが、総事業費のうち大部分が
今回の工事費に回るとみられる。

市内で数十億円規模の工事が行われる際、大手ゼネコンが主導する形が
多い中、市内業者が中心となった事業としては過去に例がない大規模なもの。

魚市場整備については、大船渡商工会議所が昨年8月、
市に対して魚市場事業を含む市発注工事を地元業者に優先発注するよう
要望書を提出。
資材価格高騰や発注量減に伴う建設業界の厳しい情勢を訴え、理解を求めた。

気仙3市町の建設業者53社で構成する県建設業協会大船渡支部の
金野健支部長は、「市内業者としては、かつてないほどの大型事業。
請け負った業者だけでなく下請け、資材業者などへの波及効果もあり、
公共事業が削減している今日においてはとても喜ばしい」。

市財政課は、「規模が大きく、要求される技術度も高いが、
地元業者も実績を積み重ねており、施工できると判断した。
地元経済への良い効果も期待している」

http://www.tohkaishimpo.com/

現場再訪(1)英語漬け授業 国語力も向上

(読売 1月7日)

「英語漬け」の一貫校は、開校から4年がたつ。

正月休みを神奈川県相模原市の自宅などで過ごした会社員
前田英典さん(45)は、妻の美雪さん(43)、長女の美理愛ちゃん(10)、
次女の侑理愛ちゃん(8)を、群馬県太田市に送った。
2人は、大半の授業を英語で行う同市の私立ぐんま国際アカデミー(GKA)
4年生と2年生。8日から学校が始まる。

開校以来、英典さんは相模原、妻子は太田で生活を続けてきた。
月10万円を超える授業料に加え、二つの自宅のローンがある。
2人は水泳教室に、美理愛ちゃんは昨夏から算数の塾にも通い始めた。
美雪さんはパートの仕事に就いた。
「いつまでやりくりできるか不安もあるが、家族で話し合って決めたことだから
後悔はない」と英典さん。

GKAは、政府の構造改革特区制度を使ってできた一貫校。
3年間、1年生と4年生を受け入れ、昨春、初等部を終えた1期生60人のうち
51人が中等部に進んだ。
7年生(中学1年)までの児童生徒552人に、教員は47人(うち外国人21人)。
今秋には、車で10分ほどの公立小移転跡で高等部の校舎建設が始まる。

初等部の授業は日本語と英語が3対7だが、
中等部では日本語での授業がやや増えた。
初等部では、算数と理科がすべて英語なのに対し、
中等部では数学と理科の1コマずつを日本語で行い、補習に充てている。

「英語で学んだことは十分理解できているが、内容も高度になり、
専門的な言葉も多い。日本人として、日本語に置き換えて説明できないと、
将来困ることも出てくるはず」と7年生の学年主任、山田ヘイ美由紀教諭(48)。

フィリピン人教師が担当する理科を先月初旬にのぞくと、
水溶液の性質を学ぶ授業で、「硝酸カリウム」「再結晶」といった
英単語が飛び交っていた。
生徒たちは水に溶かした物質を取り出し、その形を顕微鏡で確認、
教師の質問に答えながら、英語で書かれた板書をノートに書き写した。

子供たちの学力はどうか。
7年生は昨秋、国際的な英語テストTOEICを任意で受けた。
受験者25人の平均点は、477点(990点満点)。
英語や英文学専攻の大学1年生の平均点を上回った。
6年生はこの2年、国の全国学力テストを受けている。
国語、算数とも、基礎を見る「A問題」でほぼ国の平均を上回り、
活用力を見る「B問題」では平均より10点以上高かった。

読書感想文コンクールでも、今年度の市代表6作品中、4作品が
GKA初等部の児童。
「国語も英語も、1年生から、調べてまとめたことを発表させる作業が多い。
それが作文の質につながっている」と井上春樹副校長(64)。
英語で学ぶことが多いからこそ、日本語の思考力が重要だと、
初等部では教師への国語の研修に力を入れ始めた。

