2009年3月14日土曜日

細胞内の掃除、仕組み解明 がん治療に応用も

(2009年3月9日 共同通信社)

細胞内の老廃物や異物を"掃除"して、細胞の健康を維持する
「自食作用」と呼ばれる仕組みの一端を、
大阪大の吉森保教授らのチームが解明、
英科学誌ネイチャー・セル・バイオロジー電子版に発表。

自食作用を促進する物質と、ブレーキをかける物質があるのを発見。
このバランスが崩れると、がんなどの異常が起きる可能性。
吉森教授は、「より詳しい仕組みが分かれば、
がん治療に応用できるかもしれない」

チームは、自食作用を担うタンパク質の一種「ベクリン」に着目
これに、Atg14Lという物質がくっつくと作用が強まり、
ルビコンという別の物質がくっつくと、ブレーキがかかるのを突き止めた。

2つの物質は、複雑な仕組みでバランスを取っているとみられ、
チームはこれが細胞のがん化を防ぐのに不可欠。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/9/93307/

ダライ・ラマ、チベット動乱50周年で声明

(CNN 3月10日)

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は、
チベット動乱50周年にあたる10日、チベット亡命政府が置かれている
インド北部ダラムサラで声明を発表、中国政府がチベット人の生活を
「この世の地獄」にしたとの認識を表明。

ダライ・ラマは、「この50年間はチベットの地と住民に、
多大な苦しみと破壊をもたらした。(チベットの)宗教や文化、言語や
アイデンティティは、今日消滅に近づいている。
手短に言えば、チベット人は死に値する犯罪者のように見なされている

ダライ・ラマは、50年間に様々な出来事があったとしたうえで、
「チベット問題は生きており、国際社会の関心が高まっているという事実は、
確かに成果だ。われわれが真実と非暴力の道を歩み続ければ、
チベットの大義の正当性は優勢になると、わたしは確信している」

中国当局は、ダライ・ラマが中国からの独立を求めていると非難。
ダライ・ラマはチベットの独立ではなく、純粋な自治を求めているとして、
中国の主張を否定。

http://www.cnn.co.jp/world/CNN200903100018.html

学士力(1)「楽勝科目」なし 4年で卒業47%

(読売 3月4日)

「国際教養人」の養成を強力に進める大学がある。

静かな銀世界に包まれた国際教養大学(秋田市)。
教室のドアを開けた途端、英語でまくしたてる声が聞こえた。

「この像から、古代日本人のどのような思考が読み取れるか」
埴輪のスライドを見せながら、英国人教員が日本人学生に問いかける。
古代の遺物から現代の漫画まで、幅広い文化財を教材に
日本人の死生観などを考えさせる授業。
学生たちは頭をひねりながら、「死への恐怖」、「祈り」などと英語で答える。
別の教室では、英語で近代日本の外交政策の歴史を語る講義に、
日本人学生が必死に耳を傾けた。

日本語で行われる「時事問題を読む」の授業は、
学生数(約730人)の1割強を占める留学生向け。
毎回、日本の新聞を教材。
この日は、豪州や韓国の学生らが、オバマ米大統領の就任演説への
論評の違いを話し合った。

「“地球村の住民”にまず必要なのは、お互いの違いを理解すること」
佐野ひろみ准教授(60)が、こうした授業の狙いを強調。

同大は5年前の開学時、教育目標に、大学名と同じ
「国際教養人の育成」を掲げた。
「何をできるようにするか」を明示する海外の大学を、強く意識したため。
弾力的な組織運営や教育を展開できる全国初の公立大学法人として発足、
次々に斬新な教育手法を打ち出してきた。

日本人対象の授業はすべて英語だが、内容は、2年次まで
日本の歴史や文化、政治、経済をテーマにした教養教育に重きを置く。
「国際人に必要なのは、単なる語学力ではない。
日本人としての自己認識が異文化への敬意を生み、
真のコミュニケーション能力を育てる」と中嶋嶺雄学長(72)。
入学式の式辞で毎回、新渡戸稲造の「武士道」を必読書として紹介。

1学年を100人程度に限定し、少人数教育を徹底。
新入生には、外国人留学生と一緒の寮生活を、全学生に1年間の海外留学を
義務づけ、日常的に異文化が体験できる工夫。

成績評価も厳密。
GPA(各科目の評定の平均値)が、3期連続で一定の成績を下回ると、
退学勧告の対象。
これまで勧告は出ていないが、「楽勝科目はありません。とにかくハード」と女子学生。
1期生のうち、4年間で卒業できたのは47・1%。
この数字が苦笑を裏付ける。

厳しい目は、教員にも向けられている。
専任教員49人(半数は外国人)は全員、3年契約の年俸制。
学期に1回、全員が学部長や同僚教員らの授業参観を受け、
教材の選び方や授業の進め方など、細かくチェックを受ける。
この結果を基にした評価と学生の評価を組み合わせて、
翌年度の年俸が決まる。
評価が基準を満たさず、契約が更新されなかった例は少なくない。

“品質”に対する大学側の姿勢は、卒業生の受け入れ先に信頼感を与えている。
採用担当者がキャンパスに足を運んで入社試験をし、
その場で内定を出す例も。
語学力や交渉力が生かせるとして、海外拠点を持つ商社やメーカーの
注目を集め、昨春卒業の1期生は全員、「希望の就職・進学先に進めた」
(キャリア開発室)。留年した学生も今春、希望通りの進路を選べそう。

受験生や保護者らの認識は、企業ほどには広がっていない。
玄関を入って、すぐに目に飛び込んでくるよう張り出されているのは、
国際教養大が上位にランクされた予備校作成の難易度ランキング。
「まだまだ、偏差値が高いことを強調しなければならない。
新設大学のつらさですよ」。中嶋学長は苦渋をにじませた。

