(読売 1月13日)
大分県竹田市立都野中学校の朝は、20分間の自習から始まる。
教師のいない教室で、3年生が黙々と取り組んでいたのは、
「新聞コラムを読もう」と書かれたプリント。
地球温暖化問題について記した読売新聞1面コラム「編集手帳」を読み、
感想や反論を110字にまとめる。
「1、2年生は年間5000ページ以上を目標に、朝の読書をします。
3年からは、入試に必要な読み取る力をつけるため、
新聞コラムの学習をします」
担任の渡辺早苗教諭(47)。
渡辺教諭が、朝の自習に新聞コラムを取り入れたのは、
前任校にいた2002年度。
それまではプリント学習をしていたが、読解力の向上には
読書がより有効だと考えた。
「思うように力はつかず、焦りを感じた生徒から、
『読書でなく、プリント学習をさせてほしい』と訴えられてしまった」
朝読書で、年間2万5000ページを読む子もいたが、
分野を分析すると小説に偏っていた。
年度初めの調査では、説明的文章の読解が苦手と答える
生徒が8割に上っていた。
「日常の言語活動でも、子どもたちの語彙不足や、
適切な言葉の使い方が苦手なことに気づいていた。
正確に速く読み取る力を育成するのに、最適な題材を探し続けた結果、
毎日違った内容で、長さも適当な新聞コラムならば、
辞書を引いて語彙も増やせるし、感想も書きやすいと思った」と渡辺教諭。
プリントには、必ず教師がコメントを書いて生徒に返す。
生徒たちは、返されたプリントをファイルし、1、2年生にも
読んでもらえるよう廊下に置く。
単元の終わりに、自分の課題を見つけさせ、
調べたことを620字程度のコラムにまとめる授業も行った。
鷲司仁君(15)は、「何度も読み返さなくても、
内容を理解できるようになってきた。
書きたいことを、決められた文字数にうまくまとめて、
書く力もついてきている」と手応えを語る。
「『新聞コラムの自習が一番しんどかったけれども、
あの時の努力が、大学入試にも役立っています』。
卒業生から、そんな言葉をかけられることもある」と渡辺教諭。
読解力をつけさせたい一心で始めた取り組みは、
親子の会話を増やし、時事問題への関心を高めることにもつながっている。
◆都野中の「新聞コラムを読もう」
〈1〉まずコラムを読む、
〈2〉印象に残ったところに波線を引く、
〈3〉筆者が最も伝えたい主題に赤の2重線を引く、
〈4〉タイトル(題名)をつける、
〈5〉難解漢字の読みを書く、
〈6〉難読語句を辞書で調べる、
〈7〉感想や意見、反論を110字程度でつづる、
〈8〉語句の文法を答える
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110113-OYT8T00189.htm
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