2008年6月21日土曜日

脳を元気に (2)簡単テストで自己診断

(読売 6月12日)

日本人の死因で、脳卒中はがん、心臓病に続き3位。
血管性の脳疾患は、認知症の代表的な要因の一つとされ、
セルフチェックで危険信号を見つけたい。

赤坂パークビル脳神経外科の水上公宏理事長が考案した
「脳卒中危険度テスト」は、10項目の簡単な質問で、
脳卒中発症の可能性を大まかに判別できる。

該当する項目の点数を足し、80点以上は黄色信号、120点以上は、
医療機関の診断を必要とする赤信号。
特に重視するのは、年齢と血圧。
遺伝性もあり、両親のどちらかが脳卒中の病歴がある場合も「高得点」。

自覚症状のない「隠れ脳こうそく」にも注意。
40代の3割、50代の半数にみられるとの報告。
放っておくと、症状がでる恐れ。

その可能性をあぶり出すのが「渦巻きなぞりテスト」。
眞田クリニック(東京・大田区)の脳神経外科医、眞田祥一院長が作成。
5ミリ~1センチほどの幅で5周巻いた渦巻き模様の線の間に、
色違いのペンで中心から外側へ向け、元の線に触れないよう
渦巻き模様を10秒以内に描く。
元の線と2か所以上で交わったら、微小な脳こうそくで運動機能に
障害が発生している可能性がある。
入浴後などリラックスした状態で、心配な結果が出た場合は、
磁気共鳴画像装置(MRI)などで精密検査する「脳ドック」の受診もお勧め。

脳卒中の予防について、東京女子医大の内山真一郎教授は、
「食事の塩分を控えたり、適度な運動をするといった
一般的な生活習慣病対策が有効。中でも最大の防御策は禁煙」。
喫煙は、脳こうそくを招く血栓を作る主要因のひとつ。
禁煙はお金もかからない、脳を元気に保つ方法。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080612-OYT8T00403.htm

スポーツ21世紀:新しい波/271 バレー協会・個人登録制度/6

(毎日 6月14日)

部外者をシャットアウトして行われた東京都高体連女子バレーボール
専門部会の総会(4月13日)は、個人登録制度問題で揺れた。
矢面に立たされた松野下健部長(当時)は、何度も同じ言葉を繰り返した。
「私たちは、日本バレーボール協会(JVA)と友好協力関係にあります」

国内のバレーに関する活動を統括するJVAと、
高校スポーツを統括する全国高体連は別組織。
全国高体連バレー専門部は、JVAに加盟する立場にあり、
東京都高体連女子バレー専門部はその下部組織。

反対派は、「全国高体連は、JVAの下部組織なのか。
JVA(の個人登録制度導入)に従わないといけないのか」。

松野下部長は、「下部組織ではないが、友好協力関係にある」と答え、
「JVAの個人登録制度について、全国高体連バレー専門部が
協力することを決めた。私たちも制度に賛同し、順守する義務がある」。

「個人登録制度に反対する草の根バレーの会」の発起人の一人、
都立狛江高の佐藤甚一教諭は、「体育会系ならではの上意下達。
こう決まったんだから、黙って従えという態度だ」。
「もっと現場の意見を吸い上げ、制度に反対せよ」という

反対派教員の意見に、森田政行副部長は反論。
「現場の問題をまとめ、東京の代表として上部団体に改善は要望した。
新制度は完ぺきではないと思う。我々も疑心暗鬼、暗中模索。
だが、以前の制度ではJVAも限界だった」。

板挟みの苦しい胸中を訴えた。
東京は、今季の大会出場資格について、折衷策を採った。
JVA主催大会である全国高校総合体育大会、
全国高校選抜優勝大会などにつながる予選の出場選手は
個人登録を義務付け、それ以外の夏季大会などは、
個人登録していない選手も出場を認める。

松野下部長は、「個人登録してほしいが、『それでは大会に出場しない』
という人が現れては困るので」。

http://mainichi.jp/enta/sports/21century/

創立記念、節目祝う ブラジル岩手県人会

(岩手日報 6月16日)

ブラジル岩手県人会(千田曠暁会長、会員約280人)の
創立50周年記念式典は、サンパウロ市の
ブラジル日本文化福祉協会講堂で行われた。
会員、本県からの訪問団、各地の県人会などから約400人が出席、
半世紀を刻んだ移住の歴史をかみしめ、
新たな県人会活動の発展を誓った。

千田会長が、「第1回の笠戸丸移民から今年で100周年。
この節目に県人会も50周年を迎え、郷土を思う心と
地道な努力のたまものと皆さんに感謝する」。

岩手・宮城内陸地震で帰国した達増知事の祝辞を、
岩間隆県NPO・国際文化課総括課長が読み上げ、
渡辺幸貫県議会議長、大石満雄花巻市長、
同県人会賛助会訪問団の南部利昭団長、
ニューヨーク岩手県人会の岩崎雄亮会長らが祝辞。

県人会活動に功績のあった男女20人の会員に、
渡辺議長が感謝状を贈呈し、功績者を代表して
大志田寿さん(74)=盛岡市出身=が
「県人会の発展のためさらに精進していく」。

式典後は祝賀パーティーに続き、「いわて芸能まつり」を開催。
盛岡山車推進会(工藤勲会長)メンバーによる音頭上げや
岩手郷土芸能団(団長・藤沢清美県民謡協会長)の民謡、踊りで
にぎやかに50周年を彩った。

ブラジル岩手県人会は、移住した県人24人が集まって発足。
県人の交流や本県との連絡窓口として、移住者実態調査や
本県からの農業視察団受け入れなどに取り組んだ。
1977年にサンパウロ市内に県人会事務所を開設。
83年に現在の県人会館が落成。

県との連携で、県人ブラジル移住者の子弟を本県に留学させる
「県費留学生制度」も導入され、交流が始まっている。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080616_18

学生をつくる(4)危機意識 教員も共有

(読売 6月6日)

