(Nature Reviews Immunology 8 ( 1 ), Feb 2008)
腸内微生物相は多様な微生物からなるが、
それが1種類にまで減らされ、抗体レパートリーも腸内の微生物の
夾膜多糖に対する単一のモノクローナルIgA抗体のみという、
新規ノトバイオート・マウスを使って、
J Gordonらは、腸内の抗体が寛容のメディエーターとしての
役割をもつことを実証。
IgA抗体応答は、宿主と腸内細菌との間の関係を非炎症的なものにし、
さらにそれを維持するのに重要な役割。
無菌マウスに正常な腸内細菌叢を定着させると、
細菌特異的なIgA抗体応答が出現するが、
宿主や細菌叢の生物学的性質への応答の影響は解明されていない。
Petersonらは、この影響を調べるためのノトバイオート・マウスモデルを作製。
モデル共生生物としては、Bacteroides thetaiotaomicronが選ばれた。
これは、絶対嫌気性のグラム陰性細菌で、
ヒト遠位腸内の生態系の重要なメンバーだが、
無菌C57BL/6J成体マウスの腸内にも効率よく定着。
Rag1(recombination activating gene-1)遺伝子欠失(Rag1−/−)マウス
(成熟BおよびT細胞をもたない)、あるいは背部皮膚下に
B. thetaiotaomicronでプライミングしたIgA産生ハイブリドーマ細胞を
注射したRag1−/−にB. thetaiotaomicronを導入。
腸内腔でのIgA抗体レベルとマウスのB. thetaiotaomicronエピトープの
レベル間には、相反的な関係がみられた。
ハイブリドーマ細胞から分泌されたIgAをもつ感染マウスでは、
IgAをもたないマウスよりもエピトープ発現レベルが低かった。
IgAがない場合、B. thetaiotaomicronは自然免疫による
ずっと強い活性酸素応答を誘発し、宿主応答により生じる
酸化性産物の代謝にかかわる遺伝子の発現を誘導することで適応。
しかし、IgAが存在すると、腸内の炎症誘発性シグナル伝達が低下し
(STAT3やインターフェロン調節因子8などの発現低下などによる)、
細菌のエピトープ発現も低下。
これらの結果は、B. thetaiotaomicronと宿主の間の関係を休止状態に
保っているのは、IgA抗体応答であることを示唆。
また、共生生物とその宿主の両方がかかわる一連の適応が
共進化した恒常性につながるというモデルとも一致。
http://www.natureasia.com/japan/immunology/highlights/article.php?i=64801
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