(2011年7月25日 毎日新聞社)
子供たちの体格は平均的によくなっているが、肥満とやせ形が増えている。
体を動かす運動習慣が身についていないことや、
栄養摂取の偏りなどが背景。
夏休みを機に、子供たちの生活スタイルを見直してみては?
子供たちの間では肥満とやせ形が増え、その中間に当たる
標準体重の子供が減る傾向。
文部科学省の学校保健統計調査(10年度)によると、
11歳男子の肥満の割合は約11・1%、
14歳男子では約9・4%と約1割。
70年代後半から肥満の割合は増加傾向。
11歳と14歳の女子でも、約8~9%が肥満。
やせ形の男子も増えている。
11歳のやせ形の割合は約2・6%、14歳では約1・5%。
全体に占める比率は少ないものの、増加傾向。
11歳と14歳女子のやせ形は約3・1%、男子と同様に増加。
肥満とやせ形と二極化する傾向の裏側に、どんな要因があるか?
小熊祐子・慶応大スポーツ医学研究センター准教授(内科専門医)は、
「子供たちが外で遊んだり、スポーツをしたりして、
体を動かす機会が減っていることや、栄養摂取の偏りなどがある」
気軽に遊べる場所が自宅近くに少ないことなどから、
外で遊ぶ子供の姿は昔に比べて減っている。
文科省は、小・中学生の運動時間を「1日に1時間、1週間で
7時間程度が望ましい」としているが、
文科省「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(10年)によると、
1週間の総運動時間が1時間未満の小学男子は10・5%、
同女子では24・2%。
中学生でも男子は9・3%、女子は31・1%。
運動量の少ない子供は、運動部や地域のスポーツクラブに
属していない傾向が見られる。
6~11歳の男女がテレビやゲーム機遊びなど、家で座ったり、
寝転がったりして過ごす時間は、平日で1日平均約5~6時間。
この結果、子供たちの体格はよくなっているのに、
走り幅跳びや持久走など運動能力が低下している。
小熊さんは、「子供の場合、少なくとも1日に1時間程度の運動が必要。
子供の時にしっかりと運動をしておけば、大人になってから、
肥満や高血圧などの病気予防にもつながる」、
親や周囲が意識して、子供が運動できる環境を整えることが大切。
言葉だけで、「運動しなさい」と言っても効果は低い。
子供たちに運動習慣を身につけさせるには、工夫が必要。
日本体育協会は、楽しみながら体を動かす工夫を盛り込んだ
「アクティブ・チャイルド・プログラム」をホームページで公開。
「基礎的な動き」、「運動遊び」、「伝承遊び」、「しかけづくり」など、
五つのプログラムで構成。
子供たちが興味を示すための工夫について、プログラムの作成に
加わった青野博・体協スポーツ科学研究室研究員は、
「地域のスポーツイベントに、家族で積極的に参加したり、
縄跳びや一輪車など体を動かすのに役立つ道具をプレゼントするなど、
親が仕掛けをすることが大切」、意識的に働きかけることが重要。
子供の肥満ややせ形の増加には、食生活の乱れも関係。
肥満が増えているのは、全般的に食べ過ぎが多いのでは、
と思いがちだが、実際はそうではない。
7~14歳のエネルギー摂取量の平均は、01年をピークに減少傾向
(08年の厚生労働省・国民健康・栄養調査)。
食べ過ぎよりも目立つのは、一人で食べる「孤食」、
栄養摂取の偏り、運動不足や遅い就寝時刻など、生活リズムの乱れ。
全エネルギー摂取量に占める脂質の割合は30%が望ましいが、
小中学生の男女とも、半数近くが30%超
(07年の日本スポーツ振興センター調べ)。
脂質の摂取源を見ると、おやつや夜食で取る割合が10%超。
夜食にラーメンを食べるなど、食塩の取り過ぎも目立つ。
貧血防止などに役立つ鉄の摂取でも、推奨量を満たしている
小中学男子は約2~3割、女子では約5~10%とさらに少ない。
管理栄養士の橋本玲子さんによると、食生活の偏りは、
生活スタイルと深く関係。
肥満傾向の子供は、朝食の欠食、一人で食べる孤食、就寝時刻が遅い――
などが共通して見られる。
肥満とやせ形の二極化が生じている要因として、
橋本さんは、「栄養の偏り、運動不足、生活リズムの乱れ」、
「今の子供たちにとっては、エネルギー摂取を抑えつつ、
たんぱく質やビタミン、ミネラルの豊富な栄養価の高い食事を
心掛けることが大切」
食事にも工夫が必要。
のり巻きを弁当用に作る時、たんぱく質と鉄などに富む牛肉やチーズを
具に加えるなど、不足しがちな栄養素の摂取を心掛けることも必要。
………………………………………………………………………………
◇家や学校で子供に運動習慣を身につけさせる工夫
(1)授業の始めに短時間のストレッチ運動を取り入れる
(2)運動に役立つ遊具を子供の目につくところに置く
(3)子供と一緒に徒歩や自転車で自然観察など探検に出かける
(4)地域で行われる伝統行事やスポーツイベントに積極的に出かける
(5)運動に役立つ遊具を子供にプレゼントする
(6)親同士で連絡網を作り、アウトドア活動など子供同士で遊べる環境をつくる
(7)目標を達成したら表彰するなど、やる気をもたせる
(アクティブ・チャイルド・プログラムから)
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/25/139753/
2011年7月30日土曜日
2011年7月26日火曜日
携帯電話 発がん性は WHOの組織、可能性指摘
(2011年7月19日 毎日新聞社)
携帯電話から出る電磁波と、がん発症との関係を調べていた
世界保健機関(WHO)の付属組織「国際がん研究機関(IARC)」が、
「電磁波は、人に対して発がん性をもつ可能性がある」との結果。
WHOの組織が、携帯電話に関し発がん性を指摘したのは初。
携帯電話の契約数は世界で50億と推定、
今や多くの人の生活に欠かせない存在。
IARCの結果をどう受け止めたらよいだろうか?
評価結果は、14カ国31人の専門家グループが、
世界各国の研究報告を分析して導き出した。
特に重視されたのが、昨年まとまった世界最大規模の調査
「インターフォン研究」。
同研究は日本や英国、フランスなど13カ国で00~04年に診断された
脳腫瘍患者と、年齢や生活状況がよく似た健康な人のそれぞれ
約5000人について、携帯電話の使用歴を比較。
その結果では、携帯電話の使用が脳腫瘍発症のリスクを上昇させると
示す証拠は得られなかった。
むしろ携帯電話の使用者は、非使用者よりもわずかにリスクは低かった。
脳腫瘍の一つである悪性の「神経膠腫」に限って見ると、
累積通話時間を10段階に分けたうちの最長グループ
(1640時間以上。毎日平均30分、10年間使用)では、
非使用者に比べて発症リスクが1・4倍、40%のリスク上昇を示した。
携帯電磁波と脳腫瘍の関連については否定する研究結果も多いが、
スウェーデンの研究でも、「携帯電話の累積使用が2000時間を超えると、
神経膠腫のリスクが3・2倍に上昇した」との結果。
脳腫瘍のうち、耳にできる「聴神経鞘腫」については、
日本の研究グループの結果で、1日20分以上通話した人に約3倍のリスク上昇。
IARCは、こうした調査や動物実験の結果などを総合的に判断し、
神経膠腫と聴神経鞘腫については、「発がん性の限定的な証拠」があると評価。
白血病など、その他のがんについては「証拠は不十分」。
携帯電磁波の発がん性を、5段階評価で「2B」に分類。
2Bは、人での証拠が限定的で、動物実験での証拠も不十分な場合に適用、
コーヒーと同じ分類に入る。
IARCの幹部は、「長期で頻繁な使用について、さらに研究することが重要」、
「携帯メールや(電話を頭部に接触させない)ハンズフリーキットを
使用するなどの対策が有効」
これらの研究は、聞き取り調査に基づくため、統計上の偏りがある、との指摘。
日本の国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの
津金昌一郎・予防研究部長によると、今回の結論に至った主な調査は、
脳腫瘍になった人とならなかった人を対象に、過去にさかのぼって
通話時間を思い出してもらうもの。
この種の調査では、脳腫瘍になった人の方が通話時間を
長く見積もる傾向がある。
脳腫瘍患者の累積通話時間が、最長のグループの210人のうち、
10人は「1日12時間以上」というありそうにない使用状況を報告、
対照になる健康な154人に、こうした例はなかった。
津金さんは、「電磁波が、がんを起こす詳しいメカニズムは分かっていない。
今回のIARCの評価結果は、携帯電話使用に対する予防的な警告の意味も
含まれるのではないか」、現時点ではそれほど恐れるリスクではない。
電磁波などの科学的な情報を提供する「電磁界情報センター」の
大久保千代次所長は、「IARCの評価は、あくまで第1ステップ、
WHOによる健康リスクの総合評価がまとまるには数年かかる。
米国では、06年までの約20年間で、携帯電話の使用者が急増、
脳腫瘍の罹患率は変わっていない。英国やスウェーデンも同じ」
世界各国は、IARCの評価結果公表直後、相次ぎ見解を発表。
ドイツ連邦放射線防護局は、「長期的な影響や子どもへの影響については
可能性を排除できない」、
「念のため、浴びる量を減らすことが適切」と指摘。
スウェーデン放射線安全機関も、通話中は電話機を体から離すことを勧め、
「使用時間が長い人や若者は特に重要」。
日本では、総務省電波環境課が「過去の日本の研究では
影響はないとの結果だったが、IARCの評価結果は真摯に受け止めたい」
インターフォン研究は、30代以上の成人が対象。
子どもへの影響については、国際的な大規模調査が始まっているが、
答えはまだ出ていない。
国立がん研究センターは、「電磁波のエネルギーの脳への影響は、
子どもは成人の2倍以上という報告も。
小中高生の携帯電話の使い過ぎには注意すべきだ」
大久保さんも、「通信状態が悪い場所では、携帯から通常より強い電波が出る。
心配な人は、そうした場所での使用を避けたり、
通話よりメールを使うようにした方がよい」
…………………………………………………………………………………
◇神経膠腫と聴神経鞘腫
世界や日本での脳腫瘍の発症率は、人口10万人当たり14~20人。
神経膠腫は、神経細胞の周りにあって神経細胞の働きを支えている
グリア細胞(膠細胞ともいう)にできる悪性の腫瘍で、
脳腫瘍の約2~3割を占める。
聴神経鞘腫は、神経を包む膜や鞘の細胞にできる良性の腫瘍で、
脳腫瘍の約1割を占め、40~60代の女性に多い。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/19/139538/
携帯電話から出る電磁波と、がん発症との関係を調べていた
世界保健機関(WHO)の付属組織「国際がん研究機関(IARC)」が、
「電磁波は、人に対して発がん性をもつ可能性がある」との結果。
WHOの組織が、携帯電話に関し発がん性を指摘したのは初。
携帯電話の契約数は世界で50億と推定、
今や多くの人の生活に欠かせない存在。
IARCの結果をどう受け止めたらよいだろうか?