歴史ある大学が、基礎学力の向上をめざす。
「エビで釣るのは『タイ』だよな」、「ウのマネをするのはだれ?」
1年生18人が机に向かいながら話し合っていた。
高千穂大学(東京都杉並区)の1年生必修の「基礎ゼミ」で
毎週行われる「ガンバレ高千穂!10分勝負」。
日本語や英語、理科、数学、一般常識各20問を週替わりで解く
小テストの時間。学ぶ姿勢を作るきっかけにしようという狙い。

この日の課題は「動物を使ったことわざ」。
解答はその場で配らない。学生が事務局まで受け取りに行く。
図書館には、小テスト参考文献が並ぶ専用コーナーも設けた。

基礎ゼミは、3学部の1年生664人を十数人ずつに分けた混成クラス。
図書館の利用方法やリポートの書き方、討論・発表の仕方、
授業でのノートの取り方などを1年かけ、手取り足取り教える。
40人もの担当教員が、学力を把握し、学期ごとの学習目標を
達成させるため、学生との面談を重ね、相談に乗る。

笹金光徳副学長(50)は、「ここまでやるのは、おせっかいだと思う。
だが、何の考えもなく大学に来た多くの学生たちに、
将来に向けて今やるべきことに一時も早く気づいてほしい」。
それは、「社会に出る最後の関門としての大学の責務」。

取り組みが本格的に始まったのは、
OBである藤井耐現理事長(58)が学長に就任した2002年。
旧制高千穂高等商業学校は、企業のトップも数多く輩出した名門。
18歳人口がピークを迎えた1990年代前半も、受験者は1万人超。
しかし、就任時はその5分の1。
授業の欠席率や退学率の高さ、学生の覇気のなさに、
藤井さんは危機感を募らせた。

教職員との合宿で問題点を洗い出し、入学してすぐに、意識を変え、
意欲を喚起し、知識を増強する必要があるという結論。
入学式直後の静岡・下田での合宿では、
教職員や上級生と共に学生生活について話し合い、
レクリエーションに汗を流し、大学生意識を醸成する。

出席を取る授業を増やし、教員の意識変革にも力を入れた。
基礎ゼミの授業は、互いの授業参観を奨励。
勝手に休講したり、授業時間を短くしたりする教員はゼミ担当から外した。
熱心な教員とボーナスの差を、30万円もつけたことも。

反発も出たが、「大学全体で危機意識を共有して教育に
取り組んでいかなければ、学生は変わらない」。
昨年度の退学者数は、約4%と前年度をわずかに上回ったものの、
ここ数年を見れば減少傾向。
出席をとらない藤井さんの授業「経営管理」も、
約9割の学生が顔をそろえるように。
「まだ途上。だが光は見えてきた」(笹金副学長)という改革が続く。

◆退学率

日本私立学校振興・共済事業団が2005年度、550私大に尋ねた
退学率は平均2.9%。年間約5万5000人が退学。
船戸高樹・桜美林大教授(大学マーケティング戦略論)によると、
個々の退学率は1%未満から10%以上、
地方で小規模、資格につながる学部を持たない大学は高い傾向。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080606-OYT8T00273.htm

[第1部・ブルガリア](下)指導陣確執 癒えぬ傷

(読売 5月14日)

「一匹オオカミの首が太いのは、すべてを自分で賄うからだ」と、
他力にすがる行為を戒めることわざが、ブルガリアに存在。
幅広い分野で、優秀な個人が多く存在するにもかかわらず、
集団行動が苦手で能力を発揮し切れない。
自他共に指摘する国民の特徴。
かつての輝きを取り戻そうと苦しむ新体操界は、その縮図。

ネシュカ・ロベバさん(61)。
代表チームのヘッドコーチとして黄金期を実現した指導者は、
今、ソフィア市内でダンス・カンパニーを主宰。
「もう競技の世界には戻らない。嫌気がさしてしまった」。
1999年の世界選手権で惨敗した責任をとり、辞任。
しかし、本当の理由は連盟のマリア・ギゴバ現会長(61)との確執。

2人とも、60年代後半~70年代初めの名選手。
「現役時代に格上だったギゴバが、成功したロベバに嫉妬した」、
「ロベバが富と名誉を独り占めしたせいだ」。
中傷が飛び交ったが、この手の話で理由は後から膨らむもの。
真相はともかく、感情のもつれは明らかにあった。

当時、日本からコーチ留学して指導力を認められ、
ナショナル選手の強化に携わっていた山本里佳さんは、
双方の間を駆け回った。
「どちらも新体操を愛していたから、悲しくて仕方なかった。
『意地を張らないで手を取り合って』と説得したんですが……」。
結局、溝は埋まらなかった。

首脳陣の衝突は、後進にも波及。
89年に社会主義体制が崩壊して混乱の時を迎え、
イグナトバ、ゲオルギエバ、パノバといった元女王たちは、
生活の糧を求めて国外へ去った。
一枚岩でない組織は、彼女らを引き留められなかった。

現ヘッドコーチのイリアナ・ラエバさん(45)は、
「昔は選手だけでなく、コーチの養成も優れていた。
指導者を育てるスタイルを持っていたから継続性があった」と、
自戒を込めて決意した。

「コーチが一体となって強化にあたる。
選手の育成を含め、北京には間に合わないけど、
ロンドン五輪までに何とかしてみせる」

練習場の確保もままならなかった時代は、ようやく終わりを告げ、
2年前に新しいナショナルチームの体育館がオープン。
改修費約1億6000万円で、フロア3面のアリーナ、マッサージルーム、
30人収容の宿泊施設、食堂などを整備し、
トレーニングの環境は飛躍的に改善。
まだ遠くにかすんでいるけれど、復活への光は確かに見えている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080514.htm

2008年6月20日金曜日

脳を元気に (1)運動で血流高まる

(読売 6月11日)

