(読売 5月19日)
「分からない、と子どもが素直に言える学級づくり。
これは大事な課題ですね」
東京・荒川区立尾久第六小学校。
教師たちが科目ごとにチームに分かれ、手慣れた様子で議論。
この日は、年度最後の研究会。
30分ほどで次年度の目標をまとめると、
各チームの代表が模造紙を前に発表を始めた。
同小が、ワークショップ形式の校内研修会を始めたのは5年前。
教員が、50代と20代に偏った年齢構成で、教員同士の
コミュニケーション不足を懸念した長谷川秀紀校長(62)が、
南部昌敏・上越教育大教授(63)に協力を求めたのがきっかけ。
「良い授業は、先生自身が自信を持って授業ができることが第一」と、
南部教授が提案したのは、「チーム」による研修。
3、4人から7、8人のチームで、授業の計画づくりからチームで取り組む。
研究授業は、チームの代表として交代で行う。
教科を問わず、校長以下全員で同じ授業を見る。
この結果、反省点が個人の批判に終わらず、
一緒に課題に取り組む姿勢が共有できる。
鶴田裕子前副校長(53)は、「良い点に注目していくので、
最初は『ぬるい』と感じた」
ベテランも若手も、対等に活発な意見を交わす姿を見て、考えが変わった。
「年齢や経験差を超えた絆が生まれたことで、逆に問題点についても
深く議論できる関係ができた」
「受け入れられている」という安心感が意欲を生むのは、子どもも大人も同じ。
そのことに気付いた先生たちは、子どもたちの様子に、
これまで以上に目を配り、ほめ上手になった。
年10回以上学校に通うという南部教授は、「先生たちも含め、
学校全体で成長を支え合う雰囲気が生まれている」
職員室で、「ちょっと次の授業見に来て」と気軽に声を掛け合う。
この協力体制が生かされた良い例が、昨年4月、同区で全教室に
導入された電子黒板の活用。
ハイテク装置が得意でない先生ももちろんいたが、
「実物投影機」でお手本を書きながら、ノートの使い方を指導したり、
手元で実験を見せたり。
アイデアを共有し、都内で有数の先進校に急成長した。
「同僚に助けられた。今は電子黒板なしには授業ができないほど」と、
昨年度6年生担任の野沢一代教諭(43)。
職員室の風通しのよさが、活気を呼び込んでいる。
◆尾久第六小の校内教員研修
〈1〉教科部会で授業づくり(当初は低・中・高の学年部会で)
〈2〉部会の代表者が授業。授業を見た人全員が教師、
子どもそれぞれに「良い点」、「改善点」について付せん紙に意見を書く
〈3〉授業の検討会は、意見を模造紙上で整理しながら議論する
ワークショップ形式。結果を図にして発表、意見交換する。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110519-OYT8T00268.htm
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