(読売 11月10日)
「最近、休みが続いていたようだけど大丈夫かな?」
千葉県印西市立小倉台小学校。
黒須美和教諭(24)は、5年の男子児童(11)に声をかけた。
黒須教諭は、男子児童の担任ではなく、
普段、話しかけるきっかけは多くない。
校務支援システムで、学年全体の出欠状況をチェックし、
この児童が4日連続で欠席していたことには気づいていた。
「先生、よく見ていてくれるのですね」と、うれしそうだった。
校務支援システムとは、学籍や出欠、成績情報の管理などを、
パソコンを使ってデータベース化する仕組み。
同市では、昨年度の国の補正予算で、校務用パソコンを
全教職員(約600人)に配備したのに伴い、
4月から同小など市内2校に市販ソフトを導入。
9月以降、全小中学校(29校)に拡大。
同市教育センターの松本博幸・指導主事(46)は、
「教員の校務の負担を減らし、子どもたちと向き合う時間を増やすため」
システム導入前、出欠は紙の出欠簿に手書きで記入し、集計も手作業。
通知表を作成する際、評価に関するデータや委員会活動などの所見、
出欠などの記録を見て、いちいち打ち直さなければならなかった。
「以前は、自分のクラスのことだけで精いっぱいだった。
システム導入により、授業以外の雑務をする時間が飛躍的に短縮でき、
児童一人ひとりへの『気づき』が増えた」と、黒須教諭。
文部科学省が2006年、40年ぶりに実施した勤務実態調査によると、
公立小中学校の教員の1日当たりの平均勤務時間11時間(7月分)のうち、
4割近くの約4時間を、成績処理や報告書作成など校務に費やし、
約2時間残業していた。
同省の別の調査(06年度)では、校務への情報通信技術(ICT)導入が
必要だとする学校は83%、教育委員会は95%。
何らかのシステムを導入した自治体は、256(14%)にとどまる。
玉川大学の堀田龍也教授(46)は、
「子どもと向き合う時間が増え、データの蓄積と共有が進めば、
きめ細かい指導が可能となり、学力向上につながる。
教員1人1台の校務用パソコンが、ほぼ実現した今こそ、
校務支援システムを導入すべきだ」
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20101110-OYT8T00587.htm
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