いつまでも若く、柔軟な頭脳を維持したい。
そんな願いに、科学の光が当たる。
実証されつつある脳を元気にするコツを紹介。

東京都品川区中延のアーケード街近くに、楽器メーカー「ヤマハ」が
開設した「音楽と健康スタジオ」教室がある。
リズミカルな音楽に合わせ、熟年世代から80歳代までの10人が、
手足の曲げ伸ばし、ストレッチ、軽いエアロビクスなどに汗を流す。
合間には、合唱団のような発声練習も行う。
振るとマラカスのような音を出す「サウンドフープ」という器具を使い、
リズムに体の動きを乗せていく。

教室は、「運動と音楽の両面から脳を刺激する」
(同社の宮下順治・プロジェクトリーダー)ことを目的に、
2005年から始まった。1回1時間、月3回。
「無理せず、継続が大事」。

予備的な実験で、教室の参加者は、思考、計算などをつかさどる
脳の前頭葉(額に近い部分)の血流が高まることが確認。
会員約200人へのアンケートでは、「気持ちが明るくなった」、
「若返った気がする」と効果を挙げる声。

運動が、筋肉や心肺機能を向上させるだけでなく、
脳を元気にさせるという研究成果が、次々に発表。

米国の研究チームは、ネズミに自由に運動させると、
神経細胞を元気にする「BDNF」が脳内で増加することを突き止めた。
「BDNFを増やす引き金は、筋肉細胞が分泌する別のたんぱく質」と、
東京大の柳原大・准教授(身体運動科学)は説明。
「ネズミは、自発的には激しい運動をしない。
人間ならウオーキングや水泳、ハイキングなど適度な運動が当てはまる」。
運動後の壮快感は、脳が元気になるサインでもあるようだ。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20080611-OYT8T00330.htm?from=nwla

スペースシャトル:ディスカバリー、無事帰還 星出さん、2週間ぶり地球に

(毎日 6月15日)

国際宇宙ステーション(ISS)に、日本の有人宇宙施設「きぼう」
本体の実験室を設置した星出彰彦宇宙飛行士(39)らが搭乗する
米スペースシャトル「ディスカバリー」が、ケネディ宇宙センターに着陸。
初の宇宙飛行を終えた星出さんは、2週間ぶりに地球に帰還。

ディスカバリーは、マーク・ケリー船長(44)ら7人が乗り組み、
5月31日に打ち上げられた。
飛行4日目に、星出さんがISSのロボットアームを操作し、
実験室を取り付けた。
翌日に入室した後、飛行10日目までに実験室の起動や、
きぼうのロボットアームの機能点検を行い、
正常に作動していることを確認。

流体力学と生命科学の2個の実験装置も実験室に運び込まれ、
これで室内実験ができる施設が整った。
きぼうを運用する宇宙航空研究開発機構は8月上旬から、
流体力学の実験を皮切りに本格的な実験を開始。

きぼうは、今年度末に最後の船外実験施設が
スペースシャトルで打ち上げられ、完成。

http://mainichi.jp/select/science/news/20080615ddm041040060000c.html

杉松公使の新墓碑除幕 ブラジル・リオ

(岩手日報 6月15日)

ブラジル移住事業を進め、同国のリオデジャネイロ市で客死した
盛岡市出身の杉村濬(ふかし)駐ブラジル第三代公使
(1848-1906年)の新たな墓碑除幕式は、
同市のサンジョアン・バティスタ墓地で
南米訪問中の達増知事やブラジル岩手県人会の千田曠暁会長らが出席。
達増知事、渡辺幸貫県議会議長、千田会長ら同県人会員、
同県人会賛助会の訪問団(南部利昭団長)一行ら約50人が出席。
知事と千田会長が新たに整備した墓碑を除幕し、全員で黙とう。
杉村公使は、外務省通商局長などを務め、日本人移住の必要性を説いた。
駐ブラジル公使として、1905(明治38)年にリオデジャネイロ市に着任。
移住事業の準備を進めたが、日本人移住第1号の入国2年前に病没。
歳月の経過で墓碑にひびが入ったことなどから、
岩手県人会が内外に募金を呼び掛け、創立50周年の記念事業として、
「第三代駐伯日本国 杉村濬之墓」などと記した
高さ0・8メートル、幅1メートルの黒御影石の墓碑を新たに整備。
千田会長は、「ブラジル移住100年の歴史をつくった人であり、
立派にしたいという思いで完成できた」と振り返り、
達増知事は、「海外最大の日系社会の礎を築き、古里の方々に
墓参してもらえるのは、国際人として本懐を遂げたと、ここで実感した」。
盛岡藩士の次男でもあった杉村公使について、
南部家45代当主の南部訪問団長は、
「存在は県民にあまり知られておらず、先人を知る取り組みを広げてほしい」。

学生をつくる(3)日本語鍛え 学ぶ姿勢

(読売 6月5日)

予備校からも人材を得て、習熟度別に日本語を教える大学がある。
「見て!『新明解』の『恋愛』の説明、生々しい~」、
「こっちは、あっさりだよ」、「おもろいやん」

5月初め。連休前の街のにぎわいをよそに、
京都精華大学(京都市)の講義室では、約30人の学生が
机に積んだ6種類の辞典を熱心に見比べては声を上げていた。
「日本語リテラシー」の授業。
リテラシー(読み書き能力)にとどまらず、自ら調べ、考え、表現できる
大学生に育てることを目指した人文学部1年生の必修科目。

新明解国語辞典(三省堂)の面白さをつづった「新解さんの謎」
(赤瀬川原平著、文春文庫)を読ませ、
実際に他の辞典と比べて感想を書かせていた。
辞典の使い方を覚えさせるだけでなく、日本語の豊かさに気づかせる。

「今の子は、関心の対象が狭いが、語彙が豊かになれば関心も広がる。
そこから大学での学びが始まる」。
大手予備校の河合塾と駿台予備学校で、小論文を通算約20年教えた
日本語リテラシー教育部門長の森下育彦教授(53)が授業内容に胸を張る。

森下教授は、事実羅列型文章の多さが気になっている。
例えば「私の好きな季節」を書かせると、「春は花が咲く。入学式がある」と
表面的な現象を連ね、なぜ好きか伝えようとしない。
「工夫しなくても伝わるメールに慣れているからだろうか」

