(Japan Medicine 1月30日)
「特定健診・保健指導」が4月からスタート。
すべての医療保険者に対し、40~75歳未満の被保険者および被扶養者を
対象に、内臓脂肪型肥満に着目した健診と保健指導の実施を義務付け。
従来の健診制度で検証が不十分だった事後指導を強化し、
運動や食事療法を軸とした生活指導を徹底することで、
生活習慣病・心筋梗塞・脳卒中などの発症を抑制することが狙い。
同時に、医療費適正化につなげることも大きな目的。
制度開始を目前に控えた保険者側と医療機関側の取り組みを紹介。
●特定健診分析 40歳開始では効果減
小売り事業所などが加入するデパート健康保険組合が、
被保険者・被扶養者の健診結果を分析したところ、
40歳代前半を境目に、受診勧奨の割合が保健指導を超える。
40歳以上を対象にした保健指導では開始時期が遅すぎ、
職種や労働環境によって、期待する効果が見込めない可能性が示唆。
BMIが25以下でも、生活習慣病の危険因子を抱えているケースが多い。
同健保には、デパート、スーパー、ドラッグストアなど359事業所が加入(06年)。
従業員100人未満の中小規模事業所が、全体の52.8%。
被保険者10万59人、被扶養者5万7896人で、
40歳以上の特定健診対象者数は、5万7896人、1万1514人。
06年度生活習慣病健診・人間ドック健診の受診結果によると、
脂質異常がずばぬけて多いのが特徴。
35歳以上の受診者で、血液脂質がC判定(要観察)以上は、45%。
97年度で30%を超え、増加傾向が続く。
同健保では、06年度健診結果を基に、保健指導レベルの把握を試みた。
40歳以上のレベル階層化を、BMI25以上・喫煙率50%で試算したところ、
「積極的支援」7.2%、「動機づけ支援」2.8%。
情報提供レベルとBMI25未満を含めた「その他」60.7%。
「受診勧奨」29.2%。
年齢階層別にみた保健指導と受診勧奨の対象者の割合は、
43~45歳を境に入れ替わり、受診勧奨対象の方が高い。
BMI25以上の被保険者の血圧判定値に限定したところ、
40~44歳の階層で受診勧奨の割合が上回った。
レセプト(06年10月分)からみた生活習慣病関連疾患の占める割合では、
循環器系疾患の割合が30歳代から増え続ける。
同健保の冨山紀代美保健師は、「40歳からの保健指導では遅い」。
循環器系に何らかの問題を抱える割合が高いことや、
若い年代から検査数値が悪化し受診勧奨につながっている状態について、
猿山淳子統括保健師は、加入事業者特有の勤務形態との関係を指摘。
被保険者の仕事内容は、主に営業や販売で、
勤務時間が不規則なため夕食時間が遅くなるケースも。
勤務終了後に医療機関に受診することや、運動を継続することも難しい。
猿山氏は、脂質異常などが深刻化している状況について、
「仕事柄が健診結果によく出ている」。
また、特定健診・保健指導のモデル事業を実施したところ、
対象者の半数以上が受診勧奨という結果。
中堅スーパーの193人を対象に、モデル事業を実施。
健診結果から保健指導レベルを階層化したところ、
「積極的支援」4%、「動機付け支援」3%、「情報提供」1%、
受診勧奨対象は55%に。
●BMI25未満のリスク保持者がポイント
06年度健診結果に基づいた階層化からは、
BMI25未満でもハイリスクを抱える被保険者が多数いることも判明。
喫煙率50%で試算したデータでは、追加リスク2個以上の
「積極的支援」に位置付けられる割合が全体の21.8%。
追加リスク1個の「動機付け支援」は12.5%。
猿山氏は、「やせている人も指導していくことがポイントで、一番大きな問題」
BMIや腹囲の計測だけで対象を絞るのは不十分。
仮に、これらの群のBMIが25以上になれば、
受診勧奨レベルに入ってくる被保険者が増加してくるとみており、
今後は改善策に力を入れていく考え。
http://www.m3.com/tools/MedicalLibrary/jiho/200801/series1.html?Mg=69b5c78169708cb63617f57ca384a355&Eml=12b55b931cb52b4152963c77864c5aec&F=h&portalId=mailmag
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