評価結果は、14カ国31人の専門家グループが、
世界各国の研究報告を分析して導き出した。
特に重視されたのが、昨年まとまった世界最大規模の調査
「インターフォン研究」。
同研究は日本や英国、フランスなど13カ国で00~04年に診断された
脳腫瘍患者と、年齢や生活状況がよく似た健康な人のそれぞれ
約5000人について、携帯電話の使用歴を比較。
その結果では、携帯電話の使用が脳腫瘍発症のリスクを上昇させると
示す証拠は得られなかった。
むしろ携帯電話の使用者は、非使用者よりもわずかにリスクは低かった。
脳腫瘍の一つである悪性の「神経膠腫」に限って見ると、
累積通話時間を10段階に分けたうちの最長グループ
(1640時間以上。毎日平均30分、10年間使用)では、
非使用者に比べて発症リスクが1・4倍、40%のリスク上昇を示した。
携帯電磁波と脳腫瘍の関連については否定する研究結果も多いが、
スウェーデンの研究でも、「携帯電話の累積使用が2000時間を超えると、
神経膠腫のリスクが3・2倍に上昇した」との結果。
脳腫瘍のうち、耳にできる「聴神経鞘腫」については、
日本の研究グループの結果で、1日20分以上通話した人に約3倍のリスク上昇。
IARCは、こうした調査や動物実験の結果などを総合的に判断し、
神経膠腫と聴神経鞘腫については、「発がん性の限定的な証拠」があると評価。
白血病など、その他のがんについては「証拠は不十分」。
携帯電磁波の発がん性を、5段階評価で「2B」に分類。
2Bは、人での証拠が限定的で、動物実験での証拠も不十分な場合に適用、
コーヒーと同じ分類に入る。
IARCの幹部は、「長期で頻繁な使用について、さらに研究することが重要」、
「携帯メールや(電話を頭部に接触させない)ハンズフリーキットを
使用するなどの対策が有効」
これらの研究は、聞き取り調査に基づくため、統計上の偏りがある、との指摘。
日本の国立がん研究センターがん予防・検診研究センターの
津金昌一郎・予防研究部長によると、今回の結論に至った主な調査は、
脳腫瘍になった人とならなかった人を対象に、過去にさかのぼって
通話時間を思い出してもらうもの。
この種の調査では、脳腫瘍になった人の方が通話時間を
長く見積もる傾向がある。
脳腫瘍患者の累積通話時間が、最長のグループの210人のうち、
10人は「1日12時間以上」というありそうにない使用状況を報告、
対照になる健康な154人に、こうした例はなかった。
津金さんは、「電磁波が、がんを起こす詳しいメカニズムは分かっていない。
今回のIARCの評価結果は、携帯電話使用に対する予防的な警告の意味も
含まれるのではないか」、現時点ではそれほど恐れるリスクではない。
電磁波などの科学的な情報を提供する「電磁界情報センター」の
大久保千代次所長は、「IARCの評価は、あくまで第1ステップ、
WHOによる健康リスクの総合評価がまとまるには数年かかる。
米国では、06年までの約20年間で、携帯電話の使用者が急増、
脳腫瘍の罹患率は変わっていない。英国やスウェーデンも同じ」
世界各国は、IARCの評価結果公表直後、相次ぎ見解を発表。
ドイツ連邦放射線防護局は、「長期的な影響や子どもへの影響については
可能性を排除できない」、
「念のため、浴びる量を減らすことが適切」と指摘。
スウェーデン放射線安全機関も、通話中は電話機を体から離すことを勧め、
「使用時間が長い人や若者は特に重要」。
日本では、総務省電波環境課が「過去の日本の研究では
影響はないとの結果だったが、IARCの評価結果は真摯に受け止めたい」
インターフォン研究は、30代以上の成人が対象。
子どもへの影響については、国際的な大規模調査が始まっているが、
答えはまだ出ていない。
国立がん研究センターは、「電磁波のエネルギーの脳への影響は、
子どもは成人の2倍以上という報告も。
小中高生の携帯電話の使い過ぎには注意すべきだ」
大久保さんも、「通信状態が悪い場所では、携帯から通常より強い電波が出る。
心配な人は、そうした場所での使用を避けたり、
通話よりメールを使うようにした方がよい」
…………………………………………………………………………………
◇神経膠腫と聴神経鞘腫
世界や日本での脳腫瘍の発症率は、人口10万人当たり14~20人。
神経膠腫は、神経細胞の周りにあって神経細胞の働きを支えている
グリア細胞(膠細胞ともいう)にできる悪性の腫瘍で、
脳腫瘍の約2~3割を占める。
聴神経鞘腫は、神経を包む膜や鞘の細胞にできる良性の腫瘍で、
脳腫瘍の約1割を占め、40~60代の女性に多い。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/7/19/139538/
2011年7月14日木曜日
新潟・熱中症対策 節電でも無理しないで 高齢者宅訪問で予防
(2011年6月29日 毎日新聞社)
暑い夏が近づいてきた。
新潟地方気象台によると、昨夏ほどの酷暑となる可能性は低いが、
平年以上の暑さになる確率は40%。
暑くなると懸念されるのが、熱中症。
今月26日までに全国で3709人、県内で50人が救急搬送。
今年は節電対策で、エアコンの使用抑制が呼びかけられているが、
保健師らは熱中症のリスクが高い高齢者宅を回るなど、
「体に無理をしてまで節電せず、しっかり対策をとってほしい」
◆地域で守る
昨夏、全国で1718人が熱中症で命を落とした。
県内では50人が死亡、1355人が救急搬送。
危険性が最も高いのが、高齢者。
死亡者の79%を、高齢者が占める。
「節電って言っても、暑いとできないこともある」。
新潟市西区役所の保健師、石川玲子さん(54)は、健康教育で
地域を回る中で、お年寄りのこんな声を聞いた。
石川さんは、「熱中症になるくらいなら、エアコンをつけて」。
高齢者は若者に比べ、体内の水分量が少ないうえ、暑さへの感覚、
調整機能が低く、室内にいても熱中症になる危険性が。
同区役所は昨年8月、熱中症予防のための高齢者宅の訪問活動を始め、
今年もすでに取り組んでいる。
同区に住む65歳以上の高齢者は、約3万6000人。
保健師14人ですべてを回ることはできないため、特にリスクの高い、
80歳以上の1人暮らし、夫婦2人暮らしを対象。
エアコンと扇風機の適切な使用方法を教えたり、こまめな水分補給など
予防法が書かれたチラシを配っている。
石川さんは、「お年寄りには、なかなか情報が入らない。
地域のみんなで守ることが大事」
◆こまめに休憩
働く人の中でリスクが高いのは、炎天下での作業が多い建設業と、
空気のこもりやすい工場内などに勤務する製造業。
昨夏は全国で、建設業で17人、製造業で9人の死者が出た。
県内では、職場での熱中症発生は33件、うち建設業が10件、製造業が7件。
今年は節電で、エアコンでの暑さ対策が困難になることを踏まえ、
新潟労働局は、業界団体に予防対策の実施を要請。
労働者の定期的な水分・塩分補給を徹底させることや、
気温が高くなる午後2~4時を中心に、こまめな休憩をとらせるなどの
対策を求めている。
……………………………………………………………………………
◇熱中症を防ぐために気を付けたいこと(県のホームページより抜粋)
▽ブラインドやすだれを垂らし、扇風機やエアコンを使うなど暑さを避ける。
▽のどが渇く前、暑いところに出る前、こまめに水分を補給。
▽汗をかいたとき、スポーツドリンクや食塩水を飲み、水分と一緒に塩分も補給。
▽高齢者は、温度に対する感覚が弱く、のどが渇いていなくても水分を補給し、
部屋の温度をこまめに測る。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/29/138719/
暑い夏が近づいてきた。
新潟地方気象台によると、昨夏ほどの酷暑となる可能性は低いが、
平年以上の暑さになる確率は40%。
暑くなると懸念されるのが、熱中症。
今月26日までに全国で3709人、県内で50人が救急搬送。
今年は節電対策で、エアコンの使用抑制が呼びかけられているが、
保健師らは熱中症のリスクが高い高齢者宅を回るなど、
「体に無理をしてまで節電せず、しっかり対策をとってほしい」
◆地域で守る
昨夏、全国で1718人が熱中症で命を落とした。
県内では50人が死亡、1355人が救急搬送。
危険性が最も高いのが、高齢者。
死亡者の79%を、高齢者が占める。
「節電って言っても、暑いとできないこともある」。
新潟市西区役所の保健師、石川玲子さん(54)は、健康教育で
地域を回る中で、お年寄りのこんな声を聞いた。
石川さんは、「熱中症になるくらいなら、エアコンをつけて」。
高齢者は若者に比べ、体内の水分量が少ないうえ、暑さへの感覚、
調整機能が低く、室内にいても熱中症になる危険性が。
同区役所は昨年8月、熱中症予防のための高齢者宅の訪問活動を始め、
今年もすでに取り組んでいる。
同区に住む65歳以上の高齢者は、約3万6000人。
保健師14人ですべてを回ることはできないため、特にリスクの高い、
80歳以上の1人暮らし、夫婦2人暮らしを対象。
エアコンと扇風機の適切な使用方法を教えたり、こまめな水分補給など
予防法が書かれたチラシを配っている。
石川さんは、「お年寄りには、なかなか情報が入らない。
地域のみんなで守ることが大事」
◆こまめに休憩
働く人の中でリスクが高いのは、炎天下での作業が多い建設業と、
空気のこもりやすい工場内などに勤務する製造業。
昨夏は全国で、建設業で17人、製造業で9人の死者が出た。
県内では、職場での熱中症発生は33件、うち建設業が10件、製造業が7件。
今年は節電で、エアコンでの暑さ対策が困難になることを踏まえ、
新潟労働局は、業界団体に予防対策の実施を要請。
労働者の定期的な水分・塩分補給を徹底させることや、
気温が高くなる午後2~4時を中心に、こまめな休憩をとらせるなどの
対策を求めている。
……………………………………………………………………………
◇熱中症を防ぐために気を付けたいこと(県のホームページより抜粋)
▽ブラインドやすだれを垂らし、扇風機やエアコンを使うなど暑さを避ける。
▽のどが渇く前、暑いところに出る前、こまめに水分を補給。
▽汗をかいたとき、スポーツドリンクや食塩水を飲み、水分と一緒に塩分も補給。
▽高齢者は、温度に対する感覚が弱く、のどが渇いていなくても水分を補給し、
部屋の温度をこまめに測る。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/29/138719/
2011年7月11日月曜日
東北大学加齢医学研究所が新事業 研究所内にフィットネスクラブを設置
(日経ヘルス 6月15日)
東北大学加齢医学研究所は、
研究所内に民間のフィットネスクラブなどを誘致して、
認知機能への効果を評価する産学協同の研究事業を始める。
第一弾として6月14日に、フィットネスチェーンのカーブスジャパンが、
同研究所内に店舗をオープン。
国立大学の学内に、共同研究のための民間施設が設置されるのは国内初。
高齢化が進む我が国において、高齢者の健康維持は国家的な課題。
中でも重視されるのが、認知症の予防。
同研究所は、認知機能を中心とする加齢研究および対策の拠点として、
09年にスマートエイジング国際共同研究センターを開設
(センター長:川島隆太・東北大学教授)。
このセンターが、今回の共同研究を進める。
川島教授によると、認知機能の維持には「認知的刺激」、「運動」、「栄養」、
「社会との関わり」という四つの要素が重要。
「運動」を実践する場として、同センター内に「カーブス」店舗を開設。
通常の店舗と同様の営業を行いながら、店舗の会員と、
同センターが独自に募集するボランティア参加者(無料)を対象にして、
認知機能に対する運動の効果を評価する臨床研究を行う。
「カーブス」は、米国生まれのフィットネスチェーン。
トレーニングマシンを使った筋力アップメニューと、
その場ウオーキングなどの有酸素運動メニューを30秒ごとに
交互に繰り返す「サーキットトレーニング」プログラムが特徴。
運動負荷があまり強くないため、通常のフィットネスクラブでは
負担を感じる高齢者層に人気。
国内店舗数は、約1000カ所。
会員は女性限定のため、男性への効果は、同センターが募集する
ボランティア参加者を対象にした研究でカバー。
「認知的刺激」の要素としては、学習塾をフランチャイズ展開する
日本公文教育研究会が、9月にくもん学習療法センターを
同センター内にオープンする予定。
ここでも共同研究が行われる。
「栄養」面のパートナーも検討中。
「参加者がセンターに通うことで、『社会との関わり』も維持できる」
と川島教授。
民間企業と共同で地域住民向けのサービスを提供しながら、
研究を推進するスタイルは、予防医学分野の臨床研究のあり方として、
注目を集めそう。
http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20110615/111217/
東北大学加齢医学研究所は、
研究所内に民間のフィットネスクラブなどを誘致して、
認知機能への効果を評価する産学協同の研究事業を始める。
第一弾として6月14日に、フィットネスチェーンのカーブスジャパンが、
同研究所内に店舗をオープン。
国立大学の学内に、共同研究のための民間施設が設置されるのは国内初。
高齢化が進む我が国において、高齢者の健康維持は国家的な課題。
中でも重視されるのが、認知症の予防。
同研究所は、認知機能を中心とする加齢研究および対策の拠点として、
09年にスマートエイジング国際共同研究センターを開設
(センター長:川島隆太・東北大学教授)。
このセンターが、今回の共同研究を進める。
川島教授によると、認知機能の維持には「認知的刺激」、「運動」、「栄養」、
「社会との関わり」という四つの要素が重要。
「運動」を実践する場として、同センター内に「カーブス」店舗を開設。
通常の店舗と同様の営業を行いながら、店舗の会員と、
同センターが独自に募集するボランティア参加者(無料)を対象にして、
認知機能に対する運動の効果を評価する臨床研究を行う。
「カーブス」は、米国生まれのフィットネスチェーン。
トレーニングマシンを使った筋力アップメニューと、
その場ウオーキングなどの有酸素運動メニューを30秒ごとに
交互に繰り返す「サーキットトレーニング」プログラムが特徴。
運動負荷があまり強くないため、通常のフィットネスクラブでは
負担を感じる高齢者層に人気。
国内店舗数は、約1000カ所。
会員は女性限定のため、男性への効果は、同センターが募集する
ボランティア参加者を対象にした研究でカバー。
「認知的刺激」の要素としては、学習塾をフランチャイズ展開する
日本公文教育研究会が、9月にくもん学習療法センターを
同センター内にオープンする予定。
ここでも共同研究が行われる。
「栄養」面のパートナーも検討中。
「参加者がセンターに通うことで、『社会との関わり』も維持できる」
と川島教授。
民間企業と共同で地域住民向けのサービスを提供しながら、
研究を推進するスタイルは、予防医学分野の臨床研究のあり方として、
注目を集めそう。
http://nhpro.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20110615/111217/
2011年7月7日木曜日
「8020運動」は幼児期から=山根源之 口福学入門/2
(2011年6月27日 毎日新聞社)
病気になってから診療所や病院に行く、というのが従来の考え方。
病気にかからない努力も、かなり前から進められている。
不老不死は無理としても、アンチエージング(抗加齢)についての
話題には事欠きません。
年をとると視力が低下し、耳が遠くなり、歯が抜け落ちるのは
当然と思われていた。
現在では、歯が抜け落ちることは老化現象から
仲間外れになりつつある。
89年に始まった80歳で20本の歯を残そう、とする
「8020(ハチマルニマル)運動」は、大きな成果を上げている。
達成者は、全国平均(05年度歯科疾患実態調査)では20%を優に超え、
調査年の本年ではかなり高い値が期待。
老年期に近づいてから、口腔に関心を持っても間に合わないことが。
私たちは、病院の母親学級に歯科の立場で積極的に参加。
妊婦に対して、妊娠中の歯と口腔衛生の重要性を説明し、
誕生後の赤ちゃんのための実習も。
一昔前は、妊娠すると歯がだめになり、1人出産するごとに
歯を1本失うといわれた。
現在は、出産数が少ないので目立たないだけなのか?
