(毎日 11月4日)
受話器を取ると、カタコトの日本語が聞こえてきた。
「ちょっと話を聞かせてほしい」。
数年前、筑波大の山海嘉之教授(49)の研究室にかかった1本の電話。
相手は、「某外国の軍事関係者」。
山海教授は、ロボット工学や脳神経科学、情報科学などを融合させた
「サイバニクス」の第一人者。
当時、歩いたり、物を持ち上げたりする人間の動作を補助する
ロボットスーツ「HAL」の開発に取り組んでいた。
身体障害者や高齢者、介護者の役に立ちたいという思いからの研究。
筋肉を動かそうとすると、脳から筋肉に神経を伝わって微弱な電流が流れる。
この電流を体外から読み取り、筋肉の動きを助けるように装着した機械を
動かそうと考えていた。
だが、電話を受けたのは、このアイデアをまだほとんど公にしていない時期。
「なぜ、研究内容を知っているんだろう」。
山海教授は驚いたが、
「私の技術は人間を助けるためのもの。軍事利用に興味はない」と断り、電話を切った。
似たような接触は、今でもときどきある。
米国は、軍や国防総省が積極的にロボット研究に乗り出している。
米カーネギーメロン大ロボット研究所の金出武雄教授(62)は、
「『軍関係のカネはもらわない』という研究者もいるが、少数派。
軍事というより国防という意味で、社会からの要請がある。
一番の目的は、人的被害を減らすことだ」。
国防総省の高等研究計画局(DARPA)は、
ロボットや通信、画像認識などの技術開発や基礎研究に
年間約30億ドル(3500億円)を拠出。
金出教授も、DARPAの計画に参加し、ビデオ映像から自動的に
人物の顔を認識できる技術などの開発に取り組む。
空港や駅などでテロリストを見つけるのに有効だが、
監視社会化やプライバシーの問題が懸念。
金出教授は、「あらゆる技術は、もろ刃の剣。
研究者には一市民以上の責任があり、いち早く危険性を指摘したり、
悪用されないよう手を尽くさなければならない。
だが、技術をどう使うか、何が『悪用』なのかは結局、社会が決める。
20年以上米国に住んでいるが、米社会にはその判断力がある」。
「HAL」が完成に近づいた04年、
山海教授は事業化のためベンチャー企業を設立。
技術が流出しないよう、製品はレンタル方式。
買収を防ぐため、資金は議決権のない株式だけで調達。
個人で持っていた特許は、すべて大学に寄付。
税務当局は、この特許の価値を13億円以上と査定。
「技術が社会に与える影響が大きくなり、研究のテーマそのもの、
研究の手法が問われる。考えられる限りの策を講じるのが研究者のモラル」
テレビ番組の収録で、岡山市の出身小学校を訪れた山海教授は、
児童にHALを紹介した後、1本のビデオを見せた。
ロボット兵器ともいえる米国の無人偵察機が、
地上で地雷を埋めようとしていた人間を攻撃する映像。
3人の人影が吹っ飛ぶと、子供たちは無言で息をのんだ。
「何か意見ある?」と問いかける山海教授。
「ゲームみたいに一瞬で人を殺すなんて」、
「お金のある国なら何機も作れるから、ますます強くなる」、
「ロボットを悪用する人の心には暗い世界しかない」。
山海教授は涙ぐんでうなずいた。
「HALにも同じことが言えるかもしれないんだよ」
山海教授は、この番組の収録を振り返る。
「米国の子供なら、攻撃の場面で『Cool(すごい)!』と叫ぶかもしれない。
(原爆を開発した)マンハッタン計画では、優秀な科学者がわれ先に集まった。
今の日本はまだ、技術で人をあやめることに国民がノーと言える。
その良識を失ってはならない」。
科学技術は、人々の暮らしを便利に豊かにする一方、
使い方によっては悪影響も及ぼす。
科学者や技術者は、自らが開発した技術の使われ方に、
どこまで責任を負うべきなのか?
この点が問われているのが、「ウィニー裁判」。
匿名性の高いファイル交換ソフト「ウィニー」を開発・公開した
元東京大助手の男性が、著作物の違法コピーを助長したとして
著作権法違反のほう助罪に問われ、昨年12月に有罪判決(控訴中)。
ウィニーを巡っては、音楽や映画の違法コピーやコンピューターウイルス
による情報流出が社会問題に。
男性は、「純粋に技術的な検証が目的だった」と主張したが、
判決は、「技術自体は価値中立」と認めた上で、
違法かどうかは「現実の利用状況やそれに対する認識などによる」。
利用者の多くが、著作権を侵害するであろうことを認識しながら
ウィニーを公開していたことを「独善的かつ無責任」と非難。
判決について、研究者の間で賛否が分かれる。
生殖補助医療や遺伝子操作など他の分野も含め、
研究者は、技術が社会に与える影響に無関心ではいられないことを浮き彫りに。
2007年12月6日木曜日
J1:鹿島・田代 ゴールのたびに心臓病の君思い胸たたく
(毎日 12月4日)
サッカーのJリーグ1部(J1)で、逆転優勝を決めた鹿島アントラーズ。
快進撃の立役者となったFW(25)が、ゴールを決めるたびに見せた
左胸をたたくパフォーマンスは、故郷の福岡市で心臓病と闘う
宇野純平さん(22)=同市西区=と交わした約束。
「今日、田代さんが先発で出てくれますよ。
左胸をたたいてくれたらいいのになあ」
9月22日、アルビレックス新潟戦の朝。
病室から知人に電話した宇野さんの声は、弾んでいた。
サッカー少年だった宇野さんは2年前、心臓移植以外に治療法のない
特発性拡張型心筋症を発症。
臓器提供者の少ない国内では、治療の見通しが立たないため、
人工心臓に頼りながら米国での手術を待つ日々。
田代選手は今年7月、小学校が隣同士だった縁で宇野さんを見舞った。
約束したパフォーマンスには、宇野さんの心臓が
いつまでも動き続けるようにとの願いを込めた。
このアルビレックス戦で、ヒーローインタビューに立った田代選手は
「最後まであきらめません」と宣言。
そこから破竹の9連勝でリーグ戦を制した。
「今度は僕が頑張る番」。
田代選手の活躍を見届けた宇野さんは自らに誓っている。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071204k0000m050186000c.html
************************
これはいい話ですね。
スポーツが、いろんな人の勇気を与えてくれる。
ソフトバンクの和田投手も、三振をとるたびにワクチンを寄付しています。
田代選手も、たくさんゴールをあげて、
たくさんの人たちに、そして宇野さんに希望を与えてほしい。
サッカーのJリーグ1部(J1)で、逆転優勝を決めた鹿島アントラーズ。
快進撃の立役者となったFW(25)が、ゴールを決めるたびに見せた
左胸をたたくパフォーマンスは、故郷の福岡市で心臓病と闘う
宇野純平さん(22)=同市西区=と交わした約束。
「今日、田代さんが先発で出てくれますよ。
左胸をたたいてくれたらいいのになあ」
9月22日、アルビレックス新潟戦の朝。
病室から知人に電話した宇野さんの声は、弾んでいた。
サッカー少年だった宇野さんは2年前、心臓移植以外に治療法のない
特発性拡張型心筋症を発症。
臓器提供者の少ない国内では、治療の見通しが立たないため、
人工心臓に頼りながら米国での手術を待つ日々。
田代選手は今年7月、小学校が隣同士だった縁で宇野さんを見舞った。
約束したパフォーマンスには、宇野さんの心臓が
いつまでも動き続けるようにとの願いを込めた。
このアルビレックス戦で、ヒーローインタビューに立った田代選手は
「最後まであきらめません」と宣言。
そこから破竹の9連勝でリーグ戦を制した。
「今度は僕が頑張る番」。
田代選手の活躍を見届けた宇野さんは自らに誓っている。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071204k0000m050186000c.html
************************
これはいい話ですね。
スポーツが、いろんな人の勇気を与えてくれる。
ソフトバンクの和田投手も、三振をとるたびにワクチンを寄付しています。
田代選手も、たくさんゴールをあげて、
たくさんの人たちに、そして宇野さんに希望を与えてほしい。
2007年12月5日水曜日
理系白書’07:第3部・科学者の倫理とは/1 産学連携で収入・保有株申告
(毎日 10月28日)
防衛費を上回る額となった科学技術予算。
研究者同士や分野間の競争が激化し、
論文捏造や研究費の不正など負の側面が現れ始めた。
生命操作技術や情報技術など、社会的に影響の大きな技術も
現実のものとなり、人々の価値観を一変させかねない事態も。
科学者は、社会にどのような責任を負うのか?
社会は、科学技術をどう律していくべきなのか?
************************
「金もうけのためじゃない。技術発展や日本経済への貢献のためにやっている。
なぜ、懐具合まで探られなくてはならないのか」。
東北大の西沢昭夫総長特別補佐は、学内の説明会で、
ある教員からこうかみつかれた。
共同研究や技術移転先の企業からの収入額や株の保有状況を、
大学に申告してほしいと求めたから。
東北大は、実学志向が強く、企業との連携に積極的。
05年には、1企業から年間100万円以上の収入があれば
自己申告するという学内ルールを定めた。
企業との金銭関係の透明性を高め、個人の利益を目的にしているとの
疑惑を持たれないようにするため。
だが、教員たちの理解が進んだとは言い難い。
西沢さんは、「『先生たちの善意が誤解されないよう、社会に説明するため』
と話しても、けんか腰になる人もいる。
悪いことをしていると、疑われていると感じるようだ」。
日本の大学では、「金もうけはうしろめたいこと」という意識が根強い。
しかし、産業の国際競争力低下に危機感を抱いた政府は、
国策として産学連携を促進する方針。
98年には、「大学等技術移転促進法(TLO法)」が施行。
研究成果の社会還元は、教育、研究に続く大学の「第3の責務」に。
98年度に148社だった大学発ベンチャー企業は、1500社超(06年度)。
企業の共同研究実績も、06年度で約1万2000件(98年度の5倍増)。
一方、産学連携が進めば進むほど、研究者が利益を優先し、
教育や研究という本来の業務がおろそかになる「利益相反」が生じかねない。
どの程度なら許されるのか?
文部科学省は、利益相反への対応方針と学内の体制整備のモデルをまとめ、
各大学に自主的な取り組みを求めた。
国立大学など92機関のうち、60機関が利益相反への対応方針を作成。
方針を持つ大学では、企業から得た報酬や謝金などの金銭的利益、
株の保有状況などを、教職員に定期的に申告。
学内の専門委員会が内容をチェックし、必要があれば改善を求める。
だが、申告させる金額の線引きは、各大学でまちまち。
統一された基準がないため、現場には戸惑いも。
岩手大は04年、全国の大学に先行して対応方針をまとめた。
大学の規模は大きくないものの、
研究成果を商業化する大学発ベンチャー企業は20社。
生産量日本一の雑穀を使ったパン、植物研究から端を発した解析技術など
地域振興と深く結びつく。
だが、役員を兼務する教員の多くは、企業から報酬を得ていない。
学内ルールでは、兼業も報酬も認められているにもかかわらず、である。
同大地域連携推進センターの対馬正秋・技術移転マネジャーは、
「米国なら、教員は休職してベンチャー社長に専念するから、
大手を振ってもうけることができる。
日本では、大学教員と社長の二つの顔を持つため、
『(本業をおろそかにして)もうけている』と後ろ指さされるのを気にする」。
インフルエンザ治療薬「タミフル」は、
服用後に起きる飛び降りなどの異常行動との関連が問題。
副作用を調査する厚生労働省研究班の班員の所属する機関に、
タミフル輸入販売元の中外製薬の寄付金が支出されていたことが発覚。
「調査の中立性が損なわれるのではないか」と議論。
研究班は、患者約2万5000人を調査する計画。
厚労省は、400万円しか準備しなかったため、
班員の所属機関が中外製薬から寄付を受け、一部を研究にあてることに。
同省も了解していた。
ところが寄付の存在が報道されると、寄付を受けた3人を研究班から除外。
国立大学への企業からの寄付金は、TLO法施行以降増加。
文部科学省によると、06年度の総額は660億円で、98年度の1・4倍。
利益相反ルール作りを促す指針を策定した検討班の班長、
曽根三郎・徳島大ヘルスバイオサイエンス研究部長は、
「大学の多くが、企業からの奨学寄付金を受け取り、
一線の研究者ほど利益相反状態に置かれる。
タミフルも利益相反状態だった。だが、利益相反=悪なのではない」。
実際、企業から寄付を受けた科学者が、
その企業の利益になるような行動を取る可能性はあるのか?
