(読売 6月1日)
「好きな子が落とし穴の近くを歩いているのが見えたら、
『危ないよ!』って叫ぶよね。
お父さんやお母さんが、みんなに勉強しいよ!って言うのも同じ。
言われたら、『ありがとう』って言おう」
塾長の本田篤嗣さん(36)が話すと、中学生たちに笑顔が広がった。
山口県内に5教室を展開する「みかみ塾本田屋」の
名物「ココロ・トーク」。
小1から高3まで約300人の教え子に、勉強に向かう心構えを、
授業の合間に照れることなく、繰り返し説く。
「勉強の成績は、才能みたいなもので決まっちょると思ったら大間違い。
やるから上手になる。上手になると思ってやろうや!」
大学卒業後、音楽活動のかたわらテレビ局勤務なども経験し、
CDデビューも果たしたが、事務所が倒産。
高校時代から家庭教師をした経験を生かして塾講師になり、
その後、独立して6年。
同じ勉強をしていても、成果が出る子と出ない子がいる。なぜか?
心理学や思考法など本を乱読し、「勉強に向かう心の問題ではないか?」
との思いに至り、生徒に語りかけるようにブログに書いた。
「勉強にやる気はいらない。言い訳になるくらいなら行動しよう」、
「君の歩く道を決めるのは君の心」
2007年から、ブログをもとに書いた中・高校生向けの小冊子を次々に刊行。
自ら作詞作曲、演奏した「受験生応援ソング」も録音。
全国の希望者に、自費で配布した小冊子やCDは計3000冊、7000枚に。
09年、初めての著書『君の成績をぐんぐん伸ばす7つの心のつくり方』は、
静かなベストセラーに。
ここ数年、社会の変化を痛感。
学校の授業を、全然聞かない子は珍しくない。
受験も「入れるところでいい」。
「生涯学び続けることができる人を育てることが、
地域や日本の未来を作る」が持論だが、なぜ勉強が大切なのか、
正面から子どもに語る大人が少なくなったことに、強い危機感を覚える。
競争であおったり強制したりする指導では、今の子どもたちに伝わらない。
「コミュニケーション授業」と称した少人数のクラスで、
一対一の対話を大事にする。
夜10時半。
授業が終わっても、生徒たちは、「少し勉強していこうかな」となかなか帰らない。
心に届く言葉が、小さな意欲の火を燃え上がらせる。
◇成績を上げる「7つの心」(本田さんの著書を参考に作成)
〈1〉目標(目的地をイメージする)
〈2〉できる!(自分自身を信じる)
〈3〉忍耐(目の前の苦痛は未来の喜び)
〈4〉継続(小さなことを積み重ねる)
〈5〉言葉(使う言葉が未来を作る)
〈6〉感謝(勉強できる環境のありがたさ)
〈7〉信念(強い思いは才能を超える)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110601-OYT8T00226.htm
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