◆GPA(グレード・ポイント・アベレージ)

授業科目ごとの成績評価を数値化し、その平均値が一定の水準を
満たしているかどうかで、進級や卒業の可否を認める制度。
文部科学省の2007年の調査では、全大学の約4割、294校が導入、
必ずしも厳密な成績評価にはなっていない。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20090304-OYT8T00197.htm

2009年3月13日金曜日

ヒトiPSで血小板 東大教授ら作成、献血頼らぬ供給に道

(2009年3月9日 毎日新聞社)

さまざまな種類の細胞に分化できるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)
から、止血作用がある血小板の作成に、
東京大の中内啓光教授(幹細胞生物学)らが世界で初めて成功。

血小板は、手術の止血のほか、血が止まりにくい出血性の病気の治療に
不可欠だが、長期保存できない弱点。
実用化すれば、献血に頼らず、血小板を安定供給する道が開ける。
日本再生医療学会で発表。

中内教授らは、山中伸弥・京都大教授が開発した方法で作った
ヒトiPS細胞と、骨髄中の細胞を培養。
複数のたんぱく質を加え、血小板のもとになる細胞「巨核球」に分化。
巨核球から、形状や機能が通常と同じ血小板ができるのを確認。

iPS細胞は、皮膚など体細胞に特定の遺伝子を入れて作るのが一般的だが、
遺伝子の副作用でがん化の危険。

血小板は、遺伝子が存在する核がなく、その影響を受けない。
血小板異常の患者のiPS細胞を作り、遺伝子治療をしてから血小板を作り、
移植するという治療法も現実的に。
血小板は冷蔵保存できず、通常4日ほどで廃棄される。

中内教授は、「赤血球など他の血液成分を作成できる可能性もあり、
献血不要の社会を実現したい」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/9/93250/

ビタミンDに筋力を高める働き発見魚からたくさんDをとろう

(日経ヘルス 3月4日)

ビタミンDには、カルシウムとともに骨を丈夫にするだけでなく、
筋力を高める働きもあることが確認。

研究は、英国の12~14歳の女性99人を対象に、
血液中のビタミンDの濃度と、ジャンプ力との関係を調べた。
ジャンプ時の動きと力を解析した結果、血中ビタミンD濃度が高い人ほど、
ジャンプは高く、速く、筋力も高いことが示された。
「筋肉や骨のカルシウムとリンの調節や、たんぱく質合成の促進など、
ビタミンDの様々な働きによるものだろう」

ビタミンDの1日当たりの目安量は、12~14歳では4μg、成人は5μg。
ビタミンDは、日光に当たると皮膚で合成されるが、
食品では魚、キクラゲなどのキノコ類に多い。

100g当たりにクロカジキなら38μg、シロサケで32μg、カレイで13μg、
春カツオで4μgのビタミンDが含まれている。
魚を食べて、骨も筋力も強くしよう。

(J. Clin. Endocrinol. Metab.;94,559-563,2009)

http://nh.nikkeibp.co.jp/article/nhpro/20090304/103227/

中原誠名誉王座・十六世名人が引退表明

(日経 3月11日)

名人15期などの記録を打ち立て、将棋界に一時代を築いた
中原誠名誉王座・十六世名人(61)は、現役を引退すると発表。
2008年8月に脳出血で倒れ、公式戦を休んで療養。

中原氏は、「復帰に向けてリハビリに励んできたが、元通りとはいかず、
これまで以上にいい成績やいい棋譜を残すのは難しいと判断。
十分に勝負を堪能したので、悔いはない」

中原氏は宮城県出身。1965年、四段に昇段しプロ棋士に。
早くから将来を嘱望され、「棋界の太陽」と称された。
72年、24歳で大山康晴十五世名人を破って名人となり、
78年、大山氏に次ぐ史上2人目の5冠を達成。

大局観に優れ、「自然流」と呼ばれるおおらかな棋風が持ち味。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090311AT1G1103311032009.html

2009年3月12日木曜日

「あきらめない姿、見て」 1型糖尿病の岩田稔投手 WBC、侍ジャパン支え

(2009年3月9日 共同通信社)

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の「侍ジャパン」に、
相手チームだけでなく、1型糖尿病とも闘う左投手がいる。
阪神タイガースの岩田稔選手(25)。
今も1日4回のインスリン注射を続ける。

全国の1型糖尿病患者は推定5万-10万人。
「あきらめずに頑張れば、何でもできる」
同じ病気を抱える子どもらをマウンドでのプレーで励ますつもり。

大阪桐蔭高校の野球部時代、ウイルス感染がもとで1型糖尿病を発症。
1型は、肥満など生活習慣が原因の「2型糖尿病」とは違い、
インスリン注射で普通の生活を送ることができるが、
完治できる治療法はまだない。

社会人野球チームから採用を断られ、野球をやめようと思ったが、
家族や友人の支えで関西大に進学。
2005年、阪神に入団。昨年、初勝利を挙げ10勝。
178センチ、85キロ。最速150キロの直球とカーブが武器。
投手の球数制限があるWBCでは、"生命線"とされるリリーフを担う。

1型糖尿病の研究を助成する基金を設立している患者団体
「日本IDDMネットワーク」(事務局・佐賀市)。
昨年12月、患者の子どもたちを集めて名古屋市で開いた
クリスマス会に、岩田投手の姿があった。
自身の闘病体験を交え、子どもたちの質問に一つ一つ答えた。