一方、地元の塾にはGKA向け予習コースができた。
美理愛ちゃんが通うのもこの塾。
初等部4年以上の算数、中等部の国語、数学が週1回ずつあり、
各クラスに4、5人が通う。
「長期的に見れば、英語で学んでも学力は大丈夫。
でも、保護者の不安を取り除く必要がある」と井上副校長。

日本語とのバランスに配慮しながら、「英語で考える」子供を育てる――
GKAの理想に向けた模索が続く。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090107-OYT8T00183.htm

環境の旗手たち:/3 eスター・赤沢輝行さん

(毎日 1月7日)

◇「廃熱」を新たな力に--赤沢輝行さん(41)

<1816年に、スコットランドで発案されたスターリングエンジンの
普及が近づいてきた。燃料を爆発させて運転するガソリンエンジンなどに比べ、
多様な熱源から動力を得られ、静かで二酸化炭素(CO2)も出さない。
廃熱を再利用する製品を開発>

スターリングエンジンは、シリンダー内部の気体に外から熱を加え、
膨張・圧縮させてピストンを動かし、動力に。
工場や発電所から出る廃熱で、このエンジンを動かし、発電機で電気をつくる。
これまで、ガスなどを燃やした時の1000度以上の高熱で動かす
タイプはあったが、廃熱の97%を占める500度以下で発電できないか。

<パナソニックの技術者出身。05年、社内ベンチャー制度を活用して起業。
スターリングエンジンは、高出力を得る仕組みや採算性が課題>

「すごい技術に挑戦すべきだ」と言われた。
それなら2世紀も実現していない難攻不落の技術に、
思い切って残りの人生を懸けてみよう、と清水の舞台から飛び降りた。

海上技術安全研究所(東京)との共同研究に着手。
07年8月、船舶のディーゼルエンジンから出る400度の廃熱で
発電機を動かすことに成功>

廃熱を取り込む熱交換器に、熱を伝えやすい銅を使い、
強度不足は銅の周囲をステンレスで覆って補った。
熱を動力に換える性能も向上させ、油を差さなくても動く仕組みにして
コスト削減に役立てた。基本技術は確立。

<今月末から奈良県で、実際に工場で使う試験を始める。
2年後には、1キロワット(ドライヤー1台分)の電力を賄う製品を
約100万円で発売する計画>

将来は、価格を下げる予定。もっと低い温度での稼働も課題。
200度前後でも動けば、廃熱の3割を活用できる。
「もったいない」という意識を根付かせ、「環境革命」を起こす
一員になれれば、と願っている。
==============
◇廃熱

1年間に国内の産業活動で発生する量は、
原油換算でドラム缶約1億4500万本分。
大部分が捨てられている。
試算では、国内全工場にスターリングエンジンを設置して
廃熱を可能な限り再利用すると、大量の電気を賄い、
CO2排出量を年2602万トン削減できる。
太陽光発電を全世帯など、日本で最大限(全土の12%の面積)に
普及した場合のCO2削減量2523万トンを上回る。
==============
◇あかざわ・てるゆき

熊本大大学院修了(資源開発工学)。
92年、松下電器産業(現パナソニック)入社、コンプレッサー開発に携わる。
05年4月、社内ベンチャー、eスターを一部出資して設立、社長就任。
従業員8人。福岡県出身。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2009/01/07/20090107ddm008020092000c.html

2009年1月11日日曜日

三陸大津波を小説に 気仙沼の山内さん

(岩手日報 1月8日)

宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館の主任学芸員、
山内ヒロヤス(本名宏泰)さん(37)は、
明治三陸大津波を題材にした小説「砂の城」を出版。

実際に発行された雑誌「風俗画報」の記録を基に被災状況を描き出し、
津波の恐怖を現在に伝えている。

物語は岩手、宮城県境付近にある街が舞台。
小学校教師が、お年寄りに津波体験を聞く形で展開。
1896(明治29)年6月の夜、予期せぬ津波にのみ込まれる囚人や
漁師一家、被災地を取材する記者らを描く。

現在の写真週刊誌の先駆けともいえる風俗画報は、1879(明治12)年創刊。
明治三陸大津波の直後には臨時増刊号3冊を発行し、
絵画と記事で惨状を伝えた。

山内さんは、美術館学芸員として風俗画報の絵画に着目。
2006年に同館で特別展「描かれた惨状」を開催。
特に、子どもたちに津波の様子を伝えたいと考えていたが、
学校単位での観覧は1校にとどまった。