そうではない。
つわりの時、刺激の強い歯磨剤を使うと、
気持ち悪くなって磨けない人が多く出て、口腔内が不潔になる。
そういう方には、小さな歯ブラシに水だけつけて、
体調の良いときに磨くことをお勧め。
赤ちゃんには歯が生える前から、授乳後に口の周りをふきながら
口の中も指で触り、慣れさせると、乳歯が出た後も歯磨きを嫌がらない。
少し大きくなれば、親の歯磨きを見て、子どもたちが毎食後磨くようになる。
幼児期の親の愛情は、子どもにとって一生の宝。
子どもの口腔衛生状態を気にかけないことは、ネグレクトの一つで、
多数の虫歯や重症の歯肉炎が見られることがあり、
口の中を診ると、児童虐待の有無が想像できる。
親の管理下にある12歳の永久歯の平均虫歯数は、1・4本。
親の思いが子どもの心に残り、多くの人は口腔のケアが習慣になり、
一生を通じて歯を残すことにつながる。
◆やまね・げんゆき=東京歯科大名誉教授
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/27/138520/
病気になってから診療所や病院に行く、というのが従来の考え方。
病気にかからない努力も、かなり前から進められている。
不老不死は無理としても、アンチエージング(抗加齢)についての
話題には事欠きません。
年をとると視力が低下し、耳が遠くなり、歯が抜け落ちるのは
当然と思われていた。
現在では、歯が抜け落ちることは老化現象から
仲間外れになりつつある。
89年に始まった80歳で20本の歯を残そう、とする
「8020(ハチマルニマル)運動」は、大きな成果を上げている。
達成者は、全国平均(05年度歯科疾患実態調査)では20%を優に超え、
調査年の本年ではかなり高い値が期待。
老年期に近づいてから、口腔に関心を持っても間に合わないことが。
私たちは、病院の母親学級に歯科の立場で積極的に参加。
妊婦に対して、妊娠中の歯と口腔衛生の重要性を説明し、
誕生後の赤ちゃんのための実習も。
一昔前は、妊娠すると歯がだめになり、1人出産するごとに
歯を1本失うといわれた。
現在は、出産数が少ないので目立たないだけなのか?
そうではない。
つわりの時、刺激の強い歯磨剤を使うと、
気持ち悪くなって磨けない人が多く出て、口腔内が不潔になる。
そういう方には、小さな歯ブラシに水だけつけて、
体調の良いときに磨くことをお勧め。
赤ちゃんには歯が生える前から、授乳後に口の周りをふきながら
口の中も指で触り、慣れさせると、乳歯が出た後も歯磨きを嫌がらない。
少し大きくなれば、親の歯磨きを見て、子どもたちが毎食後磨くようになる。
幼児期の親の愛情は、子どもにとって一生の宝。
子どもの口腔衛生状態を気にかけないことは、ネグレクトの一つで、
多数の虫歯や重症の歯肉炎が見られることがあり、
口の中を診ると、児童虐待の有無が想像できる。
親の管理下にある12歳の永久歯の平均虫歯数は、1・4本。
親の思いが子どもの心に残り、多くの人は口腔のケアが習慣になり、
一生を通じて歯を残すことにつながる。
◆やまね・げんゆき=東京歯科大名誉教授
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/27/138520/
2011年7月6日水曜日
震災後ストレス対策、これからが正念場
(日経ヘルス 2011年6月17日)
東日本大震災の発生から3カ月が経過し、被災地も少しずつ
落ち着きを取り戻しつつある。
大正大学准教授で、海上保安庁惨事ストレス対策アドバイザーを務める
廣川進氏は、「被災者や救援活動に当たった人たちの自殺が、
これから増える可能性が高い」と危惧。
被災地に出向き、海保職員のストレスチェックやカウンセリングに
携わった廣川氏に、今後のメンタルヘルス対策について聞いた。
――そろそろ、被災者の気持ちも落ち着くのでは?
廣川:地震・津波のような災害や事故現場で、悲惨な光景を目撃したり、
自分の職責を果たせなかったと思うことから生じるストレスを、
「惨事ストレス」と言う。
不眠や悪夢、頭痛や血圧の上昇といった身体の反応、
恐怖感・不安感などが表れる。
1カ月程度で元の状態に戻れば、一過性の正常な反応として、
あまり気にする必要はない。
――1カ月以上続く場合は?
廣川:PTSD(心的外傷後ストレス障害)となった可能性があり、治療が必要。
被災者であれば、自分が生き残ったことへの罪悪感から、
救助活動に従事した人の場合は無力感などから、
いずれも自責の念を抱き、自殺のリスクが高まる。
PTSDとうつ病は、近い関係にある。
飲酒で気を紛らわせようとしたり、仮設住宅へ移って
一人暮らしになったりすればなおさら。
――今のところ、被災地で自殺者が増えたという話は聞かない。
廣川:大災害の直後には、自殺者は増えない。
半年後ぐらいから増え、この冬は要注意。
東北の人はがまん強いとか、不平不満を口にしないとか言われるが、
これはストレスを発散できないということ。
今回の惨事ストレスは強烈で、危険性はなおさら。
大都市部に比べ、精神科医の敷居は高いし、方言が通じない人には
自分の気持ちを話したくないと思うから、
適切な治療を受けにくいという側面も。
――今後、復興が順調に進めば、自殺者増加のリスクは少なくなるのでは?
廣川:そうはいえない。
復興の過程において、被災者の間で格差がつく。
就職が決まり、家を建て直す人が出る一方、
収入もなく、避難所暮らしを続けざるを得ない人もいる。
後者は、「置き去りにされた」、「世間から忘れられた」という
ネガティブな感情を抱き、自殺に追い込まれかねない。
――救援のために働いた人のメンタルヘルスも心配。
廣川:私も、被災地に派遣された自衛隊員、地元の消防団員、
自治体職員らの心理状態を心配。
特に地元の救援者は、悲惨な現場を目にしているのに加え、
自宅が津波で流されたり家族が被災するなど、
二重に惨事ストレスを被っている。
PTSDの発症率は5~10%、10万人以上派遣された自衛隊員から
何人PTSD発症者が出るかを考えると暗然。
これまで遺体を見た経験も多くはない。
――こうした人たちに、どのような対策が必要か?
廣川:ストレスが高い状態で長時間働き続けると、
脳や心臓の疾患で過労死する危険性が高まる。
被災地の会社員や公務員に、過労死が出始めた。
それを防ぐには、体全体のチェックが大切。
会社などが実施する健康診断をきちんと受診し、
「要注意」の項目があったら、日頃は放置している人も、
今回だけは精密検査を受けること。
会社側も、3月以降の延べ労働時間を把握したり、
3、4月の勤務時間がどうだったかを確認したりして、
実態を踏まえた綿密な労働時間管理をし、
必要に応じてまとまった休暇を取らせるべき。
――部下の心の不調を見抜くポイントは?
廣川:管理職の人は、「口数が少なくなった」、「昼間ぼんやりしている」
といった変化が、部下に表れていないか気に留めてほしい。
就寝時間や起床時間を尋ねてみるのもいい。
食事がきちんと取れているかどうかも、重要なバロメーター。
量だけでなく、おいしく感じたかどうかが肝心。
自分を責めるような言葉を口にしないか、気をつけてください。
――新聞やテレビで震災を“目撃”した人たちは大丈夫か?
廣川:阪神大震災は、発生したのが冬の早朝で辺りがまだ暗く、
大半が建物の倒壊による圧死や窒息死。
東日本大震災は昼間に発生し、津波が繰り返し襲ってくる様子が
鮮明な画像で日本全国に流れた。
被災者でなくても、ナイーブな人は影響を受け、
体が揺れる感じがしたり、不安な気持ちになったり。
こうした人は、ゆっくり休息する、好きなことを思い切り楽しむなど、
自分なりの気分転換をしてみよう。
自分の部下にこういう人がいたら、管理職はそのような症状が出ても
不思議はないと話し、安心感を与えるように。
症状が2週間以上続くようだったら、かかりつけの医師を受診するよう
勧めていただきたい。
――東日本大震災による惨事ストレスの影響は、いつごろまで続くか?
廣川:発生から1年では収まらない。
通常は発生時のストレスが最も大きいが、今回はその後も大きな余震が
何度かあったり、福島第一原発の事故が収束していなかったりと、
今なお現在進行中の惨事。
PTSDの症状が深刻化し、回復も遅れることが危惧。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20110614/111203/
東日本大震災の発生から3カ月が経過し、被災地も少しずつ
落ち着きを取り戻しつつある。
大正大学准教授で、海上保安庁惨事ストレス対策アドバイザーを務める
廣川進氏は、「被災者や救援活動に当たった人たちの自殺が、
これから増える可能性が高い」と危惧。
被災地に出向き、海保職員のストレスチェックやカウンセリングに
携わった廣川氏に、今後のメンタルヘルス対策について聞いた。
――そろそろ、被災者の気持ちも落ち着くのでは?
廣川:地震・津波のような災害や事故現場で、悲惨な光景を目撃したり、
自分の職責を果たせなかったと思うことから生じるストレスを、
「惨事ストレス」と言う。
不眠や悪夢、頭痛や血圧の上昇といった身体の反応、
恐怖感・不安感などが表れる。
1カ月程度で元の状態に戻れば、一過性の正常な反応として、
あまり気にする必要はない。
――1カ月以上続く場合は?
廣川:PTSD(心的外傷後ストレス障害)となった可能性があり、治療が必要。
被災者であれば、自分が生き残ったことへの罪悪感から、
救助活動に従事した人の場合は無力感などから、
いずれも自責の念を抱き、自殺のリスクが高まる。
PTSDとうつ病は、近い関係にある。
飲酒で気を紛らわせようとしたり、仮設住宅へ移って
一人暮らしになったりすればなおさら。
――今のところ、被災地で自殺者が増えたという話は聞かない。
廣川:大災害の直後には、自殺者は増えない。
半年後ぐらいから増え、この冬は要注意。
東北の人はがまん強いとか、不平不満を口にしないとか言われるが、
これはストレスを発散できないということ。
今回の惨事ストレスは強烈で、危険性はなおさら。
大都市部に比べ、精神科医の敷居は高いし、方言が通じない人には
自分の気持ちを話したくないと思うから、
適切な治療を受けにくいという側面も。
――今後、復興が順調に進めば、自殺者増加のリスクは少なくなるのでは?
廣川:そうはいえない。
復興の過程において、被災者の間で格差がつく。
就職が決まり、家を建て直す人が出る一方、
収入もなく、避難所暮らしを続けざるを得ない人もいる。
後者は、「置き去りにされた」、「世間から忘れられた」という
ネガティブな感情を抱き、自殺に追い込まれかねない。
――救援のために働いた人のメンタルヘルスも心配。
廣川:私も、被災地に派遣された自衛隊員、地元の消防団員、
自治体職員らの心理状態を心配。
特に地元の救援者は、悲惨な現場を目にしているのに加え、
自宅が津波で流されたり家族が被災するなど、
二重に惨事ストレスを被っている。
PTSDの発症率は5~10%、10万人以上派遣された自衛隊員から
何人PTSD発症者が出るかを考えると暗然。
これまで遺体を見た経験も多くはない。
――こうした人たちに、どのような対策が必要か?
廣川:ストレスが高い状態で長時間働き続けると、
脳や心臓の疾患で過労死する危険性が高まる。
被災地の会社員や公務員に、過労死が出始めた。
それを防ぐには、体全体のチェックが大切。
会社などが実施する健康診断をきちんと受診し、
「要注意」の項目があったら、日頃は放置している人も、
今回だけは精密検査を受けること。
会社側も、3月以降の延べ労働時間を把握したり、
3、4月の勤務時間がどうだったかを確認したりして、
実態を踏まえた綿密な労働時間管理をし、
必要に応じてまとまった休暇を取らせるべき。
――部下の心の不調を見抜くポイントは?
廣川:管理職の人は、「口数が少なくなった」、「昼間ぼんやりしている」
といった変化が、部下に表れていないか気に留めてほしい。
就寝時間や起床時間を尋ねてみるのもいい。
食事がきちんと取れているかどうかも、重要なバロメーター。
量だけでなく、おいしく感じたかどうかが肝心。
自分を責めるような言葉を口にしないか、気をつけてください。
――新聞やテレビで震災を“目撃”した人たちは大丈夫か?
廣川:阪神大震災は、発生したのが冬の早朝で辺りがまだ暗く、
大半が建物の倒壊による圧死や窒息死。
東日本大震災は昼間に発生し、津波が繰り返し襲ってくる様子が
鮮明な画像で日本全国に流れた。
被災者でなくても、ナイーブな人は影響を受け、
体が揺れる感じがしたり、不安な気持ちになったり。
こうした人は、ゆっくり休息する、好きなことを思い切り楽しむなど、
自分なりの気分転換をしてみよう。
自分の部下にこういう人がいたら、管理職はそのような症状が出ても
不思議はないと話し、安心感を与えるように。
症状が2週間以上続くようだったら、かかりつけの医師を受診するよう
勧めていただきたい。
――東日本大震災による惨事ストレスの影響は、いつごろまで続くか?
