(読売 4月27日)
東日本大震災から3日後の3月14日。
岩手県岩手町立沼宮内中学校では、余震が続く中で卒業式が行われた。
卒業生の中に、不登校だった3年生の女子生徒の姿が。
女子生徒は約1年半ぶりに、保健室に寄らずに、
自ら自分のクラスに登校した。
地震で断水して食事をとれなかったせいか、式の最中に貧血を起こしたが、
「最後まで出る」と退席せず、保護者らに見守られる中、同級生と共に卒業。
「本当によかった」。
古井美恵子・養護教諭(51)は涙をぬぐった。
女子生徒は、2年生になってから不登校に。
冬になると時々、保健室に来るようになったが、
姿を見せるのは午後になってから。
来ない時は、担任が保護者に連絡し、「待ってるよ」というサインを伝えた。
プレッシャーを与え過ぎないよう、心がけた。
クラスに入れない生徒が学習できる部屋もあるが、
本人の希望で保健室での学習も認められている。
「人の出入りがあり、来室した先生や生徒とちょっとした会話を
交わすことができる。
それは、本人にとっては大きな一歩」と、古井教諭。
これまでに、不登校、保健室登校を経てクラスに戻った生徒も。
この生徒は、家庭訪問を重ねるうち、友人関係などで
悩みを抱えていることが分かった。
「学校はどうでもいい」と言う一方で、「できればクラスに戻りたい」とも。
古井教諭は、「まずは校門まで来てみたら」と提案。
学校が無人となる夜、生徒に付き添って学校に行った。
保健室登校した生徒には、1日の様子を記録。
生徒が小さな成長に気付き、その自信がクラスに戻る大きなカギに。
本人と話し合い、目標を決めて実行させる。
女子生徒の場合も、「卒業式に出る」という目標は決めていた。
宇部幸治校長(58)は、「古井先生は、見逃しがちな子どものサインや
誤った対応も指摘してくれる」と評価。
卒業式の日の夜、古井教諭のもとに、女子生徒から長文のメール。
「古井先生のおかげで卒業できました。
高校もちゃんと卒業します。ありがとうございました」
巣立ちの陰に、養護教諭の支えがあった。
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20110427-OYT8T00345.htm
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