(毎日 2月9日)
実業団陸上界では、選手の所属形態の多様化が進む。
仕事をしながら競技を行う形を保つ会社もあるが、
仕事はせず競技に専念するプロ的な形態も増えた。
企業によって、チームのあり方や考え方もさまざま。
男子でアテネ五輪マラソン6位の諏訪利成を擁する日清食品は、
年俸制の契約が基本。
希望者は会社の勤務を経験できるが、大半の選手は陸上に専念。
白水昭興監督は、「会社も勝つことを求めている。
競技に集中できる環境を整えるのは当然」。
競技を続けながら正社員になる制度もあるが、過去に適用者はない。
「将来は、教員や家業などを望む選手も多い」と、選手の意思を尊重。
女子で浅利純子ら2人のマラソン五輪代表を出したダイハツは、
88年に「社員に勇気と夢を与えよう」と創部。
選手は人事、総務などの部署に所属し、
試合や合宿の時以外は午前中に約2時間勤務。
宮脇義広・陸上部事務局長は、「社員としても一人前に育ってほしい。
仕事でも頑張れば、職場からも応援される」と狙いを説明。
引退後も、会社に残って働く選手は多い。
02年に全日本実業団対抗女子駅伝を制した第一生命は、
午前中に本社で勤務する正社員と、競技に専念する契約社員の両方。
正社員で入社して数年後に契約社員に変わった選手も2人。
山下佐知子監督は、「職場でも陸上でも、ある程度自立ができてくれば、
競技に専念させてもいい」と成長に応じた判断。
最近では、入社と同時に社内留学制度で岡山大に入った
女子中長距離の小林祐梨子(豊田自動織機)のような新しいケースも。
実業団選手の定義は、一層見えにくくなっている。
全員が正社員の老舗チーム、旭化成の宗猛監督は、
「実業団の資格にある程度の線引きは必要。
どんな形でも認めたら、実業団という枠組み自体が無意味になる」。
白水監督は、「プロ的な環境作りが進んでいるのに、
今さら堅く考えたら世界の流れからも遅れる」。
議論はされても、なかなか意見の統一は難しい。
http://mainichi.jp/enta/sports/21century/
0 件のコメント:
コメントを投稿