廣川:発生から1年では収まらない。
通常は発生時のストレスが最も大きいが、今回はその後も大きな余震が
何度かあったり、福島第一原発の事故が収束していなかったりと、
今なお現在進行中の惨事。
PTSDの症状が深刻化し、回復も遅れることが危惧。
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20110614/111203/
2011年7月2日土曜日
なぜ起きるの? 熱中症/上 医療&健康ナビ
(2011年6月19日 毎日新聞社)
梅雨明けから夏の盛りにかけて、熱中症が多発する季節。
厚生労働省によると、毎年平均で約350人が死亡。
気象庁が発表した3カ月予報では、気温は九州から北陸、東海までは
平年並みか高めで、東北と北海道は平年並み。
東京電力福島第1原発事故の影響で節電が求められるなか、
専門家は、「熱中症の症状やメカニズムを理解し、予防につなげてほしい」
◇くらっと目まい
10年8月18日、千葉県旭市。
左官業の50代男性が仕事の手を休めると、突然くらっと目まいがして倒れた。
この日の天気は曇りで、日中の気温約28度、湿度約90%と蒸し暑かった。
くらっとしたのは、この夏だけで3~4回目。
市内の国保旭中央病院救急救命科に駆け込んだ。
体温は36度7分、脈拍や血圧なども安定、
両腕につったような感じと脱水症状があった。
熱中症と診断、生理食塩水を点滴されると、症状が消えた。
◇高齢者は要注意
人は暑かったり、運動などで体温が上がると、汗を流すなどして体温を調節。
汗が皮膚から蒸発すると、気化熱が奪われて体温を下げることができる。
血液の流れが、体内の熱を皮膚の下に運び出し、網目のように広がる
毛細血管を流れる間に、外気へ放熱。
発汗による脱水症状が進むと血液が減り、熱を運ぶ機能が下がる。
心臓が血流をスムーズにするため、心拍数を上げようとしても、
高温にさらされ、心臓を動かす筋肉に流れる血液も減り、
心臓への負担が増す。
その結果、体温調節が困難になり、体温が上昇、
熱中症になりやすくなる。
心臓の機能が弱っている心疾患や、血圧を下げる薬を服用している
高血圧の人は、危険性が高い。
高齢者も、発汗機能の低下や体内水分量の減少、
暑さに対する感受性の悪化などで注意が必要。
日本救急医学会「熱中症に関する委員会」委員長の三宅康史医師は、
「高齢者は、熱帯夜や猛暑日が続くと、徐々に脱水が進み、
持病が悪化したり食欲が落ちたりする。
複合的な要因が絡んで、熱中症になる」
熱中症の危険性は気温のほか、湿度や日差しの強さなど、
さまざまな気象条件が影響。
天気予報の気温は通常、直射日光が当たらない日陰で計測。
「気温30度」と発表されていても、アスファルト上の体感温度は
さらに4~5度高い。
財団法人「気象業務支援センター」の専任主任技師、村山貢司さんは、
「天気予報の気温が32度を超えると、路上での体感温度は
体温を超えているので注意して」
梅雨明け直後や梅雨の晴れ間など、急に暑くなった時や
風が弱く湿度が高い時は、体が暑さに慣れていないうえ、
汗が蒸発しないので、警戒が必要。
◇屋内でも重症化
熱中症は、重症度に応じて軽い方から1~3度に分類。
日本救急医学会の調査によると、10年の熱中症1780症例のうち
約4割が1度、2と3度はそれぞれ約3割。
年齢別では、50歳以上で3度の割合が多く、高齢者ほど重症化の傾向。
10代は運動中、20~50代は仕事中、60代以上は日常生活の中で
発症するケースが目立ち、日常生活で発症した半数超は屋内にいる時。
左官業の男性は、「水分摂取を心がけていた」
国保旭中央病院の神田潤医師は、「対策をしているつもりでも、
水分や塩分などの補給不足で、不十分なケースがある。
症状が軽いうちに対処すれば、重症化せずに済むので、
目まいや筋肉痛など熱中症の症状があれば、早めに医療機関を受診して」
………………………………………………………………………
◆日本神経救急学会による熱中症の症状と重症度の分類
分類 症状 重症度
1度 目まい・失神・筋肉痛・筋肉のこむら返り・大量の発汗 軽
↑
2度 頭痛・不快感・吐き気・だるさ・虚脱感・意識障害・けいれん
↓
3度 手足の運動障害・高体温 重
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/20/138136/
梅雨明けから夏の盛りにかけて、熱中症が多発する季節。
厚生労働省によると、毎年平均で約350人が死亡。
気象庁が発表した3カ月予報では、気温は九州から北陸、東海までは
平年並みか高めで、東北と北海道は平年並み。
東京電力福島第1原発事故の影響で節電が求められるなか、
専門家は、「熱中症の症状やメカニズムを理解し、予防につなげてほしい」
◇くらっと目まい
10年8月18日、千葉県旭市。
左官業の50代男性が仕事の手を休めると、突然くらっと目まいがして倒れた。
この日の天気は曇りで、日中の気温約28度、湿度約90%と蒸し暑かった。
くらっとしたのは、この夏だけで3~4回目。
市内の国保旭中央病院救急救命科に駆け込んだ。
体温は36度7分、脈拍や血圧なども安定、
両腕につったような感じと脱水症状があった。
熱中症と診断、生理食塩水を点滴されると、症状が消えた。
◇高齢者は要注意
人は暑かったり、運動などで体温が上がると、汗を流すなどして体温を調節。
汗が皮膚から蒸発すると、気化熱が奪われて体温を下げることができる。
血液の流れが、体内の熱を皮膚の下に運び出し、網目のように広がる
毛細血管を流れる間に、外気へ放熱。
発汗による脱水症状が進むと血液が減り、熱を運ぶ機能が下がる。
心臓が血流をスムーズにするため、心拍数を上げようとしても、
高温にさらされ、心臓を動かす筋肉に流れる血液も減り、
心臓への負担が増す。
その結果、体温調節が困難になり、体温が上昇、
熱中症になりやすくなる。
心臓の機能が弱っている心疾患や、血圧を下げる薬を服用している
高血圧の人は、危険性が高い。
高齢者も、発汗機能の低下や体内水分量の減少、
暑さに対する感受性の悪化などで注意が必要。
日本救急医学会「熱中症に関する委員会」委員長の三宅康史医師は、
「高齢者は、熱帯夜や猛暑日が続くと、徐々に脱水が進み、
持病が悪化したり食欲が落ちたりする。
複合的な要因が絡んで、熱中症になる」
熱中症の危険性は気温のほか、湿度や日差しの強さなど、
さまざまな気象条件が影響。
天気予報の気温は通常、直射日光が当たらない日陰で計測。
「気温30度」と発表されていても、アスファルト上の体感温度は
さらに4~5度高い。
財団法人「気象業務支援センター」の専任主任技師、村山貢司さんは、
「天気予報の気温が32度を超えると、路上での体感温度は
体温を超えているので注意して」
梅雨明け直後や梅雨の晴れ間など、急に暑くなった時や
風が弱く湿度が高い時は、体が暑さに慣れていないうえ、
汗が蒸発しないので、警戒が必要。
◇屋内でも重症化
熱中症は、重症度に応じて軽い方から1~3度に分類。
日本救急医学会の調査によると、10年の熱中症1780症例のうち
約4割が1度、2と3度はそれぞれ約3割。
年齢別では、50歳以上で3度の割合が多く、高齢者ほど重症化の傾向。
10代は運動中、20~50代は仕事中、60代以上は日常生活の中で
発症するケースが目立ち、日常生活で発症した半数超は屋内にいる時。
左官業の男性は、「水分摂取を心がけていた」
国保旭中央病院の神田潤医師は、「対策をしているつもりでも、
水分や塩分などの補給不足で、不十分なケースがある。
症状が軽いうちに対処すれば、重症化せずに済むので、
目まいや筋肉痛など熱中症の症状があれば、早めに医療機関を受診して」
………………………………………………………………………
◆日本神経救急学会による熱中症の症状と重症度の分類
分類 症状 重症度
1度 目まい・失神・筋肉痛・筋肉のこむら返り・大量の発汗 軽
↑
2度 頭痛・不快感・吐き気・だるさ・虚脱感・意識障害・けいれん
↓
3度 手足の運動障害・高体温 重
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/6/20/138136/
2011年6月4日土曜日
子どもの虫歯の少なさ、11年連続で全国トップ 新潟県「意識の高さ」胸張る
(2011年5月27日 毎日新聞社)
子どもの虫歯の少なさで、00年から全国トップを続ける県は、
10年の調査でも、平均本数が0・75本(治療済みの歯も含む)と最少、
11年連続トップになった。
国は、10年度までに全国平均を1本以下にする目標、
達成できなかった。
06年、全国に先駆けて1本を切った県は、順調に減らしている。
文部科学省が、永久歯のほぼ生えそろう12歳(中学1年生)を
対象に毎年行っている調査によると、
10年の全国平均は1・29本。
1本を切ったのは、新潟を含めて6県。
新潟は、06年に0・99本、09年の0・80本からさらに減少。
県内の中学校で調査したところ、虫歯が1本もない生徒は64%。
県は、1981年から「虫歯半減10カ年運動」をスタート。
当時は、5・03本と全国平均5・9本をやや下回る程度。
歯を強くするという、フッ素を含む水で口をすすぐ、
フッ素洗口の教育現場での普及や、
小中学校の検診で虫歯だけでなく、表面が白っぽくなるなど、
虫歯になる前の段階で歯科医受診を勧めるなど、予防に重点。
08年、全国初の歯科保健推進条例を制定。
県健康対策課は、「長年の取り組みで予防の大切さが浸透し、
県民の意識の高さが一番の要因ではないか」と胸を張る。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/27/137116/
子どもの虫歯の少なさで、00年から全国トップを続ける県は、
10年の調査でも、平均本数が0・75本(治療済みの歯も含む)と最少、
11年連続トップになった。
国は、10年度までに全国平均を1本以下にする目標、
達成できなかった。
06年、全国に先駆けて1本を切った県は、順調に減らしている。
文部科学省が、永久歯のほぼ生えそろう12歳(中学1年生)を
対象に毎年行っている調査によると、
10年の全国平均は1・29本。
1本を切ったのは、新潟を含めて6県。
新潟は、06年に0・99本、09年の0・80本からさらに減少。
県内の中学校で調査したところ、虫歯が1本もない生徒は64%。
県は、1981年から「虫歯半減10カ年運動」をスタート。
当時は、5・03本と全国平均5・9本をやや下回る程度。
歯を強くするという、フッ素を含む水で口をすすぐ、
フッ素洗口の教育現場での普及や、
小中学校の検診で虫歯だけでなく、表面が白っぽくなるなど、
虫歯になる前の段階で歯科医受診を勧めるなど、予防に重点。
08年、全国初の歯科保健推進条例を制定。
県健康対策課は、「長年の取り組みで予防の大切さが浸透し、
県民の意識の高さが一番の要因ではないか」と胸を張る。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/27/137116/
2011年5月15日日曜日
避難所の被災者、不眠症訴え平時の4分の1 多忙・遠慮で潜在か
(2011年5月10日 毎日新聞社)
東日本大震災の避難所で過ごす就労年代の被災者を診察した
医師らが、不眠症患者の数をまとめたところ、
一般の健康診断時の4分の1前後という結果が相次いで出た。
医師らは、極度の緊張を強いられる避難所生活にしては
低すぎる数値で、復旧作業に追われ診察を受ける余裕がないことや
「遠慮」が主因と分析。
医師自らが進んでケアに当たる、「予防的回診」が大切だと訴えている。
独立行政法人「労働者健康福祉機構」(川崎市)が09年4~6月、
健康診断に伴い18~65歳の約2600人を調べた際、
不眠症患者は16%。
同機構の医療チームが3月25日~4月11日、岩手、宮城両県の
15避難所で18~65歳の計97人を診察、
不眠を訴えたのはわずか4人。
国立国際医療研究センターが、3月22日~4月21日、
宮城県東松島市の避難所で診た20~50代の324人も、
不眠症は3%。
同機構が被災者に理由を尋ねると、不眠が続いても、
「受診する時間がない」、「避難所で眠れないのは仕方ない。
医者への相談は気がひける」と話した人も。
労働者健康福祉機構の医療チームが先月27、28両日、
仙台市若林区の避難所で行った回診に同行。
「我慢するつもりだった」。
気丈に振る舞う被災者の姿が目に焼き付いた。
27日午前、約30人が生活する公共施設の会議室。
無職の佐藤征一さん(67)は、「毎夜目が覚める。
元々血圧が高かったが、津波で家を流され、
1カ月以上も降圧剤を飲んでいない」
血圧はやはり高く、今回は薬を処方された。
別の公共施設の会議室で食事していた男性(60)は、
警備の仕事を失い、ハローワークに通う毎日。
ストレス障害と診断、昼寝の励行を勧められた。
小学校に避難中の不眠症の主婦(60)は、
最高血圧が180以上。
「以前は血圧が低く、大丈夫だと思ったんだけど……」
チームの精神科医、小山文彦さん(49)は、
「被災者には、医療者側から手を差し伸べることが必要だと実感」
夏目誠・大阪樟蔭女子大教授(ストレス科学)は、
「勤労世代は、周囲の期待などから我慢して
診察を受けていないのではないか。
潜在的な病を掘り起こす必要がある」と指摘。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136340/
東日本大震災の避難所で過ごす就労年代の被災者を診察した
医師らが、不眠症患者の数をまとめたところ、
一般の健康診断時の4分の1前後という結果が相次いで出た。
医師らは、極度の緊張を強いられる避難所生活にしては
低すぎる数値で、復旧作業に追われ診察を受ける余裕がないことや
「遠慮」が主因と分析。
医師自らが進んでケアに当たる、「予防的回診」が大切だと訴えている。
独立行政法人「労働者健康福祉機構」(川崎市)が09年4~6月、
健康診断に伴い18~65歳の約2600人を調べた際、
不眠症患者は16%。
同機構の医療チームが3月25日~4月11日、岩手、宮城両県の
15避難所で18~65歳の計97人を診察、
不眠を訴えたのはわずか4人。