米国の消費者団体が、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の
審査を調べたところ、企業から研究費を受けている専門家は、
むしろ、その企業に厳しい投票をする傾向。
曽根さんは、「研究者が専門的知識を生かすことは、国民の利益につながる。
研究者を排除するのではなく、参加させて、
ルール違反した場合にきちんと処分する制度を整備すべき」。
しかし、ルール作りは遅れている。
78の大学医学部のうち、利益相反ルールを定めたのは22に過ぎない。
-------------------------------
■坂口力・元厚労相に聞く
元厚生労働相の坂口力衆院議員は、タミフル問題をめぐる
厚生労働省の対応について、厚生労働委員会で「看過できない」とただした。
研究者と企業からの寄付金について聞いた。
◆産学連携の進展に伴い、企業から研究機関への寄付が増えています。
最近の研究者は、産業界とタイアップしなければ、研究を進められない。
国立大学が法人化され、地域産業との連携が求められる。
◆タミフル問題では、企業からの寄付金が問題視されました。
タミフルの副作用は、販売する製薬会社が調べるべき。
それを厚労省研究班が引き受けたうえ、予算が非常に少なかった。
研究班は、自分で工面するしかなく、
タミフルの販売会社からの金しか使えなかったという構図。
厚労省は、研究者だけを悪者にして、
「企業から金をもらっている先生にはもう頼みません」と、幕引き。
これはおかしい。
厚労省が想定外の問題を研究班に投げたのだから、
研究班の先生にしてみれば迷惑な話。
厚労省が責任を持って処理すべきだった。
◆「企業からの研究費ももらっていない研究者に、
専門的なことが分かるのか」との指摘も。
企業から、個人で報酬やコンサルタント料のような金をもらっている場合、
研究への参加を見送るべきケースはある。
しかし、所属する大学などの組織が寄付金を受け、研究者に配分している
場合まで、研究に参加できないとするのは行きすぎでは?
組織が研究費を配分する段階で、企業の色は消されている。
大学が企業から寄付金を受けることが特別ではない今、
企業の寄付金を受け取っていない組織の研究者はいない。
◆透明性を確保した産学連携のため、何が必要でしょうか。
産学連携に参加する企業側は、当然「利益」を目的に。
臨床試験などでは、企業からの財政支援によって進められてきた。
そのような現実を認めたうえで、利益によって結果がゆがめられたり、
研究者が不適切な利益を得ることがないようなルールを作るべき。
現在、役所や大学で個別にルール作りが進んでいるが、
バラバラなルールになることは、かえって国民を混乱に。
研究と企業からの金の関係について、国全体でルールを作ることが必要。
==============
◇利益相反
産学連携活動に伴って、教職員や大学が得る利益(兼業報酬、未公開株式など)と、
教育・研究という大学での責任が衝突。
教職員が企業に負う職務遂行責任と、大学での職務遂行責任が両立できない状態。
法令違反ではないが、社会から不信を持たれる可能性も。
==============
■人物略歴 ◇さかぐち・ちから
65年三重県立大学大学院医学研究科修了(医学博士)。
69年三重県赤十字血液センター所長。72年衆院議員初当選。
00~04年まで厚生、厚生労働相。73歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2007/10/28/20071028ddm016040088000c.html
防衛費を上回る額となった科学技術予算。
研究者同士や分野間の競争が激化し、
論文捏造や研究費の不正など負の側面が現れ始めた。
生命操作技術や情報技術など、社会的に影響の大きな技術も
現実のものとなり、人々の価値観を一変させかねない事態も。
科学者は、社会にどのような責任を負うのか?
社会は、科学技術をどう律していくべきなのか?
************************
「金もうけのためじゃない。技術発展や日本経済への貢献のためにやっている。
なぜ、懐具合まで探られなくてはならないのか」。
東北大の西沢昭夫総長特別補佐は、学内の説明会で、
ある教員からこうかみつかれた。
共同研究や技術移転先の企業からの収入額や株の保有状況を、
大学に申告してほしいと求めたから。
東北大は、実学志向が強く、企業との連携に積極的。
05年には、1企業から年間100万円以上の収入があれば
自己申告するという学内ルールを定めた。
企業との金銭関係の透明性を高め、個人の利益を目的にしているとの
疑惑を持たれないようにするため。
だが、教員たちの理解が進んだとは言い難い。
西沢さんは、「『先生たちの善意が誤解されないよう、社会に説明するため』
と話しても、けんか腰になる人もいる。
悪いことをしていると、疑われていると感じるようだ」。
日本の大学では、「金もうけはうしろめたいこと」という意識が根強い。
しかし、産業の国際競争力低下に危機感を抱いた政府は、
国策として産学連携を促進する方針。
98年には、「大学等技術移転促進法(TLO法)」が施行。
研究成果の社会還元は、教育、研究に続く大学の「第3の責務」に。
98年度に148社だった大学発ベンチャー企業は、1500社超(06年度)。
企業の共同研究実績も、06年度で約1万2000件(98年度の5倍増)。
一方、産学連携が進めば進むほど、研究者が利益を優先し、
教育や研究という本来の業務がおろそかになる「利益相反」が生じかねない。
どの程度なら許されるのか?
文部科学省は、利益相反への対応方針と学内の体制整備のモデルをまとめ、
各大学に自主的な取り組みを求めた。
国立大学など92機関のうち、60機関が利益相反への対応方針を作成。
方針を持つ大学では、企業から得た報酬や謝金などの金銭的利益、
株の保有状況などを、教職員に定期的に申告。
学内の専門委員会が内容をチェックし、必要があれば改善を求める。
だが、申告させる金額の線引きは、各大学でまちまち。
統一された基準がないため、現場には戸惑いも。
岩手大は04年、全国の大学に先行して対応方針をまとめた。
大学の規模は大きくないものの、
研究成果を商業化する大学発ベンチャー企業は20社。
生産量日本一の雑穀を使ったパン、植物研究から端を発した解析技術など
地域振興と深く結びつく。
だが、役員を兼務する教員の多くは、企業から報酬を得ていない。
学内ルールでは、兼業も報酬も認められているにもかかわらず、である。
同大地域連携推進センターの対馬正秋・技術移転マネジャーは、
「米国なら、教員は休職してベンチャー社長に専念するから、
大手を振ってもうけることができる。
日本では、大学教員と社長の二つの顔を持つため、
『(本業をおろそかにして)もうけている』と後ろ指さされるのを気にする」。
インフルエンザ治療薬「タミフル」は、
服用後に起きる飛び降りなどの異常行動との関連が問題。
副作用を調査する厚生労働省研究班の班員の所属する機関に、
タミフル輸入販売元の中外製薬の寄付金が支出されていたことが発覚。
「調査の中立性が損なわれるのではないか」と議論。
研究班は、患者約2万5000人を調査する計画。
厚労省は、400万円しか準備しなかったため、
班員の所属機関が中外製薬から寄付を受け、一部を研究にあてることに。
同省も了解していた。
ところが寄付の存在が報道されると、寄付を受けた3人を研究班から除外。
国立大学への企業からの寄付金は、TLO法施行以降増加。
文部科学省によると、06年度の総額は660億円で、98年度の1・4倍。
利益相反ルール作りを促す指針を策定した検討班の班長、
曽根三郎・徳島大ヘルスバイオサイエンス研究部長は、
「大学の多くが、企業からの奨学寄付金を受け取り、
一線の研究者ほど利益相反状態に置かれる。
タミフルも利益相反状態だった。だが、利益相反=悪なのではない」。
実際、企業から寄付を受けた科学者が、
その企業の利益になるような行動を取る可能性はあるのか?
米国の消費者団体が、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会の
審査を調べたところ、企業から研究費を受けている専門家は、
むしろ、その企業に厳しい投票をする傾向。
曽根さんは、「研究者が専門的知識を生かすことは、国民の利益につながる。
研究者を排除するのではなく、参加させて、
ルール違反した場合にきちんと処分する制度を整備すべき」。
しかし、ルール作りは遅れている。
78の大学医学部のうち、利益相反ルールを定めたのは22に過ぎない。
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■坂口力・元厚労相に聞く
元厚生労働相の坂口力衆院議員は、タミフル問題をめぐる
厚生労働省の対応について、厚生労働委員会で「看過できない」とただした。
研究者と企業からの寄付金について聞いた。
◆産学連携の進展に伴い、企業から研究機関への寄付が増えています。
最近の研究者は、産業界とタイアップしなければ、研究を進められない。
国立大学が法人化され、地域産業との連携が求められる。
◆タミフル問題では、企業からの寄付金が問題視されました。
タミフルの副作用は、販売する製薬会社が調べるべき。
それを厚労省研究班が引き受けたうえ、予算が非常に少なかった。
研究班は、自分で工面するしかなく、
タミフルの販売会社からの金しか使えなかったという構図。
厚労省は、研究者だけを悪者にして、
「企業から金をもらっている先生にはもう頼みません」と、幕引き。
これはおかしい。
厚労省が想定外の問題を研究班に投げたのだから、
研究班の先生にしてみれば迷惑な話。
厚労省が責任を持って処理すべきだった。
◆「企業からの研究費ももらっていない研究者に、
専門的なことが分かるのか」との指摘も。
企業から、個人で報酬やコンサルタント料のような金をもらっている場合、
研究への参加を見送るべきケースはある。
しかし、所属する大学などの組織が寄付金を受け、研究者に配分している
場合まで、研究に参加できないとするのは行きすぎでは?
組織が研究費を配分する段階で、企業の色は消されている。
大学が企業から寄付金を受けることが特別ではない今、
企業の寄付金を受け取っていない組織の研究者はいない。
◆透明性を確保した産学連携のため、何が必要でしょうか。
産学連携に参加する企業側は、当然「利益」を目的に。
臨床試験などでは、企業からの財政支援によって進められてきた。
そのような現実を認めたうえで、利益によって結果がゆがめられたり、
研究者が不適切な利益を得ることがないようなルールを作るべき。
現在、役所や大学で個別にルール作りが進んでいるが、
バラバラなルールになることは、かえって国民を混乱に。
研究と企業からの金の関係について、国全体でルールを作ることが必要。
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◇利益相反
産学連携活動に伴って、教職員や大学が得る利益(兼業報酬、未公開株式など)と、
教育・研究という大学での責任が衝突。
教職員が企業に負う職務遂行責任と、大学での職務遂行責任が両立できない状態。
法令違反ではないが、社会から不信を持たれる可能性も。
==============
■人物略歴 ◇さかぐち・ちから
65年三重県立大学大学院医学研究科修了(医学博士)。
69年三重県赤十字血液センター所長。72年衆院議員初当選。
00~04年まで厚生、厚生労働相。73歳。
http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2007/10/28/20071028ddm016040088000c.html
老化の記憶障害に関与 アルツハイマー関連物質
(毎日 2007.11.16)
理化学研究所は、アルツハイマー病発症に関与する
異常タンパク質の脳への蓄積が、老化に伴う記憶障害の原因にも
なっていることを、高島明彦チームリーダーらが発表。
記憶障害を手掛かりに、異常タンパク質の蓄積を早期に見つけられれば、
将来はアルツハイマー病の予防にもつながり得る。
このタンパク質は「タウ」と呼ばれ、
記憶障害や認知障害が起きるアルツハイマー病では、
過剰にリン酸化された異常な形で、脳の海馬や大脳皮質の神経細胞に沈着。
通常の老化でも「嗅内野」と呼ばれる、記憶の形成にかかわる
脳の特定部位に異常なタウが沈着することが知られていたが、
記憶障害との直接の関連は未解明。
高島さんらは、遺伝子操作で人間のタウを持たせ、
老化すると記憶障害を起こすマウスに対し、
プールを繰り返し泳がせ足場の場所を探させる記憶力テストを実施。
生後20カ月以上の老齢マウスは場所をなかなか覚えられず、
記憶力の低下が起きていることが分かったが、
このマウスの脳には、完全な沈着まではいかないものの
異常なタウが蓄積しており、それで神経活動が低下。
「異常タウは、沈着する前なら薬などで元に戻せる。
いかに早期に発見できるかが課題だ」。
理化学研究所プレスリリース
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/071116/
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/071116/acd0711161736005-n1.htm
理化学研究所は、アルツハイマー病発症に関与する
異常タンパク質の脳への蓄積が、老化に伴う記憶障害の原因にも
なっていることを、高島明彦チームリーダーらが発表。
記憶障害を手掛かりに、異常タンパク質の蓄積を早期に見つけられれば、
将来はアルツハイマー病の予防にもつながり得る。
このタンパク質は「タウ」と呼ばれ、
記憶障害や認知障害が起きるアルツハイマー病では、
過剰にリン酸化された異常な形で、脳の海馬や大脳皮質の神経細胞に沈着。
通常の老化でも「嗅内野」と呼ばれる、記憶の形成にかかわる
脳の特定部位に異常なタウが沈着することが知られていたが、
記憶障害との直接の関連は未解明。
高島さんらは、遺伝子操作で人間のタウを持たせ、
老化すると記憶障害を起こすマウスに対し、
プールを繰り返し泳がせ足場の場所を探させる記憶力テストを実施。
生後20カ月以上の老齢マウスは場所をなかなか覚えられず、
記憶力の低下が起きていることが分かったが、
このマウスの脳には、完全な沈着まではいかないものの
異常なタウが蓄積しており、それで神経活動が低下。
「異常タウは、沈着する前なら薬などで元に戻せる。
いかに早期に発見できるかが課題だ」。
理化学研究所プレスリリース
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2007/071116/
http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/071116/acd0711161736005-n1.htm
2007年12月4日火曜日
小橋建太:腎臓がんから生還!不死鳥チョップ217発
(毎日 12月3日)
546日ぶりのリングで、217発のチョップをさく裂。
腎臓がんで長期欠場していた小橋建太(40)が、
高山善廣(41)とタッグを組んで三沢光晴(45)秋山準(38)組と対戦。
06年6月4日の札幌大会以来のリング。
敗れはしたが、満員の1万7000人のファンが待ち望んだ復帰戦で、
小橋は130連発を含む217発のチョップを放ち、病魔の克服をアピール。
超満員1万7000人の「小橋コール」が館内に響き渡った。
三沢、秋山にこん身の逆水平、大根斬りチョップを叩き込む。
圧巻は15分すぎ。
秋山に61発の逆水平を見舞うと、「青春の握り拳」を振り上げる。
さらに69発、計130発のマシンガンチョップ。
真っ赤に染まった秋山の胸こそが、鉄人復活の証。
心を鬼にしてエルボーを打ち込んできた三沢には、
堂々月面水爆でお返しした。剛腕ラリアットもさく裂。
チョップは計217発にも達した。
飛び散る汗。魂の雄叫び。何もかもが、全盛期の雄姿と同じだ。
最後は、三沢の雪崩式エメラルドフロウジョンに屈したものの、
その三沢と涙の抱擁をかわした小橋は、
「オレは生きている。リングは最高!」と絶叫した。
昨年6月に非情の宣告、「右腎臓に悪性の腫瘍がある」。
01年に、レスラー生命にかかわるひざの大ケガから生還したが、
再び病魔が襲いかかった。
主治医に、「まずは生きること」と絶望的な言葉。
「もうリングに上がることはできないのか…」。
自暴自棄になりかけたが、
「自分にはプロレスしかない」という信念が心の支えに。
手術後、初めて有明の練習場を訪れたとき、
真っ先にリングで大の字になった。
「自分の居場所を確かめたくて。ああ、生きているんだなって」。
練習を開始しても、1つしかない腎臓がリング復帰への最大の障害。
ハードな練習で生じる老廃物を処理できず、食生活も制限。
転機は、昨年12月10日の武道館。
小橋コールで埋め尽くされた会場で、「必ずリングに帰ってきます!」と約束。
「ファンの声援が、一番のリハビリだとあらためて感じた」。
この宣言のあと、腎臓の検査の数値は少しずつ回復に。
「病気をしている間に40代になった。40からが勝負。
オレを見てみんなに元気になってもらいたい」。
リングを取り囲んだ女性ファンのほとんどが泣いていた。
「勇気をありがとう」と書かれた横断幕を横目に花道を戻る際には、
足元がふらついて倒れそうになった。
それでも奇跡を起こした男は言った。
「これがゴールじゃない。これで止まらないし、レスラーとして生き続ける」。
人生最大の敵を倒した鉄人が、再び力強く歩き始めた。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20071203spn00m050022000c.html
*******************
これは、感動、感激ですね!!!
