(2010年12月9日 共同通信社)
有機化合物の画期的な合成方法に関する研究で、
ノーベル化学賞を受賞する根岸英一・米パデュー大特別教授(75)と
鈴木章・北海道大名誉教授(80)が、
ストックホルム大の講堂で記念講演を行った。
「50年来の夢がかなった」と切り出した根岸さんは、
自らの研究が効率よい物づくりを通じて、
「グリーンな(環境に調和した)化学につながる」と強調。
鈴木さんも、「私は特許を取っていない。
興味を持ったらご自由に使ってください」と、
研究を社会に役立てたい希望を語った。
記念講演は、授賞式を前に、受賞者自らが成果を紹介する
ノーベル賞の恒例行事。
根岸さんは、「遷移金属の不思議な力-過去、現在、そして未来」と
題した講演で、授賞理由にもなった、パラジウムが触媒の
クロスカップリング反応について解説。
天井や飾りの花、客席を指さしながら、
「木も花も人間も、ほとんど有機化合物でできている」と
研究の重要性を指摘。
留学時代に実験が苦手で悩んだことが、その後の成功につながったと
振り返る一方、反応を促す金属の触媒や元素を検討し、
さまざまな組み合わせの化学合成を実現した実績を強調。
壇上を動き回り、身ぶり手ぶりで聴衆に訴えた。
鈴木さんも、「有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応-炭素と
炭素を結び付ける簡単な方法」との題で、
自ら開発した「鈴木カップリング」を解説。
狙った構造の物質をつくりやすいなどの特徴を示した。
米ハーバード大の日本人研究者が、
最も複雑な有機化合物として知られる天然毒の人工合成に成功した際、
最終段階で鈴木カップリングが使われたことや、
世界で2200万人が利用する血圧降下剤、農薬、液晶の製造にも
広く利用されていると紹介。
この日は2人に先立ち、
共同受賞のリチャード・ヘック米デラウェア大名誉教授(79)が講演。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2010/12/9/129543/
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