(読売 9月1日)
フランスの核廃棄物に関する展示館、
デンマークの風力発電用の風車、
フィンランドの学習プログラムを紹介したサイエンスセンター……。
スクリーンに映し出された写真は、エネルギーや環境教育、
先進的な理科教育に関連する施設。
京都市で開かれた、全国中学校理科教育研究会。
集まった理科教師約800人を前に、
「理科の達人先生」の海外視察報告が行われた。
写真を見せながら約20分講演したのは、達人先生の一人で、
東京都練馬区立豊玉中学校の高畠勇二校長(57)。
「エネルギー問題は、国のあり方と深く結びついている。
日本は人口、気候、経済活動を踏まえて、
エネルギーを考える必要がある」と静かに訴えた。
講演後、会場の一角に張られた視察の様子をまとめた
ポスターの前で、来場者らに説明。
海外視察は、新学習指導要領に盛り込まれたエネルギーや
理科教育の先進事例を学ぶことが目的で、
7月下旬の1週間で3か国を回った。
視察前、日本の各国大使館で詳しい説明を受けるなど
予習して乗り込んだが、視察は予想以上の収穫。
訪問地の一つ、デンマークのロラン島では、風力発電施設を見学。
風車の近くに燃料電池施設があり、太陽電池も併設。
高畠校長は、「地域で使う電力消費量に見合った規模が印象的。
火力発電の燃料にわらを使うところもあり、
国に合ったエネルギーとは何か、考えさせられた」
振り返って、日本はどうだろうと考えてみると、
「自分自身、日本らしさがよく分からなかった」と苦笑い。
エネルギー問題は、社会の色々な問題と複雑に絡んでいるが、
「事実をきちんと伝える。
それを適切に判断できる能力を育てることが必要。
学校教育、特に理科でできることを実践していきたい」
今後、5人の達人先生は、機会あるごとに視察報告を行うほか、
中学3年間で、何をどのように教えるのか、
エネルギー学習プランを提案する。
学習プランを使った研究授業も重ね、現場で使えるようにしたい。
海外事例を参考に、日本らしいエネルギー教育を探る
動きが始まっている。
◆理科の達人先生
理科教育に優れた業績を上げた中学校教師を表彰するもの。
NPO法人ネットジャーナリスト協会が、今年初めて実施。
海外視察は表彰の副賞。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20100901-OYT8T00199.htm
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