2009年12月25日金曜日

逆風の中で:第7部・地域プロ/4 観客数1位で破綻

(毎日 12月18日)

「ディーフェンス!」
神奈川県大和市の体育館に、市民約1100人の歓声。
バスケットボールのbjリーグ・東京アパッチの約2カ月ぶりとなる
ホーム試合は、東京から電車で約1時間離れた
人口約22万人の地方都市開催。
観客の一人、桜井雅樹さん(25)は、
「近くでプロのバスケが見られるなんて」と歓迎したが、
東京初の都外開催となったこの試合は、運営を巡るドタバタの表れ。

観客数トップなのに破綻--。
bjリーグ1位の観客動員数を誇っていた東京の運営会社が、
今季開幕直前の8月、経営の見通しが立たなくなった。
リーグ主導で新たな引き受け先に決まったのは、
スポーツ界では無名の医療器具販売「エクスター」。
2~3年後の参入を視野に入れていたため。

社内では、「時期尚早」との声もあったが、
リーグ側の熱意にほだされ、受諾。
運営会社「エクスターエンターテイメント」を設立し、
走りながらの運営を始めたが、問題はすぐに噴出。
前運営会社は、今年11月の試合会場を押さえておらず、
開催規模に合う体育館は既に埋まっていた。
リーグに、11月のホーム試合を12月にずらしてもらい、
何とか大和市で会場を確保。
会場のDJが、「アパッチが大和市初上陸!」と叫んだ
舞台裏には、こんな引き継ぎ不足があった。

破綻の謎解きも始まった。
昨季のメーン会場・有明コロシアムは、1万人収容。
昨季の観客数はリーグ最多とはいえ、1試合平均3244人
(リーグ平均2246人)で、会場にはかなりの無駄。
そのうち1000~1500人は、「無料券」を受け取った客で、
収入に結びつかない。
実態に合わせた会場に変更し、
代々木第2体育館(約3000人収容)での
開幕4試合の平均観客数は、1500人程度。

「まだ大きい」と、さらに小さな会場への変更を検討。
公的施設で試合を行う場合、営利目的と見なされ、
割高な料金を徴収されるが、来年4月に試合を行う
墨田区総合体育館(2000人収容)とは交渉の結果、
練習開始から試合終了までの約4時間半以外の会場設営などに
かかる時間は、割安な一般料金としてもらうことに成功。

今季の予算は、約2億円。
チケットが完売できたとしても、収入は1億5000万円、
スポンサー獲得は急務。
運営会社の鴨志田聡さん(34)は、「企業の予算年度が
替わった後の来季が正念場。
それまで、身の丈に合った経営を続けたい」
「観客動員リーグトップ」の美名を捨て、チーム存続を第一に模索。

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2009/12/18/20091218ddm035050170000c.html

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