(読売 9月8日)
終わったばかりのテストの答案用紙が、
次々にパソコンに取り込まれていく。
中学進学塾「日能研」の十日市場校。
スキャナーを前に、教室スタッフがしていたのは、
06年導入した「DI(デジタルイメージ)学習支援システム」の入力作業。
スキャンした答案用紙の原本は、その場で子どもたちに返され、
テストに向き合った気持ちが残っているうちに、
ふり返りをすることができる。
デジタル化された答案は、採点スタッフに転送され、
早ければテストの翌日に、結果が専用サイトにアップ。
塾生は、自宅のパソコンで、コメント入りの採点結果のほか、
他の塾生の模範解答も見ることができる。
日能研は、中学受験専門塾として全国に拠点を構える唯一の塾で、
教室数は135に上る。
従来にない「DI」の新技術は、日能研が進める教育の独自性を
より鮮明にするためのツール。
「塾生の弱点や解答方法の癖などを詳細に把握でき、
的確な指導をするのに役立っている」(日能研広報部)。
教育理念に掲げるのが、「高等教育へつながる学び」。
高木幹夫代表(56)は、「志望校合格のための支援はもちろん大切だが、
中学進学後にさらに意欲を持って自ら学び続けることのできる、
伸ばす教育が根底にある。
志望校に合格したものの、中学段階で燃え尽きてしまっては
元も子もない」
弁当を2個持参して、塾に通う――。
日能研は、かつては授業時間が長いことで知られていた。
今は、他の中学進学塾と比べてもさほど変わらない。
小学6年生は、3時間半の授業が週に3日から4日、
日曜日に約3時間のテストが加わるが、もっと長い大手塾もある。
「受験勉強は、教室で行うことを基本に、学習指導は全般的に
塾に任せてもらう」と、日能研の広報。
宿題は出さない。
復習用の家庭学習用テキストは渡すが、
自主的に取り組んでもらう程度。
この結果、子どもたちは家で長々と勉強しなくてもいい。
「長い短いで、良しあしをはかれるものではない。
指導方針に沿って全体のシステムを考え、
必要な時間を確保してプログラムを組む。
それを実現するための仕掛けが、IT」と同広報。
ITを使って苦手分野を把握し、適切な教え方を見つけ出す。
受験指導の効率化が、加速度的に進んでいる。
◆メモ
近年、大手塾を中心に、ITを活用した指導が活発化。
インターネットやDVDを使い、自宅で授業を引き出せる
ビデオ・オン・デマンド(VOD)方式の映像授業をはじめ、
ネットを利用したテレビ電話を通じて、離れた教室にいる講師と
やりとりするシステムなども。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100908-OYT8T00376.htm
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