プロレスラーが不死鳥のようによみがえるシーンを
いくつも見てきたが、今回もまた目にすることが。
また素晴しいレスリングを見せて欲しい。
そして多くの勇気を与えて欲しい。
546日ぶりのリングで、217発のチョップをさく裂。
腎臓がんで長期欠場していた小橋建太(40)が、
高山善廣(41)とタッグを組んで三沢光晴(45)秋山準(38)組と対戦。
06年6月4日の札幌大会以来のリング。
敗れはしたが、満員の1万7000人のファンが待ち望んだ復帰戦で、
小橋は130連発を含む217発のチョップを放ち、病魔の克服をアピール。
超満員1万7000人の「小橋コール」が館内に響き渡った。
三沢、秋山にこん身の逆水平、大根斬りチョップを叩き込む。
圧巻は15分すぎ。
秋山に61発の逆水平を見舞うと、「青春の握り拳」を振り上げる。
さらに69発、計130発のマシンガンチョップ。
真っ赤に染まった秋山の胸こそが、鉄人復活の証。
心を鬼にしてエルボーを打ち込んできた三沢には、
堂々月面水爆でお返しした。剛腕ラリアットもさく裂。
チョップは計217発にも達した。
飛び散る汗。魂の雄叫び。何もかもが、全盛期の雄姿と同じだ。
最後は、三沢の雪崩式エメラルドフロウジョンに屈したものの、
その三沢と涙の抱擁をかわした小橋は、
「オレは生きている。リングは最高!」と絶叫した。
昨年6月に非情の宣告、「右腎臓に悪性の腫瘍がある」。
01年に、レスラー生命にかかわるひざの大ケガから生還したが、
再び病魔が襲いかかった。
主治医に、「まずは生きること」と絶望的な言葉。
「もうリングに上がることはできないのか…」。
自暴自棄になりかけたが、
「自分にはプロレスしかない」という信念が心の支えに。
手術後、初めて有明の練習場を訪れたとき、
真っ先にリングで大の字になった。
「自分の居場所を確かめたくて。ああ、生きているんだなって」。
練習を開始しても、1つしかない腎臓がリング復帰への最大の障害。
ハードな練習で生じる老廃物を処理できず、食生活も制限。
転機は、昨年12月10日の武道館。
小橋コールで埋め尽くされた会場で、「必ずリングに帰ってきます!」と約束。
「ファンの声援が、一番のリハビリだとあらためて感じた」。
この宣言のあと、腎臓の検査の数値は少しずつ回復に。
「病気をしている間に40代になった。40からが勝負。
オレを見てみんなに元気になってもらいたい」。
リングを取り囲んだ女性ファンのほとんどが泣いていた。
「勇気をありがとう」と書かれた横断幕を横目に花道を戻る際には、
足元がふらついて倒れそうになった。
それでも奇跡を起こした男は言った。
「これがゴールじゃない。これで止まらないし、レスラーとして生き続ける」。
人生最大の敵を倒した鉄人が、再び力強く歩き始めた。
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20071203spn00m050022000c.html
*******************
これは、感動、感激ですね!!!
プロレスラーが不死鳥のようによみがえるシーンを
いくつも見てきたが、今回もまた目にすることが。
また素晴しいレスリングを見せて欲しい。
そして多くの勇気を与えて欲しい。
星野ジャパン:約束通りの“北京切符”「選手のおかげ」
(毎日 12月3日)
試合中の厳しい表情が一気に緩んだ。
言葉を詰まらせ、「これでゆっくり、オフが過ごせるね」。
08年北京五輪アジア予選(アジア野球選手権)の台湾戦で、
日本代表が五輪出場権を獲得。
チームを率いた星野仙一監督(60)は韓国、台湾、フィリピンとの
「アジア枠1」の争いを制した選手たちを、
「日本の野球の底力を見せてくれた」とたたえ、目に涙を浮かべた。
プロ野球中日、阪神の監督を通算13年務め、計3度のリーグ優勝。
だが、国を代表して臨む国際大会は短期決戦で負けられないプレッシャーが。
総力戦で1点差勝ちした韓国戦後には、
「こんなに厳しい試合をしたのは初めて」。
それも覚悟の上で監督を引き受けた。
「今の自分があるのは野球のおかげ。野球界に『恩返し』をしなければ」。
東京六大学リーグで23勝を挙げた明治大時代は法政大の黄金期、
中日のエースとして活躍したのは巨人の9連覇の時期と重なる。
「強者に立ち向かうことに闘志を燃やす男」というイメージは、
野球を通じて確立された。
野球が公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来、
6大会の代表監督には、ほぼ全員に話を聞いた。
国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で
日本代表を率い「世界一」になった王貞治・ソフトバンク監督(67)からは
「打撃戦より投手戦の想定を」とアドバイス。
先輩の経験を吸収し、自ら対戦相手の情報収集、分析。
03年に体調不良を理由に阪神監督を退任した経緯もあり、
定期的に体の隅々まで検査して健康管理に気を配った。
グラウンドでは自らノックバットを手にとって指導、
試合中のダッグアウトでは「闘将」のイメージそのままに声を張り上げ続けた。
監督の熱意に応え、選手たちは勝ちにこだわるプレーを連発。
台湾戦では、一度逆転を許してからの再逆転勝利。
「(試合を見ている人には)ハラハラさせただろうが、
終わってみれば感動してもらえたかな。本当にいい選手を選べたと思う」。
最高の笑顔で振り返った。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071204k0000m050127000c.html
*******************
アジアでは勝って当たり前、の野球。
確かに全体のレベルは、日本の方が韓国、台湾よりも上。
しかし、短期決戦ではどうなるか分かりません。
どんな種目でも、国際大会で勝つことは本当に難しい。
改めて、スポーツに絶対ということはないし、
プレッシャーに打ち勝つ精神力が大切だということを、
認識させられました。
日本の野球を、オリンピックでも存分に見せて欲しい。
試合中の厳しい表情が一気に緩んだ。
言葉を詰まらせ、「これでゆっくり、オフが過ごせるね」。
08年北京五輪アジア予選(アジア野球選手権)の台湾戦で、
日本代表が五輪出場権を獲得。
チームを率いた星野仙一監督(60)は韓国、台湾、フィリピンとの
「アジア枠1」の争いを制した選手たちを、
「日本の野球の底力を見せてくれた」とたたえ、目に涙を浮かべた。
プロ野球中日、阪神の監督を通算13年務め、計3度のリーグ優勝。
だが、国を代表して臨む国際大会は短期決戦で負けられないプレッシャーが。
総力戦で1点差勝ちした韓国戦後には、
「こんなに厳しい試合をしたのは初めて」。
それも覚悟の上で監督を引き受けた。
「今の自分があるのは野球のおかげ。野球界に『恩返し』をしなければ」。
東京六大学リーグで23勝を挙げた明治大時代は法政大の黄金期、
中日のエースとして活躍したのは巨人の9連覇の時期と重なる。
「強者に立ち向かうことに闘志を燃やす男」というイメージは、
野球を通じて確立された。
野球が公開競技だった1984年ロサンゼルス五輪以来、
6大会の代表監督には、ほぼ全員に話を聞いた。
国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」で
日本代表を率い「世界一」になった王貞治・ソフトバンク監督(67)からは
「打撃戦より投手戦の想定を」とアドバイス。
先輩の経験を吸収し、自ら対戦相手の情報収集、分析。
03年に体調不良を理由に阪神監督を退任した経緯もあり、
定期的に体の隅々まで検査して健康管理に気を配った。
グラウンドでは自らノックバットを手にとって指導、
試合中のダッグアウトでは「闘将」のイメージそのままに声を張り上げ続けた。
監督の熱意に応え、選手たちは勝ちにこだわるプレーを連発。
台湾戦では、一度逆転を許してからの再逆転勝利。
「(試合を見ている人には)ハラハラさせただろうが、
終わってみれば感動してもらえたかな。本当にいい選手を選べたと思う」。
最高の笑顔で振り返った。
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071204k0000m050127000c.html
*******************
アジアでは勝って当たり前、の野球。
確かに全体のレベルは、日本の方が韓国、台湾よりも上。
しかし、短期決戦ではどうなるか分かりません。
どんな種目でも、国際大会で勝つことは本当に難しい。
改めて、スポーツに絶対ということはないし、
プレッシャーに打ち勝つ精神力が大切だということを、
認識させられました。
日本の野球を、オリンピックでも存分に見せて欲しい。
気仙サミット2007 合併テーマに公開討論
(東海新報 12月2日)
将来の広域合併を見据えた「気仙サミット2007」が開かれた。
甘竹勝郎大船渡市長が旧三陸町との合併効果を 強調しながら、
“三本の矢”が一つになる必要性を訴えたのに対し、
中里長門陸前高田市長と多田欣一住田町長は“時期尚早”との立場から、
水産や農林業など基幹産業の振興を図りながら従来通り
「当面、単独・自立」の方向性を歩んでいく考えを示した。
達増拓也知事は、「合併は最終的に住民が判断すること」としながら、
「県としてもできるかぎりの支援をしたい」。
「気仙の将来を考える」をテーマにした今回のサミットは、
青年会議所(大船渡・古川季宏理事長、陸前高田・宮樫正義理事長)が主催。
両会議所は、「気仙は一つ」の共通認識を持って活動しており、
知事と三首長を招いて、「将来のまちづくりのあり方や
地方行政などについて幅広く議論してもらおう」と企画。
3年前には陸前高田青年会議所が主催し、三首長討論会を開いた。
討論会は、岩手日報社の達下雅一論説委員長が司会を務めて進行。
達増知事はじめ甘竹市長、中里市長、多田町長がパネリストとして登壇。
広域合併についての考えを聞かれた甘竹市長は、
平成13年に三陸町と合併し、財政面で大きな効果を上げていることを強調。
「三陸町民からも、『合併して良かった』との声が。
国や県から91億円支援、6億円の人件費削減により、
市民会館の建設、学校や医療福祉施設、産業基盤の整備につながっている」。
多田町長は、「当面、自立は住民の意向であり、
いまは小さい町だからこそできるまちづくりが大切。
仮に合併すると、本町は中心地から離れた周辺地域になることが懸念。
合併後の人口は約7万5千人と少なく、将来的にはもっと大きな合併を
想定することも必要ではないか」。
中里市長は、「将来の合併は避けて通れないと思うが、
今すぐに協議のスタートラインに立てる状況にはない。
市民アンケート(平成15年)では、7割が合併に否定、慎重な意見が多い。
本市の財政は厳しいが、合併することによって解決できるものではなく、
特色あるまちづくりを進めていくことが先決」。
甘竹市長は、現在の気仙の人口や産業構造規模だと、
合併後の役所職員数を長期的に238人削減できることを指摘。
「職員1人年間6百万円の平均給与だとすると、
15億円近い人件費をまちづくりに使えることになる」。
また、広域連携の必要性については認めている中里市長は、
「産業振興などの面で幅広く進めていきたい」。
多田町長も、「気仙に住む人たちの共通した優しさを定住促進、
人口増につなげていきたい」。
終了後、大船渡市の会社員・男性(46)は
「こうした機会を設けたのは良かったが、
合併についてもっと突っ込んだ議論をしてほしかった。
三首長とも『気仙は一つ』の考えが根底にあることを感じたが、
現在の思いはそれぞれ違うのかな、という印象」。
陸前高田市の農業・男性(59)は、
「個人的には合併を進めてもらいたいが、三首長の考えは温度差があるよう。
中里市長は以前のアンケート結果を話していたが、
当時と今とでは市民の認識も変わってきているのでは。
もう一度合併に関する市民アンケートを行ってほしい」。
http://www.tohkaishimpo.com/
*******************
このような機会をつくることは、とても有意義なことです。
政治家の生の声、考えを聞く、ぶつけ合うことはなかなかないですから。
選挙の時以外は。
私は、気仙地区は出来るだけ早く合併して、一つになるべきです。
経済、教育、文化については一つの活動圏になっている。
政治だけが、わざわざ分裂したまま。
大船渡から住田を通って奥州、盛岡、秋田方面へ、
また大船渡から高田を通って気仙沼、仙台方面へ、
道路と鉄道を整備、発展させるには合併することが大切。
政治家は、地方の発展のために将来のビジョンを明確にすべき。
気仙地区が一つになった方がいいなら、さっさと行動すべきです。
将来の広域合併を見据えた「気仙サミット2007」が開かれた。
甘竹勝郎大船渡市長が旧三陸町との合併効果を 強調しながら、
“三本の矢”が一つになる必要性を訴えたのに対し、
中里長門陸前高田市長と多田欣一住田町長は“時期尚早”との立場から、
水産や農林業など基幹産業の振興を図りながら従来通り
「当面、単独・自立」の方向性を歩んでいく考えを示した。