国立国際医療研究センターが、3月22日~4月21日、
宮城県東松島市の避難所で診た20~50代の324人も、
不眠症は3%。
同機構が被災者に理由を尋ねると、不眠が続いても、
「受診する時間がない」、「避難所で眠れないのは仕方ない。
医者への相談は気がひける」と話した人も。
労働者健康福祉機構の医療チームが先月27、28両日、
仙台市若林区の避難所で行った回診に同行。
「我慢するつもりだった」。
気丈に振る舞う被災者の姿が目に焼き付いた。
27日午前、約30人が生活する公共施設の会議室。
無職の佐藤征一さん(67)は、「毎夜目が覚める。
元々血圧が高かったが、津波で家を流され、
1カ月以上も降圧剤を飲んでいない」
血圧はやはり高く、今回は薬を処方された。
別の公共施設の会議室で食事していた男性(60)は、
警備の仕事を失い、ハローワークに通う毎日。
ストレス障害と診断、昼寝の励行を勧められた。
小学校に避難中の不眠症の主婦(60)は、
最高血圧が180以上。
「以前は血圧が低く、大丈夫だと思ったんだけど……」
チームの精神科医、小山文彦さん(49)は、
「被災者には、医療者側から手を差し伸べることが必要だと実感」
夏目誠・大阪樟蔭女子大教授(ストレス科学)は、
「勤労世代は、周囲の期待などから我慢して
診察を受けていないのではないか。
潜在的な病を掘り起こす必要がある」と指摘。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/10/136340/
2011年5月13日金曜日
医療の疑問にやさしく答える 患者力トレーニング 美しく長く… 福岡・患者塾
(2011年5月3日 毎日新聞社)
キャンディーズのスーちゃんが、55歳の若さでこの世を去った。
「普通の女の子になりたくて」、キャンディーズが解散したのが昭和53年。
視聴率という数字だけで評価される世界に絶望して、
放送の仕事をやめ、僕が医学部に再入学したのも昭和53年。
スーちゃんは女優として復帰。
僕も、数字以外で評価される道がきっとあると考え直し、
ホームドクターとしてテレビに出るように。
スーちゃんには、ファンとして特別な思いがある。
女優として、もっともっとがんばってほしかった。
くやしいと言う思いが、時間の経過と共に募って行く。
ちゃんと検診を受けていれば、おそらくこんなことには
ならなかったのではないか。
きっと仕事が忙しかったりさまざま事情で、
乳がんを早期に発見することができなかったのでしょう。
その事情を知る術は、僕たちにはない。
この患者塾でも、乳がん検診を受けてほしい、と何度も訴えて来た。
30歳~64歳の女性のがん死亡原因の第一位は、乳がん。
僕の知人の女性で、若くして世を去った人の多くは乳がん。
そんな話をすると、かなりの女性が乳がん検診を受けてくれる。
継続して受け続けてくれる人は多くない。
「あんな痛い検査はもういい」、
「要精密検査と言われ、精密検査を受けるが、
経過観察のままで数年がたち、中途半端な状態に耐えれない」という理由。
それぞれの理由は十分に理解できる。
安全のためには、手間暇やお金や多少の痛みと言う代償がどうしても必要。
近くPEMと言う新しい乳がん検査の器械が、日本でも使えるようになる。
マンモグラフィー程は痛くなく、5mm以下のしこりでも見つかり、
しこりを触れない乳がんも発見可能。
それぞれの女性にそれぞれの思いがあるが、
多少の心と体の痛みと、費用と時間という代償を払ってでも、
美しく長く生きる道の方を選んでほしい。
…………………………………………………………………………………
◇相談室
Q・ずっと咳が続いている
咳がずっと続いている。
近くの先生にみてもらったら、「がんの可能性もないし結核でもない。
おそらく咳喘息だ」と、アドエアと言う喘息の吸入薬を処方。
それでもほとんど改善しない。
何か変な病気ではないかと心配。福岡市中央区、38歳、女性
A・アレルギー性咽喉頭炎の可能性も
かぜが治った後2週間くらい咳がつづく場合、咳喘息を疑う。
喘鳴ではなく、咳が主な症状の喘息で、気管支拡張剤で改善。
咳喘息は、昼間より床に入ってからの方が症状が激しいのも特徴。
この人の場合、夜昼問わず咳が出て、かぜが引き金と言う訳でもない。
肺の感染症や腫瘍、喘息の可能性が低く、
心臓や食道の病気などの可能性もなければ、
一番考えられるのは「アレルギー性咽喉頭炎」
喘息の薬が効かないことを、今かかっている先生に伝え、もう一度相談して。
アレルギーの薬を新たに処方するか、耳鼻咽喉科の先生を紹介してくれる。
Q・白内障と緑内障。手術の順番は
糖尿病で網膜症のチェックのため、眼科に通っているが、
白内障と緑内障の両方があると言われた。
手術が必要と言われているが、順番はどちらが先がいいのか?
かかりつけの先生は、「白内障かな?」と。北九州市小倉南区、72歳、男性
A・両方同時に手術することも
白内障も緑内障も、加齢とともに進行するため、
両方を併せ持つことは珍しくない。
白内障は、水晶体が濁るために見えにくくなる病気。
緑内障は、眼圧が上がるために、視神経を圧迫して
視野が狭くなるなどの症状が出る。
緑内障が軽く、手術がまだ必要でない場合、
白内障の手術を優先する。
緑内障が手術が必要な状態だったり、白内障の術後に
眼圧が上がる可能性のある場合などは、
両方同時に手術することがある。
この人の場合、糖尿病もあり、内科医と眼科医で緊密な連絡をとって、
熟練した眼科医に手術してもらう必要がある。
納得行くまで相談して。
……………………………………………………………………………
回答まとめ・小野村健太郎さん
質問は事務局へ
〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234 FAX093・222・1235
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136118/
キャンディーズのスーちゃんが、55歳の若さでこの世を去った。
「普通の女の子になりたくて」、キャンディーズが解散したのが昭和53年。
視聴率という数字だけで評価される世界に絶望して、
放送の仕事をやめ、僕が医学部に再入学したのも昭和53年。
スーちゃんは女優として復帰。
僕も、数字以外で評価される道がきっとあると考え直し、
ホームドクターとしてテレビに出るように。
スーちゃんには、ファンとして特別な思いがある。
女優として、もっともっとがんばってほしかった。
くやしいと言う思いが、時間の経過と共に募って行く。
ちゃんと検診を受けていれば、おそらくこんなことには
ならなかったのではないか。
きっと仕事が忙しかったりさまざま事情で、
乳がんを早期に発見することができなかったのでしょう。
その事情を知る術は、僕たちにはない。
この患者塾でも、乳がん検診を受けてほしい、と何度も訴えて来た。
30歳~64歳の女性のがん死亡原因の第一位は、乳がん。
僕の知人の女性で、若くして世を去った人の多くは乳がん。
そんな話をすると、かなりの女性が乳がん検診を受けてくれる。
継続して受け続けてくれる人は多くない。
「あんな痛い検査はもういい」、
「要精密検査と言われ、精密検査を受けるが、
経過観察のままで数年がたち、中途半端な状態に耐えれない」という理由。
それぞれの理由は十分に理解できる。
安全のためには、手間暇やお金や多少の痛みと言う代償がどうしても必要。
近くPEMと言う新しい乳がん検査の器械が、日本でも使えるようになる。
マンモグラフィー程は痛くなく、5mm以下のしこりでも見つかり、
しこりを触れない乳がんも発見可能。
それぞれの女性にそれぞれの思いがあるが、
多少の心と体の痛みと、費用と時間という代償を払ってでも、
美しく長く生きる道の方を選んでほしい。
…………………………………………………………………………………
◇相談室
Q・ずっと咳が続いている
咳がずっと続いている。
近くの先生にみてもらったら、「がんの可能性もないし結核でもない。
おそらく咳喘息だ」と、アドエアと言う喘息の吸入薬を処方。
それでもほとんど改善しない。
何か変な病気ではないかと心配。福岡市中央区、38歳、女性
A・アレルギー性咽喉頭炎の可能性も
かぜが治った後2週間くらい咳がつづく場合、咳喘息を疑う。
喘鳴ではなく、咳が主な症状の喘息で、気管支拡張剤で改善。
咳喘息は、昼間より床に入ってからの方が症状が激しいのも特徴。
この人の場合、夜昼問わず咳が出て、かぜが引き金と言う訳でもない。
肺の感染症や腫瘍、喘息の可能性が低く、
心臓や食道の病気などの可能性もなければ、
一番考えられるのは「アレルギー性咽喉頭炎」
喘息の薬が効かないことを、今かかっている先生に伝え、もう一度相談して。
アレルギーの薬を新たに処方するか、耳鼻咽喉科の先生を紹介してくれる。
Q・白内障と緑内障。手術の順番は
糖尿病で網膜症のチェックのため、眼科に通っているが、
白内障と緑内障の両方があると言われた。
手術が必要と言われているが、順番はどちらが先がいいのか?
かかりつけの先生は、「白内障かな?」と。北九州市小倉南区、72歳、男性
A・両方同時に手術することも
白内障も緑内障も、加齢とともに進行するため、
両方を併せ持つことは珍しくない。
白内障は、水晶体が濁るために見えにくくなる病気。
緑内障は、眼圧が上がるために、視神経を圧迫して
視野が狭くなるなどの症状が出る。
緑内障が軽く、手術がまだ必要でない場合、
白内障の手術を優先する。
緑内障が手術が必要な状態だったり、白内障の術後に
眼圧が上がる可能性のある場合などは、
両方同時に手術することがある。
この人の場合、糖尿病もあり、内科医と眼科医で緊密な連絡をとって、
熟練した眼科医に手術してもらう必要がある。
納得行くまで相談して。
……………………………………………………………………………
回答まとめ・小野村健太郎さん
質問は事務局へ
〒807-0111 福岡県芦屋町白浜町2の10「おのむら医院」内
電話093・222・1234 FAX093・222・1235
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/5/6/136118/
2011年3月13日日曜日
摂食障害、100人に2人 女子中生「予備軍は数倍」 危険ダイエットに警鐘 厚労省研究班が初調査
(2011年3月2日 共同通信社)
女子中学生の100人に2人は、専門医の治療や指導が必要な
摂食障害と推計、厚生労働省研究班の初の大規模調査。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の
小牧元・心身医学研究部長は、「予備軍は、この数倍はいるだろう」、
「過度の食事制限は、成長期の中高生に特に悪影響が大きい。
ダイエットをよしとする風潮が、子どもを危険にさらしている可能性」
摂食障害は、自覚がなく治療が難しいケースが多く、
きちんと食べるよう教える予防策や、専門機関による
サポート体制の充実が求められそうだ。
調査は2009~10年、関東と中国地方の計2都市の36中学校に通う
約8千人を対象に実施。
国際的な標準に基づき、体形や食事への意識など28項目を尋ね、
5161人(女子2604人、男子2557人)から有効回答。
その結果、女子の1・9%、男子の0・2%が、
身体だけでなく、心の問題にも対応できる専門の医師の下で、
治療や指導を受ける必要がある摂食障害と判断。
拒食症につながりかねない痩せることを目的にした行為
(直近の4週間に2回以上)をみると、
「下剤を使った」は女子1・1%、男子0・7%、
「口に手を突っ込むなどして吐いた」は女子1・4%、男子0・9%、
「食事を抜いた」は女子3・6%、男子2・6%、
「過度の運動をした」は女子6・8%、男子3・8%。
過食症への入り口にもなる、「むちゃな大食いを、直近の4週間に
8回以上した」のは、女子3・5%、男子1・3%。
摂食障害とされた女子は、
(1)夜遅くまで起きている、
(2)家族との食事は楽しくない、
(3)家族から「もう少し痩せたら」と言われる、
(4)気持ちを本当に分かってくれる人は誰もいない-
などに当てはまる傾向。
◆摂食障害
拒食症と過食症に大別される精神疾患の一種。
主に女性がかかり、死に至ることも。
拒食症の場合、病気の自覚がないまま、食事の量を極端に減らし、
食後に口に手を突っ込んで吐いたり、下剤を大量に飲んだりする。
過食症では、食欲のコントロールが効かず、大食いを繰り返す。
一つの原因として、人間関係や家庭環境などから生じるストレスに
うまく対処できないためとの指摘もあるが、はっきりしていない。
厚生労働省研究班の調査では、1980~98年の間に約10倍に増えた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/3/2/133157/
女子中学生の100人に2人は、専門医の治療や指導が必要な
摂食障害と推計、厚生労働省研究班の初の大規模調査。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の
小牧元・心身医学研究部長は、「予備軍は、この数倍はいるだろう」、
「過度の食事制限は、成長期の中高生に特に悪影響が大きい。
ダイエットをよしとする風潮が、子どもを危険にさらしている可能性」
摂食障害は、自覚がなく治療が難しいケースが多く、
きちんと食べるよう教える予防策や、専門機関による
サポート体制の充実が求められそうだ。
調査は2009~10年、関東と中国地方の計2都市の36中学校に通う
約8千人を対象に実施。
国際的な標準に基づき、体形や食事への意識など28項目を尋ね、
5161人(女子2604人、男子2557人)から有効回答。
その結果、女子の1・9%、男子の0・2%が、
身体だけでなく、心の問題にも対応できる専門の医師の下で、
治療や指導を受ける必要がある摂食障害と判断。
拒食症につながりかねない痩せることを目的にした行為
(直近の4週間に2回以上)をみると、
「下剤を使った」は女子1・1%、男子0・7%、
「口に手を突っ込むなどして吐いた」は女子1・4%、男子0・9%、
「食事を抜いた」は女子3・6%、男子2・6%、
「過度の運動をした」は女子6・8%、男子3・8%。