本格的に授業が始まったのは3年前。
日本語リテラシー教育部門は、学長直属の組織として発足、
学外からも人材を集めた。
教員4人と助手10人でチームを編成し、徹底的に指導をするため、
課題作文を書かせて習熟度別クラスに分ける。
漫画や映画も教材に、課題に沿って何を書きたいかをメモ。
それを元にした討論や教員との面談、添削指導も経て、
1学期に1000~2000字の課題作文五つを完成。

今年の場合、約450人の1年生が30人前後ずつの11クラス。
課題は、上位クラスでは、「記憶に残ること」、「他者との間合い」、「変身」
など抽象概念も入り、下位クラスでは「私が影響を受けた人・モノ・こと」など。
学生の自尊心に配慮し、森下教授なら「Mクラス」など
担当教員の頭文字で表示する。
どのクラスでも、課題を通して自分を客観的に見つめ、
他者とのかかわり方を考えさせる構成は共通。

欠席すると、呼び出しを受けるほど出席管理は厳しいが、
昨年度の学生満足度は、どのクラスも9割以上。
人文学部は今年度、定員割れ。
在籍学生の高評価が受験生には届かない。

悩みながらも今後、同様の授業を、漫画、芸術、デザインの3学部にも
広げ、全学的な取り組みに。
漫画家でもあるヨシトミヤスオ副学長(70)は、
「学生の学びを、大学側が一からきちんとおぜん立てしなければ
ならない時代だからだ」

◆大学生の日本語力

独立行政法人「メディア教育開発センター」(千葉市)は4年前から、
入学したばかりの大学1年生に、日本語の語彙力、文法や漢字の
知識を問うテストを実施。
昨年度の調査(54大学、約2万9000人)では、国立大の9割が
高3レベルだったが、私立大では中1から高3まで幅広く、
中学生レベルが6割以上の大学も。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080605-OYT8T00262.htm

[第1部・ブルガリア](上)新体操の伝統 刷新拒む

(読売 5月12日)

ブルガリア各地の民俗舞踊は、
細分化すれば、数百種類に及ぶと言われ、
五つのプロチーム、100以上のアマチュア団体が、
貴重な文化を現代に引き継いでいる。

雨ごいの祈り、求婚、クリスマス……。
遠い昔から、体の動きで感情を伝えるのは、自然な作業。
歴史が導いたのか、この国で新体操が大いに発展した。

1963年に第1回大会を迎えた世界選手権で、
ブルガリアは常に頂点を争い、87年の第13回大会までに
延べ7人の個人総合優勝者を輩出。
93年の第17回大会から、マリア・ペトロバが3連覇。
ところが、これを最後に女王は誕生していない。

首都ソフィアの小さなカフェで、エマヌイル・コテフさん(68)は
エスプレッソを一口すすり、「残念ながら北京五輪のメダルも難しいな」。
30年以上、新体操に接していた元新聞記者。

ブルガリアの持ち味は、巧みな手具操作と豊かな表現力。
しかし、難度の高い技の数や、体の柔軟性を重視する方向へ
採点規則が改定され、この分野を得意にしていた
ロシア、ウクライナなどの旧ソ連勢が、90年代後半から表彰台を独占。

芸術性にこだわるブルガリア選手への、得点上の低い評価に、
異を唱えるファンは少なくない。
新体操の本来の魅力を体現しているのに、というわけだ。
よしあしはさておき、伝統国の誇りがスタイルの刷新を、
言い換えれば世界のトップへの追随を拒んでいる。

さらに、別の側面も。
ブルガリアは第2次世界大戦以降、「ソ連16番目の共和国」
ささやかれるほど、旧ソ連に忠実な体制を敷いていたが、
89年の民主化を経て、少なくとも一般の国民の間では「恨み節」も噴出。

旧ソ連の支配で、自由な社会の到来が遅れた。
そうした事情もかんがみて、コテフさんは「強くならなきゃならん。
だが(新体操界が)旧ソ連勢のマネをするのは許されない」。

ナショナルチーム練習施設の壁に、自国の名選手と並び、
ロシア勢の写真が飾られている。
「誰がライバルなのか知ってもらうためよ」。
ブルガリア連盟、マリア・ギゴバ会長(61)の笑みは、
どこか緊張感に似た空気を漂わせていた。

民俗舞踊は、独自の形態を保って受け継がれ、
他の土地のものと融合することは、まずあり得ない。
「個性を大切にする国。マネは、文化を捨てるのと同じ」。
図らずも、新体操が抱えるジレンマを言い当てている。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080512.htm

2008年6月19日木曜日

通販番組でテレ朝に警告 乗馬器具の効果めぐり キー局初、公取委

(共同通信社 2008年6月13日)

通販番組で乗馬型運動器具「ロデオボーイII」について、
1日1時間の運動で短期間に体重が減ったと紹介したのは
景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるとして、
公正取引委員会は、テレビ朝日に再発防止を求め警告。
通販番組で民放キー局への警告は初めて。

公取委は、「大きな影響力を持つ全国ネットのキー局の表示が、
器具本来の効果と懸け離れていたのは問題だ」。

同社は2006年6月から昨年6月にかけ、
自社の通販番組「セレクションX」と「ちい散歩」で計約200回、
「シェイプアップ3週間チャレンジ」として、体験モニター14人による
ロデオボーイIIの効果を放送。

「1日1時間だけの運動で、6.6-1.4キロ体重が減った」としたが、
モニターのうち6人は、食事制限やロデオボーイII以外の運動も続けていた。
テレビ朝日広報部は、「モニターには普段通りの生活をお願いし、
自発的な食事制限があったことは事後の調査で判明した」と説明。

公取委によると、ロデオボーイIIの負荷はウオーキング程度。
1日1時間の運動で減るのは、3週間で0.4キロぐらいで、
数キロ単位でやせることはあり得ないとしている。