達増拓也知事は、「合併は最終的に住民が判断すること」としながら、
「県としてもできるかぎりの支援をしたい」。
「気仙の将来を考える」をテーマにした今回のサミットは、
青年会議所(大船渡・古川季宏理事長、陸前高田・宮樫正義理事長)が主催。
両会議所は、「気仙は一つ」の共通認識を持って活動しており、
知事と三首長を招いて、「将来のまちづくりのあり方や
地方行政などについて幅広く議論してもらおう」と企画。
3年前には陸前高田青年会議所が主催し、三首長討論会を開いた。
討論会は、岩手日報社の達下雅一論説委員長が司会を務めて進行。
達増知事はじめ甘竹市長、中里市長、多田町長がパネリストとして登壇。
広域合併についての考えを聞かれた甘竹市長は、
平成13年に三陸町と合併し、財政面で大きな効果を上げていることを強調。
「三陸町民からも、『合併して良かった』との声が。
国や県から91億円支援、6億円の人件費削減により、
市民会館の建設、学校や医療福祉施設、産業基盤の整備につながっている」。
多田町長は、「当面、自立は住民の意向であり、
いまは小さい町だからこそできるまちづくりが大切。
仮に合併すると、本町は中心地から離れた周辺地域になることが懸念。
合併後の人口は約7万5千人と少なく、将来的にはもっと大きな合併を
想定することも必要ではないか」。
中里市長は、「将来の合併は避けて通れないと思うが、
今すぐに協議のスタートラインに立てる状況にはない。
市民アンケート(平成15年)では、7割が合併に否定、慎重な意見が多い。
本市の財政は厳しいが、合併することによって解決できるものではなく、
特色あるまちづくりを進めていくことが先決」。
甘竹市長は、現在の気仙の人口や産業構造規模だと、
合併後の役所職員数を長期的に238人削減できることを指摘。
「職員1人年間6百万円の平均給与だとすると、
15億円近い人件費をまちづくりに使えることになる」。
また、広域連携の必要性については認めている中里市長は、
「産業振興などの面で幅広く進めていきたい」。
多田町長も、「気仙に住む人たちの共通した優しさを定住促進、
人口増につなげていきたい」。
終了後、大船渡市の会社員・男性(46)は
「こうした機会を設けたのは良かったが、
合併についてもっと突っ込んだ議論をしてほしかった。
三首長とも『気仙は一つ』の考えが根底にあることを感じたが、
現在の思いはそれぞれ違うのかな、という印象」。
陸前高田市の農業・男性(59)は、
「個人的には合併を進めてもらいたいが、三首長の考えは温度差があるよう。
中里市長は以前のアンケート結果を話していたが、
当時と今とでは市民の認識も変わってきているのでは。
もう一度合併に関する市民アンケートを行ってほしい」。
http://www.tohkaishimpo.com/
*******************
このような機会をつくることは、とても有意義なことです。
政治家の生の声、考えを聞く、ぶつけ合うことはなかなかないですから。
選挙の時以外は。
私は、気仙地区は出来るだけ早く合併して、一つになるべきです。
経済、教育、文化については一つの活動圏になっている。
政治だけが、わざわざ分裂したまま。
大船渡から住田を通って奥州、盛岡、秋田方面へ、
また大船渡から高田を通って気仙沼、仙台方面へ、
道路と鉄道を整備、発展させるには合併することが大切。
政治家は、地方の発展のために将来のビジョンを明確にすべき。
気仙地区が一つになった方がいいなら、さっさと行動すべきです。
2007年12月3日月曜日
粗食長寿説(3)『養生訓』が導いた誤り
(毎日 2007.11.12)
仏教の伝来により、食肉を禁止する思想がかなり定着した。
日本は、食肉を禁止しても、沿岸では魚介類に恵まれ、
気候風土が米作に適していた。
ヨーロッパなどは稲を作る条件に恵まれず、麦を作ることしかできなかった。
植物性食品のうち、大豆のタンパク質のアミノ酸構成がベストで、米が次ぐ。
日本人は、食肉の不足をこの2つの食品で必死に補ってきた。
非公式には、食肉を摂っていた。
肉食を意味する薬食(くすりぐい)などという言い方も。
また、ウサギはトリとみなし、1羽、2羽…と数えて食べた。
トリは禁止されていなかった。
東北地方のマタギ族は、日本には珍しい狩猟部族。
国民の栄養源となるには、あまりにも少ない食肉の摂取量。
平均寿命は、江戸時代にも30歳代とされ、
間引きなどを考慮すると20歳代であった可能性も。
支配者階級は、質素・倹約を下級武士や農民に押しつける必要。
江戸幕府の武家諸法度などよい例。
“まずいものを食べ、一生懸命働くのが長寿につながる”という
粗食長寿説もこのような時代背景の中から出現。
イデオローグ(理論的唱導者)の代表が、貝原益軒(1630~1714年)。
彼は、江戸初期の儒学者で、父が黒田家の医官であり、
医学に対する深い見識をもっていた。
1713年、『養生訓』を完成。
この本は、食事、運動、酒の飲み方、性生活にわたる幅広い健康読本。
後世に大きな影響を与え、現代にも通ずる内容を含んでいる。
しかし、過食の戒めは書いてあっても、粗食の害は書いていない。
上級武士や富裕な商人など、特権階級のために書かれた健康読本である。
この時代、米を主食にしていたのは特権階級のみで、
下級武士や農民は、ヒエ、アワ、麦、イモを主食にしているのが一般的。
『養生訓』には、“肥えると、脳卒中になりやすい”と。
しかし、昭和30年代の日本の農民でさえ、
“やせていて”高血圧の人が脳卒中になるのが普通。
『養生訓』が、いかに特殊な階層の人々を観察し、
その人々のために書かれたものであるかが分かる。
低栄養の民衆にまで、「もっと生臭いものを遠ざけ、もっと働けば長生きする」と、
『養生訓』は信じ込ませてしまった。
(桜美林大学大学院老年学教授 柴田博)
http://sankei.jp.msn.com/life/body/071112/bdy0711120802000-n1.htm
仏教の伝来により、食肉を禁止する思想がかなり定着した。
日本は、食肉を禁止しても、沿岸では魚介類に恵まれ、
気候風土が米作に適していた。
ヨーロッパなどは稲を作る条件に恵まれず、麦を作ることしかできなかった。
植物性食品のうち、大豆のタンパク質のアミノ酸構成がベストで、米が次ぐ。
日本人は、食肉の不足をこの2つの食品で必死に補ってきた。
非公式には、食肉を摂っていた。
肉食を意味する薬食(くすりぐい)などという言い方も。
また、ウサギはトリとみなし、1羽、2羽…と数えて食べた。
トリは禁止されていなかった。
東北地方のマタギ族は、日本には珍しい狩猟部族。
国民の栄養源となるには、あまりにも少ない食肉の摂取量。
平均寿命は、江戸時代にも30歳代とされ、
間引きなどを考慮すると20歳代であった可能性も。
支配者階級は、質素・倹約を下級武士や農民に押しつける必要。
江戸幕府の武家諸法度などよい例。
“まずいものを食べ、一生懸命働くのが長寿につながる”という
粗食長寿説もこのような時代背景の中から出現。
イデオローグ(理論的唱導者)の代表が、貝原益軒(1630~1714年)。
彼は、江戸初期の儒学者で、父が黒田家の医官であり、
医学に対する深い見識をもっていた。
1713年、『養生訓』を完成。
この本は、食事、運動、酒の飲み方、性生活にわたる幅広い健康読本。
後世に大きな影響を与え、現代にも通ずる内容を含んでいる。
しかし、過食の戒めは書いてあっても、粗食の害は書いていない。
上級武士や富裕な商人など、特権階級のために書かれた健康読本である。
この時代、米を主食にしていたのは特権階級のみで、
下級武士や農民は、ヒエ、アワ、麦、イモを主食にしているのが一般的。
『養生訓』には、“肥えると、脳卒中になりやすい”と。
しかし、昭和30年代の日本の農民でさえ、
“やせていて”高血圧の人が脳卒中になるのが普通。
『養生訓』が、いかに特殊な階層の人々を観察し、
その人々のために書かれたものであるかが分かる。
低栄養の民衆にまで、「もっと生臭いものを遠ざけ、もっと働けば長生きする」と、
『養生訓』は信じ込ませてしまった。
(桜美林大学大学院老年学教授 柴田博)
http://sankei.jp.msn.com/life/body/071112/bdy0711120802000-n1.htm
「チーム北島」の河合氏 マックSSで水泳フォーム指導
(東海新報 12月2日)
大船渡市大船渡町のマックスイミングスクールで、
アテネ五輪金メダリスト・北島康介選手の泳法分析を担当した
工学博士・河合正治氏によるスクール生対象の泳法技術指導が行われた。
選手らは、世界レベルのアドバイスを熱心に聞き、
今後の飛躍への足がかりとしていた。
同スクールでは、選手のフォーム改善を目的に、
河合氏に三年ほど前から定期的な分析を依頼。
これまでは雫石町の県営プールなどで行われていたが、
大船渡市の同スクールでの指導は初めて。
河合氏は、工学的な泳法分析の第一人者で、
数多くのトップスイマーを技術面で支援。
北島選手には、中学三年時からフォーム改善の助言を与え、
アテネ五輪前には科学的な側面も取り入れながら北島選手を支えた
「チーム北島」の一員として、金メダル獲得に大きく貢献。
スクール生への講義と泳法撮影が行われ、
小学生から大学生までの選手と保護者ら約六十入が参加。
講義で河合氏は、模式図や水中映像を使い、
水の抵抗を受けにくいターン技術などを指導。
「種目によりターンで、0・3~0・5秒差が出る」と聞いた選手らは
熱心に耳を傾けていた。
撮影した水中映像にコンピューターで解析を加え、
選手一人ひとりにフォーム改善をアドバイス。
画面上でスクール生と北島選手とのフォーム比較も行われるなど、
レベルの高い指導が展開された。
選手らもその場で体を動かしてフォームを確かめるなど、
指導内容を忘れないよう必死。
「これでタイムが1秒は縮まるはず」、「来年は県新を目指そう」など、
具体的な目標を与えられ笑顔でうなずく姿も。
盛小五年の鈴木寿真くんは、
「前回より泳ぎの姿勢が良くなったと言われてうれしかった。
泳ぎ込みを頑張りたい」と笑顔。
大船渡中一年の佐藤亘くんも、
「教わったことは難しい内容だけど、努力して改善したい」。
http://www.tohkaishimpo.com/
*********************
これは、選手にとって素晴しい経験ですね。
トップレベルのアスリートはどういう指導を受け、泳ぎ方をしているのか、
直接教わり、アドバイスをもらう機会はなかなかないです。
特に地方では。
水泳がもっともっと発展するためにも、
このような機会がたくさんあってほしいですね。
大船渡市大船渡町のマックスイミングスクールで、
アテネ五輪金メダリスト・北島康介選手の泳法分析を担当した
工学博士・河合正治氏によるスクール生対象の泳法技術指導が行われた。
選手らは、世界レベルのアドバイスを熱心に聞き、
今後の飛躍への足がかりとしていた。
同スクールでは、選手のフォーム改善を目的に、
河合氏に三年ほど前から定期的な分析を依頼。
これまでは雫石町の県営プールなどで行われていたが、
大船渡市の同スクールでの指導は初めて。
河合氏は、工学的な泳法分析の第一人者で、
数多くのトップスイマーを技術面で支援。
北島選手には、中学三年時からフォーム改善の助言を与え、
アテネ五輪前には科学的な側面も取り入れながら北島選手を支えた
「チーム北島」の一員として、金メダル獲得に大きく貢献。
スクール生への講義と泳法撮影が行われ、
小学生から大学生までの選手と保護者ら約六十入が参加。
講義で河合氏は、模式図や水中映像を使い、
水の抵抗を受けにくいターン技術などを指導。
「種目によりターンで、0・3~0・5秒差が出る」と聞いた選手らは
熱心に耳を傾けていた。
撮影した水中映像にコンピューターで解析を加え、
選手一人ひとりにフォーム改善をアドバイス。
画面上でスクール生と北島選手とのフォーム比較も行われるなど、
レベルの高い指導が展開された。
選手らもその場で体を動かしてフォームを確かめるなど、
指導内容を忘れないよう必死。
「これでタイムが1秒は縮まるはず」、「来年は県新を目指そう」など、
具体的な目標を与えられ笑顔でうなずく姿も。
盛小五年の鈴木寿真くんは、
「前回より泳ぎの姿勢が良くなったと言われてうれしかった。
泳ぎ込みを頑張りたい」と笑顔。
大船渡中一年の佐藤亘くんも、
「教わったことは難しい内容だけど、努力して改善したい」。
http://www.tohkaishimpo.com/
*********************
これは、選手にとって素晴しい経験ですね。
トップレベルのアスリートはどういう指導を受け、泳ぎ方をしているのか、
直接教わり、アドバイスをもらう機会はなかなかないです。
特に地方では。
水泳がもっともっと発展するためにも、
このような機会がたくさんあってほしいですね。
2007年12月2日日曜日
厄介者の巨大クラゲから、有用ネバネバ成分を抽出!
(NPG Nature Asia-Pacific)
理化学研究所中央研究所環境ソフトマテリアル研究ユニット 丑田公規ユニットリーダー(UL)
数年来、日本海で巨大クラゲが大量発生。