過食症への入り口にもなる、「むちゃな大食いを、直近の4週間に
8回以上した」のは、女子3・5%、男子1・3%。
摂食障害とされた女子は、
(1)夜遅くまで起きている、
(2)家族との食事は楽しくない、
(3)家族から「もう少し痩せたら」と言われる、
(4)気持ちを本当に分かってくれる人は誰もいない-
などに当てはまる傾向。
◆摂食障害
拒食症と過食症に大別される精神疾患の一種。
主に女性がかかり、死に至ることも。
拒食症の場合、病気の自覚がないまま、食事の量を極端に減らし、
食後に口に手を突っ込んで吐いたり、下剤を大量に飲んだりする。
過食症では、食欲のコントロールが効かず、大食いを繰り返す。
一つの原因として、人間関係や家庭環境などから生じるストレスに
うまく対処できないためとの指摘もあるが、はっきりしていない。
厚生労働省研究班の調査では、1980~98年の間に約10倍に増えた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/3/2/133157/
2011年3月12日土曜日
携帯端末での音楽聴取で音の聞き分けに支障も
(サイエンスポータル 2011年3月4日)
携帯音楽プレーヤーで、大音量の音楽を聴き続けると、
音を聞き分ける能力が低下する危険があるとの研究結果を、
自然科学研究機構 生理学研究所の研究グループが明らかに。
周囲に雑音がある環境下で聴くため、つい音量を上げるのが原因。
一つ一つの音を聞く分には支障がないため、
通常の聴覚検査では異常が見つからないことも分かった。
雑音がある中で、音を聞き分ける検査も必要、と研究者たちは指摘。
生理学研究所の岡本秀彦准教授、柿木隆介教授は、
ドイツの研究者と共同で、普段から大音量で携帯音楽プレーヤーを
聴いている13人と、そうでない13人の若者を対象に、
音を聞き分ける力を生体磁気計測装置(MEG)による
脳の反応の違いで調べた。
この結果、雑音の中から音を聞き分ける能力が、
携帯音楽プレーヤー常用者の方が弱くなっていることが明らかに。
静かなところで、特定の周波数の音が聞こえるか聞こえないかを
検査する通常の聴覚検査では、
常用者でも非常用者でも違いがない。
「騒々しい場所で、携帯音楽プレーヤーを楽しむ時は、
大音量ではなく、ノイズキャンセラーなどの機能を使って、
音は控えめに」と岡本准教授。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1103/1103041.html
携帯音楽プレーヤーで、大音量の音楽を聴き続けると、
音を聞き分ける能力が低下する危険があるとの研究結果を、
自然科学研究機構 生理学研究所の研究グループが明らかに。
周囲に雑音がある環境下で聴くため、つい音量を上げるのが原因。
一つ一つの音を聞く分には支障がないため、
通常の聴覚検査では異常が見つからないことも分かった。
雑音がある中で、音を聞き分ける検査も必要、と研究者たちは指摘。
生理学研究所の岡本秀彦准教授、柿木隆介教授は、
ドイツの研究者と共同で、普段から大音量で携帯音楽プレーヤーを
聴いている13人と、そうでない13人の若者を対象に、
音を聞き分ける力を生体磁気計測装置(MEG)による
脳の反応の違いで調べた。
この結果、雑音の中から音を聞き分ける能力が、
携帯音楽プレーヤー常用者の方が弱くなっていることが明らかに。
静かなところで、特定の周波数の音が聞こえるか聞こえないかを
検査する通常の聴覚検査では、
常用者でも非常用者でも違いがない。
「騒々しい場所で、携帯音楽プレーヤーを楽しむ時は、
大音量ではなく、ノイズキャンセラーなどの機能を使って、
音は控えめに」と岡本准教授。
http://www.scienceportal.jp/news/daily/1103/1103041.html
2011年3月4日金曜日
「食べ過ぎ」を尿で判定 タニタ、2年以内に製品化
(2011年2月23日 共同通信社)
計量器メーカーのタニタは、尿中の微量な糖分を計測することで、
「食べ過ぎ」を判定する試作機を開発。
ダイエットや食生活の見直しに役立ててもらうため、
2年以内の商品化を目指す。
ご飯やパン、イモ類に多く含まれ、体内で糖分に変わる糖質は、
一定水準を超えて取りすぎると脂肪となり、太る原因となる。
食事で過剰に糖質を取ると、
尿中の糖分が多くなることが、同社の研究で判明。
試作機は、ハンドバッグに入るサイズ。
食事をしてから約2時間後に、センサー部分に尿をかけて
糖分量を計測し、数値と5段階の絵柄で食べ過ぎかどうかを表す。
一定基準以下なら、糖分が原因で太ることはない。
製品化に向け、糖分だけではなく、尿中のさまざまな成分を
総合的に計測できる仕組みを開発。
価格は、「1万円前後に抑えたい」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/23/132744/
計量器メーカーのタニタは、尿中の微量な糖分を計測することで、
「食べ過ぎ」を判定する試作機を開発。
ダイエットや食生活の見直しに役立ててもらうため、
2年以内の商品化を目指す。
ご飯やパン、イモ類に多く含まれ、体内で糖分に変わる糖質は、
一定水準を超えて取りすぎると脂肪となり、太る原因となる。
食事で過剰に糖質を取ると、
尿中の糖分が多くなることが、同社の研究で判明。
試作機は、ハンドバッグに入るサイズ。
食事をしてから約2時間後に、センサー部分に尿をかけて
糖分量を計測し、数値と5段階の絵柄で食べ過ぎかどうかを表す。
一定基準以下なら、糖分が原因で太ることはない。
製品化に向け、糖分だけではなく、尿中のさまざまな成分を
総合的に計測できる仕組みを開発。
価格は、「1万円前後に抑えたい」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/23/132744/
2011年3月3日木曜日
慢性疲労症候群には認知行動療法や運動療法の併用が効果的
(日経 2月24日)
慢性疲労症候群(CFS)患者に対し、標準治療と併行して
認知行動療法(CBT)、段階的運動療法(GET)を行うのが
最も有効であることが、英国の新しい研究で示された。
今回の知見は、「身体的行動や精神的態度を、
追加的に調節することが、慢性疲労症候群CFSの改善につながる」
という議論の対象となっている考えを支持。
CFSの標準的な治療法は、専門家メディカルケア(SMC)と呼ばれ、
疾患に関する情報、症状の管理に関する助言、
さまざまな対処法による支援などの提供を軸とする。
今回の研究では、患者が活動と休養のパターンを
厳格に管理することに焦点を当てた適応ペーシング(調節)療法(APT)と
呼ばれる治療法では、ほとんど利益が認められない。
英ロンドン大学クイーンメアリー校バーツ・アンド・ロンドン
医学部教授のPeter D. White博士らによる今回の研究は、
英医学誌「The Lancet(ランセット)」オンライン版に2月18日掲載。
認知行動療法は、CFSを悪化させる行動の回避を目的とする治療法で、
精神的抑制による悪循環を断ち切ろうとするもの。
段階的運動療法は、徐々に患者の運動レベルを上げて
体力を向上させることにより、疲労および身体障害を軽減させる治療法。
今回の研究では、英国の4カ所のリハビリテーションセンターに通う
CFS患者641人を、4群に割り付け、
全群に標準的な専門家メディカルケア療法を行うとともに、
3群には適応ペーシング療法、認知行動療法、段階的運動療法の
いずれかの療法を併用。
その結果、標準的専門家メディカルケア療法と認知行動療法、
段階的運動療法を併用した群では、疲労レベルおよび身体機能の
両面で、最も大きな改善が認められた。
標準的専門家メディカルケア療法と適応ペーシング療法を併用群では、
標準治療単独群との差は認められなかった。
標準/認知行動療法群、標準/段階的運動療法群では、
患者の60%に疲労感および機能の改善がみられ、
30%が疲労感および機能が「正常レベル」であると報告、
標準治療単独、標準/適応ペーシング療法群で、
正常レベルであると報告したのは半数。
どの治療も安全性は同等であり、重篤な反応はまれ。
米マイアミ大学ミラー医学部慢性疲労センターのNancy Klimas博士は、
「CFSのさまざまな治療法の利点について、現在も議論が続いている」、
White氏らが、「認知行動療法、段階的運動療法は、適度な助けとなるが、
治癒をもたらすものではない」と述べている点に同意。
「CFS患者は、エネルギー量が極めて限られており、
閾値(threshold)を越えると再発するので、
その範囲内で治療に取り組まなくてはならない」
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm
慢性疲労症候群(CFS)患者に対し、標準治療と併行して
認知行動療法(CBT)、段階的運動療法(GET)を行うのが
最も有効であることが、英国の新しい研究で示された。
今回の知見は、「身体的行動や精神的態度を、
追加的に調節することが、慢性疲労症候群CFSの改善につながる」
という議論の対象となっている考えを支持。
CFSの標準的な治療法は、専門家メディカルケア(SMC)と呼ばれ、
疾患に関する情報、症状の管理に関する助言、
さまざまな対処法による支援などの提供を軸とする。
今回の研究では、患者が活動と休養のパターンを
厳格に管理することに焦点を当てた適応ペーシング(調節)療法(APT)と
呼ばれる治療法では、ほとんど利益が認められない。
英ロンドン大学クイーンメアリー校バーツ・アンド・ロンドン
医学部教授のPeter D. White博士らによる今回の研究は、
英医学誌「The Lancet(ランセット)」オンライン版に2月18日掲載。
認知行動療法は、CFSを悪化させる行動の回避を目的とする治療法で、
精神的抑制による悪循環を断ち切ろうとするもの。
段階的運動療法は、徐々に患者の運動レベルを上げて
体力を向上させることにより、疲労および身体障害を軽減させる治療法。
今回の研究では、英国の4カ所のリハビリテーションセンターに通う
CFS患者641人を、4群に割り付け、
全群に標準的な専門家メディカルケア療法を行うとともに、
3群には適応ペーシング療法、認知行動療法、段階的運動療法の
いずれかの療法を併用。
その結果、標準的専門家メディカルケア療法と認知行動療法、
段階的運動療法を併用した群では、疲労レベルおよび身体機能の
両面で、最も大きな改善が認められた。
標準的専門家メディカルケア療法と適応ペーシング療法を併用群では、
標準治療単独群との差は認められなかった。
標準/認知行動療法群、標準/段階的運動療法群では、
患者の60%に疲労感および機能の改善がみられ、
30%が疲労感および機能が「正常レベル」であると報告、
標準治療単独、標準/適応ペーシング療法群で、
正常レベルであると報告したのは半数。
どの治療も安全性は同等であり、重篤な反応はまれ。
米マイアミ大学ミラー医学部慢性疲労センターのNancy Klimas博士は、
「CFSのさまざまな治療法の利点について、現在も議論が続いている」、
White氏らが、「認知行動療法、段階的運動療法は、適度な助けとなるが、
治癒をもたらすものではない」と述べている点に同意。
「CFS患者は、エネルギー量が極めて限られており、
閾値(threshold)を越えると再発するので、
その範囲内で治療に取り組まなくてはならない」
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm
2011年2月21日月曜日
笑いヨガ 心身元気に 簡単な動作で「アハハハ」 脳が活性、リラックス
(2011年2月15日 毎日新聞社)
声を出して笑いながら体を動かす、「ラフターヨガ」(笑いヨガ)が注目。
ヨガといっても、難しいポーズはなく、
子どもから高齢者まで参加しやすいのが特徴。
約5年前に日本に紹介、既に全国に約120のクラブがあり、
笑顔の輪が広がっている。
武蔵野市で、毎週水曜日に開かれる「吉祥寺ラフタークラブ」には、
毎回15人前後が参加。
日本に初めてラフターヨガを紹介した田所メアリーさん(56)と
夫の孝さん(60)が講師。
メアリーさんが、「息が切れたら座ってもいいですから、
自分のペースを守って。
笑うときに、目と目を合わせるコミュニケーションを大事にしてください」
この日は、軽いストレッチの後、
▽インドのあいさつをイメージして、両手を胸の前で合わせる、
▽ミルクセーキを作って飲むまねをする--
など8種類の動作をしながら、
参加者は、「アハハハハハ」と声を上げて笑った。
最後は、みんなで車座になり、ひたすら笑う。
記者も、つられて笑ってしまった。
約1年半クラブに通っている大和市の男性(60)は、
「リストラで職を失い、不安な日々を過ごしていたが、
ここに来て少しずつ前向きになった。
笑っていると、幸福感に包まれる」。
現在は、整体師を目指して勉強中。
「日常生活でも、以前より笑うことが多くなった」と、50代の女性。
夫を病気で亡くし、食事もとれなかったが、
ラフターヨガと出合い、元気を取り戻したという女性も。
メアリーさんは、「笑いには、脳の活性化などの効果がある。
作った笑いでも、自然に笑うのと同じ効果を期待できる」
ラフターヨガは、1995年にインドの医師夫妻が考案した健康法、
笑いを取り入れることで、自然に腹式呼吸ができる。
世界60カ国以上に広がっており、
米国では、がん患者の病棟で取り入れている例も。
大阪府立健康科学センターでは数年前から、
「健康教室」に笑いヨガを取り入れている。
大平哲也・大阪大准教授(公衆衛生学)によると、
実施後では、唾液中のストレス関連ホルモンの値が低下する傾向。
「運動効果に加え、心理的ストレスを減らすリラックス効果が
得られるのではないか」と大平准教授。
笑いのためのエクササイズは、「あいさつ」、「ライオン」、「言い争い」など、
たくさんの種類があるが、どれも簡単で慣れれば自宅でもできる。
高齢の愛好者も多く、仙台市「りらくらぶラフターヨガ教室」のリーダー、
佐藤四郎さん(63)は、「地域の公民館などに出張実演すると、
1人暮らしのお年寄りから、『こんなに笑ったのは何カ月ぶりかしら』
