(毎日 2月21日)
佐藤雅彦さん(53)は約3年前、若年性アルツハイマー病と診断。
パソコンや携帯電話のナビゲーションシステムなどを使いこなし、
東京近郊に一人で暮らしている。
佐藤さんは、取引先で道に迷うなど異変を感じ、精神科医を受診、
医師から病名を告げられた。いずれ全介護状態になると知り、がくぜんとした。
気力が続かず、時間感覚が失われ、最近の事柄を思い出せない。
うつ状態になったが、若年認知症の家族会に出合い、
介護サービスなど役立つ情報を知った。
介護職の講座で話をし、インターネット上のブログに思いや体験も書く。
「認知症で、すぐ何もわからなくなるわけではない。
弱い部分を補えば仕事もできて、生活に張りが出る。
早期発見が“早期絶望”にならないよう、病名告知では
判断能力のあるうちにすべきことを助言するなど、暮らしへの配慮が必要」。
認知症予防の第2段階、機能低下後の対応はまだ手探り。
脳血管性の認知症患者が多い宮城県旧田尻町(現大崎市田尻地区)は、
東北大の協力で対策に乗り出し、早期発見・早期治療に力を入れる。
中心は、国保診療所やデイサービスセンターなどを併設する
「スキップセンター」(現大崎市民病院田尻診療所)。
対策の必要性を痛感したのは91年、在宅の高齢者約2300人の調査結果。
認知症の兆しがあるのに、専門医の診察を受けていない人が極めて多い。
アルツハイマー病による認知症は、塩酸ドネペジルという薬の服用で
進行を遅らせられる。
一定期間だが心理状態が安定、医師やケアマネジャーはその人の
趣味などを理解でき、生活支援を考えるのに役立つ。
血管性の認知症は、脳血管性障害を再発しないよう服薬が重要。
機能低下が始まると、記憶力など一部の機能は鍛えるのが難しい。
認知症診療対策室長を務める目黒謙一・東北大大学院教授は、
「予防プログラムも、健康な人とは違う内容が必要。
軽度の障害を正しく判定し、ふさわしい対応をすべき」。
介護予防事業のチェックリストは、本人に聞く形式で、限界がある。
センターは、独自のチェック方法(田尻式スクリーニング)も使っている。
「畑の種まきで、昨年に比べ困ったことはありましたか」など、
生活に即して変化を探る。
「自覚はなくても、本人はテレビのリモコンが操作しにくいといった
支障を感じていることが多い。暮らしに寄り添う視点が必要」。
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「おかしい」と感じたとき、どうしたらよいのだろう。
順天堂大の新井平伊教授に聞いた。
初期の場合は画像診断だけで分からない場合もあり、
もの忘れ専門の外来を訪ねてほしい。
認知症といっても、障害を受けるのは機能の一部。
連続性に難はあるが、記憶や思考力も瞬間瞬間はしっかりしている。
できることを楽しみ、充実して過ごすのが一番のリハビリ。
若年性は経済的打撃も大きいが、家族に精神的余裕があれば
病状にも良い影響を与えるので、家族への支援も大切。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/02/21/20080221ddm013100006000c.html
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