クラゲの傘の直径は1メートルにも達し、重さは100キロ以上。
暖流の対馬海流に乗って日本海を北上してくるが、
その際に、定置網や魚を傷つけ、漁業に深刻な影響を与えている。
ミズクラゲなどの小さなクラゲが大量発生すると、
海水を冷却水に用いている沿岸部の原子力発電所や火力発電所が
運転停止に追い込まれることも。
駆除や解体、廃棄もままならないなか、
クラゲの体から、医薬品や食品添加物として使えそうな
有用物質を抽出するのに成功。
丑田ULらが抽出したのは、糖タンパク質であるムチンの一種。
ムチンは動物の粘液や、里芋、オクラに含まれるネバネバ成分の総称。
抗菌作用や保湿効果をもち、化粧品などに利用されているが、
構造が明らかでないものがほとんど。
丑田ULらが発見したのは、ヒト胃液などの主成分である「MUC5AC」。
古事記のなかに出てくる「久羅下」にちなみ、
「国を生む」という日本語をもじって「クニウムチン」と名付け。
10年前に、細胞の外側の骨格成分「ヒアルロン酸」の研究を始めた。
「ヒアルロン酸も糖鎖高分子の一種で、性質はよくわかってきていた。
2004年の夏頃、大量発生するクラゲの質感をみて、
大部分がヒアルロン酸のような糖鎖高分子ではないかと直感」。
ヒアルロン酸の抽出法をクラゲで試したところ、
大量のクニウムチンが出てきた。
クニウムチンは、8つのアミノ酸の繰り返し構造からなるペプチド鎖をもつ。
「クニウムチンは、アミノ酸配列も糖鎖の構造も、
きわめてシンプルかつ原始的な純度の高いムチン」。
現状では、クニウムチンのような単純なムチンでも人工合成は難しい。
丑田ULは、クニウムチンを原材料にして改変を施すことで、
免疫作用や粘膜の保護作用など、多彩な機能をもつムチンを作り出し、
抗菌剤、保湿剤、人工胃液、食品添加物などの用途に。
「クラゲは食用にもなり、クニウムチンを経口投与しても毒性はない。
きわめてシンプルな構造なので、生体に用いても免疫反応や
アレルギー反応をおこす可能性が非常に低い」。
クニウムチンは、エチゼンクラゲやミズクラゲなどの日本海側でみられる
クラゲに共通して大量に含まれ、クラゲ約1トンから300グラム程度抽出。
「日本で年間数十万トンは発生しているので、ほぼ無尽蔵に原料が存在。
クラゲがムチンをもっていたのは幸運だった」。
その幸運は、丑田ULが長年続けてきたヒアルロン酸の研究、
ムチンの有用性とマーケット拡大を見抜く先見の明がもたらした。
「回収作業で多少の収入が得られるようになれば、
漁業関係者の“ただ働き状態”を軽減することにも」。
今後は研究者や民間企業の手を借りることで、
できるかぎり多くの用途をみつけたい。
http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=60
理化学研究所中央研究所環境ソフトマテリアル研究ユニット 丑田公規ユニットリーダー(UL)
数年来、日本海で巨大クラゲが大量発生。
クラゲの傘の直径は1メートルにも達し、重さは100キロ以上。
暖流の対馬海流に乗って日本海を北上してくるが、
その際に、定置網や魚を傷つけ、漁業に深刻な影響を与えている。
ミズクラゲなどの小さなクラゲが大量発生すると、
海水を冷却水に用いている沿岸部の原子力発電所や火力発電所が
運転停止に追い込まれることも。
駆除や解体、廃棄もままならないなか、
クラゲの体から、医薬品や食品添加物として使えそうな
有用物質を抽出するのに成功。
丑田ULらが抽出したのは、糖タンパク質であるムチンの一種。
ムチンは動物の粘液や、里芋、オクラに含まれるネバネバ成分の総称。
抗菌作用や保湿効果をもち、化粧品などに利用されているが、
構造が明らかでないものがほとんど。
丑田ULらが発見したのは、ヒト胃液などの主成分である「MUC5AC」。
古事記のなかに出てくる「久羅下」にちなみ、
「国を生む」という日本語をもじって「クニウムチン」と名付け。
10年前に、細胞の外側の骨格成分「ヒアルロン酸」の研究を始めた。
「ヒアルロン酸も糖鎖高分子の一種で、性質はよくわかってきていた。
2004年の夏頃、大量発生するクラゲの質感をみて、
大部分がヒアルロン酸のような糖鎖高分子ではないかと直感」。
ヒアルロン酸の抽出法をクラゲで試したところ、
大量のクニウムチンが出てきた。
クニウムチンは、8つのアミノ酸の繰り返し構造からなるペプチド鎖をもつ。
「クニウムチンは、アミノ酸配列も糖鎖の構造も、
きわめてシンプルかつ原始的な純度の高いムチン」。
現状では、クニウムチンのような単純なムチンでも人工合成は難しい。
丑田ULは、クニウムチンを原材料にして改変を施すことで、
免疫作用や粘膜の保護作用など、多彩な機能をもつムチンを作り出し、
抗菌剤、保湿剤、人工胃液、食品添加物などの用途に。
「クラゲは食用にもなり、クニウムチンを経口投与しても毒性はない。
きわめてシンプルな構造なので、生体に用いても免疫反応や
アレルギー反応をおこす可能性が非常に低い」。
クニウムチンは、エチゼンクラゲやミズクラゲなどの日本海側でみられる
クラゲに共通して大量に含まれ、クラゲ約1トンから300グラム程度抽出。
「日本で年間数十万トンは発生しているので、ほぼ無尽蔵に原料が存在。
クラゲがムチンをもっていたのは幸運だった」。
その幸運は、丑田ULが長年続けてきたヒアルロン酸の研究、
ムチンの有用性とマーケット拡大を見抜く先見の明がもたらした。
「回収作業で多少の収入が得られるようになれば、
漁業関係者の“ただ働き状態”を軽減することにも」。
今後は研究者や民間企業の手を借りることで、
できるかぎり多くの用途をみつけたい。
http://www.natureasia.com/japan/tokushu/detail.php?id=60
しっかり眠れば太らない? 小学生対象の米研究
(CNN 2007.11.10)
小学校3年生の時点で、十分な睡眠時間を取っている子どもは、
6年生で肥満になる確率が明らかに低くなるとの研究結果を、
米ミシガン大のチームが発表。
睡眠が足りないと、食欲ホルモンの分泌が乱れたり、
日中の運動不足を招いたりするためではないかと考えられる。
チームでは、連邦当局が過去に実施した調査のデータから、
小学校3年生と6年生の時点の睡眠時間や身長、体重が記録されている
子ども785人を抽出し、相関関係を分析。
3年生の平均睡眠時間は、約9時間半。
7時間しか眠らない子や12時間眠る子も。
同じ子どもたちが、6年生になった時の肥満率に注目。
睡眠時間が9時間未満だったグループと、
10‐12時間眠っていたグループに分けると、
肥満の範囲に入る子の率は前者で約22%、後者で約12%と、明確な差。
3年生の時点で太っていたかどうかという要因を考慮しても、
大きな差があることに変わりはなかった。
さらに詳細な分析の結果、境目は9時間45分の線にあり、
これを超えると肥満率がぐんと下がることが明らかに。
睡眠時間と肥満の関係を調べた研究は、これまでにもいくつか発表。
米シカゴ大の内分泌学者らが成人を対象に実施した調査では、
睡眠が不足すると、体内の食欲増進ホルモン「グレリン」が増え、
食欲抑制ホルモン「レプチン」が減るとの結果が報告。
睡眠が足りない子どもは日中、体を動かすより寝そべって菓子などを
食べている時間が長くなり、これが肥満につながるとの説も。
専門家の間には、「睡眠不足が肥満の原因になるのとは反対に、
肥満が原因で睡眠時無呼吸症候群などが起き、
眠りが妨げられることも考えられる」との指摘もあり、
睡眠時間と肥満の因果関係は確立するまでに至っていない。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200711100001.html
小学校3年生の時点で、十分な睡眠時間を取っている子どもは、
6年生で肥満になる確率が明らかに低くなるとの研究結果を、
米ミシガン大のチームが発表。
睡眠が足りないと、食欲ホルモンの分泌が乱れたり、
日中の運動不足を招いたりするためではないかと考えられる。
チームでは、連邦当局が過去に実施した調査のデータから、
小学校3年生と6年生の時点の睡眠時間や身長、体重が記録されている
子ども785人を抽出し、相関関係を分析。
3年生の平均睡眠時間は、約9時間半。
7時間しか眠らない子や12時間眠る子も。
同じ子どもたちが、6年生になった時の肥満率に注目。
睡眠時間が9時間未満だったグループと、
10‐12時間眠っていたグループに分けると、
肥満の範囲に入る子の率は前者で約22%、後者で約12%と、明確な差。
3年生の時点で太っていたかどうかという要因を考慮しても、
大きな差があることに変わりはなかった。
さらに詳細な分析の結果、境目は9時間45分の線にあり、
これを超えると肥満率がぐんと下がることが明らかに。
睡眠時間と肥満の関係を調べた研究は、これまでにもいくつか発表。
米シカゴ大の内分泌学者らが成人を対象に実施した調査では、
睡眠が不足すると、体内の食欲増進ホルモン「グレリン」が増え、
食欲抑制ホルモン「レプチン」が減るとの結果が報告。
睡眠が足りない子どもは日中、体を動かすより寝そべって菓子などを
食べている時間が長くなり、これが肥満につながるとの説も。
専門家の間には、「睡眠不足が肥満の原因になるのとは反対に、
肥満が原因で睡眠時無呼吸症候群などが起き、
眠りが妨げられることも考えられる」との指摘もあり、
睡眠時間と肥満の因果関係は確立するまでに至っていない。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200711100001.html
2007年12月1日土曜日
健康に必須「オメガ3」 摂取なら、やはり魚
(毎日 2007.11.12)
心臓病やがんの予防、脳や目の機能維持に
効果があるとされるオメガ3脂肪酸。
最近、オメガ3を含むことを売りにした新製品が続々と登場しているが、
含有量の少ないものも多いようだ。
オメガ3を含む商品としては、ミルク、卵、ヨーグルト、コーンフレーク、
オレンジジュース、代用バター、マヨネーズなど。
しかし、栄養学の専門家は、
「オメガ3を多く含む魚を買い物リストから外さない方がよい。
新商品に含まれているオメガ3は微量。
なかには全く含まれていないものもある」と忠告。
公共利益のための科学センターのボニー・リーブマンさんは、
「消費者はミスリードされやすい状況にある。よくラベルを読んでも、
ブレイヤーズ社のスマートDHA(ドコサヘキサエン酸)オメガ3ヨーグルトに、
サケ小さじ1杯分のDHAしか含まれていないことを知ることは難しい」。
ブレイヤーズ社のオメガ3ヨーグルト170グラムに含まれる
DHAとEPA(エイコサペンタエン酸)は30ミリグラム。
これに対し、同に重さの大西洋サケのDHA、EPAは3650ミリグラム。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/071112/bdy0711122328001-n1.htm
心臓病やがんの予防、脳や目の機能維持に
効果があるとされるオメガ3脂肪酸。
最近、オメガ3を含むことを売りにした新製品が続々と登場しているが、
含有量の少ないものも多いようだ。
オメガ3を含む商品としては、ミルク、卵、ヨーグルト、コーンフレーク、
オレンジジュース、代用バター、マヨネーズなど。
しかし、栄養学の専門家は、
「オメガ3を多く含む魚を買い物リストから外さない方がよい。
新商品に含まれているオメガ3は微量。
なかには全く含まれていないものもある」と忠告。
公共利益のための科学センターのボニー・リーブマンさんは、
「消費者はミスリードされやすい状況にある。よくラベルを読んでも、
ブレイヤーズ社のスマートDHA(ドコサヘキサエン酸)オメガ3ヨーグルトに、
サケ小さじ1杯分のDHAしか含まれていないことを知ることは難しい」。
ブレイヤーズ社のオメガ3ヨーグルト170グラムに含まれる
DHAとEPA(エイコサペンタエン酸)は30ミリグラム。
これに対し、同に重さの大西洋サケのDHA、EPAは3650ミリグラム。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/071112/bdy0711122328001-n1.htm
日本語は6位 人気はアラビア語と中国語 米大学履修
(毎日 2007.11.14)
米国の現代言語協会は、全米約2800の大学で
2006年度に学生が履修した外国語の講座数に関する調査結果を発表。
4年前と比べて、フランス語、ドイツ語が伸び悩んだ一方、
アラビア語が倍増、中国語などアジア系言語も人気。
日本語は6位。
「学生は将来、世界がどうなるかを考え言語を履修する傾向がある」。
経済発展が著しいアジアや、政治情勢が激動している中東に
関心が向いていると分析。
外国語の履修者数は、約157万8000人で12・9%の伸び。
1位はスペイン語(伸び率は10・3%)、2位フランス語(同2・2%)、
3位ドイツ語(同3・5%)。
02年には1万584人に過ぎなかったアラビア語の履修者が
2万3974人と一気に126・5%増。