と言われる」
人気の背景について、普及に取り組む「ラフターヨガ・ネット」(中野区)の
杉浦彰・代表理事は、「経済状況が厳しく、ストレスの多い現代社会で、
心身をリフレッシュできる笑いが見直されている。
笑いも運動。
誰でもできる手軽さがいいのではないか」
◇全国に約120のクラブ
全国のクラブは、「ラフターヨガ・ジャパン」のウェブサイト
(http://laughteryoga.jp/)から検索。
「日本笑いヨガ協会」(http://waraiyoga.org/)、
「ラフターヨガ・ネット」(http://laughteryoganet.jp/)も参考。
参加費は、クラブによってまちまちだが、
1時間~1時間半で500~1000円程度が一般的。
「吉祥寺ラフタークラブ」のように寄付制のところも。
高血圧や心臓病、腰痛などの持病がある人は、
医師と相談の上で始めるのが望ましい。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/15/132398/
声を出して笑いながら体を動かす、「ラフターヨガ」(笑いヨガ)が注目。
ヨガといっても、難しいポーズはなく、
子どもから高齢者まで参加しやすいのが特徴。
約5年前に日本に紹介、既に全国に約120のクラブがあり、
笑顔の輪が広がっている。
武蔵野市で、毎週水曜日に開かれる「吉祥寺ラフタークラブ」には、
毎回15人前後が参加。
日本に初めてラフターヨガを紹介した田所メアリーさん(56)と
夫の孝さん(60)が講師。
メアリーさんが、「息が切れたら座ってもいいですから、
自分のペースを守って。
笑うときに、目と目を合わせるコミュニケーションを大事にしてください」
この日は、軽いストレッチの後、
▽インドのあいさつをイメージして、両手を胸の前で合わせる、
▽ミルクセーキを作って飲むまねをする--
など8種類の動作をしながら、
参加者は、「アハハハハハ」と声を上げて笑った。
最後は、みんなで車座になり、ひたすら笑う。
記者も、つられて笑ってしまった。
約1年半クラブに通っている大和市の男性(60)は、
「リストラで職を失い、不安な日々を過ごしていたが、
ここに来て少しずつ前向きになった。
笑っていると、幸福感に包まれる」。
現在は、整体師を目指して勉強中。
「日常生活でも、以前より笑うことが多くなった」と、50代の女性。
夫を病気で亡くし、食事もとれなかったが、
ラフターヨガと出合い、元気を取り戻したという女性も。
メアリーさんは、「笑いには、脳の活性化などの効果がある。
作った笑いでも、自然に笑うのと同じ効果を期待できる」
ラフターヨガは、1995年にインドの医師夫妻が考案した健康法、
笑いを取り入れることで、自然に腹式呼吸ができる。
世界60カ国以上に広がっており、
米国では、がん患者の病棟で取り入れている例も。
大阪府立健康科学センターでは数年前から、
「健康教室」に笑いヨガを取り入れている。
大平哲也・大阪大准教授(公衆衛生学)によると、
実施後では、唾液中のストレス関連ホルモンの値が低下する傾向。
「運動効果に加え、心理的ストレスを減らすリラックス効果が
得られるのではないか」と大平准教授。
笑いのためのエクササイズは、「あいさつ」、「ライオン」、「言い争い」など、
たくさんの種類があるが、どれも簡単で慣れれば自宅でもできる。
高齢の愛好者も多く、仙台市「りらくらぶラフターヨガ教室」のリーダー、
佐藤四郎さん(63)は、「地域の公民館などに出張実演すると、
1人暮らしのお年寄りから、『こんなに笑ったのは何カ月ぶりかしら』
と言われる」
人気の背景について、普及に取り組む「ラフターヨガ・ネット」(中野区)の
杉浦彰・代表理事は、「経済状況が厳しく、ストレスの多い現代社会で、
心身をリフレッシュできる笑いが見直されている。
笑いも運動。
誰でもできる手軽さがいいのではないか」
◇全国に約120のクラブ
全国のクラブは、「ラフターヨガ・ジャパン」のウェブサイト
(http://laughteryoga.jp/)から検索。
「日本笑いヨガ協会」(http://waraiyoga.org/)、
「ラフターヨガ・ネット」(http://laughteryoganet.jp/)も参考。
参加費は、クラブによってまちまちだが、
1時間~1時間半で500~1000円程度が一般的。
「吉祥寺ラフタークラブ」のように寄付制のところも。
高血圧や心臓病、腰痛などの持病がある人は、
医師と相談の上で始めるのが望ましい。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/15/132398/
2011年2月13日日曜日
スリムなアラフォー女性、20年前より増加
(2011年2月7日 読売新聞)
肥満の指標であるBMIで、「やせ」に区分される
30~40代の女性の割合が、20年前に比べて増加したことが、
厚生労働省研究班の調査。
ダイエットブームによるやせすぎが指摘される若い層よりも、
増加率が大きかった。
研究班の代表を務める国立長寿医療研究センターの
下方浩史・予防開発部長らが、1989~2009年、
愛知県内で健康診断を受けた20~80代女性のべ約20万人について、
20年間の変化を年代ごとに調べた。
BMIが18・5未満で、「やせ」に区分される人の割合は、
30代は約15%から約22%、40代は約7%から約17%に増加。
50~70代でも増えていた。
20代では、年によって20~30%台前半と増減があるものの、
20年を通してみると、ほぼ横ばい。
BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値。
日本肥満学会の判定基準では、18・5~25・0未満を「ふつう」、
25・0以上を「肥満」と区分。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/8/132126/
肥満の指標であるBMIで、「やせ」に区分される
30~40代の女性の割合が、20年前に比べて増加したことが、
厚生労働省研究班の調査。
ダイエットブームによるやせすぎが指摘される若い層よりも、
増加率が大きかった。
研究班の代表を務める国立長寿医療研究センターの
下方浩史・予防開発部長らが、1989~2009年、
愛知県内で健康診断を受けた20~80代女性のべ約20万人について、
20年間の変化を年代ごとに調べた。
BMIが18・5未満で、「やせ」に区分される人の割合は、
30代は約15%から約22%、40代は約7%から約17%に増加。
50~70代でも増えていた。
20代では、年によって20~30%台前半と増減があるものの、
20年を通してみると、ほぼ横ばい。
BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値。
日本肥満学会の判定基準では、18・5~25・0未満を「ふつう」、
25・0以上を「肥満」と区分。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/8/132126/
2011年2月11日金曜日
メタボ健診の受診率40% 09年度、低調続く
(2011年2月3日 共同通信社)
40~74歳を対象とした特定健康診査、「メタボ健診」の
2009年度の受診率(速報値)が、全国で40・5%にとどまったことが、
厚生労働省の調査で分かった。
制度が導入された08年度の受診率は38・9%、
約2ポイント上がったが、低調傾向が続いている。
厚労省は、「がんなどと比べ、緊急性が低いと考えがちだが、
放置すれば、数十年後に深刻な影響が出る」と、
積極的な受診を呼び掛けている。
対象者数は約5220万人で、受診者数は約2115万人。
健診の結果、生活習慣病の原因になるとされるメタボリック症候群と
診断された人は約311万人、予備軍が約265万人。
診断後に、保健師などによる保健指導が必要とされた約400万人のうち、
実際に指導を受けたのは約52万人だけ。
運営主体ごとの受診率は、公務員らが加入する共済組合(65・4%)、
大企業の社員が加入する健保組合(63・3%)と高かった一方、
中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(30・3%)、
市町村国保(31・4%)、船員保険(32・1%)と低く、二極化が続いた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/3/131990/
40~74歳を対象とした特定健康診査、「メタボ健診」の
2009年度の受診率(速報値)が、全国で40・5%にとどまったことが、
厚生労働省の調査で分かった。
制度が導入された08年度の受診率は38・9%、
約2ポイント上がったが、低調傾向が続いている。
厚労省は、「がんなどと比べ、緊急性が低いと考えがちだが、
放置すれば、数十年後に深刻な影響が出る」と、
積極的な受診を呼び掛けている。
対象者数は約5220万人で、受診者数は約2115万人。
健診の結果、生活習慣病の原因になるとされるメタボリック症候群と
診断された人は約311万人、予備軍が約265万人。
診断後に、保健師などによる保健指導が必要とされた約400万人のうち、
実際に指導を受けたのは約52万人だけ。
運営主体ごとの受診率は、公務員らが加入する共済組合(65・4%)、
大企業の社員が加入する健保組合(63・3%)と高かった一方、
中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(30・3%)、
市町村国保(31・4%)、船員保険(32・1%)と低く、二極化が続いた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/2/3/131990/
2011年1月31日月曜日
(北海道)転倒予防体操 効果あり…高齢女性の介護費、月9000円減
(2011年1月21日 読売新聞)
高齢者向けの転倒予防体操を、自主的に行う会に参加した女性は、
そうでない女性に比べ、介護費用を月に平均9000円抑える効果が
あったことが、東京都健康長寿医療センター研究所などが
北海道美唄市で行った調査で明らかに。
美唄市は、2004年度から高齢者を対象に、
いすなどを使って、足腰を鍛える転倒予防の体操などを指導する
介護予防の教室を開催。
教室の修了者らが、自主的に体操を続ける活動も盛んで、
市内に会が25団体ある。
同センターの吉田裕人研究員らは、04~08年度、
美唄市の65歳以上の国民健康保険加入者を対象に調査を実施。
会に1度でも参加した経験がある178人と未参加の2334人について、
08年度の医療費と介護費を調べ、統計上の補正をして、
1人あたりの経済効果をはじき出した。
その結果、介護保険給付費と1割の自己負担分を合わせた介護費は、
会に参加した女性で月あたり9000円、医療費と合計すると
1万2000円抑える効果があった。
男性は参加者の母数が少なく、差が出なかった。
厚生労働省の昨年11月の調査によると、
介護を受ける人1人あたりの平均介護費は月18万7400円。
吉田研究員は、「市民の自主的な転倒予防活動は、
医療費や介護費の公的な支出を抑える点でも意義がある」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131429/
高齢者向けの転倒予防体操を、自主的に行う会に参加した女性は、
そうでない女性に比べ、介護費用を月に平均9000円抑える効果が
あったことが、東京都健康長寿医療センター研究所などが
北海道美唄市で行った調査で明らかに。
美唄市は、2004年度から高齢者を対象に、
いすなどを使って、足腰を鍛える転倒予防の体操などを指導する
介護予防の教室を開催。
教室の修了者らが、自主的に体操を続ける活動も盛んで、
市内に会が25団体ある。
同センターの吉田裕人研究員らは、04~08年度、
美唄市の65歳以上の国民健康保険加入者を対象に調査を実施。
会に1度でも参加した経験がある178人と未参加の2334人について、
08年度の医療費と介護費を調べ、統計上の補正をして、
1人あたりの経済効果をはじき出した。
その結果、介護保険給付費と1割の自己負担分を合わせた介護費は、
会に参加した女性で月あたり9000円、医療費と合計すると
1万2000円抑える効果があった。
男性は参加者の母数が少なく、差が出なかった。
厚生労働省の昨年11月の調査によると、
介護を受ける人1人あたりの平均介護費は月18万7400円。
吉田研究員は、「市民の自主的な転倒予防活動は、
医療費や介護費の公的な支出を抑える点でも意義がある」
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/24/131429/
2011年1月22日土曜日
ドライアイ、新しい型「BUT短縮型」 涙と違う原因、目の肌荒れ状態に
(2011年1月14日 毎日新聞社)
空気が乾燥する冬、目が充血しやすくなったり、
目に痛みを感じたりしている人は、ドライアイが原因かも。
最近、涙の量が少ないなどといった従来のドライアイの概念に
当てはまりにくい、新しいタイプの
「BUT(涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」が注目。
京都府立医科大付属病院を訪れたエステティシャンの女性は、
「2、3年前から、まぶしくて目を開けていられないときがある」、
横井則彦准教授(眼科学)に訴えた。
従来のドライアイは、涙の量が少ない「涙液減少型」か、
涙の表面の油分が不足して蒸発が早まる「蒸発亢進型」に大別。
この女性は、涙の量にも油分にも問題はなかったが、
まばたきをした瞬間から、角膜の表面の涙の層が安定せず、
すぐに乾いた部分(ドライスポット)が現れた。
横井准教授は、「BUT短縮型ドライアイ」と診断。
「黒目(角膜)の表面の水ぬれが悪く、涙をはじいてしまう。
いわば、目の肌荒れのような状態」
涙の量は十分あるため、ドライアイの診断基準にあるように、
目の表面にあまり傷ができず、ドライアイと診断されないことが多い。
角膜の表面には、「膜型ムチン」という分子が突起のように分布し、