テレ朝は、1台2万9800円で約5万3000台を販売、
約15億円を売り上げたという。

テレビの通販番組では昨年、通販大手の
ジュピターショップチャンネルとQVCジャパンが製品の防カビ・消臭効果の
不当表示で公取委の排除命令を受けたほか、
フジテレビ系列のディノスも、ひな人形セットの価格表示で警告。

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=75282

学生をつくる(2)単位取得「健診」が義務

(読売 6月4日)

健康管理を通じて、学生生活を支援する大学がある。
4月の入学式から数日後。
金沢大学は、新入生1823人に3日かけて健康診断を行った。
身長・体重の測定、血圧検査や採血など、お決まり項目の最後に、
臨床心理士との面談も用意。
心理士の女性は、「少しでも不安なことがあったら、いつでも相談してね」
と優しく学生に悩みがないかを聞き、
学生による悩み相談部屋「ピアサポートルーム」の存在も紹介。

同大では今年度から、健康診断の受診を、1年生の必修科目
「大学・社会生活論」の単位取得の条件に。
受診しないと、運動部系のクラブやサークル活動の試合に参加出来ない。
診断のデータに少しでも異常があれば、学生に対して連絡を取る。

この科目の前期では、喫煙、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、
熱中症などの知識や、健康診断結果の読み方も教える。
ビデオ教材を視聴後の確認テストもする。
同大の校医、吉川弘明教授は、
「健康教育は、自分でものを考える手段の一つ。
生涯にわたって、健康の重要性を考える姿勢を身につけてほしい」。

精神面のケアも重視する。
学内の保健管理センターの相談室にはここ数年、相談が増えている。
健康診断などで異常がわかった学生には、大学側から連絡を取るが、
カウンセラーの人数も限られており、
組織的に予防からかかわることが必要。

臨床心理士の足立由美講師は、
「大学では、自発的に動かなければ特定の人と一緒になる機会がなく、
対人関係を築けない学生もいる」。
大学が、約4キロ離れた二つのキャンパスをつなぐシャトルバスを
新設した狙いの一つにも、学生の交流の促進を図る。
授業以外の学生の居場所を確保する「コミュニケーションプレイス」
4か所設置、今後も拡大する予定。

金沢大の一連の取り組みは昨年度、文部科学省の
「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム(学生支援GP)」
に4年間の計画で採択。
「心と体の育成による成長支援プログラム-社会に幸せをもたらす
生活の知恵を持った学生の育成-」と名前の付いたプログラムには、
大学入学という大きな変化に直面する学生に対して、
心身ともに大学が健康作りを管理することで、
学生生活を軌道に乗せる狙い。

大学の取り組みに対して、ある学生は
「健康管理なんて、自分でやるのが当たり前。
試合に出られなくするところまでやるのもどうかと思う」と懐疑的な声。
一方で、一人暮らしを始めたばかりの1年生の中には
「自分で出来ないところを大学が面倒をみてくれて、安心感がある」。

学習を支えるため、学生の生活面に大学はどこまで関与すべきか。
金沢大の取り組みは、そのことの問題提起とも。

◆GP Good Practice(すぐれた取り組み)の略。

文部科学省は大学を競わせ、教育面で他大学の参考になる
取り組みに補助金を出している。
2003年度からの「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)」と
04年度からの「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」
の額が大きかったが、08年度から統合して
「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」に。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080604-OYT8T00241.htm

WHO:「骨粗鬆症で骨折」ネットで予測 ツール開発、公開

(毎日 6月10日)

世界保健機関(WHO)は、骨粗鬆症による骨折リスクを
予測する評価ツール(FRAX)を開発。
40歳以上が対象、身長や体重、喫煙や骨折歴の有無など12項目を指標、
10年以内に背骨や腕、大腿部骨折が起きる確率を予測。

骨粗鬆症は、骨密度が低下して、骨がもろくなる病気で、
高齢者の場合、骨折して寝たきりになる場合がある。
日本には、約1000万人の患者がいると推定。

専用サイト(http://www.shef.ac.uk/FRAX/tool_JP.jsp?locationValue=3)、
12項目のデータを入力。
大腿骨頸部BMD(骨密度)は省略できる。
発症リスクが表示され、数値が10%以上になると要注意。

評価法を開発した英シェフィールド大のジョン・ケーナス名誉教授は
「世界中の疫学調査をもとに作った。
骨密度不明でも骨折の可能性を予測できる」。

折茂肇・骨粗鬆症財団理事長は
「今後、数値がいくつになったときから治療が必要になるか
について基準を作りたい」。

http://mainichi.jp/select/science/archive/news/2008/06/10/20080610ddm013100130000c.html

研究成果、現場に還元 盛岡の東北農研センター

(岩手日報 6月12日)

盛岡市下厨川の独立行政法人農研機構東北農業研究センター
(八巻正所長)は、研究成果を農家らに直接実演、説明する
「出前技術指導制度」を発足。

研究の成果が生産現場に届きにくいという反省をもとに、
技術の普及活動に本腰を入れる。

同制度は、農業者や農業改良普及センター、企業らが対象。
研究者らが現地での技術指導や説明、講演などを行う。
指導者の出張経費は、東北農研センターが負担。
試作農機具の運送費や説明会開催経費は、原則として応募者が負担。

東北農研センターでは毎年、研究成果をまとめた冊子を発行。
成果発表会も開いてきたが、参加するのはほぼ研究者で、
農家は皆無。
技術普及には、研究者個人の努力に頼る面も多かった。

前身の東北農業試験場時に開発された「寒締め野菜」など、
産地で大きな成果を挙げている技術も多いが、
独立行政法人化した2001年以降、
県や各農業改良普及センターとの関係も薄れ、
生産現場で技術普及をするにも、「手足がない状態だった」。

出前技術指導制度は、現場の声を聞き、
研究の完成度を上げるとともに新研究につなげるのも狙い。
東北農研センターの児嶋清産学官連携支援センター長は、
「これまでは一方的に研究発表するだけで、
現場で実際に生かされていなかった。
農家や農業改良普及センターなどと連携し、技術を高めたい」。

