(毎日 11月24日)
左手にストップウオッチを握り、男は手帳にペンを走らせていた。
独立リーグ日本一を争う香川-石川戦(10月27日、高松)の
バックネット裏には複数のプロ野球スカウトがいた。
楽天の中尾明生スカウトは、
「1年目は(フロントが)四国アイランドリーグを相手にしていなかった。
レベルが上がり、今では(球団の)現場からも注目選手の名前が上がってくる」。
物差しとして、プロは交流戦を重視。
05年は、オリックスとの1試合のみだったが、今年は17試合。
10月には、セ、パ12球団による教育リーグ「フェニックスリーグ」(宮崎)に、
四国リーグ選抜が初参加。
3勝8敗1分けながら、小差の試合が多かった。
大学生・社会人ドラフトでは、香川の三輪正義内野手(23)が
ヤクルト6巡目で、他に5選手が育成選手として指名。
計6人の指名は、過去最多。
今季、リーグ新記録の40盗塁をマークし、遊撃の守備も評価された
三輪ら4人はリーグ在籍3年目。
ヤクルトの岡林洋一スカウトは、
「守備、走塁、打撃とも段々と進歩している」。
監督やコーチを務める元プロ選手らによる育成機能が、
一定の役割を果たした証し。
海外も注目。
今季は、豪州から04年アテネ五輪銀メダリストら4人が加わった。
現在も豪州代表でプレーするトム・ブライス外野手(26)=香川=は、
「四国に来たのは、日本のプロ野球に行くステップになるから。
他の選手も関心を持っている」。
リーグ運営会社IBLJの鍵山誠社長(40)は、
「3年目の選手のプロ入りは特にうれしい。
コンスタントに選手を輩出し、プロへのもう一つの選択肢として認められた」。
四国リーグがまいた種は、全国各地で芽を出している。
今季スタートしたBCリーグからは、育成選手として楽天から1人が指名。
来季は福井、群馬が加入して6チームに増え、
岡山、宮崎、福島などでも新球団設立を目指す動きが加速。
夢を抱く他地域の選手には、3年間で計11選手がプロから指名された
四国が、まぶしく映っている。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
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