関心の低さに落胆した山内さんは、調査研究の成果を展覧会とは
別の形でまとめたいと考え、明治三陸大津波をモチーフにした
「再現ドラマ」として小説を執筆。

山内さんは、「今後も津波の襲来は予想されている。
大量の車やコンクリートが海中に流され、養殖をはじめとした漁業が
壊滅的な被害を受けることも考えられる。
今考えなければならないことは多いのではないか」と警鐘を鳴らす。

同書は近代文芸社刊。B6判、153ページ。1785円。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090108_11

街なか再生へ循環バス 奥州市水沢区

(岩手日報 1月8日)

奥州市は、市街地再活性化の一助にしようと、
水沢区で「街なか循環バス」の試験運行を始める。

試験運行は約1年間実施し、利用状況などを踏まえ、本格運行を検討。
同市は、市街地再生策を模索し、試験運行もその一環。
「市民の足」として、新たな人の流れを生み出せるか注目。

街なか循環バスは、奥州市水沢区の県立胆沢病院を発着点に、
総合水沢病院との直線距離約3キロを40分程度で往復する。
始発時間は午前9時半。

水沢駅通りやメイプル、横町の商業区域、川端、南大鐘の住宅街など
往復で28カ所の停留所を経由。
1日7便運行し、土、日曜と祝日は運休。
1回の乗車につき150円の定額運賃制で、通院や買い物の
気軽な「足」としての利用が期待。運行は県交通に委託。

2009年12月末まで試験運行し、利用状況や市街地への人の流れを
生み出す効果を調査、この結果を検証し、本格運行に向けた課題を探る。
循環バス事業は、水沢区中心部を対象に人の定住と回遊を促す
市中心市街地活性化基本計画に盛り込まれている。

同計画は国から認定されると、事業補助が受けられる。
早ければ、今月中にも申請する方向。
市まちづくり推進課の及川克彦課長は、
「市街地活性化の各事業に先駆け、『市民の足』としての機能を検証したい」

奥州市水沢区の主婦千葉恵さん(38)は、
「気軽に使える運賃だ。商店街の魅力が高まれば、
バスで人を呼び込めるはず。(午前9時半の)始発時間がもっと早ければ、
通院利用も進むと思う」
バス出発式は13日朝、県立胆沢病院敷地内で行う予定。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20090108_14

山村再生支援センター:間伐材で排出量取引、林野庁が仲介組織 鉄鋼、電力など想定

(毎日 1月6日)

林野庁は、09年度に林業分野の二酸化炭素(CO2)排出量取引などを
推進する「山村再生支援センター」を設立。

CO2削減につながる間伐材を活用し、併せて林業振興を図ることを狙う。
当初予算案に、運営費3億5000万円を盛り込んだ。
運営は、特定非営利活動法人(NPO)などの民間団体に委託する方針で、
1月下旬に公募して3月までに運営主体を決める。

森林は、CO2の吸収源だが、生育の悪い樹木を間引き(間伐)して
森林全体の成長を促せば、更に吸収量は増える。
最近は間伐材や、製材所から出る木くずをチップ化した木質バイオ燃料の
利用が、地球温暖化対策としても注目。

同センターは、木質バイオ燃料を生産する業者に、
燃料を使う地元企業や温泉施設、公共施設などを紹介。
削減されたCO2排出量を算定し、排出枠購入を希望する
企業への売却を仲介する。
購入企業としては、CO2排出量の多い鉄鋼、電力業界を想定。

排出量取引は、政府の地球温暖化対策の一環として
昨年10月に試験的にスタート。
排出量を単独で削減することが難しい企業が、
排出量を大量削減した企業から余剰分を購入できる。

排出量の相場は、CO21トン当たり2000~3000円、
間伐材の利用で森林組合や製材業者などの収益が増えれば、
安い輸入木材に押されてきた国内林業の活性化も期待。