同制度への応募方法や東北農研センターの研究技術紹介は
ホームページhttp://tohoku.naro.affrc.go.jp/
問い合わせ、産学官連携支援センター(019・643・3402)。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080612_10

「JŌDO」ブランド発信 平泉の全国展開委員会

(岩手日報 6月13日)

平泉文化に関係する、全国展開の新商品を開発し、
市場調査やPRして売り出そうという全国展開委員会の初会合は、
平泉町の平泉商工会館で開かれた。

純米酒「延年」、かわらけせんべい、新たな秀衡漆器の3商品を
開発し、「JŌDO」ブランドで販売。

同商工会(千葉庄悦会長)が、中小企業庁の
「地域資源全国展開プロジェクト」で800万円の
補助を受け、委員会を設立。

初会合には、仙台市のコンサルタントや毛越寺、
平泉観光協会などの代表ら約20人が出席。
事業の基本概念として、「香る浄土」、「味わう浄土」、「触れる浄土」
を掲げ、持ち帰れる商品開発を目指す。

純米酒は、一関市の世嬉の一酒造が同市の骨寺村荘園で
栽培した米で醸造し、毛越寺の南洞頼教貫主が「延年」と揮毫(きごう)。
10月の発売を目指す。
せんべいは、町内の菓子店にレシピや材料を提示し、
地元の米粉やきな粉、小麦粉を使って商品開発を目指す。
漆器は、同町の翁知屋が中心。

委員長を務める東北地域環境研究室代表志賀秀一さんは
「地元の業者を巻き込んで全国、世界に発信できる商品を開発し、
統一ブランドで売り出したい」。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080613_8

[第1部・ルーマニア](下)細る体操王国

(読売 5月10日)

女子体操の強豪、ルーマニアで、代表監督の背負う重圧はすさまじい。
2005年に就任したニコラエ・フォルミンテ氏(51)は北京大会で、
初めて五輪の指揮を執る。
「選手は余計なことを考えず頑張ればいい。責任は我々がとる」
と声を張り上げて一転、肩をすぼめた。
「実は今の時代、うまく指導するのは難しいんだ」。
社会の変化の波は、体操界にも及んだ。
一流選手を目指す子供が、減っている。


首都ブカレストから北西へ約400キロ、人口8万人のデバ。
1978年に開校した「国立スポーツ専門学校」が、強化の拠点。
シニアのナショナルメンバー14人は、敷地内の寮に住み込み、
7人のコーチに見守られ、1日に6~8時間の練習。

常に世界の頂点を狙う姿勢は30年間、全く変わらない。
ただし、樹木の幹は同じ太さでも、枝葉の形が以前と違う。

例えば、1年に1度しか許されなかった家族との面会は近年、
事前に手続きをしておくことで、無制限に認められる。
体重の増加を防ぐための食事制限も、ほぼ自己管理に任されている。
フォルミンテ氏が、「厳しすぎると、ついて来ない子が出るかもしれない」。

実際に、トラブルが起きている。
五輪で3個の金メダルを獲得したカタリナ・ポノルが、
何度も引退と復帰を繰り返し、昨年の世界選手権後に表舞台から消えた。
実力は衰えていない。
関係者によれば、「生活まで縛られるのは、おかしい」と、
集中強化システムに対する不満をぶちまけ、結局、代表チームを去った。

専門学校のアドリアン・リーガ校長は、
「インターネットの普及などで、情報収集が簡単になった。
子供の価値観の多様化が、体操人口の減少につながっている」。
都会から遠く離れたデバは、かつて少女たちを体操以外の刺激から
隔離するのに、うってつけの環境。
もはや、その壁はなくなったも同然。

もう一つ。 「(89年12月の革命で)社会主義体制が崩壊し、
体操での成功が、必ずしも人生の成功と結びつかなくなった。
だから、若者はスポーツよりも、コンピューターなど、
将来の就職に役立つことをしたがる」(リーガ校長)

ルーマニアは、07年に欧州連合(EU)加盟、社会全体が変革の途上。
ナディア・コマネチらを輩出した伝統国にとって、
本当の試練は、これから訪れるのかもしれない。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080510.htm

2008年6月18日水曜日

学生をつくる (1)意欲引き出す 授業や行事

(読売 6月3日)

学生のやる気を奮い起こすため、大学が知恵を絞る。
「おめでとう」「ようこそ」--。
えんじ色のアカデミックガウンを着た浜名篤学長(51)が
新入生を1人ずつ壇上に招き、手を握っては声をかけていた。

満開の桜に彩られた関西国際大学(兵庫県三木市)の入学式。
学長に就任した3年前に始めた握手を、今年は427人と交わした。
30分以上もかかる歓迎の儀式に、
新入生たちは戸惑いながらも笑顔を見せる。

入学式後も「歓迎」は続く。
学長や上級生らが、南京町など神戸市内の観光地を1日がかりで
案内する「神戸ウオーカー」、キャンパス内でのバーベキュー大会……。
「本学生として、自信を持って一緒に学ぼうと伝えたい。
そのための活動だ」と浜名学長は強調。
同大が一貫して重点施策に掲げるのが、「鉄は熱いうちに打て」。

10年前の開学当時、無気力な学生が目立ち、退学率の高さにも悩んだ。
4年間で一つでも「これならできる」という自信をつけて
社会に送り出すには、入学直後からの戦略が欠かせない。
次々と編み出された歓迎行事は、その第1弾。

開学の翌年には、成績優秀者の授業料の5~10%を免除する
奨励金制度を創設。
4年前には学習や資格取得、課外活動に力を入れると
ポイントがたまるマイレージシステムも始めた。
資格取得5~10ポイント、大学祭での活躍10ポイントといった具合。
1000ポイントたまると、米国研修旅行を贈る。
その達成者はまだ1人だが、奨励金対象者は全体の2割前後。

こうした工夫で、「面倒見のいい大学」という世評が広まり、
昨年度の退学率は約4%と、3年前に比べて半減した。
今年度からは、1年生の必修科目サービスラーニング。
社会貢献活動を通し、学ぶ目的や意味を見つめ直してもらう。

