(2011年3月2日 毎日新聞社)
肥満になると、毛細血管の働きに異常が生じ、
血糖値を下げるホルモン「インスリン」が、
全身の筋肉に届きにくくなることを、
東京大などの研究チームがマウスの実験で解明。
インスリンが届かないと、筋肉が血液からブドウ糖を取り込めず、
高血糖状態が続いて、糖尿病を発症しやすくなる。
2日付の米科学誌セル・メタボリズムに掲載。
健康な人では、食後に血糖値が上がると、
膵臓のβ細胞からインスリンが分泌され、血液を通じて全身に届けられる。
筋肉は、インスリンが到達したことが引き金となって、
ブドウ糖を取り込みエネルギーに変えるが、
インスリンが毛細血管から筋肉に届く仕組みはこれまで不明。
研究チームは、インスリンが到達したことを、
他の分子に伝える物質「IRS2」に着目。
毛細血管の細胞に、IRS2を持たないマウスは、
通常のマウスと比べ、筋肉に届くインスリンの量が半分程度に減った。
「インスリンが届いた」という信号が、他の分子に適切に伝わらないため、
インスリンを血管の外の筋肉に送り出すための仕組みが機能しなかったから。
普通のマウスに、脂肪分の多い餌を8週間与えて肥満状態にしたところ、
IRS2が健康なマウスの2割程度しかなく、
インスリンが血管から筋肉に届きにくくなっていた。
研究チームの門脇孝・東京大教授は、
「IRS2を増やす薬剤が開発できれば、生活習慣などが影響する
2型糖尿病の根本的な治療になりうる」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/3/2/133169/
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