中国語も、51%増で7位に浮上、朝鮮語も37・1%増と健闘し、
アジア系言語が人気を集めていることを示した。
日本語も27・5%増で、アニメや漫画人気が反映。
ユニークなところでは、米国式の手話が29・7%増で4位。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071114/amr0711141021005-n1.htm
米国の現代言語協会は、全米約2800の大学で
2006年度に学生が履修した外国語の講座数に関する調査結果を発表。
4年前と比べて、フランス語、ドイツ語が伸び悩んだ一方、
アラビア語が倍増、中国語などアジア系言語も人気。
日本語は6位。
「学生は将来、世界がどうなるかを考え言語を履修する傾向がある」。
経済発展が著しいアジアや、政治情勢が激動している中東に
関心が向いていると分析。
外国語の履修者数は、約157万8000人で12・9%の伸び。
1位はスペイン語(伸び率は10・3%)、2位フランス語(同2・2%)、
3位ドイツ語(同3・5%)。
02年には1万584人に過ぎなかったアラビア語の履修者が
2万3974人と一気に126・5%増。
中国語も、51%増で7位に浮上、朝鮮語も37・1%増と健闘し、
アジア系言語が人気を集めていることを示した。
日本語も27・5%増で、アニメや漫画人気が反映。
ユニークなところでは、米国式の手話が29・7%増で4位。
http://sankei.jp.msn.com/world/america/071114/amr0711141021005-n1.htm
2007年11月30日金曜日
適応免疫系の細胞は初期の自然免疫応答を調節する
(nature medicine 10月号Vol.13 No.10 / P.1248 - 1252)
Toll様受容体(TLR)は、
病原体関連分子パターンと呼ばれる、保存された微生物構造を認識。
TLRからのシグナル伝達は、
T細胞プライミングを増強する共刺激分子の発現上昇や、
自然免疫系の細胞による炎症性サイトカインの分泌を引き起こす。
リンパ球を欠く宿主は、急性感染で死亡することが多いが、
これはおそらく効果的に病原体を除去する適応免疫応答を欠くため。
しかし本論文では、常在するT細胞が存在しないことで
抑制が解除された自然免疫応答も直接の死因になりうることを示す。
T細胞またはリンパ球を欠損するマウスに、ウイルスを感染させるか、
TLR3のリガンドであるポリ(I:C)を投与すると、
NK細胞と腫瘍壊死因子に依存する形でサイトカインの急激な産生、
つまり「サイトカインの嵐」状態が引き起こされた。
また、野生型マウスでのCD4+およびCD8+細胞の除去、
Rag1欠失マウスへのTリンパ球の移入により、
早期の自然免疫応答の抑制にはT細胞が必要、
これだけで十分であることも明らかになった。
本来的に存在する調節性T細胞の影響に加えて、
休止状態CD4+CD25Foxp3、CD8+ T細胞の自然免疫系細胞との
濃密接触によっても、さまざまな自然免疫系細胞によるサイトカインの
急激な産生増大を抗原非依存的に抑制できた。
したがって、適応免疫系の細胞には、初期自然免疫応答の調節という
予想外の役割があると考えられる。
[原文]Adaptive immune cells temper initial innate responses
Kwang Dong Kim1,2,3, Jie Zhao1,3, Sogyong Auh2, Xuanming Yang1, Peishuang Du1, Hong Tang1 & Yang-Xin Fu1,2 1 Center for Infection and Immunity and National Laboratory of Biomacromolecules, Institute of Biophysics, Chinese Academy of Sciences, 15 Da Tun Road, Chaoyang District, Beijing 100101, China.2 Department of Pathology, University of Chicago, Chicago, Illinois 60637, USA,3
Toll-like receptors (TLRs) recognize conserved microbial structures called pathogen-associated molecular patterns. Signaling from TLRs leads to upregulation of co-stimulatory molecules for better priming of T cells and secretion of inflammatory cytokines by innate immune cells1, 2, 3, 4. Lymphocyte-deficient hosts often die of acute infection, presumably owing to their lack of an adaptive immune response to effectively clear pathogens. However, we show here that an unleashed innate immune response due to the absence of residential T cells can also be a direct cause of death. Viral infection or administration of poly(I:C), a ligand for TLR3, led to cytokine storm in T-cell- or lymphocyte-deficient mice in a fashion dependent on NK cells and tumor necrosis factor. We have further shown, through the depletion of CD4+ and CD8+ cells in wild-type mice and the transfer of T lymphocytes into Rag-1-deficient mice, respectively, that T cells are both necessary and sufficient to temper the early innate response. In addition to the effects of natural regulatory T cells, close contact of resting CD4+CD25-Foxp3- or CD8+ T cells with innate cells could also suppress the cytokine surge by various innate cells in an antigen-independent fashion. Therefore, adaptive immune cells have an unexpected role in tempering initial innate responses.
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200710/nature_medicine/11.html
Toll様受容体(TLR)は、
病原体関連分子パターンと呼ばれる、保存された微生物構造を認識。
TLRからのシグナル伝達は、
T細胞プライミングを増強する共刺激分子の発現上昇や、
自然免疫系の細胞による炎症性サイトカインの分泌を引き起こす。
リンパ球を欠く宿主は、急性感染で死亡することが多いが、
これはおそらく効果的に病原体を除去する適応免疫応答を欠くため。
しかし本論文では、常在するT細胞が存在しないことで
抑制が解除された自然免疫応答も直接の死因になりうることを示す。
T細胞またはリンパ球を欠損するマウスに、ウイルスを感染させるか、
TLR3のリガンドであるポリ(I:C)を投与すると、
NK細胞と腫瘍壊死因子に依存する形でサイトカインの急激な産生、
つまり「サイトカインの嵐」状態が引き起こされた。
また、野生型マウスでのCD4+およびCD8+細胞の除去、
Rag1欠失マウスへのTリンパ球の移入により、
早期の自然免疫応答の抑制にはT細胞が必要、
これだけで十分であることも明らかになった。
本来的に存在する調節性T細胞の影響に加えて、
休止状態CD4+CD25Foxp3、CD8+ T細胞の自然免疫系細胞との
濃密接触によっても、さまざまな自然免疫系細胞によるサイトカインの
急激な産生増大を抗原非依存的に抑制できた。
したがって、適応免疫系の細胞には、初期自然免疫応答の調節という
予想外の役割があると考えられる。
[原文]Adaptive immune cells temper initial innate responses
Kwang Dong Kim1,2,3, Jie Zhao1,3, Sogyong Auh2, Xuanming Yang1, Peishuang Du1, Hong Tang1 & Yang-Xin Fu1,2 1 Center for Infection and Immunity and National Laboratory of Biomacromolecules, Institute of Biophysics, Chinese Academy of Sciences, 15 Da Tun Road, Chaoyang District, Beijing 100101, China.2 Department of Pathology, University of Chicago, Chicago, Illinois 60637, USA,3
Toll-like receptors (TLRs) recognize conserved microbial structures called pathogen-associated molecular patterns. Signaling from TLRs leads to upregulation of co-stimulatory molecules for better priming of T cells and secretion of inflammatory cytokines by innate immune cells1, 2, 3, 4. Lymphocyte-deficient hosts often die of acute infection, presumably owing to their lack of an adaptive immune response to effectively clear pathogens. However, we show here that an unleashed innate immune response due to the absence of residential T cells can also be a direct cause of death. Viral infection or administration of poly(I:C), a ligand for TLR3, led to cytokine storm in T-cell- or lymphocyte-deficient mice in a fashion dependent on NK cells and tumor necrosis factor. We have further shown, through the depletion of CD4+ and CD8+ cells in wild-type mice and the transfer of T lymphocytes into Rag-1-deficient mice, respectively, that T cells are both necessary and sufficient to temper the early innate response. In addition to the effects of natural regulatory T cells, close contact of resting CD4+CD25-Foxp3- or CD8+ T cells with innate cells could also suppress the cytokine surge by various innate cells in an antigen-independent fashion. Therefore, adaptive immune cells have an unexpected role in tempering initial innate responses.
