2010年10月8日金曜日

ノーベル賞:医学生理学賞に、英のエドワーズ氏 体外受精を開発

(毎日 10月5日)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は、
10年のノーベル医学生理学賞を、英ケンブリッジ大名誉教授の
ロバート・エドワーズ博士(85)に授与。

エドワーズ博士は、生殖補助医療(不妊治療)の体外受精技術を開発、
世界初の体外受精児を誕生。
世界のカップルの10組に1組以上が不妊と言われ、
この技術で子を持つ道が開けた。

授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、
賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2800万円)が贈られる。

エドワーズ博士は1950年代、ウサギの卵子を試験管内で
精子と受精させる技術をヒトに応用することを着想。
69年、ヒトの卵子を試験管内で初めて受精させることに成功。
産婦人科医のパトリック・ステプトー氏(88年死去)と連携、
採卵技術を改良し、78年7月25日、
世界初の体外受精による女児、ルイーズ・ブラウンさんを誕生。

この技術の普及により、400万人近くの赤ちゃんが誕生。
日本産科婦人科学会によると、国内でも年間約2万人が生まれ、
累計で約20万人。
カロリンスカ研究所は、「彼の研究は、現代医学の発展の中で
一里塚となっている」とたたえた。

この技術によって、当事者以外の女性から卵子提供を受けて
出産したり、自分の卵子を使って他人に出産してもらう
代理出産が可能になり、倫理的な問題も提起。

◇不妊治療に道

日本初の体外受精(83年)に携わった
星合昊・近畿大教授(産婦人科)は、博士の業績を
「人の卵子と精子の受精を、初めて直接観察できるようにした。
それが不妊治療の技術開発につながった」

大型動物で、世界初の体外受精に成功した入谷明・近畿大教授は、
「ある時、『君はノーベル賞に値する研究者だ』と言うと、
『ありがたいが、人の体外受精は倫理的問題があると言われた。
それでひっかかる面があるのかも』と話していた」
「世界中の不妊カップルが、彼らの技術の恩恵を受けるようになった」
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◇体外受精

卵子を卵巣から取り出し、培養液の中で精子と受精させ、
その受精卵を子宮に戻して妊娠させる不妊治療。
排卵時に合わせ、精子を特殊な器具で直接子宮内に入れる
不妊治療は、「人工授精」と呼ばれる。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2010/10/05/20101005ddm002040169000c.html

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