(読売 10月15日)
小中学校と高専の連携が始まった。
「3・5、0・1……」
中学生が、細かい数字をパソコンに打ち込んでいた。
パソコンに、タイヤ付きの小さなロボットをつなぎ、
タイヤがプログラム通り動くように入力していた。
ロボットを廊下に持っていって走らせる。
箱の周りを半周させるのが課題だが、ロボットの動きを見た生徒は
「0・2秒長かったか」とつぶやき、再びパソコンの前に座った。
東京都品川区八潮地区の区立小中学校5校を統合して、
4月にできた小中一貫校「八潮学園」の7年生(中学1年生)にできた
教科「ものづくり」の時間。「技術・家庭」とは別に、週1時間設けられた。
八潮地区の近くに、東京都立産業技術高等専門学校品川キャンパスがある。
これまでも小中学校と交流はあったが、八潮学園ができるのを機に、
都教委と品川区教委が、「ものづくり教育モデル」プログラム開発・実施の
基本協定を締結した。
7年生が、4月からロボットの組み立てや、紙飛行機製作に取り組んできたほか、
中学3年にあたる9年生には、毎週金曜に高専に出向き、
高専の設備を使って授業を受ける選択科目もできた。
ロボット製作を担当する高専の黒木啓之准教授(40)は、
「単純にこれをやれという授業では、ロボットで遊んで楽しいだけ。
ヒントを与えながら、何でそうなるのかを考えさせることを意識している」
「普通は、授業でロボットなんて使えないので、新鮮。
何度もやり直すのも悔しいけど、楽しんでいる」と7年生の相原陵介君(13)。
学園では小学生でも、ものづくり教育に力を入れる。
1~4年は、図工や理科の時間のうち年間5~10時間程度、
ものづくりを意識した時間とし、うち半分は高専の教員が授業を担当。
7日には、2年生が風車などを作った。
高専の教員には、「風をうまく取り込むために、どう切り込みを入れればいいか」
といった、理論的な指導も期待。
5、6年生にも週1時間、特設教科を作り、うち10時間程度は
高専の教員が指導することになった。
細かい授業の中身は現在、両者で話し合いながら詰めている段階。
9年間を通じて、ものづくりを重視したカリキュラムについて、
「小学校の教諭だけでは、ものづくりと言っても
限られたものしかできないので助かっている」と西島勇校長(53)。
都教委のものづくり教育推進検討委員会が昨年8月にまとめた報告書は、
ものづくり人材開拓のため、
小中学校と工業高校、高専の連携強化も打ち出した。
八潮学園の取り組みは、その先駆け。
学校選択制をとる品川区で、ものづくりを重視する方針にひかれて、
他の地区から入学する生徒も出始めた。
これまでのつながりもあって、学園から高専への受験生も増えている。
滑り出しは順調と言えそうだ。
◆品川区の小中一貫教育
9年間の義務教育を4年・3年・2年に分けたカリキュラムを作り、
全区立小中学校で2006年から導入。
一貫校の形をとるのは、八潮学園、日野学園、伊藤学園の3校。
13年までにさらに3校新設する計画。
日野学園では英語教育を重視するなど、区教委の方針に沿って、
各校が特色を出そうとしている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20081015-OYT8T00260.htm
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