センターは、森林を活用した健康産業や、間伐材を素材とした製品開発など
新ビジネスの振興も担う。
森林浴による癒やし効果を生かした「森林セラピー」を、
社員の研修活動に活用する企業も増えており、
企業と地元自治体との橋渡しも行う。

http://mainichi.jp/select/science/news/20090106dde007040044000c.html

雇用創出は医療・介護重点に…政府がニューディール計画

(読売 2009年1月1日)

雇用情勢の急激な悪化に対応して政府が策定する
「雇用ニューディール(新規まき直し)計画」(仮称)の全容が明らかに。

人手不足が指摘される医療・介護分野の資格取得を支援するなど、
職業別に雇用創出を図る。
失業の急増が問題化している非正規雇用者については、
職業訓練にかかる費用の給付と訓練期間中の生活資金支援の拡充に取り組み、
労働条件などを巡る権利を守るための法制度の見直しを検討。

国、地方自治体の行政機関で臨時雇用を増やす一方、
林業の担い手を養成する「緑の雇用」を再開・拡充する。
失業急増の主因である企業倒産を防ぐため、企業の事業再生を支援し、
失職した労働者に対する雇用保険による職業訓練費用の給付も
対策に盛り込む。

仕事と育児の両立を支援するため、日本では最長1年半、
給与の30%にとどまっている育児休業者への所得補償を
段階的に引き上げ、育児休業制度の充実を目指す。

産業再生機構の設置と一体的に実施され、2008年9月に終了した企業や
失業者向けの「雇用再生集中支援事業」の再開も検討

政府は、08年12月に140万人の雇用を下支えするための対策を
打ち出したが、新対策は戦略的な雇用創出が特徴。

政府は、七つの成長分野に重点投資する「未来開拓プラン」(仮称)
具体策を、経済財政諮問会議(議長・麻生首相)でまとめる方針で、
新たな雇用対策はその柱になる。

財源は、09年度予算案に盛り込んだ「経済緊急対応予備費」(総額約1兆円)
などを活用し、一部は09年度補正予算での手当ても検討。

「雇用ニューディール計画」の骨子
〈1〉医療、介護、農業など職種別に雇用創出計画を策定
〈2〉リストラに伴う失業者の再就職を助ける「雇用再生集中支援事業」を再開
〈3〉林業就業を促す「緑の雇用」事業を再開・拡充し、
国や自治体、関係機関も臨時雇用の場を提供
〈4〉非正規雇用者の権利保護法制を検討
〈5〉育児休業者への所得補償を段階的に引き上げ、
世界最高水準の育児休業制度を目指す
〈6〉起業後の法人税軽減や家庭菜園への農地貸与で高齢者を支援

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=85824

細胞内小器官、増殖を制御 千葉大など「定説」覆す発見

(朝日 2009年1月9日)

葉緑体やミトコンドリアといった細胞内の小器官は、
進化の過程で細胞に取り込まれた微生物の名残で、
細胞核に支配されている、と考えられてきた。
だが細胞の増殖過程を調べてみると、
逆に葉緑体などが細胞核に信号を送り、
DNAの複製を促していることが、千葉大や東京大などの研究でわかった。
従来の「定説」を覆す成果で、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表。

使ったのは、シゾンという原始的な単細胞藻類
研究グループの田中寛・千葉大教授(分子遺伝学)によると、
シゾンの増殖過程では、まず小器官のDNAが複製され、
その後、細胞核のDNA複製が行われていた。
小器官のDNA複製を阻害する薬剤を与えると、細胞核のDNAも増えなかった。

だが、小器官のDNA複製の際にできるテトラピロール類と呼ばれる
物質を与えると、細胞核でのDNA複製が進み始めた。

葉緑体などが、この物質を通してDNA複製の信号を送り、
細胞増殖を制御していたことに。
まるで寄生体(パラサイト)のようにも見えることから、
グループはこの信号を「パラサイトシグナル」と名付けた。
タバコの細胞を使った実験も行い、
この信号が種子植物でも働いていることがわかった。

田中教授は、「ヒトや動物でも、この信号が働いていることを示せれば、
医学的に重要な知見が得られる可能性もある」