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/nature/200710/nature_medicine/11.html
iPS細胞:ヒトの皮膚から万能細胞 京大などが成功
(毎日 11月21日)
ヒトの皮膚細胞から、心筋細胞や神経細胞などさまざまな細胞に
分化する能力を持つ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を
作り出すことに、日米二つの研究チームが成功。
患者自身の遺伝子を持つ細胞を作り、治療に利用することに道を開く技術。
クローン胚から作る同様の能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と違い、
作成に未受精卵を使うなどの倫理的問題を回避できる。
拒絶反応のない細胞移植治療などの再生医療や新薬開発など、
幅広い応用に向けた研究が加速しそうだ。
京都大などのチーム、米ウィスコンシン大などのチームが発表。
京大の山中伸弥教授と高橋和利助教らは、
体細胞を胚の状態に戻し、さまざまな細胞に分化する能力を
よみがえらせる「初期化」には四つの遺伝子が必要なことを発見し、
昨年8月にマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功。
これを受け、世界の研究者がヒトのiPS細胞の開発を目指し、
激しい競争を繰り広げていた。
山中教授らは、マウスでの4遺伝子と同様の働きをするヒトの4遺伝子を
成人の皮膚細胞に導入し、ヒトのiPS細胞を開発することに成功。
この細胞が、容器内で拍動する心筋や神経などの各種細胞に分化する。
iPS細胞をマウスに注入すると、さまざまな細胞や組織を含むこぶができ、
多能性を持つことが示された。
ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らは、
胎児や新生児の皮膚細胞から、京大チームとは異なる組み合わせの
4遺伝子を使い、iPS細胞を作ることに成功。
世界初の体細胞クローン動物、羊のドリーを誕生させた
英国のイアン・ウィルムット博士は、ヒトクローン胚研究を断念する方針。
クローン胚由来のES細胞より、iPS細胞の方が治療には有望。
一方、初期化に使う4遺伝子にはがん遺伝子も含まれ、
発がんなどの危険性がある。
今後は安全性の確保が研究の焦点に。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071121k0000m040170000c.html
ヒトの皮膚細胞から、心筋細胞や神経細胞などさまざまな細胞に
分化する能力を持つ万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を
作り出すことに、日米二つの研究チームが成功。
患者自身の遺伝子を持つ細胞を作り、治療に利用することに道を開く技術。
クローン胚から作る同様の能力を持つ胚性幹細胞(ES細胞)と違い、
作成に未受精卵を使うなどの倫理的問題を回避できる。
拒絶反応のない細胞移植治療などの再生医療や新薬開発など、
幅広い応用に向けた研究が加速しそうだ。
京都大などのチーム、米ウィスコンシン大などのチームが発表。
京大の山中伸弥教授と高橋和利助教らは、
体細胞を胚の状態に戻し、さまざまな細胞に分化する能力を
よみがえらせる「初期化」には四つの遺伝子が必要なことを発見し、
昨年8月にマウスの皮膚細胞からiPS細胞を作ることに成功。
これを受け、世界の研究者がヒトのiPS細胞の開発を目指し、
激しい競争を繰り広げていた。
山中教授らは、マウスでの4遺伝子と同様の働きをするヒトの4遺伝子を
成人の皮膚細胞に導入し、ヒトのiPS細胞を開発することに成功。
この細胞が、容器内で拍動する心筋や神経などの各種細胞に分化する。
iPS細胞をマウスに注入すると、さまざまな細胞や組織を含むこぶができ、
多能性を持つことが示された。
ウィスコンシン大のジェームズ・トムソン教授らは、
胎児や新生児の皮膚細胞から、京大チームとは異なる組み合わせの
4遺伝子を使い、iPS細胞を作ることに成功。
世界初の体細胞クローン動物、羊のドリーを誕生させた
英国のイアン・ウィルムット博士は、ヒトクローン胚研究を断念する方針。
クローン胚由来のES細胞より、iPS細胞の方が治療には有望。
一方、初期化に使う4遺伝子にはがん遺伝子も含まれ、
発がんなどの危険性がある。
今後は安全性の確保が研究の焦点に。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071121k0000m040170000c.html
2007年11月28日水曜日
バイオ燃料:メキシコで研究、サボテンから
(毎日 11月27日)
エスピノサ・メキシコ外相は、サボテンの一種を原料とした
バイオ燃料(植物由来の代替燃料)について研究中であることを明らかに。
バイオ燃料は、温暖化対策の一環として注目を集めているが、
メキシコでは、トウモロコシを原料とするバイオ燃料を促進している
米国のあおりを受け、主食のトルティーヤの価格が上昇。
エスピノサ外相は、「消費者価格に影響を与えない
バイオ燃料の原料を探す必要がある。サボテンの一種が、
バイオ燃料の生産に適しているかどうか研究中だ」。
また、気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)について、
ポスト京都議定書の枠組み構築に向け、
「合意形成のため日本と密接に連絡を取り合う」と表明。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071127ddm007030098000c.html
エスピノサ・メキシコ外相は、サボテンの一種を原料とした
バイオ燃料(植物由来の代替燃料)について研究中であることを明らかに。
バイオ燃料は、温暖化対策の一環として注目を集めているが、
メキシコでは、トウモロコシを原料とするバイオ燃料を促進している
米国のあおりを受け、主食のトルティーヤの価格が上昇。
エスピノサ外相は、「消費者価格に影響を与えない
バイオ燃料の原料を探す必要がある。サボテンの一種が、
バイオ燃料の生産に適しているかどうか研究中だ」。
また、気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)について、
ポスト京都議定書の枠組み構築に向け、
「合意形成のため日本と密接に連絡を取り合う」と表明。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071127ddm007030098000c.html
概日リズム睡眠障害の管理に関するガイドライン
(Medscape 11月5日)
米国睡眠医学会(AASM)は、概日リズム睡眠障害(CRSDs)の
臨床評価と治療に関する診療パラメーターを発表。
診療パラメーターは、2つの付随する包括的レビューに基づいて、
CRSDsの評価と治療のための勧告を提示。
主な診断ツールは、睡眠記録、アクティグラフィー、
朝型~夜型質問紙調査(Morningness-Eveningness Questionnaire:MEQ)、
生物学的フェーズマーカー(biologic phase markers)、睡眠ポリグラフ計」。
付随レビューは、2部から構成。
第1部は、概日リズム生物学の概要と「外因性」CRSDs
(交代勤務睡眠障害、時差症候群)について、
第2部は、「内因性」CRSDs(睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、
不規則睡眠覚醒リズム、非24時間睡眠覚醒症候群 [非同調型] または
自由継続型)について。
両レビューは、2006年10月までに発表された科学文献を要約したものであり、
Oxford System for Evidence-Based Medicineに準じてエビデンスを評価。
AASMの診療標準委員会は、スタンダード(確実性が最も高いレベル)、
ガイドライン(中間レベル)、オプション(最も低いレベル)の治療勧告のレベルを決定。
改正診療パラメーターでは、アクティグラフィー、光線療法の使用が取り上げられた。
各勧告は次の通り。
* CRSD疑いの患者の評価には、睡眠記録、日記を使用(ガイドライン)。
* CRSDs疑いの患者の評価の一助として、アクティグラフィーが使用。
どのCRSDかにより、勧告の強度は「オプション」から「ガイドライン」まで。
* CRSDsの診断には、睡眠ポリグラフ計は使用されない。
しかし、別の原発性睡眠障害の可能性を除外するためには、
睡眠ポリグラフ計が必要な場合も(スタンダード)。
* CRSDsの通常の臨床評価について、MEQの使用が妥当と言えるほどの
十分なエビデンスは得られていない(オプション)。
* 目の見える患者、見えない患者に、概日周期を判定し、
自由継続型睡眠障害の診断を確定するには、生物学的周期マーカーは有用。
交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進障害、睡眠相後退障害、
不規則睡眠覚醒リズムの診断に、十分なエビデンスはない(オプション)。
* CRSDs治療に、アクティグラフィーは有用な評価尺度(ガイドライン)。
利用できる治療法には、計画的睡眠スケジュール(planned sleep schedules)、
定時の光照射、定時のメラトニン投与、睡眠剤、精神刺激剤、覚醒薬。
* 睡眠スケジュールは、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相後退症候群、
睡眠相前進症候群、不規則睡眠覚醒リズム、自由継続型睡眠障害に使用(オプション)。
* 定時の光照射は、概日障害に使用、奏効度は各診断によって様々(オプション)。
* メラトニン投与は、目の見える患者における交代勤務睡眠障害、
睡眠相前進障害、自由継続型睡眠障害(オプション)、
目の見えない患者の時差症候群、睡眠相後退障害、自由継続型障害(オプション)、
精神運動発達遅滞児における不規則睡眠覚醒リズム(オプション)に使用。
* 夜間勤務者における日中の睡眠を促進または改善に、睡眠剤を用いる(ガイドライン)。
* 時差による不眠の治療には、睡眠薬を用いることも可能(オプション)。
* 精神刺激薬は、時差症候群、交代勤務睡眠障害における覚醒を
改善するために用いる(オプション)が、リスクがあり、慎重な検討が必要。
* 交代勤務睡眠障害患者には、夜間勤務中の覚醒を改善するために
モダフィニル(modafinil)を用いる(ガイドライン)。
「睡眠障害は、内因性と外因性に分類されるが、
各障害の生理学的基盤はそれほど外科的に分かれていない。
内因性因子と外因性因子との組み合わせが各障害を発現させている」。
Sleep. 2007;00:000-000.
米国睡眠医学会(AASM)は、概日リズム睡眠障害(CRSDs)の
臨床評価と治療に関する診療パラメーターを発表。
AASMの診療標準委員会(Standards of Practice Committee)の
Timothy I. Morgenthalerらは、
「概日リズム睡眠障害(CRSDs)に関する臨床研究の文献が増え、
AASMは特別作業部会を招集し、レビューを作成した。
診療パラメーターは、2つの付随する包括的レビューに基づいて、
CRSDsの評価と治療のための勧告を提示。
主な診断ツールは、睡眠記録、アクティグラフィー、
朝型~夜型質問紙調査(Morningness-Eveningness Questionnaire:MEQ)、
生物学的フェーズマーカー(biologic phase markers)、睡眠ポリグラフ計」。
付随レビューは、2部から構成。
第1部は、概日リズム生物学の概要と「外因性」CRSDs
(交代勤務睡眠障害、時差症候群)について、
第2部は、「内因性」CRSDs(睡眠相前進症候群、睡眠相後退症候群、
不規則睡眠覚醒リズム、非24時間睡眠覚醒症候群 [非同調型] または
自由継続型)について。
両レビューは、2006年10月までに発表された科学文献を要約したものであり、
Oxford System for Evidence-Based Medicineに準じてエビデンスを評価。
AASMの診療標準委員会は、スタンダード(確実性が最も高いレベル)、
ガイドライン(中間レベル)、オプション(最も低いレベル)の治療勧告のレベルを決定。
改正診療パラメーターでは、アクティグラフィー、光線療法の使用が取り上げられた。
各勧告は次の通り。
* CRSD疑いの患者の評価には、睡眠記録、日記を使用(ガイドライン)。
* CRSDs疑いの患者の評価の一助として、アクティグラフィーが使用。
どのCRSDかにより、勧告の強度は「オプション」から「ガイドライン」まで。
* CRSDsの診断には、睡眠ポリグラフ計は使用されない。
しかし、別の原発性睡眠障害の可能性を除外するためには、
睡眠ポリグラフ計が必要な場合も(スタンダード)。
* CRSDsの通常の臨床評価について、MEQの使用が妥当と言えるほどの
十分なエビデンスは得られていない(オプション)。
* 目の見える患者、見えない患者に、概日周期を判定し、
自由継続型睡眠障害の診断を確定するには、生物学的周期マーカーは有用。
交代勤務睡眠障害、時差症候群、睡眠相前進障害、睡眠相後退障害、
不規則睡眠覚醒リズムの診断に、十分なエビデンスはない(オプション)。
* CRSDs治療に、アクティグラフィーは有用な評価尺度(ガイドライン)。
利用できる治療法には、計画的睡眠スケジュール(planned sleep schedules)、
定時の光照射、定時のメラトニン投与、睡眠剤、精神刺激剤、覚醒薬。
* 睡眠スケジュールは、時差症候群、交代勤務睡眠障害、睡眠相後退症候群、
睡眠相前進症候群、不規則睡眠覚醒リズム、自由継続型睡眠障害に使用(オプション)。
* 定時の光照射は、概日障害に使用、奏効度は各診断によって様々(オプション)。
* メラトニン投与は、目の見える患者における交代勤務睡眠障害、
睡眠相前進障害、自由継続型睡眠障害(オプション)、
目の見えない患者の時差症候群、睡眠相後退障害、自由継続型障害(オプション)、
精神運動発達遅滞児における不規則睡眠覚醒リズム(オプション)に使用。
* 夜間勤務者における日中の睡眠を促進または改善に、睡眠剤を用いる(ガイドライン)。
* 時差による不眠の治療には、睡眠薬を用いることも可能(オプション)。
* 精神刺激薬は、時差症候群、交代勤務睡眠障害における覚醒を
改善するために用いる(オプション)が、リスクがあり、慎重な検討が必要。
* 交代勤務睡眠障害患者には、夜間勤務中の覚醒を改善するために
モダフィニル(modafinil)を用いる(ガイドライン)。
「睡眠障害は、内因性と外因性に分類されるが、
各障害の生理学的基盤はそれほど外科的に分かれていない。
内因性因子と外因性因子との組み合わせが各障害を発現させている」。
Sleep. 2007;00:000-000.
