(読売 5月12日)
「今日は、最後のホワイトボード・ミーティング。
ファシリテーター(進行役)は、メンバーが力を発揮できるように支えてね。
この経験は今後、どんなチームに所属しても使えるよ」
埼玉県狭山市立堀兼小学校の4年2組。
担任の岩瀬直樹教諭(40)が呼びかけた。
「子どもが主役の授業」を実践するこのクラスでは、ホワイトボードが大活躍。
この日の学級活動は、「お悩み相談室」。
一人の悩みをグループで話し合い、交代で進行役を務め、
みんなの意見をボードにひたすら書く。
どんなつぶやきも、否定しないのがルール。
出された意見を線で囲んで整理、解決策につなげる。
この方法を始めて約3か月、話を引き出す質問も、
あいづちも板についてきた。
ある子は、「ケンカのとき、ホワイトボードで話を聞くと解決が早いんだ」
「勉強時間が短い」との悩みに、
「じゃあ一緒にチェックリストを作ろう」と、支援策も生まれた。
岩瀬教諭は近年、異年齢の遊び集団が少ないためか、
人とかかわるのが苦手な子が多いのを感じていた。
自ら学ぶ姿勢を育てるには、教師だけが努力しても効果が薄い。
企業で注目される会議法など、学校外の知恵も積極的に求め、
子ども同士の交流が生まれる参加型の授業に切り替えた。
1冊の本を分量を決めて読み、グループで話し合う「文学サークル」。
3学期は、約150ページある児童文学『テラビシアにかける橋』を読了。
疑問や感想を持ち寄り、約30分も話が盛り上がる。
読書が苦手な子も、長編を読み通す自信をつけた。
「作家の時間」と称した作文の時間は、自由な題材で書いた「作家」が、
「作家の椅子」に座って発表。
全員が読者になって、ファンレターを返す。
こうした日々の積み重ねが、どの子も安心して
授業に参加できる雰囲気を作った。
子どもたちが毎日書く「振り返りジャーナル」(日記)には、
「きょうの授業は、みんなが意見を言えて良かった」など、
クラス全体を見渡した記述が多い。
「意欲というのは、他の人と一緒に取り組んだ時に生まれることを、
実感します」と岩瀬教諭。
3月末でクラスは解散した。
ある子は、最後の日記にこう書いた。
「5年になっても、(中略)大人になっても、クラスの友達が
一緒じゃなくても、自分の力でチーム、クラスをつくる。
イワセン(岩瀬先生)、いままでありがとう!」
◆ホワイトボード・ミーティング
「人まちファシリテーション工房」(大阪市)代表のちょんせいこさんが提唱。
ファシリテーターを中心に意見を出し合う「発散」、
課題を見つける「収束」、解決策につなげる「活用」の3段階に沿って、
黒、赤、青の色ペンを使い分け、議論の過程を可視化する。
合意形成や課題解決がしやすく、企業などで活用。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110512-OYT8T00226.htm
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