シーズン中、患者の子どもたちを甲子園に招いたこともある岩田投手。
以前から親交があったネットワークの井上龍夫理事長(56)に、
「子どもたちのために何かしたい」と常々語っていた。
自主トレ中の沖縄県で、「シーズン中、1勝するごとに10万円を寄付したい
今シーズンの目標は15勝。

「1型糖尿病の選手でもこれだけ活躍できる、と世界にアピールしてほしい」
井上さんは登板を心待ちにしている。

▽1型糖尿病

IDDM、インスリン依存型糖尿病とも言われ、自己免疫によって起こる。
血糖を下げる作用を持つ必須ホルモンであるインスリンを、
体内で作れなくなってしまう病気。
現在、完治のための効果的な治療法はなく、
生涯にわたり血糖測定をしながら毎日数回のインスリン自己注射または
ポンプによるインスリン注入を続けることが必要。
糖尿病患者の99%を占める2型(成人型)とは、
原因も治療法の考え方も異なる。
1988-89年、巨人で計21勝を上げたガリクソン投手も1型

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/9/93341/

「選択と集中」の限界

(日経 2009-03-03)

自動車、電機といったわが国を代表する製造業が苦境に。
電機は、大手が2009年3月期に軒並み巨額の赤字を計上。
1980年代後半のバブル後の「失われた10年」を、
各社は不採算部門からの撤退とそれに伴う人員削減で乗り切ってきた。
経営者たちは、改革の過程でしばしば「リストラ」というネガティブな
表現の代わりに、口当たりの良い言葉を探した。
その結果、経済界で流行語になるほど多用される言葉が登場。
それが「選択と集中」である。

最も早く「選択と集中」という言葉を使った経営者は、おそらく石油化学品大手、
東ソーのトップだった山口敏明氏(2000年死去)。
1988年、シリコンウエハー事業からの撤退を迫られ、
赤字事業や将来性のない研究テーマを切り捨てる方針を
説明する標語として、これを掲げた。
強気の経営と奔放な性格で、「タイガー山口」との異名を持つ
名物トップだっただけに、事業撤退の悔しさを自ら癒やす狙い。

経営戦略のスローガンとして、「選択と集中」を唱えたのは、
1992-96年に東芝社長を務めた佐藤文夫・現相談役。
社長就任早々、全商品分野の3分の1を対象に
事業を見直す方針を打ち出し、93年には東証2部上場の子会社だった
東芝鋼管の新日本製鉄への譲渡、約7割出資していた
音響機器製造会社オンキヨーの売却(正式な株式譲渡は95年)など。

この路線は、西室泰三・現相談役(社長在任1996-2000年)、
岡村正・現会長(2000-05年)、西田厚聡・現社長(05年-)と、
佐藤氏以後の歴代トップが受け継いだ。
東芝が、「『選択と集中』の優等生」と呼ばれてきたのは、
4代にわたる社長が舵を取ってきた一連の改革の蓄積。

2000年、「ITバブル」がはじけて以降、
3つの過剰(設備・雇用・債務の過剰)の解消が喫緊の経営課題となった
大手電機各社に対し、証券アナリストたちは、「選択と集中」の進ちょく度を
企業や経営者の評価の物差しとしてきた。

赤字垂れ流しの元凶とされたDRAMやコモディティー(汎用品)化が進んで、
採算が厳しくなったAV(音響・映像)機器などの再編
(撤退や他社との事業統合)が進み、その過程で洗濯機や冷蔵庫などの
白物家電から原子力発電までを網羅する「総合電機」という
業態呼称は半ば死語と化した。

ところが、「選択と集中」の神通力がにわかに失せた感がある。
「選択と集中」の優等生、東芝、シャープ、NEC、パイオニアなどが、
09年3月期に最終損益は赤字に転落。
最終赤字の金額もNEC2900億円、東芝2800億円、パイオニア1300億円、
シャープ1000億円と、途方もない水準。

優等生だけが危機に瀕しているのではない。
アナリストから「選択と集中」の遅れを指摘されてきた日立製作所は7000億円、
HDD(ハードディスク駆動装置)事業の売却・再編で「優柔不断」といわれてきた
富士通も500億円の最終赤字を計上。

昨今の日本のエレクトロニクスメーカーの業績急降下の局面で、
「選択と集中」が進んでいようが遅れていようが、結果に大差はなかった。
進ちょく度はさして意味を持たなかったのではないか。

問題はこれからだ。
「選択と集中」を進めてきたメーカーは、事業見直しの手を緩める気配はない。
パイオニアは構造改革案で、プラズマテレビから完全撤退し、
カーナビゲーションなどカーエレクトロニクス事業への傾斜を一段と強める方針。
家庭用オーディオ分野で、「Pioneer」の名門ブランドがやがては消える予感。

縮小均衡を目指す「選択と集中」の追求の果てに、
日本のエレクトロニクスメーカーは未来を見いだせるのか?
実をつけなくなった枝を、次々に切り落としていったのが「選択と集中」の経営、
数少なくなった選りすぐりの枝の葉に勢いがなくなってきたのが現状。
実を結ばない枝を切り落とし続ければ、
いずれは枝そのものが消えうせてしまうのではないか。

「選択と集中」が間違っているとは誰も言わない。
その追求には限界がある。
優等生の東芝では1990年代半ば、原子力事業を他社との統合・再編の
候補として検討したことがあった(最有力候補はライバルの日立製作所)。
当時、国内の原発新設計画は先細り、海外でも1979年のスリーマイル島
原発事故をきっかけに、米国の新規立地凍結などにより需要は減退。
原子力事業の先行きは視界不良。

