2010年5月8日土曜日

インサイド:次代の針路 第1部 多様化するU18の現場/2

(毎日 4月21日)

ラグビーの全国高校選抜大会、初めて合同チームが出場。
部員不足でチームを組めない岡山県西部の倉敷工、鴨方、
興譲館、倉敷南の4校による「岡山合同」。
県予選で準優勝した実績が認められ、大会実行委員会に推薦。

昨年12月、チームを組んでから週1回の合同練習。
興譲館から1人で加わった佐々木達也(2年)は、
合同練習以外は自校のサッカー部で体を鍛え、
同じく1人で倉敷南からメンバー入りした川合一也(3年)は、
走り込みを積んできた。
コミュニケーションを深めるため、ミーティングも増やし、
一つのチームになった。

全国の強豪に3戦全敗、予選リーグで姿を消したが、
鴨方の西本達郎(3年)は感慨深げ。
「全国大会は、テレビの中の世界だった。
この体験を、新入部員に伝えたい」

高校ラガーマンのあこがれである冬の全国高校大会、
「花園」への道はまだ開かれていない。
花園は、全国高校総体(インターハイ)の中の一競技と位置づけ、
主催する全国高校体育連盟は、「学校対抗が原則」、
学校統廃合が決まった場合を除く、
合同チームの参加を認めていない。
合同チームで県予選に出場できるが、勝ち進んでも
花園の舞台には立てない規定。

15人で戦うラグビーは、少子化の影響を大きく受けてきた。
花園予選の参加校数は、91年度の1490校をピークに減少が続き、
99年度には部員不足など、大会に参加できない学校が
過去最多の426校(参加は869校)。
00年度から、合同チームの予選出場を認めることに。

合同チームは増え続け、00年度の13チーム(32校で構成)に対し、
09年度は7倍の91チーム(280校で構成)。
不参加校も、107校にまで減少。
日本ラグビー協会の前田嘉昭・高校委員会担当理事は、
「全国を目指す夢、可能性は平等にあるべき」

ソフトボールも、部員不足に悩む状況は同じ。
05年度から、合同チームの高校選抜大会出場を認めている。
日本ソフトボール協会の鈴木征・広報委員長は、
「規律やコミュニケーションの大切さなど、
チーム競技だから学べるものもある。
人数不足で、大会に出られないような悲しい思いはさせたくない」

高校スポーツは、教育的視点に立つ学校部活動を基礎に発展。
全国高体連が、学校単位での参加を原則にしているのも、
合同チームを認めれば、勝利至上主義的発想から
強化目的のチームが編成されかねないとの懸念。
日本高校野球連盟も、公式戦参加は統廃合のケースに限っている。

部員不足に陥る高校が増す今、大会に出場する
権利の保障がより重要課題。
文部科学省も、スポーツ振興基本計画で、
「複数校合同の運動部活動の円滑な運営を促進することや、
その全国大会への参加の道を広げていくことなど、
環境の整備が必要」

全国高体連の梅村和伸専務理事は、
「関係者の間では、『高校総体は、学校対抗だからこそ魅力がある』
という声が多い」、
合同チームだけでなく、地域クラブが増えていく状況も想定、
「複数校の生徒が加入するクラブチームの参加を認めようという
動きが出てくる可能性もある」

http://mainichi.jp/enta/sports/general/archive/news/2010/04/21/20100421ddm035050054000c.html

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