(毎日新聞社 2007年12月7日)
貧血症のマウスの皮膚細胞から作った万能細胞
「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を使い、貧血症を治療することに、
米国の研究チームが成功。
iPS細胞を使い、動物の病気の治療に成功したのは世界で初めて。
すでに京都大などのチームが、ヒトの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに
成功しており、再生医療の実現へまた一歩前進。
米マサチューセッツ工科大などの研究チームは、
「鎌状赤血球貧血症」のマウスの尾から皮膚細胞を採取。
京都大のチームと同じ四つの遺伝子を導入して、
さまざまな細胞に分化する能力のあるiPS細胞を作った。
四つの遺伝子のうち、一つはがん遺伝子だったが、
ウイルスを使って特殊な酵素をiPS細胞に導入し、この遺伝子を取り除いた。
次に、iPS細胞の中にある貧血の原因遺伝子を健康な遺伝子に組み換え、
赤血球や白血球など血液のさまざまな細胞を作り出す
元となる造血幹細胞に分化させた。
この造血幹細胞を、細胞を採取したマウス3匹の尾の静脈に注射したところ、
体内で健康な血液を作り始め、約3カ月後には血液中の成分が大幅に改善。
「さまざまな細胞に分化できる能力を持たせるための遺伝子の導入や、
iPS細胞になってからの遺伝子組み換えなどは、
がんを含む副作用を引き起こす可能性がある。
ヒトに応用するには、これらの問題を解決し、
安全な方法を開発する必要がある」。
ヒトiPS細胞の作成に成功した山中伸弥・京都大教授は、
「iPS細胞を患者自身の細胞から作り、遺伝子の異常を修復し、
必要な細胞を分化させ、同じ患者に戻して治療するという、
理想とする治療が実現できることを、マウスを使って示した重要な研究」。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=63863
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