米ブッシュ政権の原発凍結見直しや2003年のイラク開戦前後からの
原油価格高騰で、様相は一変。
06年、東芝は米原子力大手ウエスチングハウス(WH)を買収、
一気に事業拡大へと路線転換。

東芝の09年3月期の部門別営業損益予想をみると、
原子力事業を含む社会インフラ部門は353億円の黒字。
電子デバイス部門(1978億円の赤字)や家庭電器部門(154億円の赤字)の
不振とは際立った対照。
巨額の半導体投資が裏目に出た西田社長にとって、
乾坤一擲のWH買収はまさに干天の慈雨。
不作為や偶然の産物だったとしても、原子力事業の芽を摘まなかった
歴代社長の経営判断は評価されていい。

「選択と集中」だけでは、企業は存続はできても成長は難しい。
エレクトロニクスメーカーのような、ものづくりの先端技術を事業基盤とする
企業にとって、次世代をにらんだ事業の芽は不可欠。
業績回復の道筋が見えない閉塞状況が続く中で、
あえて新芽を育む逆張り経営を問いたい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/mono/mon090226.html

細胞内のたんぱく質、生体での観察に成功…京大教授ら

(2009年3月5日 読売新聞)

人の細胞内にあるたんぱく質の様子を、生きたまま観察する手法を
京都大学の白川昌宏教授らが開発、免疫機能に関係するたんぱく質に
免疫を抑える薬がとりつく様子を観察することに成功。

たんぱく質に対する薬の働きを、実際の生体反応として確認できる成果。
英科学誌ネイチャーに発表。

たんぱく質の構造は、そのたんぱく質に付けた「安定同位体」という
元素に注目して分析
これまでは、人の生きた細胞に、安定同位体を付けたたんぱく質を
取り込ませる方法がなかった。

白川教授らは、たんぱく質を細胞の表面に集めたうえで、
細胞内に引きずり込む手法を開発。
実際に、免疫抑制剤が目標のたんぱく質にとりついた様子が観察。

別の観察では、生体内でのたんぱく質の動きや安定性が、
試験管の実験とは異なる可能性もわかった。
白川教授は、「我々の手法だと、薬が実際に生体内で働く様子を
確認しながら、新薬を開発することができる」

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/5/93122/

立体的心筋細胞づくり成功 形自由、再生医療に応用へ

(2009年3月5日 共同通信社)

九州大は、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)を基にした
心臓の細胞だけから、心臓と同様に拍動する立体的な
心筋細胞の構造体をつくることに成功。

これまでは、シート状のものしかつくれなかった。
形も自由にできるため、将来は軟骨や臓器など
幅広い再生医療への応用が期待。

九州大の中山功一特任助教(整形外科)らのグループが、
ばらばらの細胞が約1万個単位に集まった塊を、
血液代わりの培養液の中で針や糸に付着させて特定の位置に
24-48時間固定、立体的な構造体をつくる技術を新たに開発。

立体的な構造体をつくるには、別の生体材料との組み合わせが必要。
細胞のみで立体構造体をつくろうとすると、厚みのために培養液が
浸透しなくなり壊死していた。
希望通りに形づくれる新技術では、網状や筒状に立体化させて
内部にすき間を多数つくることで生存率を高めた。
厚さ約1ミリのハート形構造体を、培養液内で積み上げると拍動が確認。

将来は患者自身の細胞だけを使い、
移植のための臓器をつくることも理論的には可能。
研究成果は、日本再生医療学会で発表。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/5/93129/

2009年3月11日水曜日

減量のための身体活動ガイドライン改訂

(2009年3月3日 Medscape)

米国スポーツ医学会(ACSM)は、成人の減量および体重再増加予防の
ための適切な身体活動(PA)に関するガイドラインを改訂。
2001年ACSM勧告の改訂版で、
『Medicine & Science in Sports & Exercise』2月号に掲載。

2001年の勧告では、減量を必要とする成人の同定、推奨体重減少量、
食事制限、レジスタンス・エクササイズの実施、薬物療法の使用、
行動療法などが取り上げられた。

ASCMのJoseph E. Donnellyらは、
「改訂の目的は、新しい情報より、2001年のガイドラインの推奨量よりも
多くのPA量が必要な可能性がある。
今回は、National Weight Control Registry(NWCR)、米国医学研究所(IOM)
による体重管理に必要なPA量に関する情報を受けて改訂」

過体重や肥満は、さまざまな慢性疾患に関連する。
成人の66%以上が過体重、肥満で、体重管理のガイドラインが必要。
米国立心臓肺血液研究所(NHLBI)のガイドラインは、
肥満者に対し、10%の減量を推奨、3%-5%の減量で健康上のリスクが減少。

体重増加の予防、減量、体重再増加の予防のため、
軽度の身体活動は1.1-2.9METS、中等度の身体活動は3.0-5.9 METS、
強度の身体活動は6 METS以上と定義。

2001年のACSMガイドラインは、過体重および肥満の成人に対し、
健康改善のために中等度のPAを週150分以上、
長期減量のために週200-300分行うよう勧めていたが、
改訂ガイドラインは、週150-250分の中等度PAは体重増加の予防に有効、
減量にはあまり効果的ではない。

PA量が多い場合(週250分以上)に、体重減少。
適度な食事制限で、週150-250分の中等度PAは減量に有効。
週250分以上のPAは、減量後の体重維持に有効、
PAが減量後の体重再増加の予防に有効かの確認試験は行われていない。

レジスタンストレーニングは体重減少を促進しないが、
健康上のリスクを減少、除脂肪量を増加、脂肪量減少を促進。
持久PAやレジスタンストレーニングは、体重減少がなくても、健康上のリスク減少。
PAが、体重増加の慢性疾患リスクを予防するかは、エビデンスが不十分。