涙の中にも含まれるムチンと協力して、角膜の細胞と水(涙)との
相性をよくする働き。
BUT短縮型ドライアイは、この膜型ムチンの働きが悪くなっていると
考えられるが、詳しい原因はよく分かっていない。
横井准教授は、「約80人の患者を調べたが、はっきりした傾向はなかった。
ある日、突然発症したケースも多い」
BUT短縮型ドライアイは、目の細胞に原因があると考えられ、
涙の異常に起因する従来のドライアイの治療法では、
なかなか症状が改善しない。
参天製薬は10年12月、水分と同時にムチンの分泌を増やす
働きのある新しいタイプの点眼薬を発売。
臨床試験では、涙液層の破壊時間が延びることが確認、
治療薬として期待。
国内のドライアイ人口は、800万~2200万人と推定。
まばたきの回数が減るパソコンでの作業の多い人や、
コンタクトレンズ使用者に多い。
コンタクトレンズメーカーのボシュロム・ジャパンの調べでは、
コンタクトレンズ使用者では、半数がドライアイの自覚症状がある。
横井准教授らの実験では、ソフトコンタクトレンズの使用者は、
秋に相当する気温15度、相対湿度20%で目の乾燥感を持ち始め、
冬を想定した気温5度、相対湿度10%の環境下では、
乾燥感が増すことが分かった。
湿度の低下よりも、温度の低下の影響の方が大きく、
風があると、さらに乾燥感が強まることも明らかに。
「コンタクトレンズを装着するだけで、涙の分布は変わる。
レンズの表面の涙は、薄く安定しないため乾きやすく、
黒目に隣接する白目の部分がレンズとこすれて乾燥感を生む」
「コンタクトレンズ使用者は、乾燥やエアコンの風などの環境に
一層気を使う方がよい。
室内に洗濯物を干すだけでもかなり違う」とアドバイス。
親水性の高いレンズ消毒液を選ぶのもよい。
特に若い女性は、アイメークがドライアイの原因になることもあり要注意。
涙の表面を覆う油分は、まぶたの縁にある「マイボーム腺」の
出口から分泌される。
化粧品や汚れがここにたまると、涙の油分が減って蒸発しやすくなる。
二重まぶたにするための化粧品は、使い方によっては、
まばたきがスムーズにできなくなり、目が乾きやすくなることがある。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/14/130953/
空気が乾燥する冬、目が充血しやすくなったり、
目に痛みを感じたりしている人は、ドライアイが原因かも。
最近、涙の量が少ないなどといった従来のドライアイの概念に
当てはまりにくい、新しいタイプの
「BUT(涙液層破壊時間)短縮型ドライアイ」が注目。
京都府立医科大付属病院を訪れたエステティシャンの女性は、
「2、3年前から、まぶしくて目を開けていられないときがある」、
横井則彦准教授(眼科学)に訴えた。
従来のドライアイは、涙の量が少ない「涙液減少型」か、
涙の表面の油分が不足して蒸発が早まる「蒸発亢進型」に大別。
この女性は、涙の量にも油分にも問題はなかったが、
まばたきをした瞬間から、角膜の表面の涙の層が安定せず、
すぐに乾いた部分(ドライスポット)が現れた。
横井准教授は、「BUT短縮型ドライアイ」と診断。
「黒目(角膜)の表面の水ぬれが悪く、涙をはじいてしまう。
いわば、目の肌荒れのような状態」
涙の量は十分あるため、ドライアイの診断基準にあるように、
目の表面にあまり傷ができず、ドライアイと診断されないことが多い。
角膜の表面には、「膜型ムチン」という分子が突起のように分布し、
涙の中にも含まれるムチンと協力して、角膜の細胞と水(涙)との
相性をよくする働き。
BUT短縮型ドライアイは、この膜型ムチンの働きが悪くなっていると
考えられるが、詳しい原因はよく分かっていない。
横井准教授は、「約80人の患者を調べたが、はっきりした傾向はなかった。
ある日、突然発症したケースも多い」
BUT短縮型ドライアイは、目の細胞に原因があると考えられ、
涙の異常に起因する従来のドライアイの治療法では、
なかなか症状が改善しない。
参天製薬は10年12月、水分と同時にムチンの分泌を増やす
働きのある新しいタイプの点眼薬を発売。
臨床試験では、涙液層の破壊時間が延びることが確認、
治療薬として期待。
国内のドライアイ人口は、800万~2200万人と推定。
まばたきの回数が減るパソコンでの作業の多い人や、
コンタクトレンズ使用者に多い。
コンタクトレンズメーカーのボシュロム・ジャパンの調べでは、
コンタクトレンズ使用者では、半数がドライアイの自覚症状がある。
横井准教授らの実験では、ソフトコンタクトレンズの使用者は、
秋に相当する気温15度、相対湿度20%で目の乾燥感を持ち始め、
冬を想定した気温5度、相対湿度10%の環境下では、
乾燥感が増すことが分かった。
湿度の低下よりも、温度の低下の影響の方が大きく、
風があると、さらに乾燥感が強まることも明らかに。
「コンタクトレンズを装着するだけで、涙の分布は変わる。
レンズの表面の涙は、薄く安定しないため乾きやすく、
黒目に隣接する白目の部分がレンズとこすれて乾燥感を生む」
「コンタクトレンズ使用者は、乾燥やエアコンの風などの環境に
一層気を使う方がよい。
室内に洗濯物を干すだけでもかなり違う」とアドバイス。
親水性の高いレンズ消毒液を選ぶのもよい。
特に若い女性は、アイメークがドライアイの原因になることもあり要注意。
涙の表面を覆う油分は、まぶたの縁にある「マイボーム腺」の
出口から分泌される。
化粧品や汚れがここにたまると、涙の油分が減って蒸発しやすくなる。
二重まぶたにするための化粧品は、使い方によっては、
まばたきがスムーズにできなくなり、目が乾きやすくなることがある。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/14/130953/
2011年1月16日日曜日
お口ポカン要注意 フィルター・加湿機能持つ鼻、病気や虫歯の恐れ
(2011年1月9日 毎日新聞社)
電車の中などで、口を開きっ放しにしている子どもを見かける。
人間は、一般的に鼻で呼吸する。
口呼吸が癖になると、細菌などを取り込みやすくなり、
病気にかかるリスクが増え、歯の成長にも影響。
インフルエンザや花粉が気になる季節に、
子どもの「お口ポカン」問題を考えてみた。
神戸市内の主婦(35)は、4歳になる長男が、生後半年ごろから
日常的に口を開いていることが気がかり。
「たまに閉じることもあるが、寝ている時も含めていつも開いている」、
歯がいつもむき出しになっているので、転倒した際に前歯が欠けたことも。
口を開ける癖がない長女(7)に比べ、虫歯になりやすく、すでに5本治療。
「口を閉じようね」と促しても、すぐに忘れて口を開けてしまう。
「健康にも悪そうなので、すぐに直したい。どうすればいいのか」と
医師を受診したことも。
「恒常的に口呼吸してるなら、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けてほしい」。
千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)。
口呼吸が長引けば、「のどの炎症や睡眠障害など、
さまざまな病気を招く恐れがある」
鼻の内部には、左右それぞれに複雑な形をした三つの突起があり、
表面の粘膜や繊毛で、ホコリや微生物などの異物を取り除く働きがある。
のどを痛めないように、外部の乾いた空気に湿り気を与え、
温めてから体内に取り込む加湿や加熱の機能もある。
鼻は、においを感じる機能だけでなく、体内に異物が入るのを防ぐ
フィルターの役目を果たしている。
岡本教授によると、子どもが口呼吸する原因として、
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりのほか、鼻の奥にある
「アデノイド」の肥大などが考えられる。
アデノイドは、微生物に対する免疫力を作るリンパ組織の一種、
通常は3~4歳をピークに一時的に大きくなるが、その後は小さくなる。
炎症などによって腫れてしまうと、鼻呼吸をしづらくなり、
いつの間にか口呼吸が習慣化する場合。
乳児用品メーカー「ピジョン」などが01~02年、
2~23歳までの約1000人を対象に普段、口が閉じているかどうかを
聞いたところ、「閉じる習慣がついている」と答えた保護者や本人は39%。
「いつも開いている」と答えた人は22%、
3歳以下では29%と最も多く、13歳以上でも15%。
口呼吸は、歯の成長にも影響を与える。
ひかり歯科医院の三谷寧院長(歯学博士)は、
「口を開けたままにしておくと、唇や舌の位置が定まらず、
歯並びも悪くなる恐れがある」
歯並びをよくするため、
(1)唇を結ぶ、
(2)上下の歯を軽く閉じている、
(3)舌は上あご部分に触れる位置に落ち着いている――
の三つの習慣を身につけることが重要。
三谷院長は、「歯やあごなど、顔面の成長が著しい3歳ぐらいまでに、
習慣付けてほしい」
口呼吸は、虫歯になるリスクも高い。
三谷院長は、「口を開いたままだと、口内が乾いて、
唾液の循環が悪くなり、歯を溶かす細菌が増えやすくなる」
歯を守るためにも、早めに鼻呼吸を定着させたい。
◇口笛、鼻歌で改善
茨城県日立保健所は、独自の「お口ポカン度チェック」で、
保護者に指導を行っている。
一つでも思い当たれば、口呼吸が習慣になっている可能性が。
口を閉じる癖をつけさせる遊びなども勧めている。
同保健所の担当者は、「口笛など遊びを通して、
鼻呼吸を習慣化させてほしい」
………………………………………………………………
◆「お口ポカン度チェック」
・テレビを見ている時などに口が開いていないか?
・のどがよく渇かないか?
・口から歯や舌が見えていないか?
・食事の際、くちゃくちゃ音をさせていないか?
・歯ぐきが赤く腫れていないか?
◆口を閉じる習慣を身につけるには
・口の中に空気を入れほおを膨らませる
・にらめっこ
・ハミング(鼻歌)
・口笛を練習する
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130708/
電車の中などで、口を開きっ放しにしている子どもを見かける。
人間は、一般的に鼻で呼吸する。
口呼吸が癖になると、細菌などを取り込みやすくなり、
病気にかかるリスクが増え、歯の成長にも影響。
インフルエンザや花粉が気になる季節に、
子どもの「お口ポカン」問題を考えてみた。
神戸市内の主婦(35)は、4歳になる長男が、生後半年ごろから
日常的に口を開いていることが気がかり。
「たまに閉じることもあるが、寝ている時も含めていつも開いている」、
歯がいつもむき出しになっているので、転倒した際に前歯が欠けたことも。
口を開ける癖がない長女(7)に比べ、虫歯になりやすく、すでに5本治療。
「口を閉じようね」と促しても、すぐに忘れて口を開けてしまう。
「健康にも悪そうなので、すぐに直したい。どうすればいいのか」と
医師を受診したことも。
「恒常的に口呼吸してるなら、早めに耳鼻咽喉科の診察を受けてほしい」。
千葉大大学院医学研究院の岡本美孝教授(耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学)。
口呼吸が長引けば、「のどの炎症や睡眠障害など、
さまざまな病気を招く恐れがある」
鼻の内部には、左右それぞれに複雑な形をした三つの突起があり、
表面の粘膜や繊毛で、ホコリや微生物などの異物を取り除く働きがある。
のどを痛めないように、外部の乾いた空気に湿り気を与え、
温めてから体内に取り込む加湿や加熱の機能もある。
鼻は、においを感じる機能だけでなく、体内に異物が入るのを防ぐ
フィルターの役目を果たしている。
岡本教授によると、子どもが口呼吸する原因として、
アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりのほか、鼻の奥にある
「アデノイド」の肥大などが考えられる。
アデノイドは、微生物に対する免疫力を作るリンパ組織の一種、
通常は3~4歳をピークに一時的に大きくなるが、その後は小さくなる。
炎症などによって腫れてしまうと、鼻呼吸をしづらくなり、
いつの間にか口呼吸が習慣化する場合。
乳児用品メーカー「ピジョン」などが01~02年、
2~23歳までの約1000人を対象に普段、口が閉じているかどうかを
聞いたところ、「閉じる習慣がついている」と答えた保護者や本人は39%。
「いつも開いている」と答えた人は22%、
3歳以下では29%と最も多く、13歳以上でも15%。
口呼吸は、歯の成長にも影響を与える。
ひかり歯科医院の三谷寧院長(歯学博士)は、
「口を開けたままにしておくと、唇や舌の位置が定まらず、
歯並びも悪くなる恐れがある」
歯並びをよくするため、
(1)唇を結ぶ、
(2)上下の歯を軽く閉じている、
(3)舌は上あご部分に触れる位置に落ち着いている――
の三つの習慣を身につけることが重要。
三谷院長は、「歯やあごなど、顔面の成長が著しい3歳ぐらいまでに、
習慣付けてほしい」
口呼吸は、虫歯になるリスクも高い。
三谷院長は、「口を開いたままだと、口内が乾いて、
唾液の循環が悪くなり、歯を溶かす細菌が増えやすくなる」
歯を守るためにも、早めに鼻呼吸を定着させたい。
◇口笛、鼻歌で改善
茨城県日立保健所は、独自の「お口ポカン度チェック」で、
保護者に指導を行っている。
一つでも思い当たれば、口呼吸が習慣になっている可能性が。
口を閉じる癖をつけさせる遊びなども勧めている。
同保健所の担当者は、「口笛など遊びを通して、
鼻呼吸を習慣化させてほしい」
………………………………………………………………
◆「お口ポカン度チェック」
・テレビを見ている時などに口が開いていないか?
・のどがよく渇かないか?
・口から歯や舌が見えていないか?
・食事の際、くちゃくちゃ音をさせていないか?
・歯ぐきが赤く腫れていないか?
◆口を閉じる習慣を身につけるには
・口の中に空気を入れほおを膨らませる
・にらめっこ
・ハミング(鼻歌)
・口笛を練習する
http://www.m3.com/news/GENERAL/2011/1/11/130708/
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