浜名学長は、よく学生に将来の夢を尋ねる。
「ほどほどの暮らしができる中小企業で働きたい」が大半。
将来の夢はない、との答えも少なくない。
「『面倒見のいい大学』は、過保護と同義語という面も。
大学という小さな社会で充足し、新しい学びへの意欲が乏しくては困る」、
校外に出て行くことを考えた。

山下泰生副学長(48)と山本秀樹講師(39)が、
教育学部教育福祉学科の2年生3人を連れ、カンボジアに1週間滞在。
今後の授業展開に、学生の視点を取り入れるため。

まだ内戦の後遺症を引きずる国で、病院や児童養護施設に
足を運んだ学生たちが様々なことを吸収する姿を見て、
山下副学長は生の現実を通した学びの効果を確信。
「1年生にもぜひ経験させてあげたい」と参加者、村井香那さん(20)。
ただ、1年生全員を学ばせるのは、衛生・治安面から難しいと判断、
カンボジアでの学習は自由参加とし、今年度は、地元を中心に
専門分野と関連ある活動をすることに。
三木市と韓国の子供たちの交流の橋渡しをしたり、
同市内の高齢者との交流を深めたりするための授業が始まっている。

「新入生のやる気を起こす効果はある。
今こそ、教員の力量が問われる」と山下副学長。
問題は、教員の負担感だ。

カンボジアに渡航する前の数週間、山本講師は学生たちと何度も
学習会を開く一方、現地での安全確保について調べ、
保護者向けパンフレットも作った。
研修後も、学生が発案したチャリティー募金の意義などについて
共に学び、「行ってきました、だけでは学びの意欲は喚起できない」。

どの教員も同じように取り組めるのか。
学生の学びを変える試みは、教員を変える試みでもある。

◆サービスラーニング

社会貢献を通して学生が学ぶ意味や目的を確認し、
学校で得た知識を深める体験学習。
調査・交渉・企画力を身につけ、職業意識や社会への関心も高める。
欧米では、次代を担う市民育成にもつながるとして、
大学や高校が様々な形で導入している。

◎「初年次教育」で学ぶ習慣確立

大学生に学ぶ意欲やコミュニケーション力を持たせるため、
新入生を集中的に教育する「初年次教育」が、全国的な広がり。
大学教育の質の保証が厳しく問われている。
学ぶ意欲を欠いたままでは中退者増にもつながり、学校経営を圧迫。

初年次教育学会(会長=山田礼子・同志社大学教授)も設立。
会員には、東京大や慶応大、早稲田大など約50大学の教職員約200人。
全国の国公私立大の1980学部長のうち、回答した1378学部の9割が
何らかの取り組みを実施。

1年生段階では、
〈1〉コンピューターを使った情報処理や通信の基礎技術
〈2〉リポートや論文の書き方などの文章作法
〈3〉自立した自己学習の基礎
〈4〉図書館の利用・文献探索の方法
〈5〉学生生活における時間管理や学習習慣の確立--が重視。

大学は、4年間で学生の力をどれだけ伸ばせるか。
その初めの一歩として、初年次教育に熱い視線が集まっている。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20080603-OYT8T00244.htm

毎日100%果汁を飲む小児はより良い栄養摂取ができる可能性

(Medscape 6月2日)

100%果汁を毎日摂取する2-11歳の小児は、
過体重または肥満のリスクが上昇することなく、
より良い栄養摂取ができることを示す横断的研究の結果が
『Archives of Pediatrics & Adolescent Medicine』に報告。

ベイラー医科大学(ヒューストン)のTheresa A. Nicklasらは、
「全国標本を用いた最近の諸研究では、
100%果汁の摂取と体重との間に関係はないことが示されている」

「この研究の2つの目的は、2-11歳の全国を代表する小児の標本に、
100%果汁の摂取が(1)栄養摂取と食品群、(2)体重の状態に
影響を及ぼすかどうかを明らかにする」

National Health and Nutrition Examination Survey (1999-2002)
のデータの二次解析において、2-11歳の小児3618例を対象に
果汁の摂取について検討。
果汁の1日の平均摂取量は4.1液量オンス(約121mL)、
平均エネルギー価は58キロカロリー、全エネルギー摂取量の3.3%に相当。

100%果汁を飲む小児は、100%果汁を飲まない小児と比較し、
エネルギー、炭水化物、ビタミンC、ビタミンB6、カリウム、リボフラビン、
マグネシウム、鉄、葉酸の摂取量が有意に多く、
総脂質、飽和脂肪酸、任意摂取の脂質(discretionary fat)、
添加した砂糖の摂取量が有意に少ない。

100%果汁を摂取した小児は、摂取しない小児より、
全ての果物の皿数も有意に多い。

過体重である可能性について、
果汁摂取者と非摂取者との間に有意差なし。
「小児が摂取した100%果汁の量は、米国小児科学会(AAP)が推奨する
100%果汁の最大量に満たなかった。
2-11歳の小児では、100%果汁の摂取は非摂取より優れた栄養摂取と関連、
体重の状態や過体重である可能性とは関連しなかった」

研究の限界として、因果関係の判断を除外した横断的デザイン、
エネルギー摂取の過小報告または過大報告の可能性、
その他の報告上のミスが挙げられる。

「総合的健康食の一部としての100%果汁の摂取は、
その栄養学的利点に基づいて奨励されるべき。
科学的エビデンスの重要性は、100%果汁摂取の栄養学的利益を
明らかに裏付け、小児における過体重と100%果汁摂取との
関係を裏付けていない」

出典Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162:557-565.