65歳以上を対象とした研究はほとんどないが、
高齢者の体重減少は、除脂肪量減少、骨量減少を引き起こす。
体重増加の予防、減量、体重維持のためのPAの効果は個人差がある。

AIDS、1型糖尿病など、体重に影響を及ぼす併存症を有する患者を対象、
薬物療法を用いた試験は除外、
高血圧、心血管疾患、2型糖尿病など薬剤を使用している患者を
対象とした試験は検討の対象。

具体的な臨床勧告、支持するエビデンスのレベルは次の通り。
1)体重増加の予防に、週150-250分(1200-2000kcal/週)のPAが
3%以上の体重増加を予防(エビデンスレベルA)。


2)PA量が多いほど減量効果が高く、体重減少量は、
週150分未満のPAでわずか、週150分以上では約2-3kg、
週225-420分以上では5-7.5kg(エビデンスレベルB)。

3)減量後の体重を維持に、週約200-300分のPAが体重再増加を
最小限に抑えるのに有用、「多ければ多いほど良い」。
体重再増加の予防に必要なPA量のエビデンスはない(エビデンスレベルB)。

4)ライフスタイルPAは、あいまいな用語で、
肥満につながるエネルギーのアンバランスの改善(エビデンスレベルB)。

5)厳しい食事制限ではなく、適度な食事制限を行った場合、
PAは減量を促進する(エビデンスレベルA)。

6)レジスタンストレーニングは、食事制限の併用の有無にかかわらず、
減量に無効。エネルギー制限時、除脂肪量の増加・維持、体脂肪の減少を促進。
高比重リポ蛋白コレステロール低値、低比重リポ蛋白コレステロール高値、
インスリン感受性、血圧など慢性疾患のリスク因子を改善(エビデンスレベルB)。

「ACSMは、体重増加の予防、関連慢性疾患リスク因子の改善に、
中等度のPAを150分/週以上行うよう勧めている」
「肥満者に対し、PA量が多いほど効果が高く、中等度のPAを
約250-300分/週(約2000kcal/週)で、大きな減量効果、
体重再増加予防効果が得られる」

米保健福祉省(Department of Health and Human Services:HHS)
米国人のための身体活動ガイドライン
(Physical Activity Guidelines for Americans)の 勧告と一致。

出典Med Sci Sports Exerc. 2009;41:459-471.

http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/3/3/92944/

万能細胞で心筋梗塞改善 阪大がマウス実験で

(2009年3月4日 共同通信社)

さまざまな組織に成長できる新型万能細胞「iPS細胞」を使い、
マウスの心筋梗塞の症状を改善させる実験に、
大阪大の沢芳樹教授(心臓血管外科)と大学院生三木健嗣さんらの
グループが成功。日本再生医療学会で発表。

グループは、マウスのiPS細胞を心筋の細胞に成長させ、
直径約1センチのシート状にした。
これを、人工的に心筋梗塞にしたマウス計8匹の心臓の患部に
張り付けたところ、4匹で血液を送り出すポンプ機能が改善。

残る4匹は、移植した細胞が良性の腫瘍を形成。
安全性を高める工夫が必要なことも明らかに。

iPS細胞は、未分化なまま移植すると、腫瘍になる恐れがある。
グループは独自開発の培養法を用いて、iPS細胞の99%以上を
心筋細胞に分化させていた。

わずかに残った未分化細胞が腫瘍になったらしい。
三木さんは、「実用化には、さらに高純度の心筋を得る技術が必要

沢教授らは2007年、心臓病患者の太ももの筋肉を培養して
シート状にしたものを心臓に張り、心機能を回復させることに成功。
人のiPS細胞からつくった心筋シートを、臓器の大きさなどが
人と近いブタに移植する実験を始める計画。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/4/93049/

花粉症対策、地域で差 関東はマスク派

(2009年3月9日 毎日新聞社)

関東人はマスク好き?
ウェザーニューズが、男女約2万5000人を対象に実施した
花粉症対策の調査で、マスクで対処する人が関東地方に集中。
他の地方では、薬や食べ物で対応する人が多かった。

同社の携帯サイト利用者に対して、花粉症対策(複数回答)と
それにかける費用を尋ね、回答者の居住地ごとに集計。

「マスク」を挙げた人が最も高かったのは、茨城で61・4%。
神奈川61・1%、千葉60・8%、東京58・6%、静岡57・7%と、
上位に関東の各都県が入った。
「薬」は鳥取、「目薬」「食べ物」「飲み物」はいずれも秋田が1位。

対策費用が最も高かったのは青森で、1カ月あたり2380円。
隣の秋田は1091円で最下位。
同社は、「両県の花粉の飛散量は22位と23位でほぼ同じだが、
かける金額が違うのは県民性の違いではないか」と分析。

同社は、全国約500地点での計測データをもとに、
花粉の飛散量と予報をインターネット上の「花粉チャンネル」
http://weathernews.jp/pollen/)で提供。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/9/93279/

シャープの「第2世代薄膜太陽電池モジュール」

(日経 2月18日)

日経優秀製品・サービス賞 2008優秀賞
◇シャープの「第2世代薄膜太陽電池モジュール」

優秀賞のシャープの第2世代薄膜太陽電池モジュールは、
太陽光を電力に変える変換効率がモジュールベースで業界トップクラス。
海外で増えている大規模な太陽光発電施設向けの戦略商品。