2007年11月27日火曜日
熊本大:活性酸素減らす物質の体内メカニズム明らかに
(毎日 11月27日)
がんや動脈硬化、老化などの原因と言われる
活性酸素を減らす物質が体内で作られるメカニズムを、
熊本大学大学院医学薬学研究部の赤池孝章教授らのグループが明らかに。
研究が進めば、がんの予防・治療などへの応用につながりそう。
英科学誌「ネイチャー・ケミカルバイオロジー」11月号に紹介。
赤池教授らは、体内で作られ、血管拡張などの働きを持つ
「環状グアノシン1リン酸(cGMP)」という物質が、一酸化窒素と結び付くと、
ニトロ化環状グアノシン1リン酸(8ーニトロcGMP)
という新しい物質になることを発見。
この物質も血管拡張の働きを持つが、
その効果はcGMPの約100倍に達した。
さらに、8ーニトロcGMPが細胞内のある種のたんぱく質と結びつくと、
活性酸素を減らす酵素をたくさん作り出す。
活性酸素は、たばこやアルコール、油の取り過ぎなどで
多く発生するといわれ、動脈硬化やがんなどの原因の一つ。
98年には、cGMPの働きを明らかにした米国の研究者ら3人が
ノーベル医学・生理学賞を受賞しているが、
8ーニトロcGMPの存在や、その働きまではわかっていなかった。
東北大学大学院医学系研究科の下川宏明教授(循環器病態学)は、
赤池教授らの研究について、
「ガンや動脈硬化などの、新しい治療法の開発に結びつく可能性があり、
非常に素晴らしい研究だ」。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071127k0000m040162000c.html
がんや動脈硬化、老化などの原因と言われる
活性酸素を減らす物質が体内で作られるメカニズムを、
熊本大学大学院医学薬学研究部の赤池孝章教授らのグループが明らかに。
研究が進めば、がんの予防・治療などへの応用につながりそう。
英科学誌「ネイチャー・ケミカルバイオロジー」11月号に紹介。
赤池教授らは、体内で作られ、血管拡張などの働きを持つ
「環状グアノシン1リン酸(cGMP)」という物質が、一酸化窒素と結び付くと、
ニトロ化環状グアノシン1リン酸(8ーニトロcGMP)
という新しい物質になることを発見。
この物質も血管拡張の働きを持つが、
その効果はcGMPの約100倍に達した。
さらに、8ーニトロcGMPが細胞内のある種のたんぱく質と結びつくと、
活性酸素を減らす酵素をたくさん作り出す。
活性酸素は、たばこやアルコール、油の取り過ぎなどで
多く発生するといわれ、動脈硬化やがんなどの原因の一つ。
98年には、cGMPの働きを明らかにした米国の研究者ら3人が
ノーベル医学・生理学賞を受賞しているが、
8ーニトロcGMPの存在や、その働きまではわかっていなかった。
東北大学大学院医学系研究科の下川宏明教授(循環器病態学)は、
赤池教授らの研究について、
「ガンや動脈硬化などの、新しい治療法の開発に結びつく可能性があり、
非常に素晴らしい研究だ」。
http://mainichi.jp/select/science/news/20071127k0000m040162000c.html
2007年11月25日日曜日
免疫:「危険」信号
(Nature Reviews Cancer 7(10), Oct 2007)
Toll様受容体(TLR)は、外因性および内因性の「危険」信号を認識するが、
瀕死の腫瘍細胞に対する効率的な免疫応答はどのように起こるのか?
G KroemerとL Zitvogelらは、これまで知られていなかった経路、
化学療法後に死滅しつつある腫瘍細胞がTLRによって認識され、
免疫応答の引き金となる経路について記載。
野生型TLRをもつか、TLR欠損したマウスの足蹠に、
ドキソルビシンまたはオキサリプラチンで治療した瀕死の
胸腺腫、肉腫、結腸癌細胞のいずれかを接種したところ、
腫瘍抗原による再刺激後のT細胞プライミング
(インターフェロンγ産生量を測定)に異常があったのは、Tlr4–/–マウスのみ。
野生型マウスの樹状細胞(DC)が枯渇すると、
瀕死の腫瘍細胞によるT細胞のプライミングは終息。
野生型、Tlr4–/–のいずれかのDCを、瀕死の腫瘍細胞に暴露し、
Tlr4–/–マウスに移入した結果、T細胞を活性化できなかったのは
TLR4のないDCのみであり、免疫応答にはTLR4+ DCが必要。
次に、共沈降法を用いて、瀕死の腫瘍細胞によって放出された
内因性のタンパク質high-mobility group box 1 protein(HMGB1)が
危険信号となり、DC上のTLR4に結合して刺激することで
免疫応答を動員することを明らかにした。
この信号が必要な理由は、HMGB1に対する短い二本鎖RNA(siRNA)
または中和抗体と腫瘍細胞とのプレインキュベーションが、
瀕死の腫瘍細胞によるDCの刺激能力を阻害したため。
瀕死の腫瘍細胞に暴露されたMyd88–/– DCは、
Tlr4–/– DCと同じ挙動をみせたことから、
HMGB1を認識したTLR4は、TLRアダプターである
myeloid differentiation primary response protein(MYD88)を
通じてシグナルを変換する。
HMGB1-TLR4-MYD88経路は、抗癌剤の効果にどう関与するのか?
Tlr4–/–マウス、またはHMGB1のない瀕死の腫瘍細胞は、
初回注入から1週間後に接種した同じ腫瘍細胞に対して、
効率的な抗腫瘍反応を誘発できなかった。
腫瘍が定着したマウスに、TLR4またはMYD88がなければ、
化学療法も局所放射線療法も、野生型マウスにみられたほどの
腫瘍増殖の抑制や生存期間の延長をもたらさなかった。
以上の所見は、患者とどうかかわってくるのだろうか?
白人の8~10%にはTLR4(Asp299Gly)に多型があり、
これが乳癌に対する化学療法の効果を弱める可能性がある。
この多型がTLR4とHMGB1との相互作用を抑え、
DCが瀕死の腫瘍細胞からの抗原を細胞傷害性T細胞に提示するのを妨ぐ。
また、リンパ節浸潤のため、術後にアントラサイクリン類による治療を受けた
非転移性乳癌患者280例を対象に、転移までの時間を分析。
術後5年までの転移率は、野生型TLR4をもつ患者が26.5%に対し、
変異型TLR4をもつ患者は40%であり、
変異型TLR4をもつ患者の無転移生存率も有意に低かった。
瀕死の腫瘍細胞は、治療の成功に必要な免疫応答を誘発し、
現在の化学療法における免疫原性の改善に利用できる可能性がある。
http://www.natureasia.com/japan/cancer/highlights/article.php?i=60561
Toll様受容体(TLR)は、外因性および内因性の「危険」信号を認識するが、
瀕死の腫瘍細胞に対する効率的な免疫応答はどのように起こるのか?
G KroemerとL Zitvogelらは、これまで知られていなかった経路、
化学療法後に死滅しつつある腫瘍細胞がTLRによって認識され、
免疫応答の引き金となる経路について記載。
野生型TLRをもつか、TLR欠損したマウスの足蹠に、
ドキソルビシンまたはオキサリプラチンで治療した瀕死の
胸腺腫、肉腫、結腸癌細胞のいずれかを接種したところ、
腫瘍抗原による再刺激後のT細胞プライミング
(インターフェロンγ産生量を測定)に異常があったのは、Tlr4–/–マウスのみ。
野生型マウスの樹状細胞(DC)が枯渇すると、
瀕死の腫瘍細胞によるT細胞のプライミングは終息。
野生型、Tlr4–/–のいずれかのDCを、瀕死の腫瘍細胞に暴露し、
Tlr4–/–マウスに移入した結果、T細胞を活性化できなかったのは
TLR4のないDCのみであり、免疫応答にはTLR4+ DCが必要。
次に、共沈降法を用いて、瀕死の腫瘍細胞によって放出された
内因性のタンパク質high-mobility group box 1 protein(HMGB1)が
危険信号となり、DC上のTLR4に結合して刺激することで
免疫応答を動員することを明らかにした。
この信号が必要な理由は、HMGB1に対する短い二本鎖RNA(siRNA)
または中和抗体と腫瘍細胞とのプレインキュベーションが、
瀕死の腫瘍細胞によるDCの刺激能力を阻害したため。
瀕死の腫瘍細胞に暴露されたMyd88–/– DCは、
Tlr4–/– DCと同じ挙動をみせたことから、
HMGB1を認識したTLR4は、TLRアダプターである
myeloid differentiation primary response protein(MYD88)を
通じてシグナルを変換する。
HMGB1-TLR4-MYD88経路は、抗癌剤の効果にどう関与するのか?
Tlr4–/–マウス、またはHMGB1のない瀕死の腫瘍細胞は、
初回注入から1週間後に接種した同じ腫瘍細胞に対して、
効率的な抗腫瘍反応を誘発できなかった。
腫瘍が定着したマウスに、TLR4またはMYD88がなければ、
化学療法も局所放射線療法も、野生型マウスにみられたほどの
腫瘍増殖の抑制や生存期間の延長をもたらさなかった。
以上の所見は、患者とどうかかわってくるのだろうか?
白人の8~10%にはTLR4(Asp299Gly)に多型があり、
これが乳癌に対する化学療法の効果を弱める可能性がある。
この多型がTLR4とHMGB1との相互作用を抑え、
DCが瀕死の腫瘍細胞からの抗原を細胞傷害性T細胞に提示するのを妨ぐ。
また、リンパ節浸潤のため、術後にアントラサイクリン類による治療を受けた
非転移性乳癌患者280例を対象に、転移までの時間を分析。
術後5年までの転移率は、野生型TLR4をもつ患者が26.5%に対し、
変異型TLR4をもつ患者は40%であり、
変異型TLR4をもつ患者の無転移生存率も有意に低かった。
瀕死の腫瘍細胞は、治療の成功に必要な免疫応答を誘発し、
現在の化学療法における免疫原性の改善に利用できる可能性がある。
http://www.natureasia.com/japan/cancer/highlights/article.php?i=60561
脳障害のメカニズム解明 てんかんでシナプス減少
(共同通信社 2007年11月8日)
慢性脳疾患のてんかんの中で、薬を服用しても発作が治まらない
「難治性てんかん」の患者が、記憶や学習に障害をきたす場合の
脳のメカニズムを、東京都神経科学総合研究所や大阪大などの
チームがラットなどで解明。
重度の患者に脳機能障害が起こるのを予防する
薬剤の開発につながる可能性があるという。
てんかんの強いけいれん発作が繰り返し起きると、
脳で情報がやりとりされる、神経細胞の接合部「シナプス」の数が減り、
記憶障害などを引き起こす場合がある。
発作が起きたときに、神経細胞内でタンパク質「アルカドリン」が
大量に作られていることを発見。
アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の
表面のタンパク質を減らす働きをすることを突き止めた。
難治性てんかんでは、アルカドリンが過剰になった結果、
シナプス間の接着が切れてシナプスが消失、数が減るらしい。
山形要人・同研究所副参事研究員(神経薬理学)は
「アルカドリンの働きにかかわる酵素を抑える物質が
薬の候補になり得る」。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=60626
慢性脳疾患のてんかんの中で、薬を服用しても発作が治まらない
「難治性てんかん」の患者が、記憶や学習に障害をきたす場合の
脳のメカニズムを、東京都神経科学総合研究所や大阪大などの
チームがラットなどで解明。
重度の患者に脳機能障害が起こるのを予防する
薬剤の開発につながる可能性があるという。
てんかんの強いけいれん発作が繰り返し起きると、
脳で情報がやりとりされる、神経細胞の接合部「シナプス」の数が減り、
記憶障害などを引き起こす場合がある。
発作が起きたときに、神経細胞内でタンパク質「アルカドリン」が
大量に作られていることを発見。
アルカドリンが、シナプス間を接着している神経細胞の
表面のタンパク質を減らす働きをすることを突き止めた。
難治性てんかんでは、アルカドリンが過剰になった結果、
シナプス間の接着が切れてシナプスが消失、数が減るらしい。
山形要人・同研究所副参事研究員(神経薬理学)は
「アルカドリンの働きにかかわる酵素を抑える物質が
薬の候補になり得る」。
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=60626
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