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=74700

バーチャルエクササイズで子供が熱くなる kids-feel-the-burn-with-virtual-exercise

(WebMD 5月30日)

アウトドアスポーツの代わりとなるものではないが、
ニンテンドーWiiのような身体を動かすタイプのテレビゲームが
子供に汗をかかせ、カロリーを消費させるのに役立つかもしれない。

米国スポーツ医学会(American College of Sports Medicine)で
発表された2つの新しい試験の結論。

ネブラスカ大学の運動科学准教授Gregory Brownは、
「お子さんがテレビゲームで遊び、あなたがそのことを知っているなら、
体を動かすタイプのゲームは、親指だけを動かす
従来のジョイスティックを用いるゲームよりも健康に良い」。

バーチャルエクササイズプラットフォームは、
自宅にいながらにしてゲーム相手と対戦でき、
内気な子供に運動を促進するのに実際に役立つ。

学齢期および十代の子供のほぼ5人に1人が肥満。
「肥満の蔓延と戦うため、われわれができることは何でも役に立つ」。
小児期および思春期の肥満は、成人期の肥満および
心血管系疾患のリスク上昇に関連。

Brown博士らは、子供25名(平均年齢11歳)を対象。
子供のカロリー消費は、WiiボクシングおよびWiiテニスをした場合、
従来の手持ち型テレビゲームをした場合よりも2~3倍多い。
平均心拍数は、80拍/分から120拍/分に急激に増加、
「これは、ウォーキングやスローダンス時の心拍数とほぼ同じ」。

子供がダンス・ダンス・レボリューション
(テレビの前で、画面の指示と映像に従ってダンスするゲーム)
をした場合、さらにカロリー消費が大きくなると予測したが、
3種類のゲームの効果は同じだった。

グラスゴー大学(スコットランド)の博士課程学生兼講師(PhD candidate)
Viki Penprazeも、同様の試験をし、
2種類の身体を動かすゲームと、手持ち型のゲームおよび
シンプトンズのDVD鑑賞とを比較。

被験者は子供13名、10歳前後。
DVDを鑑賞した場合、従来のハンドコントロール型のテレビゲーム
をした場合、読書によるカロリー消費を上回ることはない。
しかし、Dance Mat ManiaおよびEye Toy Boxing
(プレイヤーがボクサーの真似をする)をした場合、
子供の心拍数は80拍/分から最高で160拍/分まで急激に増加。


この心拍数は、早足でのウォーキング、ジョギングと同等。
子供は座って行う活動に比べて、2~3倍カロリーを消費。

オランダで実施された第3の試験では、
すべてのゲームの結果が同じではないことが指摘。
研究チームは、6種類のゲームシステム(ダンス・ダンス・レボリューション、
Wiiテニス、Eye Toy Beach Volleyball、Xerbike、Lasersquash、
Apartgame)を比較。

その結果、WiiテニスおよびEye Toy Beach Volleyballでは、
他のゲームほど子供の消費カロリーが大きくない。
TNO Prevention and Health(ライデン)のSanne de Vriesは、
「身体を動かすタイプのゲームは、手持ち型ゲームよりも子供によい」

セントビンセント病院(ニューヨーク)の指導リハビリテーション医
Edward J. Mendelsohnは、「新しい身体を動かすタイプのゲームは、
カロリー消費に役立つということに疑問の余地はない」。

Mendelsohn博士は、7歳の息子と数ラウンドのWiiボクシング後、
よく汗をかく。
屋外に出て、スポーツを行うことに取って代わるものはない。
しかし、雨降りなら、このようなゲームは子供の生活に
フィットネスを取り入れるため、楽しくて簡単な方法

http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=SPECIALTY&categoryId=580&articleLang=ja&articleId=75042

[第1部・ルーマニア](上)「妖精伝説」色あせず

(読売 5月9日)

枯れ枝のように細い手足の少女が、ルーマニア体操連盟の幹部に
付き添われ、代表チームの練習場に現れた。
アンカ・グリゴラシュさん(50)は、あの日の衝撃を忘れられない。

「私も選手で、新顔を気に留めなかった。
でも、彼女が練習を始めたら、あまりの才能に『この世の人間か』と疑った」。
30年以上も昔の話。ナディア・コマネチは文字通り、宙を舞っていた。

1969年、画期的な強化システムを導入。
優秀な選手を、北東部のオネスティに集めて寮に住まわせ、
練習と生活を一括管理し始めた。
さっそく成果が表れる。
76年モントリオール五輪で、14歳のコマネチは史上初の「10点満点」を連発、
個人総合など3個の金メダルを獲得。
愛らしい容姿で、「白い妖精」と呼ばれ、
世界各国の好意的な視線を一身に浴びた。

しかし、英雄の名誉を得たコマネチは皮肉なことに、自由を失う。
チャウシェスク大統領の独裁政権下で、
体操は国威発揚と海外向けの宣伝に利用。
亡命を恐れる権力者は、現役引退後のコマネチに、
外国への渡航を認めなかった。
悲劇のヒロインは89年11月、ハンガリー経由で米国に脱出。
グリゴラシュさんは、「内向的で無口なナディアに、
あんな勇気があったなんて」と驚いた。

国の象徴的な人物が自由を奪われて、国民は絶望し、
同じ人物の行動力に希望を取り戻した。これは飛躍しすぎか。
「政府の内部でも、コマネチを後押しする動きがあったらしい。
彼女が国境近くにいたとき、なぜか警備が手薄だった」。
約半月後、チャウシェスク大統領を処刑に追いやる革命が起きた。

旧政権のにおいを残す集中強化システムは解除され、選手は各地へ散った。
ところが、復活を望む声が連盟に殺到。
グリゴラシュさんは、「わずか数か月で、体操界は元に戻りました。
多くの才能が死んでしまう。あのコマネチを育てたシステムなのに、と」

78年、北西部のデバに設置された二つ目の体操専門学校。
その校長室の壁に、巨大なコマネチの写真が飾られている。
ルーマニア・リベラ紙、ダニエラ・イオネスク記者は、
すべてはナディアから始まり、現在でもナディアの成功が支えに。
『祖国を捨てた』なんて批判は、ほとんど耳にしない」

北京五輪での活躍を期待されるステリアナ・ニストル(18)が、
「ナディアは模範的な存在。彼女の努力は、私たちに受け継がれている」。
うっとりした表情を浮かべていた。

http://www.yomiuri.co.jp/olympic/2008/feature/continent/fe_co_20080509.htm