第2世代薄膜太陽電池モジュールでは、
縦横1メートル×1.4メートルのガラス基板を採用。
2005年、量産を始めた第1世代薄膜太陽電池モジュールに比べ、
基板面積は2.7倍に拡大、生産コストを引き下げられる。
変換効率は、モジュールベースで9%と薄膜太陽電池では業界トップクラスで、
1枚のモジュールで128ワットの高出力を実現。

ガラス基板の上に厚さ2マイクロメートルのシリコンの薄膜を形成、
シリコンをおよそ200マイクロメートルの厚さにスライスして作る
結晶型太陽電池に比べ、シリコン使用量が100分の1で済む。
材料節約と基板の大型化で、生産コストを引き下げる。

薄膜太陽電池の性能は、シリコン膜を形成するプラズマCVD
(化学的気相成長法)装置によって決まる。
シャープは装置を自社開発し、その装置の中で技術革新。

今回は、大面積のガラス基板に高品質な膜を「高スループット」、
均質な膜を短い時間で形成できる技術を確立して、
太陽電池としての性能を高められるように工夫。
今後は、膜を多層化することで変換効率を引き上げていく。

現在は、アモルファス(非結晶)シリコンと微結晶シリコンの薄膜を重ねる
「タンデム」構造。
10年3月までに稼働させる堺市の新工場では、
アモルファス2層と微結晶1層の「トリプル」構造に切り替え、
変換効率も10%に高める予定。

薄膜型太陽電池は、結晶型に比べ大きさがかさばるデメリットがあるが、
住宅の屋根ではなく平地に設置する大規模な太陽光発電施設に適している。
技術を進化させ、「メガソーラー」時代を切り開いていきたい。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/award2008/awa090219.html

2009年3月10日火曜日

高気圧カプセル"解禁" JADA「禁止しない」

(2009年3月4日 共同通信社)

ドーピング違反にあたるなどの疑いから、
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の使用自粛要請の対象になった
「高気圧カプセル」が、国内スポーツ界で使用を再開できる見通し。

JADAの理事会で、河野一郎理事長が「高気圧カプセル」について、
「世界反ドーピング機関(WADA)が、現時点で使用効果が
はっきりしないから禁止しないとし、それに従う」との見解を初めて示した。

この問題で、昨年12月に約10億円の損害賠償を求めて提訴する方針を
示した米国の販売業者、オキシーヘルス社の幹部は、
「JADAが高気圧カプセルに関して正式に見解を示せば、提訴を取り下げる」

一般的にいわれる「酸素カプセル」は、酸素濃度と気圧の両方を高める
医療機器の「高圧酸素カプセル」と、酸素濃度を変えずに空気圧を高める
健康器具の「高気圧カプセル」の2種類。

後者は、けがの治癒や疲労回復に効果があるとされ、
サッカーのイングランド代表ベッカムや夏の高校野球で優勝した
当時早実の斎藤佑樹投手(早大)が使用して話題。

JADAは、北京五輪前に医療機器の「高圧酸素カプセル」の
使用自粛を呼び掛けた。
十分な説明が不足し、現場では「高気圧カプセル」の使用をめぐって混乱。

今年に入り、業者には箱根駅伝や春の選抜高校野球の関係者から
「カプセルを使いたいけど使えない」との問い合わせが殺到。
業界団体の日本国際健康気圧協会は、
「使用自粛で打撃を受けた業者が多く、解禁は大歓迎。
JADAは途中から見解をすり替えた」と批判。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/3/4/93067/

若手研究者支援NPO発足

(サイエンスポータル 2009年3月4日)

ポスドクを初めとする若手研究者が、知的能力を発揮する場の拡大や、
市民や子どもたちの科学に関する関心を高めることを目指す
NPO 法人「知的人材ネットワークあいんしゅたいん」が発足。

「知的人材ネットワークあいんしゅたいん」は、
博士号を持つ物理学者の働く場を広げる活動を続けて来た
坂東昌子・愛知大学名誉教授らが中心になって設立。
法人設立を機に、物理学者だけでなく若手科学者全体に対象を広げて、
支援活動を活発化することを目指す。

理事長の坂東昌子さん、名誉会長の佐藤文隆・京都大学名誉教授らは、
NPO法人の当面の目標として、
「ポストドクターなどのキャリアアップのための情報提供・啓発」、
「メディアを活用した科学教材などの開発」、
「科学映像教材の教育諸機関への普及」、
「市民・子供たちの科学に対する興味・関心の向上」、
「女性がいきいきと働ける環境づくりのための啓発・支援」などを挙げた。

人を育てることの大切さ、2009年度から実施される
「教員免許更新講習制度」の重要性を指摘し、
学校教員と大学教員・研究者の双方に対して、
教員免許更新講習制度を互いの交流の場の創造に、
積極的に活用することを呼びかけるアピールを出した。

坂東理事長は、京都大学大学院博士課程時、自身の子育てと研究を両立し、
同じような研究者も支援することを目的に、
京都大学内に保育園を作ったことでも知られる。

「今日まで研究者として、女性として、母として、子どもたちを通して、
さまざまな縦糸・横糸でつながったネットワークの中で
たくさんの仲間と知り合い、目標に向かってともに歩んできた。
知的人材、特に次代を担う若い人たちがその持てる力を発揮できる
環境づくりのため、科学を万人のものにするためのさまざまな取り組みを、
蓄積してきたネットワークを基礎に、皆さんと一緒になって
希望の持てる未来へ向かって協力しあいたい」

http://www.scienceportal.jp/news/daily/0903/0903041.html

身の回りの熱を電気に変えよう

(日経 2009-02-27)

暖房器具は、体だけ暖めてくれればいいのだが、
そんなに都合良くはいかない。
ほとんどの熱は、周りに捨てられる。実にもったいない話。
日本企業が開発中の技術が、この問題を解決しようとしている。

