(読売 12月2日)
「ほいっと、ほいっと」のかけ声とともに、
浴衣や法被姿の中学生たちが歩く。
観光名所で知られる京都・嵐山のふもとにある中ノ島公園。
京都市立嵯峨中学校の生徒約250人が、恒例のパレードを行った。
約2・5kmを3時間近くかけて歩き、太鼓の演奏やダンスを披露したり、
10年前の第1回から引き継がれる手作りのみこしを担ぎ出したり。
5月に行われる伝統の「嵯峨祭」に似ているが、
こちらは生徒たちがメッセージを掲げている。
実はこのパレード、同中の総合学習の発表の場の一つ。
総合学習では、3年の時、「嵯峨嵐山に人を呼ぼう」をテーマに、
観光振興や環境保全に1年間かけて取り組んでいる。
パレードで、生徒が手にするのぼりに書かれた
「古都の風 京の誇り 今 返り咲く」、
「京の都 我らが誇る 嵯峨の町」などの標語は、各組ごとに考えたもの。
沿道の人に再生紙で作ったはがきを配ったり、沿道のゴミを拾ったりと、
様々な方法で、「観光」と「環境」を訴えた。
多くの観光客がカメラを向けるパレードでは、生徒一人ひとりが主役。
「校外でのPRは、生徒の自信につながる」と宮崎幹也校長(58)。
3年の仲北大朗君(15)は、
「僕たちの活動が、観光の一端になったらうれしい」
パレード以外の校外活動も好評。
環境保全では、大堰川にかかる渡月橋の近くで、
外来種の水草オオカナダモの除去やゴミ拾いを行う。
観光振興では、地元の商店街と協力し、毎年数量限定で
土産物の新商品を企画。
昨年度は、舞妓さんの顔を絵柄にしたポーチ「舞ポーチ」(1000円)
300個を完売、生徒たちは確かな手応えを感じた。
約10年前の同中は、校内暴力などで荒れていたが、
地域と連携した総合学習で改善した。
みこしを指導してくれる嵯峨祭奉賛会のメンバーなどとの交流が、
地域への誇りを高めるなど、生徒の意識変化をもたらした。
「人のためになっている」という「自己有用感」は、
学習面でも効果をもたらし、全国学力テストでは平均点を上回る。
今では、家庭で学校の出来事について話す生徒も多く、
アンケートでは全国平均57・8%に対し、63・1%、
特にパレード後の11月は65・1%に上る。
観光地を盛り上げる取り組みが、確かな学びにつながっている。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101202-OYT8T00167.htm
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