2008年2月4日月曜日

スポーツ21世紀:新しい波/258 陸上・実業団選手登録/2

(毎日 1月26日)

陸上女子の小林祐梨子(豊田自動織機)は、
母校の須磨学園高で練習し、岡山大へ通う。
会社の一般的な仕事はしていない。

豊田織機の平林監督は、
「会社の仕事をせず、陸上に専念する選手は他にも多い」と主張し、
小林だけが実業団登録を認められないのは不当だと訴える。

日本実業団陸上競技連合は、東京都内で小林の問題について会見。
弁護士でもある鈴木利広監事は、実業団と学生の区別の重要性を示した。
企業に所属しながら陸上に専念するプロ的な選手は増えているとはいえ、
大学生の扱いは慎重であるべきだとの姿勢。

陸上は野球やサッカーと違い、プロの団体や試合はない。
鈴木監事は、「実業団とプロ的選手の関係はファジー(柔軟)でも問題ない」と、
登録に支障がない理由を説明する。

だが、学生陸上界には日本学生陸上競技連合がある。
両団体は過剰な奪い合いや登録の重複を避けるため、長年議論してきた。
学業が本分である大学生を、実業団が不用意に受け入れられない、
という考え方もある。
鈴木監事は、「実業団スポーツのあり方にもかかわる。
学生との境目は軽々に判断できない」。

小林について審議した結果、大学入学を前提とした入社であり、
豊田織機のチームの拠点である千葉県から離れて
高校の監督に指導を受けているため、
「実業団が単に経済支援をしている学生」と判断したと説明。

平林監督は、「岡山大からも理解を得ている。産学連携のモデルにもなる」と、
大学との良好な関係を強調する。
代理人の望月浩一郎弁護士は、「陸上界全体にかかわること。
日本陸上競技連盟にも早期解決へ協力してほしい」と、
日本陸連の仲介にも期待する。

日本陸連も実業団連合に対し、所属形態の多様化なども考慮した
登録規程の整備を要望。
だが、下部組織ではない実業団連合の判断を変える権限はない。
学生連合の関岡康雄専務理事も、
「本人が学生登録を希望しない以上、我々からは何もできない」と
静観の構えでいる。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

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