身の回りに捨てられていた熱を、もう一度電気に戻す「熱電発電」。
読んで字のごとく、熱を電気に変える技術。

静岡県磐田市にあるヤマハの豊岡工場
新製品開発を進めるプロダクティブテクノロジー事業戦略推進部の
堀尾裕磨部長に、大手の住宅やサニタリーメーカーから問い合わせが。
堀尾部長らが開発した、室温付近の熱も電気に変えられる熱電発電技術。

「身の回りに捨てられている低品位の廃熱も逃さない」と、
開発中の技術を4年前から講演や技術誌で紹介。
低品位とは、利用しにくいという意味。
100度を超える高温なら、水を沸騰させてタービンを回して発電する手がある。
室温付近の熱を電気に変える実用的な技術は無かった。

ヤマハは、2種類の材料を接合して電気を流すと吸熱・発熱する
「ペルチェ効果」を使う製品開発には、長年の実績。
精密機器を温度制御する素子を販売。
ペルチェ効果とは反対に、材料の接合部を加熱したり冷却したりすると、
電気が流れる「ゼーベック効果」を使う熱電発電の研究。
05年、実用的に使える熱電発電技術を開発。

住宅関連メーカーは、この技術に注目。
利用できる場所は、床暖房。
暖房は、床の上にくる熱を利用するが、実は熱は床の下にも逃げる。
お風呂やトイレも、無駄に捨てている熱だらけ。
これらを電気に変えれば、省エネにつながる。
ヤマハと各社との間で、実用化に向けた共同開発の話し合い。

原子力や火力、水力など、様々な種類の巨大な発電設備を手がける東芝も、
熱電発電の開発に取り組んでいる。
実験場は、湯治場で知られる群馬県の草津温泉。
95度の源泉の熱を電気に変える。
05年、運転を始めた商品第1号は3年以上たった現在も、
150ワットの電気を発生し続けている。

「太陽電池に比べ、同じ面積なら発電量は6倍」
東芝電力システム社の環境・機能性材料開発担当の新藤尊彦主査は、
草津の発電能力を試算。

熱電発電の普及のカギを握るのは、価格。
100度近い温泉で使う装置の価格は、今のところ太陽電池の数倍。
個人経営の温泉宿や個人宅では、まだ導入しにくい。
草津温泉では、価格が高くなった理由がある。
お湯は、水素イオン濃度(pH)は2という強い酸性のため、
それを通すのに高価なチタン合金の管を使った。

中性やアルカリ性のお湯なら、安価なステンレス管を使える。
普及すれば、量産効果で装置の価格が下がる。
今後は、全国の温泉地を歩いて地道に営業活動をすすめる考え。

熱は、身の回りの様々な場所で捨てられている。
国内で、産業によって排出される150度以下の熱は、
年間で1000億カロリーという試算データも。
これらをすべて熱電発電で電気に変えることは不可能だが、
利用する価値はある。

応用の余地はいくらでもあるだろう。
ゼーベック効果を示すハイテク繊維を作れば、
体温で発電する衣類や寝具も作れる。
電気は、フレキシブルな二次電池に蓄えて再利用できる。
熱電発電の基本的な技術は、すでに開発されている。
子供から大人まで、様々な利用のアイデアが求められる。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/techno/tec090225.html

新しい波/294 市民マラソン熱/2

(毎日 2月28日)

ジムで走り始めて1年余りの大手電機メーカー勤務、高橋裕輔さん(37)は
昨秋から週に2度、退社後に皇居外周などで行われる
ランニング教室に参加する。
主催は、「セカンドウィンド・アスリートクラブ」。
実業団女子の資生堂を率いた川越学監督(46)が退社後、
07年4月に設立したクラブチーム。

昨年の東京国際女子2位の加納由理、北京五輪6位のマーラ・ヤマウチら
トップ選手をはじめ、サポーターも含めて約600人がチームに所属。
約300人が、選手やスタッフから指導を受ける。
フルマラソン3時間半以内の上級者から初心者まで、
4段階に分けて設定された教室には、毎回約50人が集まる。

川越監督は、90年代後半以降の相次ぐ企業スポーツ部の休廃部で、
仲間が走る場を失っていく様子に危機感。
「景気や業績に左右されない道はないものか」と思案した末、
欧州のサッカークラブの運営も参考に、クラブ発足に踏み切った。
大きなスポンサーを持たず、トップからビギナーまで幅広く網羅する
運営形式は国内で異例。

クラブで指導を受けるには、サポーター(年会費8400円)に入会した上で、
教室参加費(月額6300円)が必要。
運営費とトップ選手の強化費を賄う。
川越監督は、「市民と接点を持つと、誰の指導も受けずに
走っている方が多いのに驚いた。ノウハウを持っている立場として、
役割を果たしていける」と確信。

ランニングブームの追い風を受けて、教室参加者は右肩上がり。
川越監督は、「トップ選手を効率よく強化し、世代交代を図っていくかが難しい。
安定してサポーターを確保するためにも、シンボルである選手の強化に
ウエートを持っていきたい」

最近、高橋さんは初心者ランナーから一つレベルを上げた。
トップ選手から指導を受けられる機会なんて、通常はありえない。
こんな組織が別にも生まれていけば、日本のランニングの底辺も広がっていく」
目標は、今年中のハーフマラソン完走だ。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20090228ddm035050100000c.html

2009年3月9日月曜日

家庭の省エネ、ファンケルの教訓

(日経 2009-03-02)

