(毎日 2月11日)
中国の環境悪化は、地球温暖化への影響はもちろん、
日本の大気汚染にもつながる重要な問題。
中国人の目をもっと環境に向けさせたい。
NPO法人「緑の地球ネットワーク」は、
中国北部の山西省大同市で植樹活動を続けている。
事務局長の高見邦雄さん(59)らは、92年に初めて現地を訪れた。
北京の知人が、「緑化に熱心な地域。美人の産地でいい酒もある」と
同市渾源県を紹介した。
だが、ここの土壌や気候は木の生育に厳しかった。
現地では、山すそに33万本以上のマツを植える計画があった。
高見さんたちはこれに協力し、日本の会員約200人から資金を集めて
苗木代10万元(当時のレートで約260万円)を寄付。
ところが、マツはほぼ全滅。
アンズの植樹にも協力したが、育たなかった。
現地の土は「黄土」と呼ばれる、黄色味を帯びた細かい土。
養分が少なく、通気性も保水性も悪い。
気温は、冬は氷点下30度、夏は39度。
降水量は年200~600ミリと、日本の4分の1。
大半が6~8月に1時間70ミリもの集中豪雨で降り、木が育つ春は水不足。
94年春、大阪市立大助教授だった立花吉茂さん
(植物学、現緑の地球ネットワーク代表)ら、日本の専門家を現地に招いた。
現地では、水を含ませた黄土に苗木を植え、周辺を踏み固めていた。
立花さんは「これでは根が窒息する」と指摘。
黄土に砂や石炭かすを混ぜ、通気性を高めるよう指導。
現地方式で畑に植えたアンズは、1年後に50本中約15本が枯れたが、
立花方式のアンズはすべて勢いよく育った。
マツの根に共生するキノコの胞子をつけて植え、成長を助ける方法や、
グミ科やマメ科の木をマツと混ぜて植え、病虫害に強い林を作る方法も。
今は、植えた木の6~9割が無事に育つ。
日本から毎年延べ300人前後が現地を訪れ、
1人が100~200本の木を植える。
植樹に協力した木は、昨年度までに約1700万本。
植樹面積は52平方キロを超えた。
当初は、「環境保護など豊かな日本人の言い分だ。
経済成長のためなら、我々は汚染さえ望む」との極論も。
昨年9月、日中合同の省エネ会議で中国の曽培炎副首相は、
「植樹活動を続け、日本から2500人以上を連れて来た」と
高見さんたちに感謝したという。
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◇緑の地球ネットワーク
93年に発足。05年にNPO法人化。
会員は個人約620人と企業や労組約30団体。
事務局は大阪市港区市岡1の4の24住宅情報ビル501。(電話06・6576・6181)
http://mainichi.jp/select/science/news/20080211ddm016040121000c.html
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