(共同通信社 2008年8月20日)
「打倒米国」に燃えるソフトボールの日本代表。
遊撃手の西山麗選手(24)は、米国の臓器提供バンクを通じて
心臓手術を受け、選手生命をつないだ。
「ソフトボールでは憎い敵だが、娘は米国のおかげで生きている」と
父・義信さん(66)。20日の準決勝はその米国が相手。
生後1カ月で、心臓に先天性の異常が見つかった。
「大動脈弁狭窄・閉鎖不全症」。
心臓の弁に不具合があり、激しい運動で死に至ることも。
日常生活に支障はないが、持久走や吹奏楽は禁じられ、
成長すれば手術が必要だと言われた。
しかし、運動が何より好きな西山選手は、医者が止めるのも聞かず、
中学でソフトボール部に入った。
攻守交代があり、体への負担が比較的軽いと考えた。
中2の時、米国の臓器提供バンクから「ドナー(臓器提供者)が現れた」と
連絡が入った。交通事故で亡くなった14歳の少女。
米国から届いた心臓弁を移植する手術は8時間に及び、
術後も1カ月間入院。
元気を回復した西山選手は、華麗な守備と俊足、巧打で活躍。
強豪の厚木商業高校を経て、実業団入り。
義信さんは、「日本代表にもなってうれしいが、
『ここまでよく体が持ったな』というのが実感だ」。
試合は欠かさず見学するという母・美千子さん(57)は、
これまで2度、相手選手と交錯して気を失うところを目の当たりにした。
「生きた心地がしなかった。わたしはプレーを見るのではなく、
何事も起こらないよう祈っている」
移植した心臓弁の耐久年数は約15年といわれ、既に10年が経過。
いずれ再手術を受ける時期が来る。
五輪に出場できた喜びを胸に、西山選手は
「元気あふれるプレーで、病気をしている子供たちに勇気と希望を与えたい」
http://www.m3.com/news/news.jsp?sourceType=GENERAL&categoryId=&articleId=78776
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