2月2日付「『個の環境感度』が試される」で、ファンケルが
家庭で電気やガスの使用量を大幅に削減した社員に報奨金を出す
制度を導入したことについて触れた。
「エコチャレンジ」第1弾(実施期間、昨年7—11月)の最終集計がまとまり、
削減目標の達成者を集めた表彰式が同社で開かれた。

社員2000人(派遣含め、従業員数約3600人)のうち、
電気で削減目標を達成したのは33人、ガスは34人。
達成者数は、参加者の1.7%にとどまった。

制度の概要は、昨年6月の使用料金を同月の全国平均(家計調査の数値)
で割った値が基準。
基準値が1以下なら、7—11月の5カ月平均で10%以上の削減が目標。
基準値が1を上回っていたら20%以上。
基準値が1.13の人は、5カ月の使用料金の合計を同期間の全国平均の合計で
割った値が0.90(1.13×0.8=0.904)以下になれば目標達成。

日本全体の家庭からのCO2排出量は、2007年度に1990年度より41%増。
06年度比でも8%増。
パソコン、エアコンなど製品個々の省エネは進んでいるが、
家にある電化製品自体の数が増えている。

尺度が使用料金という違いはあるにせよ、
ファンケルの10%削減や20%削減という目標設定は、文字通り挑戦的。
それが超難関になった原因の1つで、12月から始めたエコチャレンジ第2弾
(3月まで4カ月間)では、参加者全員の削減目標を
「わずかでも基準値を下回ればいい」という線に軌道修正。
第1弾でも、この目標なら4割が到達。

過大な目標設定で、「大山鳴動してねずみ1匹」に終わった——。
第1弾の結果は皮肉な見方もされかねないが、教訓を残している。
難関を突破した目標達成者に、省エネ術を聞いてみよう。

〈早川知佐さん(本社社長室)=電気の削減目標0.89→結果0.52〉

「朝晩のシャワー後、湿気をとるために浴室乾燥機を使っていた。
水滴を軽くぬぐった後、窓を開けておけば乾く。
冬は、エアコンで部屋全体を暖めるのをやめている。
遠赤外線の暖房機にして、自分がいるところだけを暖かくする」

〈香川誠志さん(ファンケル発芽玄米長野工場)=ガス削減目標1.51→結果1.10〉

「朝晩浴びていたシャワーを晩だけにし、使う時間も5分間に。
寒くなってからは、浴びたお湯をペットボトルに受け、
タオルで巻いて湯たんぽ代わりに。
朝に、ボトルの中身を凍った自動車のフロントガラスにかけて溶かす」

成松義文社長は昨夏、週末には家でエアコンを使わない我慢の暮らし。
田多井毅副社長はテレビ、温水洗浄便座など
冷蔵庫以外のコンセントはまめに抜く。
削減目標の高いハードルに跳ね返された。
目標を達成した社員の体験談を耳にして、
「頑張るだけでなく、知恵を出さないといけないと感じた」と成松社長。

エコに無関心だったという早川さんは、
「少しの工夫で(電気代を)減らせると分かって、途中から面白くなった」
実践中の部分暖房は、「西欧のセントラルヒーティング型から、
必要な時に必要なところに必要なだけというコタツ型への転換が課題」
(安井至・国際連合大学名誉副学長)と指摘する環境問題の専門家の発想に
自然体で到達した。

CO2削減を地に足が着いたものにするには、
政府や企業だけでなく、個人の参加が欠かせない。
エコバッグの活用や省エネ家電への買い替えはしても、
ライフスタイルの見直しなど、頭を使うところまで浸透していないのが実情。

「企業の環境への取り組みを、社員1人ひとりの活動の集合体に」(成松社長)。
エコチャレンジ第1弾は、個人レベルで省エネに挑戦させ、
実体験させるきっかけ作りとして一定の成果があった。
企業が、工場やオフィスを越えた広い範囲に温暖化防止を働き掛けることが
できる可能性を持っていることも示唆。

http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan090226.html

新しい波/293 市民マラソン熱/1

(毎日 2月21日)

「荒川市民マラソン」の事務局がある七島晴仁・スポーツ振興課長は、
日々急激な勢いで増えていく申込数に驚いた。
第12回大会は、昨年10月2日に募集を始めたが、
フルマラソン部門は早々と定員の1万5000人を満たし、
設けた申込期限の1カ月前に締め切った。

同マラソンは、実行委員会を組む国土交通省荒川下流河川事務所の
補助打ち切りで、参加費を5000円から6000円に値上げ。
参加者減少を心配した大会事務局は、
1週間後に開かれる東京マラソンの事務局に、
抽選結果を伝える申込者あてのメールに、
「荒川」の大会情報を添えてもらうよう頼んだ。
「荒川」の申し込みは、フルマラソンの競争率が7・5倍となった
「東京」の抽選結果が送信された後の11月10日ごろから急増。

七島課長は、「あまりの勢いに驚いた。東京マラソンと同じ7時間制限という
共通性もあって、外れた方が殺到したようです」
第43回青梅マラソンも、30キロ(定員1万5000人)の申込数が、
12月1日の期限前にオーバーし、11月20日に締め切った。

05年11月。
青梅マラソン主催者の青梅市は参加者減少を心配し、
東京マラソンを主催する東京都と日本陸連に、
同じ2月の開催に抗議する文書を提出。
ふたを開けると、期せずして訪れたブームで共存共栄の形が定着した。

青梅市体育課の地引静雄課長は、
「共栄の形になったのは喜ばしいが、東京とはコースの特徴も歴史も違う。
お互いにいい部分を取り入れつつ、あくまで独立独歩で歩んでいきたい」と
ブームに左右されないあり方を模索する。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/news/20090221ddm035050030000c.html