2009年4月14日火曜日

熱いお茶の摂取は食道癌リスクの上昇と関連

(2009年4月9日 Medscape)

熱いお茶の摂取が食道癌リスクの上昇と強く関連することを示す
イラン北部の地域集団に基づく症例対照研究の結果が
『British Medical Journal』オンライン早版に掲載。

「熱い飲み物の摂取と食道癌リスクとの関連は、
いくつかの研究で世界各地から報告」と、
テヘラン医科大学シャリアティ病院(イラン)のFarhad Islamiら。

「ゴレスタン州で一般に飲まれている飲料はお茶と水だけで、
平均摂取量はほぼ同じ。
食道癌発生率が低い近隣地方の住民に比べ、
ゴレスタン州の住民はより多量かつより高温のお茶を飲んでいた」

目的は、食道扁平上皮癌(SCC)の発生率が高いイラン北部ゴレスタン州に
おけるお茶の摂取習慣の特徴と食道SCCリスクとの関連を評価すること。

お茶の摂取パターンと通常飲むお茶の温度は、
コホート研究に登録された健常被験者でも評価。
食道SCC患者300名のお茶の摂取について、症例対照研究のマッチングした
近隣対照被験者571名およびコホート研究の参加者48,582名と比較。
主要評価項目は、熱いお茶の摂取に伴う食道SCCのオッズ比(OR)。

紅茶を飲む習慣があると回答したのは、コホート参加者の98%、
平均1日摂取量は1L以上。
お茶の温度は、参加者の39.0%が60°C未満、38.9%が60-64°C、
22.0%が65°C以上であると回答。
回答されたお茶の温度は、実際の温度測定値と中程度の一致。

症例対照研究では、ほのかに温かいまたは温かいお茶に比べ、
熱いお茶(OR 2.07)、非常に熱いお茶(OR 8.16)を飲んでいる場合に
食道癌のリスクが高かった。
お茶を注いでから2-3分後に飲んでいる場合(OR 2.49)、
注いでから2分以内に飲んでいる場合(OR 5.41)も、
注いでから4分以上経過後に飲んでいる場合に比べてリスクが有意に高い。

飲むお茶の温度に関する質問の回答は、
お茶を注いでから飲むまでの時間間隔と強く一致。
「熱いお茶を飲むというゴレスタン州で一般的な習慣は、
食道癌リスクの上昇と強く関連」

本研究の限界として、お茶を飲んだ量と温度に関する
情報バイアスがある可能性、妥当性を検証する試験(validation study)が
健常者で行われたこと、選択バイアスがある可能性、欠測データが
いくつかあることが挙げられる。

「ゴレスタン州住民の大部分が熱いお茶を飲んでいるため、
本集団における食道癌症例のかなりの割合が
この習慣で説明できる可能性がある。
ゴレスタン州および同様の習慣が一般的にみられる他の高リスク集団で、
食道癌発生率を下げるためには、熱いお茶を飲むことの危険性を
人々に知らせることが有効かもしれない」

王立ブリスベン病院クイーンズランド医学研究所(オーストラリア)の
David Whiteman博士は、お茶を飲む前に5分間冷ますことを推奨。
「熱が腫瘍の発生を促進する機序については、さらに調査する必要、
今回の知見より新たな弾みが得られるかもしれない。
お茶を警戒する理由とはならず、お茶を飲む習慣に対する
人々の熱意がそがれるべきではない。

お茶を作ってからカップに注ぐまでの間、5-10分間の間隔をおくという
アドバイスに従うべき。
お茶の風味を十分に引き出し、熱傷の危険性を下げることができる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/4/9/95102/

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